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訪問診療で、患者さんとご家族の痛みに寄り添う
<東京都千代田区 医療法人順真会 しのみやクリニック>

しのみやクリニック 院長 四宮雅博先生 院長 四宮雅博先生

東京都千代田区のしのみやクリニックは、心療内科、神経科、精神科の診療科を有するクリニックです。困ったときにいつでも受診できるよう、予約なしでの診療に応じているほか、近隣にお住まいの在宅の患者さんのために、心を込めた訪問診療も行っています。

やっているのは、ごくあたりまえのこと

「認知症の患者さんというのは、職業的にも社会的にも今まで立派に生きて来られた方ですから、まずその方に敬意を払って接します。言葉にすると大仰になりますが、それは特別なことではなく、ごくあたりまえのことなのです」と語ってくださったのは院長の四宮雅博先生。

第一に、認知症の患者さんはご高齢の方が多いため、残された時間をできるだけ満足して過ごしていただくことを大切にしているそうです。例えば、医師の側が難しい顔をして「今日は何月何日ですか」と質問したり、「これから3つの物を見せますから覚えてください」などとテストしても、患者さんにとっては失礼な話でしかなく、全く楽しくはありません。まずはお会いしている時間をせめて楽しいと感じてもらえるように、四宮先生は心を配ります。

患者さんのなかには、診療を受けていることすらわからない人もいます。それでも、来たときよりも気持ちが少しでも楽になって帰ってもらうために何ができるか、試行錯誤しながら患者さんにじっくりと付き添っていきます。「人を明るくさせることというのは、学問だけの修養ではなかなかできません。患者さんから笑顔を引き出すためには、単なる学問的な勉強以外に、人間としての修養が大切なように思うのです」と四宮先生は言います。

 

患者さんに触れるコミュニケーション方法

同クリニックでは、来院される認知症の患者さんのみならず、在宅の患者さんへも訪問診療を行っています。外来では患者さんひとりあたり5分から10分程度の診療時間ですが、訪問診療の場合はそれが40分くらいになることも少なくありません。まるで小学校の先生が行う家庭訪問のように、近隣地域の患者さんのご家庭を一軒一軒訪ねて回ります。その際、四宮先生が心がけているのは、「患者さんに触れること」。

「『こんにちは』と肩をたたき、『また来るよ』と言って手を握る。腰が痛いと言えばさすり、血圧や脈も測る。そうやって、患者さんに触れる。触れた場合と触れない場合との差を比較する統計をとったわけではありませんが、人間にとって他人の体温を感じることは大切なことです。例えば、赤ん坊も抱いてやれば泣きやんで落ち着きますよね。認知症の患者さんは、食事や排泄で汚れるため、普段は人との触れ合いから遠ざかっているのですが、診療のときくらいは、その部分を何とか取り戻してあげたいのです」(四宮先生)。

患者さんのなかに入り込む努力をする際、普通「ことば」が手がかりになりますが、認知症の患者さんには「ことば」がありません。だからこそ「触れること」、そして「一緒に行動すること」が鍵になります。

 

患者さんとご家族の苦悩を知る臨床家として

さらに四宮先生のなかに常にあるのが、認知症の患者さんを抱えたご家族に対しての深い思いです。

「認知症の患者さんのご家族は、ごく一部の例外を除けば、本当に困っています。食事介助ひとつにしても、認知症の患者さんと一緒に食事をするのは大変なことです。認知症の患者さんは、どうしても食事と排泄は人に頼らざるを得なくなりますが、これは大変悲劇的な状況で、認知症の患者さんのご家族は、ずっとそのご苦労を背負っているのです」(四宮先生)。

ご家族の心のなかには、言葉にしないまでも「親だから見捨てるわけにはいかない」という気持ちと「いつまで親を見続けるのか」という追い詰められた気持ちがあり、逆に患者さんのなかには「見捨てられるのではないか」という怖れがあると四宮先生は言います。このような「見捨てるか、見捨てられるか」という感情が渦巻いている患者さんの日常に、四宮先生はいかにも医師という硬い表情ではなく、「やあ!元気だったかい?」という風情で、すっと入っていかれます。

ご家族は「こんなことがあって、本当に困っています」と言い、患者さんは「別に困ることはないはずなのに何が困るのでしょう?」と四宮先生に訴えてきます。そんなとき、ご家族に対しては「それは本当に大変ですね」と言い、患者さんに対しては「そうですよね。ご自分でできるのに困ることはないですよね」と、まるで逆なことを言われるのだとか。それは患者さんと家族の両方を元気づけなければならないからだと四宮先生は言います。

また、ご家族に相談を受けた場合、あくまでその場その場に応じた対応が必要になるため、あらかじめ筋書きを持って臨まれることはありません。ただし、介護と子どもの教育のどちらかをとらなければならなくなったら、「迷わず教育をとりなさい」と言われているのだそうです。なぜなら、それを前提にしないと、ご家族が疲弊してしまうからです。「認知症という病気は、病気だけをみていたのでは治療にならない」と四宮先生は言います。

 

社会問題としての認知症の側面

加えて四宮先生は、認知症というのは介護の問題だけにとどまらず、社会的な大問題であるということも指摘されています。

「少子高齢化の時代、今や40代で介護をしなければならない時代が来ています。まして50代なら、親は70代半ばで当然認知症になっても不思議ではありません。しかし50代といえば、社会的には会社の中枢を担う働き盛りのはず。もし、介護でそういう方々の生産性が失われるとしたら、これは介護の問題ではなく、国の問題です。今後厳しい決断を迫られる人が増えるのではないかと憂慮しているのです」(四宮先生)。

そもそも、四宮先生が訪問診療を始められたのも、大変な思いをして患者さんを病院に連れてくるご家族が、在宅介護の主治医を認定してもらう期間を何とか通院し、その後続かなくなって通院をやめてしまうのを幾度もみてきたからでした。認知症患者さんとそのご家族の実情を臨床医として知っているからこそ、せめてできることはないかと思った結果、訪問診療がスタートしたのでした。

 

認知症の薬を、心を込めて出すということ

認知症には根治療法がないと言われ、ご家族がどんどん追い込まれていく状況のなか、四宮先生が行き着いた方法は、ひたすら誠実に患者さんと接していく道でした。例えば、薬ひとつを出すにしても、機械的に漠然と出さないように自戒していると、四宮先生は言います。

高齢者の場合、認知症の薬もあれば、血圧の薬や高脂血症の薬もあるというように、たくさんの薬を服用している場合が少なくありません。だからこそ、「ひとつひとつの薬は、少なくとも意味があって出すべき」と四宮先生は強調されます。例えば、患者さんのご家族に認知症の薬を渡す際にも、ある症状のこの部分が少しでも良くなってほしいと期待して、それこそ腹に力を入れて祈るような気持ちで渡すのだそうです。「薬を飲むことで、スプーンで食事をとれるようになったとしたら、それは少なくともご家族にとって負担の軽減になり、救いになります。効いてほしいという気持ちを込めて薬を出して、笑顔になってほしいという気持ちを込めて患者さんの手を握って帰ってくるのです」と四宮先生は言います。

患者さんとそのご家族の痛みに常に寄り添い、変わらないごくあたりまえの日常を送っていただくために、日々地域を回っています。

 

 

取材日:2011年7月12日
しのみやクリニックの外観

医療法人順真会 しのみやクリニック

〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3-37-58 マルチーノビル3F・4F
TEL:03-5687-1516

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