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認知症サポートチームで患者、家族を支える
<愛知県名古屋市 総合上飯田第一病院>

総合上飯田第一病院 二階病棟主任 認知症看護認定看護師 松井千恵さん 総合上飯田第一病院 二階病棟主任
認知症看護認定看護師 松井千恵さん

認知症看護認定看護師が中心となり、医師はもちろん薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーら院内の多職種が一丸となって認知症を深く理解し、患者さんやご家族の抱える悩みを解決。患者さんの望む治療やケア、ご家族を支援する体制を構築する全国でも珍しい認知症サポートチーム(DST)が名古屋市北区の総合上飯田第一病院で本格的に動き出しました。これからの認知症医療の方向性を示すものとして期待されています。

月1回の勉強会を通して 認知症に対する理解を深める

DST委員会・勉強会風景 DST委員会・勉強会風景

DSTが発足したのは2010年11月です。看護師の松井千恵さんが名古屋市で初めての認知症看護認定看護師になり、職員の認知症に対する意識改革と患者さんへのよりよい治療、看護のあり方を検討するため、「物忘れ評価外来」担当医の鵜飼克行先生と協力しながら立ち上げました。

松井さんは整形外科病棟の看護師でしたが、骨折などで入院してくる患者さんは高齢者が多く、認知症を発症していたり、入院中に症状が出てきたりして、痛みのコントロールや安静にしていることが難しいことがよくありました。松井さんの祖母もアルツハイマー型認知症だったこともあり、患者さんの行動と祖母の行動を重ね合わせながら、認知症の患者さんのことを少しずつ理解し、看護のノウハウを蓄積しました。「多くのスタッフとそのノウハウを共有したいと思いましたが、我流ではその対応が正しいかどうか自信がありません。きちんと認知症を学び、正しい対応方法を他のスタッフと共有したい」と、1年間の勉強の末、認定看護師となりました。

同院は若い看護師も多く、認知症患者さんの看護方法だけでなく認知症自体に対しての理解が不足していると、松井さんは感じていました。「夜間の院内徘徊や、暴言・乱暴といった行動のある患者さんに対して薬物による抑制を行うこともありました」と、松井さんはDSTがスタートする前の状況を振り返ります。

それらの解決の糸口として発足したDSTは、鵜飼先生の「患者さんの生活習慣を見直すことが大切」との考えも盛り込み、看護師だけでなく薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、医療ソーシャルワーカーの多職種で構成されました。

2011年4月には、患者さん、ご家族に最も身近な各病棟の看護師が中心となり、課題や問題点を話し合うDST委員会もできました。月1回開かれる委員会では、事前にメンバーに認知症看護における問題点、認知症についての質問などのアンケート調査を行い、そのアンケートにあがった認知症に対する疑問・課題などについて勉強会を開いています。

 

外来との連携も重要 

総合上飯田第一病院 二階外来主任  物忘れ評価外来看護師 神田由美子さん 総合上飯田第一病院 二階外来主任
物忘れ評価外来看護師 神田由美子さん

DST発足後、看護師の意識に変化がみられるようになりました。それまで多くの看護師が、暴れる患者さんと意思の疎通が図れるとは思っていなかったのですが、今では松井さんに相談しながら、患者さんの気持ちや意思を理解しようと心がけ、患者さんとの交流がみられるようにもなりました。

また、DSTに薬剤師が入っていることから、副作用の出やすい高齢者の薬の量など、薬物治療に関する疑問や心配を薬剤師に相談して解消することができます。他にも、管理栄養士は入院時から退院後の家庭での食生活に関して患者さんやご家族への指導を担当し、歯科衛生士は、入れ歯の噛み合わせや歯周病で困っている患者さんへの口腔ケアの指導を通して、高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防にも重要な役割を担っています。このように、多職種で構成されるチームになっていることで様々な問題に対処できるようになりました。

DSTが機能し始めてから、外来と病棟の連携が密になりました。物忘れ評価外来の看護師、神田由美子さんは「以前は、通院中の患者さんが入院されても、知らないことがありました。しかし、今はDSTから入院連絡が入ります。患者対応に役立つような外来の情報を病棟に伝えて、療養生活や退院指導に活かされるようになりました」と、メリットを指摘します。

しかし、依然として課題は山積していると松井さんは言います。看護師から松井さんへの相談は増え、看護の質もアップはしてきましたが、将来的にレベルを維持・向上していくためには、まだまだ知識・技術が足りない面があるとのこと。今後は、各病棟で実際に起こったことを、DST内だけではなく関連する職種全体で検討するカンファレンス「認知症ラウンド」(仮称)を行うことで、病院全体として上質な認知症看護を続けていけるようになるのではないかと松井さんは考えています。

現状の課題として鵜飼先生は「認知症の患者さんが糖尿病などで入院されたとき、突然暴れだしたり、叫びだしたりするBPSD(周辺症状)をどのように治療・対処していくかです」と、次のような問題点を挙げます。患者さん自身が病気であるという認識がなく、医療者側にも日常診療のなかで認知症患者さんの合併症の治療、看護を敬遠する傾向があることなどです。これからますます多くなると予想される認知症患者さんの身体合併症について受け入れ、対処していくためにDSTが発足したと言っても過言ではありません。多くの検討課題を一つずつ解決しながら着実に活動を広げています。

 

認知症も生活習慣病?

診療室ドアにある張り紙 診療室ドアにある貼り紙

「認知症はMCI(軽度認知障害)の段階か、それ以前の超早期で発見できれば、進行を遅らせたり改善させることが可能だと思います。そのためには早期に発見できる適切な検査が重要です」と、鵜飼先生は強調します。

物忘れ評価外来では認知症の確定診断をするために、CTやMRIだけでなく名古屋大学医学部附属病院の放射線科と協力して、脳血流SPECTや、レビー小体型認知症を鑑別できるMIBG心筋シンチグラフィなどの最新画像診断装置で脳の老化を客観的に評価しています。

さらに、鵜飼先生は、合併症をもつ認知症患者さんの診療に数多く携わってきた経験から、認知症はがんと同じように生活習慣病で予防が大切なのではないかと考えています。つまり、脳の神経細胞を活性化する生活習慣を身につけることで、認知症を改善したり、予防したりできる可能性があるかもしれないということです。物忘れ評価外来の待合室には「私の予防法と脳活性化リハビリテーション」についての掲示があります。要約すると、①規則正しい生活、②バランスのとれた食事、③適度な運動、という生活習慣病予防の鉄則に加えて④感動する、恋愛をする、笑う、コミュニケーションをとる、社会活動に参加するなど、積極的に前向きに生きることを奨励しています。また、診療室の扉には「『散歩』と『体操』をせざる者、この扉を入るべからず。」と貼り紙があります。鵜飼先生は患者さんに「認知症は予防できます。生活習慣病の心配のある人はライフスタイルを見直しましょう」と、提案しています。

 

 

取材日:2011年8月11日
総合上飯田第一病院の外観

総合上飯田第一病院


〒462-0802
愛知県名古屋市北区上飯田北町2-70
TEL:052-991-3111

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