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助け合い支え合う社会の実現に向けて
<福島県白河市 南湖こころのクリニック>

南湖こころのクリニック 精神科 医師 本郷誠司先生 南湖こころのクリニック 精神科
医師 本郷誠司先生

福島県白河市にある南湖こころのクリニックは、1966年11月に開院した南湖病院が前身で、心療内科・内科・精神科・神経科の専門の病院です。 認知症による妄想や徘徊などに苦しむ患者さんや家族の悩みに寄り添い、「自分の家族を、自信を持って預けることができる施設」をコンセプトに介護支援施設ひもろぎグループが生まれました。

「馴染み」の安心感が症状の安定を導く

福島県は代表的な少子高齢化地域です。先ごろの東日本大震災による被害は、避難を続ける高齢者にも確実に現れており、南湖こころのクリニック精神科の本郷誠司先生は、避難所を回診しながら高齢者の体力面、精神面の低下を心配しています。

認知症患者さんの症状安定のキーワードとして「馴染み」が重要とされていますが、顔馴染みの人と馴染みのある場所で生活することで、こころの平安が保たれます。反対にストレスや不安は、患者さんにはより大きなダメージとなります。「被災後、『馴染み』から切り離され強い不安を抱いておられる方も多く、実際に震災後に症状が悪化した方もおられます。さらに避難所での生活では、これまで元気にしていた畑仕事といった馴染みの暮らしができないばかりか、することが無く寝ていることが多くなるなど、活動性が大きく落ちて廃用症候群になっている方が増えてきています」と本郷先生は警告しています。

同院と同じ地域内にあるケア施設は、当地に馴染み、患者さんやご家族のよりどころとなるようにサポートを続けてきました。震災後もできるだけ早く元の馴染みある状態に戻れるよう、また、新しく馴染める関係が構築できるよう心がけています。

「久しぶりにあった患者さんから、ここに来て先生たちの顔を見るだけでホッとすると、言っていただいた時には、本当に医療者冥利に尽きるなと思いました」と先生から優しい笑顔がこぼれます。

 

心身健康なスタッフが支える笑顔広がるサポート

葉陰から陽光が漏れてくる様子を「日の漏るる垣」といい、その樹木「神籬(ひもろぎ)」を名前の由来とする、介護老人保健施設「ひもろぎの園」は、その名のとおり自然木をふんだんに使用した美しい外観の建物で、高齢者施設特有の気になるにおいもない、明るく広く温かい雰囲気が、入所者・利用者だけでなく、ご家族へも癒しの場を提供しています。

「介護をしておられるご家族は疲弊しておられることが少なくありません。ここは、訪れるすべての人に、木漏れ日と木のぬくもりのような安らぎを感じていただける建物です」と本郷先生。また、ハード面の施設だけでなくソフト面のスタッフも若く、患者さんがなんとか自立できるようにと、厳しさとやさしさを併せ持ちながら常に患者さんの意識と心に寄り添い、オーダーメードの介護をしています。

「温かさと明るい雰囲気づくりには、スタッフの心身の健康が欠かせません。身体ももちろんですが、精神面が健康で安定していないと本物の笑顔は出てきません。そんな状態では患者さんのケアはできません」という本郷先生。スタッフのメンタルサポートがしっかりしているところは、精神科を母体とする同クリニック、同園の大きな特徴といえるでしょう。

 

管理するより、患者さんの行動を受け入れた介護を

同園では、約50人の認知症の患者さんが共同生活しています。家庭的なグループホームとは異なり、一般的に大規模施設では患者さんを危険から守ろうとするあまり、管理的になりすぎることがあります。生活を豊かにする花や飾り・日用品などは異食や破壊の対象となることがありますが、生活空間にはなくてはならない重要なものです。落ち着く空間作りと安全面を考えた管理のバランスを取りながら、なるべく日常家庭生活に近い環境を整備して、認知症にアプローチしているそうです。

介護老人保健施設ひもろぎの園 リハビリテーション科長 作業療法士 石井利幸さん 介護老人保健施設 ひもろぎの園
リハビリテーション科長
作業療法士 石井利幸さん

「人的、物理的な環境はとにかく殺風景になりがちです。ですから、生活を豊かにする要素をできるだけ取り入れる努力をしています。花を食べても体調が悪くならないようなら気にしない、日本人形が壊れたら新しいものを探して飾りなおします。今はまだほとんど共用空間だけでの取り組みですが、徐々に個人の居室にも拡げていきたいと思っています」というのは、同園のリハビリテーション科長で作業療法士の石井利幸さんです。

 

認知症の症状は日常生活動作の中で自然に評価する

認知症の症状を評価する標準的なテストが知られていますが、テストは患者さんに不快感や不安感を与えることもあり、その結果だけを見ても、日常生活上の問題の解決にはあまり役に立たないこともあります。「標準的なテストに頼らなくても、日常会話の中で患者さんの記憶障害の種類や程度を詳細に評価することができます」と石井さん。

例えば、会話の中で、「昨日は暑かったですか?」と質問する場合には、患者さんは昨日のことを覚えていなければ答えることができませんが、「今は寒いですか?」という質問であれば、過去の記憶がなかったとしても、今感じたことをもとにして答えることができます。このように、自分の言葉をよくコントロールして質問することによって、患者さんの記憶障害の程度を把握することができるのだそうです。

また、お茶を入れる、調理をするといった日常での手順を踏んだ動作を行いながら、患者さんの実行機能や、物の認知の仕方などを把握し、機能の低下がみられる部分を賦活できる作業を促すなど、さまざまな工夫を凝らしてのリハビリテーション(以下、リハビリ)が行われています。

 

患者さんの主観的な世界を推察して働きかける

一周することができる館内の廊下 一周することができる館内の廊下

見当識に障害のある患者さんにリハビリを行う場合、通常の説明をしても患者さんの理解は得られません。患者さんは、リハビリの必要性が全くない健康人の世界に住んでいます。「我々が客観的に理解する世界と、認知症患者さんのご自分の世界(誤認の世界)は異なっています。そこを推察して、患者さんの主観的な世界に付き合っていかなければ、リハビリを無理強いすることになります」と、石井さんは形式的にリハビリを行うことより、リハビリ本来の目的を考えて方法を工夫することが大切だといいます。

骨折によって歩行訓練が必要な場合でも、患者さんは骨折や入所しているという事実を理解できないことがあり、リハビリに誘うというより、ご本人の誤認の世界に合わせて、「ちょっとお茶を飲んでいきませんか?」と自然に誘ったりするそうです。「患者さんが、何か試されている、難しいことを無理にさせられていると感じることなくリハビリを行うことが重要で、患者さんに拒否されるのは、我々が患者さんの世界観に入りきれないために信頼関係も築けず、そういったトラブルが起きたときには、全体の症状も悪化することが少なくありません」(石井さん)。

 

なごやかな雰囲気づくり

居間風の空間を再現したスペース 居間風の空間を再現したスペース

リハビリをより和やかにするためにさまざまな工夫がある同園。作業療法としてご飯を炊いたり、簡単な料理をする時には、好きな人には少量ながらアルコールを勧めることもあるといいます。「ほんの少し舐める程度ですが、ここにきて楽しかったと思える時間を持ってもらえます。心が動くと、認知機能が活性化されます」(石井さん)。人の心と心は相互に作用しあって関係が結ばれていきます。スタッフと患者さんが一緒に楽しい時間を過ごすようにしていると、サポートもしやすくなります。

「いい関係を結ぶこと、そのことが、ケアには一番大事なことではないかと思います」と石井さん。認知症の患者さんはその時その時しか覚えていませんが、楽しかったという感情は覚えていることができます。「とにかくここのスタッフは楽しんでいますし、明るいです。スタッフも利用者も楽しい雰囲気作りは大事だと思います。笑顔は次々に伝染していきます」と話して下さいました

 

 

取材日:2011年6月16日
南湖こころのクリニックの外観

南湖こころのクリニック

福島県白河市関辺引目橋33
TEL:0248-23-4401

施設のホームページへ


医療法人社団 慈泉会

介護老人保健施設 ひもろぎの園

福島県白河市大字関辺字川前88
TEL:0248-31-8888

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