『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【四国】 > 高知県 > 高知県高知市 内田脳神経外科
医療機関を探す

医療とケアの両輪で、認知症予防に尽力
<高知県高知市 内田脳神経外科>

内田脳神経外科 
理事長 内田泰史先生 
内田脳神経外科
理事長 内田泰史先生

1990年に高知市に開設された内田脳神経外科は、認知症の治療のみならずその予防のために様々な取り組みを行ってきた実績を持つ病院です。医療法人恕泉会グループとして、介護老人保健施設「ピアハウス高知」も併設しているほか、「社会福祉法人ふるさと会」とも連携をとりながら、地域に根ざした医療とケアを総合的に実践しています。

予防医学の観点から健康教室を開催

脳神経外科の病院として、脳卒中の患者さんのための医療から出発した同院ですが、脳卒中だけでなく生活習慣病や認知症に関するセミナーも積極的に開催し、地域の方々に予防医学の観点から積極的に働きかけを行ってきました。開設から2年後には「健やか塾」と題した健康教室もスタート。主に遠足を中心とした催しを毎月開催しており、毎月200人近くの参加者がいます。

「まずは認知症にならないこと、ならないように予防することがなによりも大事だと考え、それを伝えています。催しを通じて、歩きましょう、一緒に出かけましょうと誘うことによって、高齢者の脳を活性化させるのが狙いです。みんなと話しながら歩くと楽しいですし、みなさん外出するために着ていく服を考えますし、化粧もします。毎日家の中で閉じこもり、脳を使わずに廃用性萎縮が起こってしまうのが一番よくありません。健やか塾ですと、医師も看護師も介護スタッフも同行するので家族も安心して出かけられます。こうした外出支援を始めてもう20年になります」と内田泰史先生は語ります。

 

ショックを和らげ治療を効果的に行うための工夫

同院の「物忘れ外来」を訪れた人には、MRIを使った画像診断と神経心理テストを行った上で診察をして、認知症の確定診断をしています。その際ナーバスになっている本人や家族に対しては効果的に治療が行えるよう、前向きな働きかけを行っているのだと言います。

「自分では悪くないと思っている人には、『物忘れが始まっています。認知症の一歩手前です。みなさん認知症は治らない怖い病気だと思っていますが、10年前と違って今は治りますよ』と伝えます。すると、みなさん一様にほっとされる。そしてお薬を渡すときにも認知症の薬ですと言うのではなく、『これは認知症を予防する薬ですよ』と言って渡すと、スムーズに飲んでくれます」と内田先生。「様々な新薬を試す際にも、だまって渡すのではなく、『この薬は効くはずですから、笑顔が増えたとか、食事が食べられるようになったとか、外出するようになってきたとか、そんな良い変化がないか、ご家族の方も見ていてくださいね』と言って渡します。すると家族との関わりも増え、それがご本人にも刺激となって、より一層の効果が期待できます。認知症と診断されると、家族もあきらめてしまうか、逆に何でも指図してあげないといけないと思って本人の考えを否定してしまうことが起こりがちですが、そうすると本人も周囲と衝突したくないので考えるのをやめてしまいます。たとえ認知症であっても、元気に生きがいを持って生活できるのだという風にこちらから働きかけていくと、それはもう元気になります」(内田先生)。

 

施設内通貨を使ったユニークな試み

介護老人保健施設 ピアハウス高知
看護師長 川村扶美さん 介護老人保健施設 ピアハウス高知
看護師長 川村扶美さん

「最近行っている自立支援の試みとしては、施設内だけで使える施設通貨を使った取り組みがあります」と話してくれたのは、連携するピアハウス高知の看護師長・川村扶美さんです。山口県の通所介護施設で行われている施設内通貨の試みに興味を持ち、実際に見学に行き、医療法人恕泉会全体に導入したと言います。「お金の単位は、土佐弁にちなんで『ゼヨ』と言うのですが、利用者さんがこのゼヨを使って、ゲームをしたり、お金を稼いだり、フリーマーケットで使ったりすることで施設内が活発化してきました」(川村さん)。

自分で配膳をする、お茶をいれるなど日常的な活動で「ゼヨ」は稼ぐことができるほか、ゲームに参加して勝つ、宝くじを当てることなどによって自分で稼ぐことができる一方、イベント時や何か必要があるときには使うことができる仕組みになっています。仕組みを理解して参加する必要があるため、職員のフォローが必要な人もいますが、このおかげでふだんゲームやレクリエーションに誘っても参加したがらなかった人も積極的に楽しく参加するようになりました。さらに、こうした仕組みを考えていく過程で、職員間のコミュニケーションも活発になり、法人全体が活性化してきたと言います。

 

みんながハッピーになる、おむつゼロへの取り組み

いまでこそ、「認知症は治る、予防できる」という信念で患者さんと接している内田先生ですが、開設当初は「脳の病気だから治らない」と思い込んでいました。しかし、寝たきりで何もわからなかった患者さんが、自分でトイレに行き、食事もし、今年のお正月には年賀状まで書くようになったというケースを目の当たりにし、その考え方は全く変わったと言います。変化の秘密は、本人のストレスの原因だったおむつを外し、その人が楽しく過ごせるようにしたその工夫にありました。

「いくら尿意がわかっていても、職員がその場で対応せずに『おむつでしていいですよ』と言ってしまえば、本人はおむつにしなければならないと思い込み、おむつに尿をするようになってしまいます。最初はそれが嫌でも、そのうちにだんだんと何も感じないようになっていく。すぐに対応しなければならないということはありますが、トイレに連れていった方が実は本人も職員も楽だし、自信にもなります。実際3、4年前は森の里高知では、おむつの人は60~70%だったのですが、今は日中おむつ使用者はゼロになりました」と内田先生は語ります。

社会福祉法人ふるさと会 
特別養護老人ホーム 森の里高知
ケアマネジャー 髙橋佳子さん 社会福祉法人ふるさと会 
特別養護老人ホーム 森の里高知
ケアマネジャー 髙橋佳子さん




同院と連携する社会福祉法人ふるさと会には「総合福祉施設ヘリオス」がありますが、「ヘリオス」内にある「特別養護老人ホーム 森の里高知」ケアマネジャーの髙橋佳子さんは「認知症の症状は作られるものだということを内田先生に教えていただきました。あらかじめおむつをさせていることによって、本来ならおむつが不必要な利用者でもおむつが必要になってしまうし、寝かせきりにするから寝たきりになるということなのだと思います」と言います。この考えをもとに職員が努力したところ、利用者のおむつを外すことに次々と成功し、その結果としておむつ代を大幅に削減することができ、その一部を職員に還元することができました。

 

本人の力を引き出すためのリハビリとスタッフの充実

さらに同院の特徴は、医療とケアが両輪となって利用者やその家族を支える点にあります。特に在宅復帰に向けてのリハビリには力を入れており、グループ全体のリハビリスタッフは総勢約120人にものぼります。「ピアハウス高知の場合、2名の配置で済むところを理学療法士が4名、作業療法士が1名、言語聴覚士が1名いるほか、音楽療法士やスポーツインストラクター等が関わり、カンファレンスにも積極的に参加しています。理学療法室内だけでなく生活の現場でもリハビリを行うので在宅復帰率が高く、今は60%の復帰率になりました」と、川村さん。

「特別養護老人ホーム 森の里高知にも機能訓練指導員が3名いますが、リハビリの人でなければわからないシーティングやポジショニング、リラクゼーションなどを素人にもわかるように生活の場で個別に教えてくださいます。また言語聴覚士は、恕泉会に相談すると派遣してくださいます」と、髙橋さんも言います。

予防から診断、治療、リハビリ、在宅復帰へと、患者さんを総合的に支えている同グループは、スタッフのチームワーク力で不可能を可能に変える力を生み出しています。「治るという信念があれば、認知症が進んでしまったときにその原因を考え、どうしたら改善するか考える余地が生まれるが、治らないと決めつけてしまうと、認知症が進めばそれをすべて病気のせいにしてしまい、医療面や介護面からスタッフが反省する機会を奪ってしまう」という内田先生の言葉は、認知症患者さんと長年向き合ってきた病院ならではの歴史を物語っているようです。

 

 

取材日:2011年6月15日
内田脳神経外科の外観

内田脳神経外科

〒780-0952 高知市塚ノ原37
TEL : 088-843-1002

施設のホームページへ

 

介護老人保健施設 ピアハウス高知

TEL : 088-843-4700

 

社会福祉法人ふるさと会

TEL : 088-848-2002

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ