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患者さんの話を聞き、受け入れることからケアは始まる
<三重県伊勢市 いせ山川クリニック>

いせ山川クリニック 医師 山川伸隆先生 院長 山川伸隆先生

脳神経外科専門医、脊髄外科認定医として脳卒中、脳腫瘍、頸椎症などの診断・治療に携わってきた山川伸隆先生は、2007年に「行けば何とかなる」と信頼されるクリニックを目指して開業。

現在、認知症サポート医として物忘れ外来を開設し、認知症患者さんとご家族をサポートするほか、地域の医療施設、行政とも協力体制をつくり、総合的な医療を提供する窓口的存在として、広く生活習慣へのアドバイスや専門医の紹介なども行っています。

早期受診、早期治療が難しい現実を見直す

脳神経外科専門医として手術も多く手がけていた山川伸隆先生は、認知症が疑われる患者さんの多くはアルツハイマー病や脳血管障害などが原因ですが、なかには、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などが原因の人もいることから、初診の重要性を感じていました。手術や薬で治療可能な患者さんを見落としては大変なことになります。

2007年に開業したいせ山川クリニックでは、初診を重視し、特に患者さんやご家族と時間をかけて対話し、ひとつひとつの情報を丁寧に聞くことを心がけています。

現在、月に250人ほど初診の方がお見えになりますが、そのうち、100人程度が認知症の患者さんで、8割以上が高齢者です。しかもその多くが中等度以上に症状が進行していると言います。

その理由は、「歳をとれば物忘れは当たり前」と思い込み、ご家族が受診の必要を感じないということがあります。また、顔を合わせる機会が多いかかりつけの医師であっても患者さんの変化に気づかないこともあるようです。「物忘れが多くなった」とご家族が感じ始めてから認知症専門医を受診するまでに、平均2年程度のタイムラグがあると言われています。早期受診が勧められているにもかかわらず、多くの患者さんはかなり症状が進行してから治療が開始されるのが現状です。しかも、認知症患者さんの多くは自覚がなく、受診を拒否する場合も多いのです。

こうした現状を踏まえ、「クリニックに行くのが楽しみ」と患者さんに感じてもらえ、ご家族から信頼されるクリニックを目標にしています。そして少しでも不安や相談したいことがあれば、患者さん自身にも、ご家族にもすぐに訪ねてもらえるように心がけています。そのため山川先生、スタッフ一同は、応対、診断、治療においても患者さんの言葉に丁寧に向き合います。

 

否定せずにまず受け止める。同じ方向をみる人になること

同クリニックでは、初診時に患者さんの所作を細かく観察します。聴覚や視覚はどうか、話し方や声のトーンはどうかなど、クリニックに来院されたときから情報収集は始まっています。

そして、患者さんとご家族の双方に問診を行います。特にご家族には受診予約の段階で「患者さんの日常の様子」「生活で困った行動」「心配なこと」などのほか、「今までどのような治療を受けてきたのか、どのような薬を服用してきたのか」などを書いてきてもらうように依頼し、それを基に聞き取りを進めます。

患者さんへの問診は、心配していることのほか、好きな食べ物、好きな俳優など生活背景や習慣、趣味にいたるまで多岐にわたります。こうした情報が治療のヒントになるのです。

最初は患者さんとご家族とは別室で問診をし、その後同席したなかで、患者さんに自由に話をしてもらいます。そのときに重要なのは、患者さんの話す内容を否定も訂正もしないことです。

認知症は冷静に判断すること、我慢することができなくなり、しかも自分がやったことを忘れていくのが特徴です。しかし全てを忘れていくのではなく「しかられたときの家族の怒声、顔、態度」は覚えているため、「私はいつも怒られ、何をしても怒られる。家族のくせに偉そうに!」という思いだけが残るのです。「ここは、自由に話をしても良い場所だ」と患者さんに思ってもらうことが重要なので、うなずきながら熱心に聞くことが基本。たとえ患者さんが時間経過や行動が事実と異なる話をしても、ただ聞き入れます。

患者さんが話す様子をご家族にも見てもらうのは、家族力を高めるためだ、と山川先生は言います。介護には認知症の特徴を客観的に理解することが重要です。しかし一方で、すぐに忘れていく患者さんを相手に、何度も同じ注意を繰り返さなくてはならないご家族にとっては、常に忍耐、愛情が要求されます。介護ストレスや焦りから患者さんへの態度が厳しくなるのは珍しいことではありません。そうした現実的な問題点を改善するために、診察室で患者さんが自由に話している様子を客観的に見てもらい、認知症がどのような症状を示すのかを実感してもらいます。「問題行動は病気のせいだ」と家族が気づき、少しでも理解してもらえば、家族間で相談し合うことや介護分担なども可能になります。さらに介護のストレスも緩和され、患者さんへの態度が変化します。ご家族の結びつきを深めることが介護を始める第一歩になる、と山川先生は言います。

 

症状を抑えるだけの治療ではいけない

例えば、ご家族が認知症をあまり理解できていない段階でのよくある相談の一つに、「施設に通っても施設の人の言うことを聞かずに他の人に手を上げてしまう」というものがあります。しかし、こうした問題行動(介護者側が用いる用語)にも患者さんなりの理由が見つかることがある、と山川先生は指摘します。自分の気持ちや考えが通じないときに出る行動は、暴言、暴力と表現されますが、患者さんの第3の言語と言われています。

「デイケア施設で出されるお弁当を一切食べないある高齢の認知症患者さんの場合、いつも奥さんが作ってくれたお弁当が俵結びのおにぎりだったことが理由でした。見た目の異なる他のお弁当を食べなかったのです。こうした情報は初診で行う生活背景の聞き取りのなかから得られます」(山川先生)。

介護側は栄養管理や配膳のしやすさなど介護側の都合で対応します。しかし、それだけでは肝心なものが抜けています。それは患者さんの都合に合わないこともあるということです。食べなかったら仕方がないと判断するのか? なぜ食べないのか? どうすれば良いのか? また、食べないからといってすぐ点滴をするのか? レントゲン、エコー、整腸剤か? それ以外に何か見落としてはいないか? その患者さんを色々知ることで初めてできる介護、治療があることを先生は強調します。

「認知症の患者さんの問題行動にも、患者さんが生きてきた背景と結びついたところに原因があり、行動を抑える投薬だけでは治療にはならない。もちろん投薬は効果的な治療方法です。しかし他の対処法もあるという認識が必要なのです」(山川先生)。

 

地域連携なくして総合治療はありえない

山川先生が目指しているのは、患者さんにとって必要な治療を専門施設が担当し、総合的に生活をサポートしていける体制をつくること。認知症の診断・治療で受診した患者さんにも、認知症のみを対象とした治療をするのではなく、まずは健康状態を問診や診断、検査によって把握し、症状によっては適切な専門施設を紹介します。

高齢の認知症患者さんは、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病がある程度認められ、年齢的な影響で、心臓、肝臓、腎臓の機能が低下していることもごく当たり前のことです。それに加え認知症の治療が必要な状態なのです。

そうなると、どの薬を使うかは認知症専門医だけの判断で決めるわけにはいきません。例えば認知症の治療薬の中には循環器系に影響するものもあり、心疾患などを合併している患者さんへの投与には注意が必要です。つまりそれぞれの専門医が連携しなければ、ひとりの患者さんを総合的に治療することはできないのです。

さらに日常生活におけるサポートも含めると、行政、裁判所、警察、地域の各施設との連携も不可欠。どの立場からのサポートが欠けても快適な生活を維持できない、と山川先生は連携の重要性を語ります。

しかし、こうした総合サポート体制を実現するためには、ハブとなる存在が必要。同クリニックはこうした地域の各医療施設や介護施設への窓口となり、ひとりの患者さんに必要な専門医療施設、あるいは社会制度、公的施設などを紹介し、結びつけるためのハブ的存在として、地域全体をひとつのチームとした、総合医療活動に取り組んでいます。

 

 

取材日:2011年7月28日
いせ山川クリニックの外観

いせ山川クリニック


〒516-0007 三重県伊勢市小木町557
TEL:0596-31-0031

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