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歯科併設のメリットを活用し、生活習慣や家族にも着目
<熊本県人吉市 医療法人暁清会 小林脳神経外科>

院長 小林清市先生 院長 小林清市先生

小林脳神経外科は、人吉温泉や球磨川下りで有名な熊本県の人吉市内に位置しています。脳神経外科に加えて物忘れ外来のほか、歯科も併設されており、認知症の患者さんに歯科という別の角度からもアプローチできるという大きな特徴があります。患者さんの心に常に寄り添い、家族的で温かな医療を実践しています。

症状にとらわれず、原因疾患を明確にする

昭和62年7月7日に開院した小林脳神経外科は、今年で開院して25年目。くしくも、取材にお伺いした日は開院記念日でした。もともと夏は暑く冬は寒いという盆地特有の気候のせいか、人吉地域は脳血管障害の患者さんが多い土地柄であったため、「この地域の人たちのお手伝いができればという気持ちで開業しました」と院長の小林清市先生。当初は脳神経外科のみでしたが、次第に認知症患者さんが増えたため、物忘れ外来も開設しました。

「認知症の患者さんを診る際には、症状だけにとらわれず、その原因となっている疾患を明確にすることを心がけています」と小林清市先生は言います。以前、「怒りっぽい」「急に暴力的になる」等の症状から老人性の精神病だと診断されて他院で治療を受けていた患者さんが来院されたことがあり、詳しく調べたところ、それらの症状は認知症の周辺症状だったということがわかりました。そこで認知症の治療を開始し、家庭内での生活も落ち着きを取り戻したのですが、このような経験が同院では今までにも数多くありました。

「認知症では、記憶障害や判断力の低下などの症状などが生じますが、そうした症状だけにとらわれてしまうと診断を誤ってしまいます。かなひろいテストや認知症のスクリーニングに使われる長谷川式スケール、MMSE(認知機能検査)その他にも前頭前野の活動を調べるテストを実施し、MRIの結果も参考にしながら、それぞれの場合に応じてその原因を正確に調べるところから始めます」(小林清市先生)。

 

認知症には「心の生活習慣病」という側面もある

さらに診察にあたってもうひとつ大事にしているのは、患者さんの生活習慣を詳しく知ることです。患者さんがどのような生活をしてきたのか、家族関係や職歴も含めて詳しく聞き取り、その方がどのようにして人生を送ってきたのかを知るよう努めています。

「アルツハイマー型認知症の患者さんの中には、いわば脳が寝たきりになって認知症になった人がいるのではないかと感じることが多々ありました。通常、生活習慣病といえば、高血圧や糖尿病などを思い浮かべますが、ある種の心の生活習慣によって人は認知症になってしまう例も多々存在するようです。単にアルツハイマー病にはこの治療、といった画一的な治療方法ではなく、その方の生活習慣を踏まえて、どのような生活改善を行えばよいかを提案していくようにしています」(小林清市先生)。

不安の多い認知症の患者さんとは、ゆっくり時間をとってきめ細かく患者さんとコミュニケーションをとるのも同院の特徴です。例えば、診療時間の途中で時間が足りなくなってしまった患者さんには、改めて隙間時間に予約をいれてもらい、話を聞くなどの柔軟な対応をしています。

人間として患者さんとしっかり向き合い、患者さんが「よく話を聞いてくれた」「私に関心を持ってくれた」と思えるような医療を行うことで、患者さんの抱える不安を解消できるからです。

 

歯科併設というメリットを最大限活用する

歯科医師 小林暁史先生 歯科医師 小林暁史先生

さらに同院の特徴として、5年前に併設された歯科が挙げられます。院長のご子息である小林暁史先生が、歯科医師として認知症の患者さんにも関わるようになりました。認知症と歯の関係については近年研究も進み、残っている歯の本数や、奥歯の有無、入れ歯の有無が認知症の進行に差異を及ぼすという報告もあります。

「認知症の患者さんは自分で症状を訴えることができないため、症状があってもそのまま放置してしまう傾向があります。さらに、体に触れられることや指図されることを嫌がるので、ご家族も治療を躊躇されることが少なくありません。しかし、介助者ではなくご本人のペースで無理のない治療計画を立て、丁寧に接していくうちに、患者さん自らが歯の治療をしなければならないという認識を持つようになります。毎回の治療で少しずつ口腔ケアをした結果、『よく噛むようになった』とか、『ご飯を2杯食べるようになった』等の声もいただいています。口腔ケアは、認知症治療の足がかりになるのではないでしょうか」(小林暁史先生)。

逆に院長が行っている物忘れ外来での診療場面で、「ご飯をよく食べますか」という質問をきっかけにしてそこで初めて「歯が痛かった」ということがわかるケースもあります。脳外科に併設されている歯科だからこそ、受診機会を逃さずに認知症患者さんのQOL(生活の質)を高める大切な手段になり得ているとも言えそうです。

薬剤師 小林玲子さん 薬剤師 小林玲子先生

さらに同院内には薬局があり、暁史先生の奥さまで薬剤師の小林玲子先生が薬の面から患者さんをサポートしています。

「例えば歯科を受診した患者さんの場合、歯のことが主訴になるのですが、他に飲まれているお薬はないか、お薬手帳をみながら全身の状態を確認するようにしています。患者さんの中には、特にがんなどの他の疾患についてお話しされない方もいらっしゃいますので、お薬からこういった病気があるのではないかという推測が必要になることもあるからです」(小林玲子先生)。

脳神経外科医のみならず、歯科医、薬剤師がそれぞれの専門性と視点を生かした同院の総合的な診療は、認知症の患者さんにとって大きなメリットになっています。

 

患者さんにとって支えになるのは何よりも「家族」

事務長 小林巳記さん 事務長 小林巳記さん

認知症の患者さんは、自分の記憶がひとつずつ消えていくことに不安と焦燥感を感じています。そこで何よりも頼りになるのは「家族の力」だとお話し下さったのは、事務長の小林巳記さんです。院長の奥さまでもあり、特に生活面のアドバイスという視点から患者さんのご家族とも深く関わってこられた小林巳記さんは、長年のご経験の中で家族の力の大きさを実感してきたと言います。

「介護度の高い患者さんであっても、ご家族に愛され、ご家族とのコミュニケーションが良好な方は決して乱暴になりません。ご家族によって心が満たされていれば、認知症でも穏やかに人生を全うすることができます。治療の効果をより高めてくれるのがご家族とのコミュニケーションなのです」(小林巳記さん)。

また、認知症の一歩手前でその兆候を見つけてあげられるのもご家族だと言います。言動の変化に気づいた娘さんに連れられて病院に来た患者さんがいましたが、早めに対処できたおかげですぐに本来の落ち着いた生活を取り戻したということもありました。

「離れて住んでいたら、はがき一枚でもいいから親に出す。若い方には、そんなちょっとしたことでもぜひやってほしいですね。ご家族の力で、認知症の一歩手前のところで踏みとどまってもらうことは可能なのですから」と、若い人にアドバイスを送る巳記さんは、「私も、認知症の患者さんが人生をその人らしく全うしていただけるよう応援していきたい」とも語りました。

 

認知症予備軍を認知症にさせない働きかけの必要性

小林脳神経外科のスタッフの方々 小林脳神経外科のスタッフの方々

「日本早期認知症学会」の理事も務めている小林清市先生にとって、「認知症の患者さんを早期のうちに見つけて介入する」ことが重要なテーマとなってきました。

以前と比べれば、認知症に対する社会の理解も進み、受診しやすくなった状況にはありますが、まずは重度の認知症に進行する前に、なるべく早く発見して介入しなければならないと小林清市先生は言います。

「早期に介入できれば、認知症を長い間進行しない状態に保てますし、日常生活も改善されます。崖から落ちてから助けるのではなく、崖に落ちる前に治療しなければならないのです。認知症になるような生活をしないように指導していくこと、脳を寝たきりにさせないように啓蒙していくことが今後必要でしょう。認知症になってからどうするかではなく、なる前に何ができるのかを考えていきたいと思っています」(小林清市先生)。

 

 

取材日:2011年7月7日
小林脳神経外科の外観

医療法人暁清会 小林脳神経外科


〒868-0011 熊本県人吉市宝来町1285-5
TEL:0966-24-8331

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