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行政、医療、福祉が三位一体となった在宅ケアで幸せに
<富山県南砺市 南砺市民病院>

南砺市民病院・南眞司院長 南砺市民病院・南眞司院長

高齢者人口が3割を超える富山県南砺市で、認知症患者さんを主とした在宅ケアを行政、医療、福祉が三位一体となった包括的な医療、ケアを行うことによって患者、家族、地域を"幸せ"にするシステムが成果を上げています。

市民病院併設の介護福祉支援センター 看護と介護が一体化

当センターは、南砺市民病院(南眞司病院長)と併設の南砺市介護福祉支援センターが中心となり、認知症患者さんらに手厚くきめ細かい在宅支援をすることを活動のコアとしています。
2000年の介護保険制度スタートと同時に開設されましたが、そのきっかけは南院長が「認知症やがんのターミナルなど病院で治しきれない患者さんを在宅でケアし、患者さん、家族ともにQOL(生活の質)を高め、幸せにすることがこれからの医療に求められている」と、考えたからでした。

富山県は老人保健施設などの施設は充実しています。「施設ケアが充実していても患者さんが幸せとは限りません。施設は介護に疲れた際に家族が休息できる安全弁であり、患者さん本人にとっても安心できる場所ですが、やはり、住み慣れた自宅でケアされることが一番、幸せなのです」と、南院長は在宅ケアの必要性を強調します。

南砺市介護福祉支援センター 南砺市介護福祉支援センター

南院長の行政への熱心な説明と、院内の賛同者により、比較的スムーズにセンター創設は実現しました。

センターは病院に併設されていますが、病院とは独立した組織で訪問看護ステーション、ホームヘルプステーション、在宅介護支援センターが入っています。訪問看護ステーションには理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も在籍し、訪問リハビリテーションもできるようになっています。センターを病院から独立した組織としたのは「開業医や他の病院の人たちも利用しやすいように」(南院長)と、配慮したからです。

 

「共助」「公助」「自助」「互助」がポイント

組織が整っても地域包括医療・ケアを実現するにはどのように運営するかが問題です。南院長は「共助」「公助」「自助」「互助」の4つがポイントだと言います。

「共助」は医療と介護がお互いに助け合うことです。病院(開業医)と介護施設、病院(開業医)と訪問看護ステーションやケアマネジャー、ヘルパーとの連携がうまくいくことが第一です。センターにはすべてが同居しているので、コミュニケーションが取りやすくなっています。

「公助」は行政と福祉サービスの充実です。南砺市では医療関係者と福祉・介護・保健関係が合同で月1回の「南砺市地域包括医療・ケアワーキング会議」を開き、在宅医療やケアマネジメントなど医療と介護の問題点を洗い出し、解決策を市へ提示します。そして、3カ月に1回、市長、副市長と医療、福祉の幹部が集まって「南砺市医療協議会」を開き、提示された解決策を検討し、施策として実施していきます。地域における医療、介護の問題点を行政のトップが把握し、素早く対応できるので、福祉・行政サービスが向上するのです。

「自助」は本人の努力と家族の協力ということです。病院から在宅に移行する際に、主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士や理学療法士、臨床工学技士ら多職種と患者、家族が一同に会して今後のことに関してカンファレンスを行い、患者、家族の自覚を促すのです。在宅医療になってからも、患者、家族の話をよく聞き、患者、家族を孤立させずに自らが治療、介護に積極的に参加するという意識をもってもらい続けることが大切です。

「互助」はまだ南砺市でもできているとは言えません。認知症の患者、家族を地域で優しく看ていくことなのですが、地域の人たちの認知症への理解が不可欠です。医療者、福祉関係者が積極的に地域の人に啓発する必要性もあります。また、認知症の患者さんを「困った人」と見るのではなく、家族と同様に「困っている人」と見ることで、隣近所の人が援助しやすくなるのではないでしょうか。

 

多職種の相互サポート きめ細かなケアとケアプログラム

南砺市介護福祉支援センター 南砺市訪問看護ステーション 
村井眞須美所長

このような基本方針で運用されてきた当センターは、設立から11年になり、訪問看護の回数は富山県内でも群を抜き、年間25000回近くになります。南砺市訪問看護ステーションの村井眞須美所長は「病院直結、看護と介護が一体化しているというセンターのメリットが在宅介護に生かされています」と、次のような具体例を挙げます。

認知症で要介護度4の妻と要介護度5の夫の老夫婦二人暮らし。夫は胃ろう栄養、妻はおむつを換えることもできません。「このような二人が家で暮らせると思われるでしょうか、ところが何年も自宅で暮らすことができたのです」と、村井所長。

一般に訪問看護師とヘルパーはお互い顔を合わせることも少なく、情報を直接交換することもあまりありません。ケアマネジャーを通すため、正確な情報が伝わりにくいこともあります。しかし、当センターでは、同じ場所に訪問看護ステーションの看護師、ホームヘルプステーションのヘルパー、在宅介護支援センターのケアマネジャーがすぐそばにいて、フェイス・ツー・フェイスの関係にあります。そのため情報交換もスムーズで的確な対応ができるのです。

例えば、ヘルパーがおむつ交換や更衣の時に体の異常に気付いたら、センターに戻り看護師に伝えます。看護師は訪問時にヘルパーから伝えられた異常をチェックし、センターに戻りヘルパーに報告します。また、看護師は訪問した際に体温や血圧を測定するだけでなく、冷蔵庫の中を見るなど二人の身の回りの状況も把握して、ケアマネジャーに伝えます。

看護師もヘルパーも自分の職域を超えて活動し、お互いに解決していくことできめ細かいケアができるのです。村井所長は「在宅ケアは一職種だけで完結できるものではありません。多職種がお互いにサポートし合うことで、よりきめ細かいケアができるのです」と、センターにおける一体化のメリットを指摘します。 南砺市井波在宅介護支援センターのケアマネジャーである河原洋子さん、瀧和江さんは「家族にどのようなサービスが必要かを説明する際に看護師が同席してくれると、家族の理解が深まりケアプランを立てやすいということがあります」。

南砺市井波在宅介護支援センター ケアマネージャー 河原洋子さん 南砺市井波在宅介護支援センター
ケアマネジャー 河原洋子さん
南砺市井波在宅介護支援センター ケアマネージャー 瀧和江さん 南砺市井波在宅介護支援センター
ケアマネジャー 瀧和江さん

 

患者、家族の笑顔が喜び、地域医療文化の創造の礎

村井所長は「ケアにマニュアルはありません。一人一人それぞれに対応しなければなりません。ですから、毎日のアセスメントが重要になってくるのです」と、在宅ケアの細やかさを強調する。その一方で、「在宅ケアには自由度があるということでもあります。少しずつ機能が回復していって、歩けない人が花見に行けるようになったときには感激ですね」と、訪問看護の喜びを語ります。ケアマネジャーの河原さんらも「ケア中に笑顔を見せてくれ、家族から『よかった』と言われたら、仕事の苦労も吹っ飛びます」。

南院長は「認知症の人はきれいな感性が残っています。いい人だなあと思えば応えてくれます。医師、看護師らのコメディカル、家族、地域の人がそのように考えるようになれば、優しい地域ができます。患者さん、家族、地域がハッピーになれるのです。そして、地域医療文化が生まれる素地となるのです」と、南砺市の取り組みの未来を語っています。

 

 

取材日:2011年4月20日
南砺市民病院外観

南砺市民病院

〒932-0211 富山県南砺市井波938番地
TEL : 0763-82-1475

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【富山県南砺市訪問看護ステーション】
TEL : 0763-82-7775

【富山県南砺市井波在宅介護支援センター】
TEL : 0763-82-7774

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