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病院と家庭の中間施設として患者さんの生涯を見守る
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医療法人 明成会 介護老人保健施設 紀伊の里 診療所 紀伊クリニック 訪問看護ステーション 紀伊 施設長 内科医師 山野雅弘先生 医療法人明成会
介護老人保健施設 紀伊の里
診療所紀伊クリニック
訪問看護ステーション 紀伊
施設長内科医師 山野雅弘先生

和歌山市にある「紀伊クリニック」は、介護老人保健施設に併設するクリニックです。患者さんの"家庭復帰"を目標に医師や看護師、理学療法士、作業療法士、介護職員などが力を合わせるチームワークが特徴。家庭に戻った後も訪問看護、訪問リハビリで見守り続ける、一生涯のお付き合いを実践しています。

介護老人保健施設併設のクリニックとして

和歌山市にある「紀伊クリニック」は、介護老人保健施設「紀伊の里」併設のクリニックです。医療と福祉を統合したサービスを提供し、利用者が家庭に戻った後もケアを継続するため、またご家族をサポートするため、短期入所療養介護(ショートステイ)や通所リハビリテーション(デイケア)のほか、訪問看護ステーションなどの居宅支援サービスを行っています。

紀伊の里では、1995年の開設当初から認知症患者さんを受け入れてきました。「認知症」という症状名が使われ始めたのは2004年のこと。それよりずっと以前、認知症の定義や診断、治療法が確立していなかった時代から、まさに手探りで認知症ケアにあたってきた施設のひとつです。開設時から施設長を務める山野雅弘先生は次のように語っています。

「もともと急性期病院に血液内科専門医として勤務していたため、認知症治療にはここへ来て初めて取り組みました。精神科疾患の経験もなかったため、最初は夜間せん妄や漏便行動などのBPSD(周辺症状)に戸惑いました。まさに認知症患者さんのご家族が最初に受けるカルチャーショックの状態でした」。

介護老人保健施設は認知症を含め、あらゆる症状に対応する施設。実際、紀伊の里に通所・入所される患者さんの6~7割が認知症でした。そこで山野先生は、全国老人保健施設協会の講習会や認知症学会など様々な学会の認知症勉強会に出向き、いろいろな先生から得た知識やアドバイスを施設運営に反映させるようにしました。あとは現場での実体験。目の前で困っている認知症患者さんとご家族の負担を軽減することに注力しながら、認知症ケアの充実を図ってきました。

非専門医の先生が一から認知症医療の仕組みづくりに取り組んできた貴重な事例といえますが、現在では、認知症専門医として地域の講習会や勉強会で講師を務められています。

 

マンパワーの充実と明るいチームワーク

山野先生がまず力を入れたのは、認知症治療に効果的なリハビリテーションを行うため、理学療法士、作業療法士などのマンパワーを充実させること。施設のスタッフ全員に、認知症ケア学会や自治体主催で行われる認知症の研修会に出てもらうようにしました。認知症ケアの中核症状については薬物療法を行う場合もありますが、BPSD(周辺症状)についてはできるだけ薬に頼らず、理学療法、作業療法などのセラピーやアクティビティで改善・安定させる方針を採ってきました。それでも難しい場合のみ、ご家族と相談して薬物治療を行うようにしています。リハビリテーションには様々な方法がありますが、何を行うにしても、十分コミュニケーションをとりながら、とにかく楽しく行うことが大前提。患者さんにとって居心地のいいケアをめざしています。

「脳に心地よい刺激を与えることで、現在の生活を維持するだけでなく、残された機能を高めることも期待できます。BPSD(周辺症状)そのものは命に別状ないもので、本当に怖いのは転倒による骨折や脳挫傷。その意味でも、心身の機能を維持するリハビリテーションが大切なのです」。

同施設には現在、理学療法士5名、作業療法士3名、言語聴覚士1名、リハビリ助手1名、計10名のスタッフがいます。理学療法士は個別の身体的機能訓練を行い、作業療法士は医学的な理論に裏打ちされた方法で小集団のグループセラピーやレクリエーションを行って指先を鍛える、あるいは脳に刺激を与えて見当識を維持するという役割分担です。同施設では、入所時に家族構成、仕事、趣味などを含めた人生史を把握しており、それに沿ってアクティビティメニューが考えられています。訓練やセラピーをしながら、患者さんの心のツボも一緒に刺激するような会話をするのが、山野先生の方針です。

「リハビリ室では、運動中もコミュニケーションを常に意識しています。5、6名の療法士が声をかけあうので、にぎやかでうるさいくらいだと思います」と元気な笑顔で理学療法士の栗野雄一郎さんが話します。「野球の好きな方もいれば、車の好きな方もいるので、時には自分が勉強して話を聞きます。患者さんから教えてもらうスタンスに立つ。そうしながらだと、いつも以上にがんばって身体を動かしてくださるのです」(栗野さん)。

「お友だちやお孫さんなど親しい人の話を聞くとイキイキされますね。1回のリハビリは20分が基本ですが、その人のその日の状態に合わせながら対応しています」と貝持愛さん(理学療法士)。「リハビリで話を聞いてもらうとすっきりする。身体も楽になるので、土日は待ちわびていました、と聞くと、自分もモチベーションが上がりますね」と話すのは下村美知留さん(理学療法士)です。また、「患者さんが歩けるようになるのもうれしいですが、訓練の前に『お願いします』、後に『ありがとう、また明日お願いします』と言っていただけることが日々うれしいですね。がんばっているのは、僕ではなく、患者さん自身ですから」と船木亮佑さん(理学療法士)は話します。

理学療法士は全員若々しく、明るく元気な雰囲気づくりと活発なコミュニケーションは、利用者さんとスタッフ双方の活力となっていることがわかります。

 

作業療法の一環としての「祈りの会」

観音様を安置した祈りの空間 観音様を安置した祈りの空間

作業療法で特徴的なのは、月に1度、僧侶お二人が講話に来られることです。講話の後に般若心経を唱え、ご詠歌を歌って1時間強の会。お寺とクリニックの取り合わせは、世間一般的にはタブーとされがちですが、それを乗り越えたユニークな取り組みといえます。

「地域のお坊さんからの提案で7年前から始めました。お坊さんと介護老人保健施設併設のクリニックという結びつきはどうかと思ったのですが、実際にやってみると好評でした。堅苦しい会ではなく、楽しい会で参加率は高いです。長い般若心経を覚えるのは脳の刺激になりますし、線香の香りはアロマセラピーにもなります。講話では『痛いのも生かされているからこそ』といった話をされるので、毎月聞いていただいている方の心に残るようです。欧米では、牧師さんや神父さんが入院中の患者さんをベッドサイドで見舞う習慣がありますが、日本では少ないのではないでしょうか」と山野先生。山野先生はもともとギターを嗜まれますが、僧侶のお一人が1年間ギターを学ばれ、施設で年4回ほど行われる季節イベントでギターデュオを披露されています。

施設内には普段から仏壇が設けられており、認知症のある方でも食事の行き帰りにお参りする姿が見受けられます。家を守ってきたお年寄りにとって仏壇にお参りするという行為は、日常習慣のひとつ。家で生活していた時のリズムが蘇ってくるなど、患者さんの安心感につながっているようです。

「講話の後、お坊さんと山野先生、作業療法士で反省会を開いています。患者さんの反応や会の改善点などについて話すのですが、毎回思うのは雰囲気づくりの大切さです」と作業療法士の前嶋三知さんは語っています。

このほか、作業療法として"社会参加"をテーマに地域の様々なイベントにも参加。老若男女が集う文化祭りで楽器演奏やコーラス、作品展示を行います。年3回ほどある発表の場を目標に作品づくりや練習に打ち込んでいます。

力作の並ぶ作品展示即売コーナ- 力作の並ぶ作品展示即売コーナー

「作品展では販売もするのですが、売り子になってもらうといきいきされていますね。小さい子どもさんが来られることも多く、ふれあいを楽しんでおられます」と前嶋さん。「最初はトイレが近いからと施設外に出ることを尻込みされている場合も、行ってみると快い緊張感で楽しまれているように思います」と話すのは、作業療法士の北橋美沙さんです。

作品販売の収入はユニセフなどに募金。その際も利用者さんとスタッフが郵便局まで一緒に行き振込み手続きをすることで、社会参加の意識を持てるようにしているといいます。

「認知症の進んだ方でも、発表会が近くなると自発的に参加され、いい刺激になっているようです。発表会で練習していた歌を半年後になっても歌われる方がいて、それだけインパクトが強かったのでしょう。積極性が出ない、食欲が出ない方がこうした取り組みをきっかけに改善されることも多いのです」と山野先生は社会参加の効果を語ります。

 

患者さんに生涯寄り添う「チーム山野」

入所者の"家庭復帰"をめざす「紀伊の里」では、寝たきりの方の状態が安定して自宅に戻った後も、訪問リハビリを定期的に行っています。退所したら縁が切れるのではなくて、また体調を崩したら入院や入所をするというリピート利用が介護老人保健施設の本来のあり方といえます。

「当然のことながら、人間の死亡率は100%です。だれにでも訪れる人生の最後の期間を安心して過ごしていただくため、入所中も退所されてからも同じスタッフが最後までお世話をする。それが当施設の利点です。基本的には自宅で過ごしていただきながら、施設を活用していただければと思います」と山野先生。上手にリスクマネジメントしながら、さりげなく目配り気配りしながら、施設であっても家庭であっても、できるだけその人らしく過ごせるようサポートしたい、というのが山野先生の考えです。

抜群のチームワークを誇るチーム山野の皆さん 前嶋三知さん 加納由麻さん 栗野雄一郎さん 船木亮佑さん 北橋美沙さん 山野雅弘先生 下村美智留さん 貝持愛さん 抜群のチームワークを誇る
チーム山野の皆さん
前嶋三知さん 加納由麻さん
栗野雄一郎さん 船木亮佑さん
北橋美沙さん 山野雅弘さん
山野雅弘さん 貝持 愛さん

「そのためにどう各職種が連携していくかは常に課題です。これは、単純にマンパワーを増やして解決する問題でもありません。1人だけががんばっても難しく、ご家族と多様な職種のスタッフがうまく連携する必要があります。薬物治療も選択肢のひとつになるでしょう。しかし、家庭であっても施設であっても、その人にとって一番居心地がよく、安心・安全な暮らしを続けられるようにすることが何より大切です。1人ひとりに合った支援をできるよう、われわれも勉強しなければならないし、1対1の人間同士として心の通うコミュニケーションを重ねていきたいと思います」と山野先生。患者さんが元気なときもそうでないときも、最後まで見守り続けようという旗印の下、「チーム山野」の見事なチームワークが形成されています。

 

 

取材日:2011年7月6日
紀伊クリニックの外観

医療法人明成会
介護老人保健施設 紀伊の里
診療所紀伊クリニック
訪問看護ステーション 紀伊


和歌山県和歌山市宇田森275-10
TEL:073-461-8888

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