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「脳の健康手帳」で地域連携に取り組む
<沖縄県浦添市 城間クリニック >
<沖縄県那覇市 曙クリニック >
<沖縄県那覇市 首里城下町クリニック第一 >

城間クリニック院長 城間清剛先生 城間クリニック 院長 城間清剛先生

長寿県であるがゆえに認知症患者の増加が予測され、地理的な条件から県内ですべてを完結しなくてはならないという課題を抱える沖縄県で、医療と介護が連携し、地域で患者を支える仕組み作りが進んでいます。

沖縄独自のクリニカルパス「脳の健康手帳」

脳の健康手帳 脳の健康手帳 (↑クリック:PDFファイル)

沖縄県では、大小さまざまな島で構成されるという地理的条件から県内ですべてを完結する必要があり、さらに離島部も多く抱えているという危機感から、認知症患者を地域で支える連携の仕組みづくりに早くから取り組み、注目を集めています。

2002年に琉球大学と県内のクリニックの医師が協力して設立された沖縄認知症研究会は、一般向けの「もの忘れ相談医一覧」、かかりつけ医向けの「認知症診断・治療医療機関一覧」や「認知症評価スケールバッテリー」を作成し、また、かかりつけ医やコ・メディカルに対するクリニカルカンファレンスを積極的に開催しています。

さらに、医療から介護まで一貫した包括的支援を受けられる地域連携型のクリニカルパスを実現するツールとして、2010年に「脳の健康手帳」を作成しました。認知症患者は生活習慣病など他の疾患を併せ持つ場合が多く、また医療、介護の複数機関を利用するのが一般的であるため、投薬の管理や各機関のスタッフの情報共有を進めるのが目的です。

クリニカルパスには脳卒中などで使われる一方向型パスと慢性疾患で使われる循環型パスがありますが、「脳の健康手帳(運用マニュアル)」は循環型パスとして作成されました。

患者さんを介するすべての医療・介護関係者が情報を共有

この手帳の作成で中心的な役割を果たしたのは城間クリニックの院長で、認知症専門医である城間清剛先生です。城間先生は、「健康手帳の最初のページには患者本人と家族、かかりつけ医、専門医、ケアマネジャー、介護サービス機関の名前と電話番号を記入する欄があり、これは個人情報の交換・共有への同意書を兼ねています。医療・介護関係者がこのページをコピーして所持することで、患者さんを支えている他の医療・介護関係者の連絡先を把握できるわけです」と、その特徴を語ります。

健康手帳には、半年~1年ごとの脳検査の記録や、3ヵ月ごとの症状チェック表、家族や介護スタッフ、医師がそれぞれ気づいたことや伝達すべき留意点を記入する欄があり、医療・介護関係者が情報を共有できるようになっています。「私のところに介護スタッフからファックスで質問があり、対処法を指示することもあります。脳の健康手帳を使い始めてから、患者さんの紹介も増えていますね」(城間先生) 。

城間先生の悩みの種は、一般医から紹介を受けた患者さんにBPSD(周辺症状)の症状が進んでいる人が多く、一般医のところになかなか戻っていただくことができないことです。

「BPSDが進行すると向精神薬などを使わざるを得ない場面も多くなりますが、精神科の医師でないと処方が難しいのが現実です。また、BPSDの出方は患者一人ひとりで大きく違うため、家族へのアドバイスにも経験が大きくものを言います。BPSDが出現して家族が困るようになってから専門医を受診するケースが多い今の状況を変えなければなりません」(城間先生)。

看護師や受付スタッフが小さな変化を見逃さない

首里城下町クリニック 院長 田名毅先生 首里城下町クリニック 院長 田名毅先生

「家族が、もの忘れに気づいても『年をとったからしょうがない』と考えてしまって、かかりつけ医に報告することが少ないのは、高齢者が多く、県民性がおおらかな沖縄の特徴かもしれません」と語るのは、那覇市内で開業して10年になる首里城下町クリニックの田名毅院長です。

沖縄認知症研究会に参加したのは、70歳を超える患者さんが増えるなど高齢化が進んで、認知症が地域の課題になると考えたためでした。

同クリニックでは、医師だけでなく看護師やスタッフも普段から患者を注意して見守り、認知症の早期発見に取り組んでいます。「予約を守れなくなった、薬の管理ができなくなってきたなどの変化に気づきやすいのは受付スタッフです。生活習慣病などで長く通院している患者さんも多く、一人ひとりをよく知っていますから、小さな変化も見逃さないようにしたいですね」と田名先生は語ります。

「脳の健康手帳」が完成する前から、積極的に専門医療機関と連携し、またクリニックに3名の保健師が常駐する体制で、きめ細かく社会福祉サービスに繋げていくことにも取り組んできた田名先生は、「健康手帳を介して、患者さんに関わるすべての専門家が情報を共有し、意見を交換できます。今後、さらに地域連携を進めていくために、時間をかけて広めていきたいツールです」と期待を語ります。

「地域の課題は、軽度の認知症患者をサポートできるデイケアサービスが不足しており、進行予防のサポートが難しいことです。また、当院で診ている認知症患者さんの数を考えると、一般クリニックの患者さんのなかに認知症の方はもっとおられるはず。早期発見・早期治療を進めるため、病診連携、診診連携の強化を図る必要があると考えています」(田名先生) 。

紙の手帳をきっかけに顔の見える連携を

曙クリニック 院長 玉井修先生 曙クリニック 院長 玉井修先生

同じく那覇市で曙クリニックを開業する玉井修院長は、「『脳の健康手帳』は大きさも情報量もコンパクトで、医療・介護従事者にとって使いやすく、患者さんも携帯しやすいものとなっています。情報は多い方が良いと考えがちですが、記入が煩雑になると逆に活用度が落ちてしまいます。『ほどほどの情報レベル』に抑える取捨選択に、ずいぶん苦心されたと思いますよ」と沖縄独自のクリニカルパスの長所を語ります。

13年前にクリニックを開設した玉井先生の専門は消化器外科ですが、この地域には他に医療機関がなく、子どもから高齢者まで、あらゆる病気を診る「よろず相談所」になっています。 沖縄認知症研究会に参加したきっかけは、県医師会の理事として広報を担当し、医師の連携で認知症に取り組もうと呼びかける立場になったことでした。研修会を企画することもあるという玉井先生は医療・介護の両分野に幅広いネットワークを持つようになり、それがクリニックの強みにもなっています。

「普段から付き合いのある大学の先生や専門医に電話で気軽に相談できますし、専門病院の受診に心理的な抵抗を感じる患者さんも『僕の友だちが専門クリニックをやってるから、ちょっと診てもらおうか』と言うと、気持ちが軽くなるようです。『脳の健康手帳』をはじめ研究会の取り組みの最終目標は、私が医師会理事の仕事のおかげで授かったようなネットワークを、医療と介護に携わる人たちすべてが手にすることだと思います。紙の手帳はフェイス・トゥ・フェイスの繋がりの第一歩ですよね」と玉井先生は語ります。

早期発見で一般医と専門医の役割分担を

城間先生は「地域連携が進むことで、認知症の早期発見・早期治療による進行予防が行えるようになれば、軽度の患者さんを一般医に任せる役割分担が進みます。沖縄認知症研究会を軸にして、コ・メディカルや介護サービスに従事する人たちのスキル、高齢者と家族の意識を高め、地域全体で認知症患者を支える仕組みを作っていきたいですね」と目標を語ります。

一般医である田名先生、玉井先生も、地域との強い結びつきがあり、高齢者が生活習慣病などの治療で定期的に通ってくる一般クリニックこそ早期発見で大きな役割を果たせると考えています。

「専門病院の受診に拒絶反応を示す患者さんもいますが、私たちは身体の病気を診ていますから、患者さんは毎月のように来院されます。その都度、今は薬があることや、早期治療の意味などを少しずつお話しすることで、気持ちをほぐしていくことができるのです。沖縄では当院のような『よろず相談所』的なクリニックも多いでしょうから、一般医の研修会や情報交換会を企画して意識を高めていきたいですね」(玉井先生)。

「内科医としての役目をしっかり果たすと同時に、患者さんの身体だけでなく脳の状態にも気を配れる"かかりつけ医"を増やしていかなくてはいけません」(田名先生)。

沖縄認知症研究会を軸に、専門医と一般医、そして介護サービス事業者が、それぞれ果たすべき役割を見据えて、連携に取り組む沖縄県。この取り組みは、認知症患者を地域全体で支える連携の仕組みづくりのモデルケースとして、今後、さらに注目されていくことでしょう。

 

 

取材日:2011年7月11日

城間クリニックの待合室

城間クリニック


〒901-2102 沖縄県浦添市前田2丁目5-7-1F
TEL:098-878-8213

施設のホームページへ

 

首里城下町クリニックの外観

首里城下町クリニック第一


〒902-0062 沖縄県那覇市松川3丁目18-30
TEL:098-885-5000

施設のホームページへ

 

曙クリニックの外観

曙クリニック


〒900-0002 沖縄県那覇市曙3丁目20-14
TEL:098-863-5858





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