『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 東京都 > 東京都世田谷区 くるみクリニック
医療機関を探す

患者さんを取り巻く環境に目を向ける
<東京都世田谷区 くるみクリニック >

くるみクリニック 医師 西村知香先生 院長 西村知香先生

病状の治療だけでは最適な医療提供にはならないのが認知症治療です。くるみクリニックは「患者さんとご家族が豊かに暮らしていけるように、その人らしい生き方が全うできるように」を基本に考え、介護者の健康維持をはじめ、社会資源の利用、ネットワークの構築など、取り巻く環境を総合的に見つめることのできるクリニックであり続けることを目指しています。

医学的な見地から相談に乗ることのできる医院をつくる

「くるみクリニック」の院名は院長の西村知香先生がつけたもの。「くるみ」という響きがかわいらしいのと併せ、脳の病気を扱うクリニックなので、頭蓋骨のように固い殻のなかに、脳に似た実が入っている「くるみ」をイメージしてのネーミングでした。

2002年9月に開業するまで、西村先生は大学病院の神経内科で神経難病の患者さんの診療にあたっていました。開業を考え始めた頃、保健所での医療相談のアルバイトにかり出され、アルツハイマー病など認知症に関する相談の多さを実感しました。そして、本来なら病気の治療方法や、介護方法の相談は病院へ行くべきなのに、多くのご家族や患者さん本人が保健所に相談に来ているのには、病院のあり方に問題があるのではないか、と意識するようになったと言います。

また同時期、介護福祉士の指導者から神経の病気に関する講義を頼まれた際に、介護福祉士やヘルパーを目指す人が知りたがっている医学的な情報の少なさにも気づきました。「介護福祉士を目指している方々は、患者さんをどのようにサポートすれば快適な暮らしを維持させることができるかを、医学的な見地からの情報として求めていました。当時、介護福祉士の方々と連携を考える医師が不足していたのです」(西村先生)。

現場のニーズを実感した西村先生は、「ならば認知症患者さんやご家族が相談に来ることができるクリニックをつくり、外部施設やケアマネジャーたちとも連携の取れる医者になればいい」と開業を決意しました。

 

何を求められているかを見極め、総合的に介護支援を考える

同クリニックを訪れる患者さんは月におよそ750人。パーキンソン病などの神経難病、老年期うつ病の患者さんもいますが、4分の3は認知症に関する受診です。

同クリニックでは受診した日に、診断、治療方針の決定までをするのが基本。そのための情報はあらゆる角度から集めます。画像データ、問診はもちろんですが、もっとも重視しているのが介護者からの情報です。ご家族からの情報だけでは不足な場合や、ご家族が付き添えない場合には、ケアマネジャーや保健所の相談履歴も照会してもらい情報を集めます。

そして、病状の告知を本人にはいきなりしないのも同クリニックの基本です。まずは介護者、ご家族に伝え、これから患者さんが自分らしく幸せに暮らせるための方法を具体的に提案します。

初診で重視しているのは、ご家族が医者に何を求めているかを的確に判断することです。ここが食い違うと介護がスムーズに行えないことや、家族の人間関係がこじれ、患者さんの生活環境が維持できなくなる場合も出てくると言います。

「周辺症状の治療を求められているのか、進行の抑制を求めているのか、その両方なのか。あるいは介護者として自分は適格であるかを聞きたいのか、介護指導を求めているのか、さらには介護方法の提案が求められているのか。それぞれ求めるものは異なりますし、生活条件も異なりますから、的確に把握し、提案をすることが重要です」(西村先生)。

 

介護者の健康維持を考える

独居老人や老夫婦の生活も増えていますが、親の介護が必要になって同居し始めたというご家族も多くいます。また親子で暮らしてはいたけれど、親が健康なときは密なコミュニケーションをとっておらず、介護者と患者さんの間の人間関係が円滑でない場合もあります。そういうご家族が介護を始めた時、多くが介護者側にストレスがかかり、介護もスムーズに行えなくなると言います。さらにそうした状況が継続的になると介護うつを発症することもあります。

こうなると、認知症患者さんへの治療だけでは、その人らしい幸せな生活環境を維持する、という医療目的は果たせません。まず介護者に自分の治療を促し、患者さんとの人間関係を円滑にすることと並行して行います。そうすることが、認知症患者さんの治療継続につながるからなのです。

同クリニックには、常勤する2名の臨床心理士が介護者へのサポートも行っており、内観療法などをベースに、生い立ちや周りの人との関わり方を探っていき、問題解決を導く方法を行っています。

「介護者のなかには、介護うつの症状が出ているのに、うつではないと治療を拒否される場合もありますが、介護することが楽になりスムーズに行くかも知れませんよ、と治療を促すようにしています。結果は多くの場合、好転します。やはり介護するにあたっては周りの人間関係とコミュニケーションが親密であることが重要だと感じますね」(西村先生)。

 

経済条件、生活環境を考えた総合的ネットワーク構築も医者の仕事

開業医として患者さんやご家族にもっとも近い立場で診療を続けていると、どうしても病気の治療だけではなく、その家庭の経済状況に立ち入らざるを得ない場合が多いと言います。「認知症介護を自宅でするには、かなりの費用がかかり、ご家族の経済的負担になります。また、経済的余裕がないために認知症治療が適切に受けられないことや、施設を利用できない場合も多いのです。このような経済的なストレスが、患者虐待という悲劇を招く場合もあります。これは、介護うつの大きな原因のひとつです。高額な医療費がかかる病気治療に関しては、本来は公的支援が充実すべきなのでしょう。しかし現実に目を向け、必要な場合は弁護士などを紹介することも認知症を診る医者として必要」と西村先生は語ります。

同クリニックでは開業当時から、介護保険を申請すると、すぐにケアマネジャーと連携を取り、治療にあたってきました。開業した10年前はこうした連携は一般的でなく、連絡を入れたケアマネジャーが驚いたり、一方通行の情報提供になったこともあるそうですが、今では日に何十回ものメールや電話での連絡が双方向で入るようになりました。

そして現在では、介護サービスとの連携や、介護保険担当者との連絡も行い、実際に患者さんの生活を支える手段を提案することも行っています。そのほかに、保健所、地域包括支援センターや、内科のかかりつけ医に診療情報提供書を発行し、連絡をして、いつでも連携が取れる体制を整えています。こうした情報発信を細かく丁寧にすることが、クリニックに要求されている役割だと西村先生は考えています。

 

多方面の知識と把握力は必須。だからこそやりがいもある

患者さんから贈られた作品 「患者さんからいただく作品は宝物。
診察室に飾っています」(西村先生)

西村先生は認知症を診る医者には、医療技術とは別に、多方面の知識と社会情勢の判断・把握力と、ネットワークの構築能力の必要性を指摘します。それは病状を薬物療法などによって抑えるだけが改善ではない、と考えているからです。「患者さんが最後まで豊かな暮らしを維持すること、つまりそれは自分らしく生きることです。それを医学的な見地を持ちつつ支えるには、医学知識だけでなく、行政に関すること、社会制度のことなど、学ぶべきことはたくさんあります。だからこそ、患者さんの笑顔やご家族の安心した顔をみるとやりがいを感じ、認知症を診る医師として責任感と喜びを感じる」と西村先生は言います。

「自分もやがて歳をとります。高齢者が安心して暮らせる社会を創る、支えてくれる医者を増やすことは、自分のためでもある、そう思っています」

 

 

取材日:2011年7月19日
くるみクリニックの外観

くるみクリニック


〒156-0041 東京都世田谷区大原2-23-5
TEL:03-3327-7462

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ