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認知症治療の第一歩は、家族や周囲の理解から
<兵庫県宝塚市 中埜クリニック>

中埜クリニック 院長 中埜賢先生 中埜クリニック 院長 中埜賢先生

1997年に宝塚市に開業した中埜クリニックは、神経内科と脳外科を併せ持つクリニックで、地域医療における診診連携の中心的存在になっています。「認知症の治療は家族の理解から」という考えのもと、検査や説明は全て家族同席で行っています。また、他の先生や介護に関わる人たちにも認知症を広く知ってもらおうと、様々な活動を続けています。

地域の医療を引っ張る、診診連携の中心的存在

MRI室 MRI検査室

中埜賢先生は、関西医科大学や兵庫医科大学、救急病院などにおいて、長年、脳神経外科医として最前線で活躍してきました。認知症の原因疾患には約70種類ほどあると言われていますが、アルツハイマー病のような変性疾患のほか、脳腫瘍、脳梗塞、慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症など、先生が脳外科で治療してきた疾患が多くあります。「昔から脳外科で手術をした患者さんには高次脳機能障害が起こることがありました。頭部外傷によって認知機能が落ちる患者さんもいました。認知症は、そういった事象と同じ症状なのです」と中埜先生は言います。

後進の教育にも携わってきた経験から、現在でも後輩の先生の相談に乗ることが多い中埜先生。地域では、認知症専門医として他の診療所の先生やケアマネジャーの方の相談に乗ったり、ときには講演を依頼されることもあります。現在、毎月おおむね10人弱の認知症患者さんが初診で訪れますが、その多くは他の診療所からの紹介だと言います。検査、診断を中埜クリニックで行い、その後の診療や介護は元の診療所へ戻って行っています。

クリニックを開業してから13年、中埜先生は地域における診診連携の中核的な存在となっています。

 

認知症を告知するのは、ご家族の心の準備ができてから

認知症の治療においては、患者さんを支えるご家族の理解が最も大切だと先生は強調します。そのためにはまず、病気を受け入れる覚悟が必要になります。

「アルツハイマー病の平均寿命が、発症から10年程しかないことはあまり知られていません。病気を告知することは、この寿命を遠まわしに伝えることにもなるので、なかなか難しい」と中埜先生は言います。症状が出始めた時期を考えれば、この先の進行について予測もつきますが、それをご家族や患者さんご本人に対して宣告するにあたっては配慮がいります。患者さんの家庭背景を考慮し、1回目の診察で診断がついたとしても、ご家族にまず、認知症に関する資料を渡して事前勉強をしてもらってから、様子をみて告知する場合もあると言います。

また、仲が良すぎる夫婦やご家族の場合、互いにあいまいな会話でも通じてしまうため、患者さんの病状を認めにくい場合があります。しかし、ご家族が思っているより、実際には2倍も3倍も進行していることが多くなります。「Yes、Noで答える質問では辻褄が合っていても、試しに夏の時期に『今日は涼しいですね、秋ですか?』と聞くと『秋です』と答え、ご家族が驚く、ということはよくあります。『冬ですか?春ですか?』と質問すると後に言った『春』と答えることが多いですね。そうなるとご家族も病状を認めるようになります」。

今後も一緒に生活していくご家族が、患者さんの病気を受け止め、正しく理解した上で、介護にあたっていけるように、同クリニックでは、神経心理学的検査なども全て家族同席で行っています。

ひとり暮らしの認知症患者さんの場合は、ケアマネジャーの方から相談を受けることもあります。後見人を立てる必要があるかどうかなど、社会的背景などの要因も考慮しなくてはなりません。

 

認知症の介護では、ベストではなくベターを目指すこと

認知症介護の基本は「笑顔で接する、怒らない、プライドを傷つけない」こと。そうは言っても、患者さん自身ではどうにもならないことで腹を立てたりきつい言葉を投げてしまったり、疲れてしまうご家族も多いのが現状です。

中埜先生は、「いかに家族が疲れないように、ケアするかが大切です。ベストの介護をしてはだめ、ベターでいい」のだと言います。そして、ご家族の介護のいいところを褒めるようにしています。

例えば患者さんが、介護している方を亡くなったお母さんやご主人など一番信用していた人と間違えることがあります。先生は「これは、患者さんとの信頼関係ができているということですから、『いいですね、今の介護を続けて下さい』とご家族を褒めます」と言います。

一方で、患者さんが、ご家族から怒られるので怖いと言ったり、来院時に、病院に付き添われたご家族を知らない人だと言う場合は、あまり上手に介護ができていないと考えられます。

「介護する人がギリギリで疲れきっていては、良い介護はできません。デイサービスもぜひ利用して下さい。ご家族がご自分の自由時間を作ることができ、楽な気持ちになれれば、今以上に面倒をみる余裕も出てきます」 。

ご家族によっては、デイサービスの利用に良心の呵責を感じる人もいますが、全くその必要はなく、患者さんにとっても、集団生活が良い刺激になったり、治療の一環になることがあるのだと中埜先生は言います。「画像診断で明らかにアルツハイマー病と診断がつく患者さんでも、症状がほとんど出ない人がいます。たとえ脳の機能障害が進んでいても、毎日外へ出て、誰かに会って、話をして、日記を書く、そういった刺激が、認知症の症状の表面化を軽減できる場合があるのです」。

介護する側とされる側、双方にとって良い効果が生まれるデイサービスなどの利用を、中埜先生は積極的にすすめています。

 

患者さんへの上手な対応は正しい理解から

中埜クリニックのみなさん 中埜先生とスタッフの皆さん

患者さんのご家族や、地域で認知症の介護に関わる方々にすぐに渡せるように、中埜先生は、認知症の症状と対処法、成年後見制度などをまとめた資料をワンセットにして、常に用意しています。資料には、同じ認知症でも軽症、中等症、重症とレベルがあるなどの疾患知識や、患者さん個別の症状に合わせた上手な対応の仕方など、中埜先生が伝えたい情報がまとまっています。

ご家族に伝えたいことのひとつに、患者さんに言ってはいけない「7つの禁句」があります。

「だから言ったじゃないの」「もう忘れたの?」「だめねぇ」「同じこと何度も言わないで」「しっかりしてよ」「迷惑かけないで」「ほんとに手がかかるんだから」

これらは、患者さんの言動を否定したり、プライドを傷つける言葉です。認知症は「物忘れ」を主症状とする病気なのだということをよく理解して応対を工夫し、これらを口にせずに介護することを目指してほしいと言います。

「例えば患者さんが『ごはんまだ?』と言ったら『何言ってるの今食べたばかりでしょ』と応えるのではなく、食べたことを覚えていないということを理解して『もう少しだから待っててね』と応える。そういった返事の仕方ひとつでずいぶん変わってきます」(中埜先生)。

一方で、褒めたり、感謝したり、お願いしたり、ねぎらったりするような言葉は、患者さんの人格やプライドを尊重します。

中埜先生は、地域で認知症患者さんの診療や介護に携わっている多くの人たちに、このような認知症の知識が広がるよう、尽力しています。

 

 

取材日:2011年7月1日
中埜クリニックの外観

中埜クリニック

〒665-0836 兵庫県宝塚市清荒神1丁目3-15
TEL:0797-81-5321

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