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チームワークで患者と家族に笑顔を取り戻す医療を
<愛媛県松山市 医療法人鶯友会 牧病院>

牧病院 院長 牧徳彦先生 院長 牧徳彦先生

牧病院は、松山市の北東、山間部の恵まれた自然環境のなかに立地し、開院35年の歴史ある精神科の病院です。昨年リニューアルされた開放的な雰囲気の病棟で、認知症の専門医である院長先生のもと、スタッフが連携し、正確な診断に基づいて患者さんに適切な対応を取ることを心がけています。また患者さんとご家族の笑顔が見られるケアを目指し日々力を合わせています。

開放的な病棟と豊かな自然のなかで安心できる治療を

喧騒から離れたのどかな自然のなかに佇む牧病院は、認知症の専門医である院長、牧徳彦先生のリーダーシップのもと、各スタッフが力を合わせて患者さんのケアにあたっています。

「精神科病棟の閉鎖的なイメージを一新したかった」と牧先生。昨年11月にリニューアルを図った病棟は、6階建て4病棟と、広く開放感にあふれ明るい雰囲気です。ゆったりと散歩を楽しめる恵まれた環境のなか、患者さんも心温まる看護を受けて緊張と不安から解き放たれ、本来の穏やかな表情を取り戻すことが多いと言います。

「患者さんもご家族も安心できる医療環境を目指しています」と、牧先生は語ります。

外来診療は心療内科・精神科一般のほか、認知症専門医による認知症診療を行っており、物忘れ外来も創設されました。以前は紹介で入院する方が多かったとのことですが、最近はウェブサイトを見て認知症の専門医がいるということで問い合わせて来院する患者さんも増えてきたそうです。

 

チームプレーによる正確な診断が適切な対応を導き出す

認知症の治療はまず正確な診断から始まると、牧先生は考えています。

「認知症治療では、ご本人と家族の病気への正しい理解が必要ですが、そのためにも適切な診断、疾患の鑑別が重要と考えています。アルツハイマー病なのか、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、あるいは仮性認知症(うつ病)なのかで、治療法もスタッフの対応も違ってくる。認知症でひとくくりにはできません」

正確な診断を導き出すためには、スタッフとの連携を大切にしています。

牧病院 臨床心理士 畠中しおりさん 臨床心理士 畠中しおりさん

新規外来で来た方は心理検査を受けますが、「診断につなげるため、検査結果だけでなく患者さんの印象をドクターに細かく報告しています」と、臨床心理士である畠中しおりさん。「院長の受けた印象と自分の受けた印象が一致すると、診断結果にも自信が持てます」と語ります。

牧先生も「検査の点数に表れない印象のコメントは助かります」と信頼しています。介護者のうつなど家族が抱える問題も検査に携わる臨床心理士から報告されることも多いのだそうです。

正確な診断の重要性を示す例として、ある施設より相談された患者さんを挙げました。「どうも通常のアルツハイマー病の人と印象が違うとのことでしたが、診察してみたらピック病でした。転院して頂き看護スタッフとピック病に適した対応を話し合いました。その結果、現在は非常に穏やかになられています」と牧先生。アルツハイマー病の患者さんとして接していたら落ち着かないままだったのではと、思い込みでの対応を戒めます。

「ピック病だと語義性失語障害で言葉がわからないということもあります。そういった特徴を看護スタッフにレクチャーしました。患者さんも落ち着き、ご家族も喜ばれ、スタッフの勉強にもなりました」と牧先生は、診断の重要性を強調します。

 

薬のみに頼らず、笑顔を絶やさず「看護の力」を信じて

牧病院 看護師 野本千代美さん 看護師 野本千代美さん

牧病院では、認知症の中核症状においては抗認知症薬で進行抑制を図っています。周辺症状(BPSD)についてはまず環境調整など非薬物療法から開始し、どうしても必要な場合に抗精神病薬などを使用する、といったスタンスで治療を行っています。

「入院の患者さんについては夜間のせん妄、徘徊、興奮、暴力などBPSDがメインのケースが多いので看護スタッフには申し訳ないのですが、抗精神病薬はすぐには使用しません。すでに使用していても一度やめていただきます」と牧先生。薬を使用しない状態でどれぐらいの状態の患者さんか1~2週間見極め、日中散歩に行って頂くなどの工夫をした上で、どうしても必要な人には使うようにしています。そうしたケアで半分ぐらいの人が、入院後しばらくたつと薬を使わずに落ち着いていくのだそうです。

「まさに『看護の力』だと思います」と牧先生。「BPSDはスタッフの対応によって本当に変わってきます」と語ると、看護師の野本千代美さんも「院長が対応をレクチャーしてくださるので助かります」と言います。

野本さんは力強く「看護の力」を語ります。

「ピック病の患者さんで、盗食や常同行為(テレビの電源の入切等)といった問題行動があり、スタッフが付きっきりの方がいました。かきこむように食べるので小さいスプーンにしたり、排泄に関しては定期的なトイレ誘導やポータブルトイレを室内の目立つ場所に置いたりするなど、いろんな挑戦をしてみました。そのうちトイレは自立し、『いただきます』も言ってくれたり、ラジオ体操も自分から手足を動かしたり。それがすごくうれしくて....」。しかしこれには後日談が。「今はまた一から仕切り直しているところです。病状の悪化ではなく何かを訴えたいのだと考えています。これでずっと行けるということは少ない。試行錯誤の繰り返しです」

そういった苦労はどんなことで報われるのでしょうか。

「皆さん、状態が落ち着いてくるといいお顔になるんです。そのお顔を見ると『よしっ』と思います」と語る野本さんの顔も輝いています。

 

「その人らしさ」を尊重し、チームプレーで笑顔を引き出す

牧病院 作業療法士 菊内祐人さん 作業療法士 菊内祐人さん

牧病院では、入院患者さんを対象に精神科作業療法を行っています。作業療法士の菊内祐人さんは「その人がその人らしく生活するには何が必要か」ということを常に念頭にリハビリを行っているそうです。

そのためには、臨床心理士から入院時の検査結果を聞き、例えば数唱や短期の記憶が落ちているという情報を得、日常生活にはまた違う面が出るので、そこは日々接している病棟の看護師から話を聞いて、リハビリのプログラムを考えます。

「ドクター、看護師、心理士ときめ細かく情報を共有しています。プログラム終了後には看護師との話し合いの中で、『表情がよくなってきたから、もう少しこんなことを』と知恵をいただくことも」と、菊内さんはリハビリもチームワークで成り立つことを強調します。

リハビリが難しい患者さんもいますが、その人の個性を尊重し、生活史をひもとくことに問題解決の糸口があったりもするようです。

「病棟でレクリエーションを行うと猛烈に怒る患者さんがいて...」と菊内さんは苦笑します。「対応を看護スタッフと相談しました。農業をされていた方なので園芸はどうだろうと提案があり、レクに園芸を取り入れてみたら『そこにこれを植えたらええよ』と指示をしてイキイキとしてきました。病院の環境になじめず混乱されていたのが、園芸との出会いで収束されていった方でした」と反省もまじえて話す菊内さん。

「入院すると、生活していたコミュニティーや家族から切り離され、疾患を抱えて徐々に孤独になってしまいがちです。そのため私たちは人とのつながりを感じて頂ける努力をしたいと考えています」と患者さんに心を寄せる菊内さん。達成感を感じるのは、そんな患者さんたちが「何かやり遂げたとき、ぱっと笑顔を見せる方もいれば、『ふふん、やったぞ』と満足げな表情をされる方もいて...『その人らしさ』を引き出せたと感じられる瞬間」なのだそうです。

 

若年性認知症の啓発活動に危機感を持って取り組む

産業医でもある院長の牧先生は、若年性認知症の問題にも意欲的に取り組まれています。老年性に比べ問題となるのは、「一家の大黒柱であることも多く、まだ子どもも大学入学前だったり、住宅ローンも残っていたりと経済的な問題が深刻なのに、公的な施策が追い付いてないのです。就労継続の問題もあり、企業も関心を持っています。若年性認知症の問題はもっと大きく取り上げる必要があります」と施策の遅れに警鐘を鳴らします。

牧先生は講演活動もされていますが、最近は「若年性認知症をテーマに」という依頼が増え、介護保険や精神科の障害者手帳取得、年金といった話に熱心にメモを取る人が多いそうです。

また告知については介護者の負担感を少しでも減らすため、若年性に限らず、前もって今後予想できる経過段階を話すようにしているそうです。「『ご主人は今この段階で、何カ月後には...』という話をするだけでも気持ちの受け入れに違いが出てきます」と言います。

 

チーム医療の推進とさらに地域に開かれた病院を目指して

臨床心理士の畠中さんは「来院時、不安・混乱のなかで顔がこわばっていた人が笑顔を見せるようになる、座ったままだった人が活動するようになる、何事にも無関心だった人がやる気を見せるようになるということが実際に起こるんです」と患者さんの変化を語ります。

院長の牧先生も「患者さんの笑顔やご家族のほっとした顔を見ると、本当に医療職でよかったと感じます。全スタッフもその顔を見るために力を合わせて頑張ってくれています」とスタッフへ絶大な信頼を寄せています。

最後に牧先生は、「病院内でもドクターひとりでは認知症の医療は成しえません。そして病院だけでできることも限られています。患者さんが地域に戻ってからも、家庭、施設、地域の保健師、包括支援センターなどがネットワークになって介護を支えることが重要なのではと考えています。認知症は誰もがなる可能性のある病気であり、『認知症になっても安心して暮らせる街づくり』をしなくてはなりません。そのためにも当院は地域に開かれた病院でありたいし、地域のネットワークの中核のひとつとして、正しい知識の啓発や支援に力を尽くせたら」と今後のビジョンを熱く語りました。

 

 

取材日:2011年6月28日
牧病院の外観

愛媛県松山市 医療法人鶯友会 牧病院

〒799-2648 愛媛県松山市菅沢町甲1151-1
TEL:089-977-3351

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