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診断・治療はプロ集団がチームで「寄ってたかって」
<長崎県大村市 医療法人明和会 伊崎脳神経外科・内科>

医師 伊崎明先生 医師 伊崎明先生

長崎県中部に位置し、空の玄関・長崎空港も置かれる大村市。伊崎脳神経外科・内科は、地域の認知症医療の中核的な役割を担っています。独自に工夫した診断・治療の極意は「速く」「正確に」「寄ってたかって」。院長の伊崎明先生が中心となって効果的なチーム医療をめざしています。

認知症患者さんの来院が増え、治療体制を整える

伊崎脳神経外科・内科の診療科目は、脳神経外科・神経内科、内科、リハビリテーション科。MRIを導入するなど設備が充実しており、平成12年には大村市で初めての脳ドックも開設しました。

認知症医療チームを率いる伊崎明先生は、「脳の画像診断を行うため、当然脳の病気を疑って患者さんが来院され、そのなかに物忘れの症状がある人が増えてきました。大村市には、物忘れ外来のある医療機関がありません。そういう事情もあって、当院が物忘れ症状のある人が最初に受診する施設となっているのでしょう」と語ります。

治療に取り組むうちに、画像診断の重要性を認識しMRI画像を利用した解析ソフトVSRADを導入。診断の精度を高めるとともに、より精密な診断が必要となるケースではSPECTを備える大村市民病院に検査を依頼したり、変性疾患との区別が難しい症例は長崎医療センターや川棚医療センターに依頼するなど、ほかの施設とも連携しています。

「私は脳外科医ですから認知症が専門ではありませんでしたが、必要が生じたため知識を増やし、検査体制を整え、スタッフの体制も整え治療にあたっていくうちに、現在のような状態になりました」と話す伊崎先生。今では、伊崎先生が幹事を務める認知症のカンファレンス・セミナーが大村市医師会にあり、講演会や研究会を開催しています。

 

同時進行で検査や面談を行い、その日のうちに診断

看護師 大園理佳さん 看護師 大園理佳さん

同院の診断の特色の一つは「スピード」。受付で認知症の傾向があることがわかると、すぐにMRIと機能テスト、問診のスケジュールを組み、問診の担当を決めます。予め検査・問診の順序が決まっているのではなく、その日最も効率よくできる順序で進めることで、1日である程度診断がつき、その後の指針まで出ます。

「患者さんからある程度お話を聞いてから検査や診察に入っていただき、診察や検査中は残っているご家族と面談をしたりします」と看護師の大園理佳さんが言うように、効率よく臨機応変に進めることで、短時間で診断に必要な情報が揃います。

スピードにこだわる理由について、「機能テストの結果が低ければ、ご家族の負担が大きいことが想像できるのでご家族のケアを重視しますし、境界線レベルであればさらに詳しい検査が必要。認知症であるか、どの程度のレベルであるかによって、方向性が分かれていくので、まずは大まかな結論を早く出すのです」と伊崎先生は言います。

その日のうちに診断がつくのは、治療の方向性を決めるためだけではありません。
「悩んでいる人を早く安心させることにもなります。特に、少し言動がおかしいがご家族も認知症だとは思っていないような場合、早く診断がついて、認知症だとわかることは大切です。ですから、最初の日は問診だけで『次は何日に検査を』と何度も来院しなくてはならないようなことは当院ではありません」(伊崎先生)。

 

診断に有効なMRI撮影は必ず実施

放射線技師 佐藤研一さん 放射線技師 佐藤研一さん

診断までのスピードとともに、もう一つ大切にしているのがその「正確さ」。そのためにMRIの画像撮影は必須です。しかし、MRIは狭い機器に入り、大きな音が鳴るなかじっとしていなくてはならず、認知症の疑いがある患者さんには難しい場合もあります。

放射線技師の佐藤研一さんは、「VSRADは、定量的な数字で萎縮を表す画期的なソフト。狭いのが嫌で入れないという患者さんにも、何とか工夫して検査を受けて頂くのが当院の方針です。我々が諦めると、患者さんは、その先ずっと有効なMRI検査を受けられないことになりかねません。『必要であれば安定剤を使用してでも、そのリスクを回避する方が患者さんの為』という考えです。不安を訴える患者さんにはスタッフが手を握ったりリズミカルに軽く叩くなどして落ち着いていただき、チームで検査を完遂します」と語ります。

その結果、MRIの受診率、VSRADの実施・成功率は非常に高くなっています。「患者さんが動くから撮れませんでした、と謝ってすめば簡単ですが、それでは先に進めません。ほかの施設では検査できなかった患者さんでも、どこかが一歩踏み込むことが大切です。検査に限らず、私たちでできることはやる、というのが当院の考えです」(伊崎先生)。

 

スタッフが捉える患者さんの全体像も貴重な情報

言語聴覚士 西田麻夏さん言語聴覚士 西田麻夏さん

言語聴覚士 松林友子さん 言語聴覚士 松林友子さん

医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー 大塚由弥子さん 医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー
大塚由弥子さん

より正確な診断をするために、機能テストや問診でもスタッフの力が欠かせません。言語聴覚士の西田麻夏さんは、「検査では、患者さんの症状を見るより、『人』を見ることに重点を置いています」と話します。質問を投げかけてから答えが返るまでの時間の長短、面談中の落ち着きなど面談から受けた患者さんの印象などを、テスト結果にコメントとして付け加えることで、テストの点数だけでは伝わらない患者さんの情報が伊崎先生に伝わり、誤りのない診断につながっていくのです。

伊崎先生は、認知症治療の特徴は、患者さんと一対一ではなくご家族がいて成り立つということを指摘します。言語聴覚士の松林友子さんも「患者さんご本人だけでなく、ご家族と接する機会が多いです」とうなずきます。

「恐らくほかの施設では診断が先で、ある程度治療を進めてからソーシャルワーカーが介入すると思いますが、当院では早いタイミングで関与します。ご家族が施設にお願いしたいと思っていれば、在宅で治療する計画ではうまくいかないというように、家族構成やご家族の考えに配慮せず治療計画を立てても、効果が上がりません。ご家族が患者さんを支えられる環境にあるか、施設の提案をしたほうがよいのか、医師がその考えを尋ねてもまず答えていただくのは難しい。患者さんの環境を把握するのもチームのスタッフの仕事で、早ければこれもその日のうちに行います」(伊崎先生)。

ここでも重要なのはスピードとスタッフのコミュニケーション力。ソーシャルワーカーでありケアマネジャーの大塚由弥子さんはご家族に心を開いてもらうために笑顔や言葉がけなど配慮を欠かしません。「ご家族に心を開いていただきたいですから。困っていることだけでなく、経済面の事情までお聞きすることで、在宅でケアするか施設を選択するかの方向性も見えてきます」(大塚さん)。

画像診断や機能テストの客観的なデータに、スタッフが捉えた主観的な情報が加わることで、早く、正確な診断につながるのです。

 

コーチングも取り入れ「寄ってたかって」のチーム医療

伊崎脳神経外科・内科のみなさん伊崎脳神経外科・内科のみなさん

スタッフが患者さんやご家族の心を開く力があるのは、同院がコーチングに力を入れていることが影響しています。メディカル・コーチングの方法にならい、患者さんなどと同じ目線になり、話を傾聴するという姿勢でいること・・・これが、結果的にチームの総合力を引き上げています。「相手との対話をうまく行うことが当院のスローガン。会話が必要な職種はもちろん、一見関係がない放射線の業務でも相手の心を解きほぐすことが検査の成功に関わっているので、大切です」(伊崎先生)。

スタッフ一人ひとりが意識を高め、それぞれ持ち場で力を発揮して患者さんの診断・治療に貢献することを、伊崎先生は「寄ってたかって」と表現します。一人の患者さんに、看護師、ソーシャルワーカー、放射線技師、言語聴覚士が同時に全員で「寄ってたかって」関わるから、正しい診断、有効な治療になるのです。

「そうやって私たちのチームが関わっても、困難なケースもあります。例えば患者さんがまだ現役の若年性認知症のケース。若くして認知症になるということは、今後の長い生活全てに影響が及びますので、チーム以外の別の専門家の力も借りる必要があります。しかし、ご家族が熱心で患者さんを支えたいと願い、症状が軽度で治療効果が期待できるようなレベルのケースでは、私たちが『寄ってたかって』関わることで患者さんやご家族の役に立つことができます。厳しい顔で来院したご家族が少し笑顔を見せて『がんばります』と帰って行く・・・。そういう自分たちのチームが対処できる対象のグループを早く見つけだし、さらにその対象を拡大していくように全力を尽くして貢献していきたいと思います」(伊崎先生)。

スタッフ全員が意識を高め、患者さんに「寄ってたかって」力を発揮することで、プロ集団としての認知症医療となるのです。

 

 

取材日:2011年7月28日
伊崎脳神経外科の外観

医療法人明和会 伊崎脳神経外科・内科


〒856-0831
長崎県大村市東本町168
TEL:0957-54-4230

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