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サポート医として地域の認知症治療体制の仕組み作りを
<福岡県福岡市 のむら内科・神経内科クリニック>

のむら内科・神経内科クリニック_医師_野村拓夫先生 院長 野村拓夫先生

九州の交通の要所・博多駅の駅ビルにあり、様々な神経疾患治療に取り組む、のむら内科・神経内科クリニック。院長の野村拓夫先生は、福岡市博多区の認知症サポート医にも選出されており、クリニックで認知症治療を行うとともに、地域における認知症治療の基盤を整えるために活躍されています。

通院の便利さを考え駅ビルに開業

のむら内科・神経内科クリニックは、九州大学病院神経内科、栄光病院などで神経難病を中心に治療に取り組んできた野村拓夫先生が、2007年6月に開業しました。より多くの神経内科の患者さんに来て頂きたいという思いから、開業場所はアクセス至便の駅ビルを選んだと語る野村先生。「研究テーマにしていたこともあり、パーキンソン病は自身のライフワークのひとつでもあるのですが、この病気の患者さんはきちんとした治療を受けていない人が多いと以前から感じていました。パーキンソン病は最初の5年間の薬物治療の良し悪しで、その先5年後、10年後の患者さんのADL(日常生活動作)が大きく変わる病気。多くの患者さんに神経内科医の専門治療を受けて頂きたいと、遠方からの患者さんでも来院して頂きやすいように博多駅構内という利便性の良い場所を選びました」と語ります。

認知症治療に特化しているわけではありませんが、神経内科の疾患のひとつとして、他の疾患同様、九州大学病院時代から長年取り組んできた実績があります。

 

地域の認知症治療ピラミッドの中核を担う

その実績から、野村先生は、厚生労働省が展開する認知症地域医療支援事業の一環である、「認知症サポート医」を務めています。地域の認知症治療水準を高める役割を持つ認知症疾患医療センターと、日常的に患者と接する、かかりつけ医の先生方の間に入り、かかりつけ医の先生方からの相談を受けたり、症例によってより高度な診断・治療が必要であれば認知症疾患医療センターに相談する、いわばパイプ役という役割を担っています。

野村先生は、「福岡市の認知症疾患医療センターである九州大学病院がピラミッドの頂点なら、下でしっかり支えるのがかかりつけ医。サポート医はその間に立ってコーディネートする立場です」と説明します。

福岡市の場合、福岡市医師会主導で各区に認知症サポート医を1〜2名ずつ置くほか、各区に10〜20名前後の「認知症相談医」を置いており、博多区のサポート医である野村先生は博多区の認知症相談医のまとめ役です。この相談医の仕組みは福岡市オリジナルで2010年秋にスタート。「仕組み作りそのものは全国的に見ても早い方と言えます。ただ、機能するのはまだこれから」(野村先生)ではあるものの、メーリングリストで情報の交換・共有をするなどサポート医と相談医間の横の連携はきっちり取れており、かかりつけ医にとっても、患者さんやご家族にとっても地域で安心して治療できる仕組みに成熟していくことを期待しています。

 

患者さんの環境を整えてあげることでご家族も笑顔に

野村先生と、先生が高い信頼をおくスタッフの皆さん 野村先生と、先生が高い信頼をおく
スタッフの皆さん

特別な治療はしていません、と野村先生は謙虚に言います。認知症診断に特殊な検査機器は必ずしも必要ないというのが自論で、CTや採血検査程度は行うものの、それよりも患者さんやご家族から詳細な話(病歴)をうかがうプロセスを最も大切にしています。

患者さんの多くは、自分がなぜ受診するのかわからないままに、ご家族に連れられ来院します。そのため、最初は非常に強い不安感をお持ちのことが多いのです。その不安をなくして頂くように、まず、これは体の健康診断と同じような意味での「脳の健康診断」と説明することによって安心して頂くように心掛けています。そして患者さんご本人がご家族から離れて検査を受けている間に、ご家族から詳しく話を聞くようにしています。患者さんに自分のいないところで陰口を叩かれていると思わせないような配慮が必要です。

「慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など治療が可能な認知症もありますから、最低限CT検査は必要です。ただ、認知症の約半数はアルツハイマー病ですから、物忘れを主訴とした患者さんの診断はそんなに難しいとは思いません。診察室に入ってくるときの歩き方、表情、様子、話をしているときの様子などでだいたいの診断はつきます」(野村先生)。

診断には、スタッフの観察力も反映されます。看護師や受付スタッフが診察室内外で患者さんを見守り、気になる様子があれば野村先生に伝えるため「その情報がとても役立ちます。だからこそ、観察眼がないといけないし、場数を踏んでトレーニングを積んでいることも大事ですね」とスタッフの洞察する力に信頼を寄せます。

野村先生は、「医師のなかには、認知症は治らないから、適当に投薬しておけばよい、という意識の方もいます。とても残念なことです。しかし、完治する薬はなくても、医師が適切なタイミングで介護福祉サービスにつなげながら生活環境を整えてあげることで、ご家族が笑顔で患者さんを見守ることができる状況をつくることが重要なのです。残念ながら症状は進行します。その都度、患者さんやご家族と同じ目線になって悲しみや悩みをうかがうことで、『一緒に頭を抱え』て、解決策を模索する。それが医師の立場としていちばん大事だと思っています」と患者さん、ご家族いずれにも寄り添う姿勢を見せます。

 

かかりつけ医による認知症症状の見逃しを防ぐ

最近は、ひとり暮らしの高齢者の認知症が進み、民生委員や地域包括支援センターの職員に連れられて来院されるケースも多く、介護サービスなど福祉に支えられることが多いといいます。野村先生はその場合発見が遅れることを問題視しつつも、実は意外に多いのは長い間かかっているかかりつけ医が認知症に気がつかないケースだと指摘します。

「かかりつけ医と患者さんとの関係性が深くなるために却ってそうなってしまうのかもしれませんが、長い期間診ているがゆえに認知症に気づかないということもあるのです。高血圧や糖尿病で通院しているような患者さんは、いつもひとりで診察に行き、いつもと同じような会話を交わし、血圧を測って薬を出して終わり、という同じ流れになっていて患者さんの生活のちょっとした変化を見抜きにくいということがあります。ご家族と話す機会があって、初めて認知症状を知ることができるのです」(野村先生)。

そのような見過ごしを防ぐには、薬の管理がひとつのポイント、というのが野村先生の見解。「定期的に、薬が無くなる時期に来院しているか、それより早く来られていたり、逆に全然来られなかったりというバラつきがないか管理することが大切です。また、クリニックのスタッフも患者さんの様子の違いを見定める目を養うこと。受付で治療費を払うときに、パーキンソニズムがある人は指先の不自由さから、お金を財布から取り出すのにとても時間がかかりますし、認知症があって小銭の計算ができなくなると、いつも大きな札で支払うようになります。そういった日常の動作から変化を見抜くことが大切です」(野村先生)。

また、患者さんの症状や変化を知るにはご家族の話が鍵になるだけに、患者さんだけがかかっている医師ではなく、患者さんを含め家族ぐるみで診てもらっている、かかりつけ医(ホームドクター)が最も患者さんを発見しやすいのではないか、というのが野村先生の自論です。

 

今後はかかりつけ医の認知症に対する意識改革も

同クリニックは神経内科疾患全般を対象にしているので、残念ながら、認知症の患者さんだけに十分時間が割けるわけではありません。それでも初診の患者さんには1~2時間を費やします。認知症患者さんの増加が予想されるなか、個人開業医である同クリニックが多くの認知症の患者さんを抱えることは難しく、今後高齢化が進み、認知症患者さんがもっと増えてくれば、患者さんたちを地域全体で支えないと認知症診療は成り立たなくなると野村先生は言います。

「通常の診療は地域のかかりつけ医の先生に支えて頂き、かかりつけ医の先生が困ったときには、サポート医や相談医に気楽に相談していただくという仕組みになるのがベスト。それにはかかりつけ医ができるだけ認知症患者さんを積極的に診て頂くことが大切ですし、まずは認知症という疾患そのものに対する意識改革も必要です。その目標達成のためにサポート医である自分はどうすればいいのか。まずは博多区内で医師同士、顔の見える交流を考えています。活動の活発さから言えば中央区が先行しているので、今は協力して頂く形で中央区と博多区合同で勉強会を開催しています。今後は博多区単独での症例研究会なども計画したいと思います」(野村先生)。

患者さんひとりひとりに寄り添う治療を行うと同時に、地域の認知症治療を揺るがないものとすることへの熱意を見せる野村先生。その取り組みは、地域で患者さんを支える仕組み作りへと確実につながっています。

 

 

取材日:2011年8月2日
のむら内科・神経内科クリニックの待合室

のむら内科・神経内科クリニック


〒812-0012
福岡市博多区博多駅中央街1-1新幹線博多ビル5F
TEL:092-402-0112

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