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病院をあげてよりよい認知症治療をめざす
<東京都江東区 順天堂東京江東高齢者医療センター>

メンタルクリニック科長 一宮洋介先生 メンタルクリニック科長 一宮洋介先生

順天堂大学は先端医療を切り開く使命を負った6つの特徴的な附属病院を運営しています。そのひとつ、順天堂東京江東高齢者医療センターでは、認知症のBPSD(周辺症状)や合併症の治療、地域との連携、家族のケアなどあらゆる側面で新しい取り組みを進めています。

129床の認知症病棟で身体合併症の治療も

順天堂東京江東高齢者医療センターは、東京都が設置し順天堂大学が運営する「公設民営」の病院です。同一敷地内に「民設民営」の介護老人保健施設(医療法人社団和風会)と特別養護老人ホーム(社会福祉法人三井記念病院)があり、3施設の連携によって「重度の認知症や一般医療などを必要とする高齢者のニーズに応える『高齢者福祉・医療の複合施設』」という東京都の構想を実現しているのです。

同センターには小児科と産科以外の診療科がすべて揃い、高齢者のあらゆる医療ニーズに応える体制が整っていますが、なんと言っても最大の特徴は348の病床のうち129床を精神科(認知症)病床にあてていることでしょう。

「開院当初はBPSD(周辺症状)治療を目的とした入院が多かったのですが、最近は、肺炎や骨折、低栄養状態など認知症の身体合併症の治療が増えています。できるだけADL(日常生活動作)を落とさないよう、治療と並行して生活機能回復訓練や回想法などにも取り組むのが認知症病棟の特徴です。身体合併症の治療は一般診療科の協力を得て行い、ベッド数は少ないですが透析も可能です。また、一般病棟の入院患者さんの中にも認知症を抱える方がいらっしゃるので、精神科医も普段から他診療科の病棟にサポートに行っています」とメンタルクリニック科長の一宮洋介先生は語ります。

 

細分化された医療を再統合する必要性

メンタルクリニック科 熊谷亮先生 メンタルクリニック科 熊谷亮先生

医師の熊谷亮先生は、「当センターのメンタルクリニックは、ほぼ認知症に特化していて、老年性うつ病などの患者さんはごくわずかです。身体合併症の治療にも関わるので、着任当初は戸惑いを感じることもありました。しかし、認知症の進行を抑えるためにも、患者さんの心と体をトータルに診る必要があるのです。現代の医療は細分化され、体の病気を治療している間に認知症が進んでしまったというケースも少なくありません。患者さんの体と精神の両方を改善できた時は、本当に嬉しいです」と語ります。

病棟は一般と精神(認知症)に大きく二分されていますが、医局は一つ。全診療科77人の医師が机を並べて、日常的に情報交換を行っています。さらに医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど関係者全員が集まる病院全体のカンファレンスが週に1回のペースで開催されています。この病院では、すべての患者さんに対して、すべての医療スタッフが連携・協力してあたるのが当たり前となっているのです。

 

認知症看護の認定看護師が病棟と相談室に

看護相談室 看護師長 認知症看護認定看護師 佐藤典子さん 看護相談室 看護師長
認知症看護認定看護師 佐藤典子さん

病棟看護師長 渡邉啓子さん 病棟看護師長 渡邉啓子さん

「認知症看護の認定取得は、現在(2011年夏)、東京都全体で40名ほどなのですが、そのうちの4名が同センターの看護師です。しかも、第一号の認定看護師は、誰かに言われたからではなく自発的な挑戦で見事に認定を取得したのですよ」と、一宮先生が大きな信頼を寄せるのは、看護部業務課長補佐を務める佐藤典子さん。資格に挑戦したのは、病棟で経験を積み、患者さんのケアもご家族への対応も、自分の経験だけで後輩を指導するべきではないと考え、資格取得のための勉強を始めました。以来、看護師の教育と患者さん、ご家族の方の相談に関わっています。

病棟の師長を務める渡邉啓子さんは、「認知症患者さんは言葉で心身の調子を伝えられない方も多いので、看護師はじめ担当するスタッフがそれぞれに患者さんの様子を見て、情報交換をし、よりよいサポートに繋げることが大切です。またご家族の不安を受け止めてアドバイスすることも重要。患者さんと言葉を超えた意思疎通ができたと感じた時などは、大きなやり甲斐を感じますね」と語ります。

 

病院と自宅、病院と地域の繋がりを築く

ソーシャルワーカー 塩路直子さん ソーシャルワーカー 塩路直子さん

入院患者のうち退院後、自宅に戻れるのは約半数。療養型病院に転院したり、介護施設に入所する患者さんも多くおられます。

以前、佐藤典子さんが師長を務める看護相談室は、自宅で療養する患者さんと家族のサポートを担当する部署で、入院患者さんが退院後、スムーズに自宅療養に移行できるよう、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャー、包括支援センター相談員などとの連携や調整を行っています。また、外来患者さんの家族の相談に応じるほか、地域の勉強会の講師を務めることもよくあります。

さらに、佐藤さんたちは病棟に所属していない立場を活かして全病棟の認知症患者さんに目を配り、医師や多様な職種のスタッフの要となることをめざしています。

退院後自宅ではなく他の病院や介護施設に移る患者さんの場合、病院と地域を繋ぐ役割を果たすのは地域連携室。ここには5名のソーシャルワーカーが常駐しています。

「医療センターで入院治療を終えられても、残念ながら自宅に帰れない方が少なくはありません。ところが、いざ施設入所を検討しようとすると、特別養護老人ホームは2~3年待ちであったり、その他の施設も服薬内容や経済的な制約があったりして、理想的な選択肢はほとんどありません。何かの点を妥協しなければならないことが多いこの状況の中で、ご家族と一緒に悩み考えるのが私たちの仕事です。最終的にご家族が納得し安心して預けられる施設が決まると、こちらも安心します」と、ソーシャルワーカーの塩路直子さんは語ります。「認知症の場合、退院後しばらくして再入院されることも多いのですが、前の経験を活かしてご家族が自身で解決出来ることが増えていることを感じると、とても嬉しいですね」(塩路さん)。

 

家族のケアを精神科のグループ療法で

外来に掲示されているご家族・介護者のためのグループ療法・案内ポスター 外来に掲示されているご家族・介護者のための
グループ療法案内ポスター

認知症は家族など介護者に大きな負担がかかりますが、この課題に関しても同医療センターでは画期的な取り組みを行っています。

「グループ療法というかたちをとって、介護者をサポートしています。1グループ6名で悩みを共有したり、ディスカッションをしたりするのですが、これは勉強会や家族会ではなく、集団精神療法なのです。ストレスや不安の解消は精神科の領域です。こちらから受診をお勧めすることもありますが、待合い室のポスターやホームページなどを見て、受診を希望される方も多く、3年間で100名以上のご家族が参加されました。半年に1回、同じメンバーを集めてフォローアップしていますし、患者さんが亡くなった後も交流のあるグループもあります。これからは、大切な人を亡くした哀しみから立ち直る『グリーフケア』にも取り組めるとよいですね」と一宮先生は語ります。

認知症患者の入院治療や家族へのグループ療法など、認知症専門病院でもあまり行われていない取り組みを進めている順天堂東京江東高齢者医療センターのメンタルクリニック。今後も、新しい治療法や新薬の治験に協力するなど、認知症治療の高度化に貢献していきたいと一宮先生は語ります。「たとえば、終末期になると、誤嚥性肺炎を防ぐために胃ろうを作りますが、欧米ではほとんど行われません。本当に誤嚥を防げているのか疑問もあります。重度の認知症における栄養補給のガイドラインはまだないのが現状なのです。高齢者を専門に診る病院として、従来の方法を見直すことも含め、体も精神もバランスよく治療する方法を開発して、発信していくのが私たちの使命だと思っています」(一宮先生)。

 

 

取材日:2011年8月9日
順天堂東京江東高齢者医療センターの外観

順天堂東京江東高齢者医療センター


〒136-0075
東京都江東区新砂3丁目3番20号
TEL:03-5632-3111

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