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患者さん目線での認知症トータルケアシステムをめざして
<新潟県南魚沼市 南魚沼市立 ゆきぐに大和病院>

院長 宮永和夫先生 院長 宮永和夫先生

南魚沼市立ゆきぐに大和病院は、南魚沼医療福祉センターの中心施設であり、地域住民の保健・医療・福祉の実践に総合的に対応できる地域包括医療の実現をめざして日々努力を重ねています。院長の宮永和夫先生は、若年性認知症の家族の支援にも熱心に取り組まれています。

地域包括医療の完成形としての認知症治療に意欲的に取り組む

上越新幹線の浦佐駅から車で5分。冬は雪深い南魚沼地区にあるゆきぐに大和病院は、南魚沼医療福祉センターの中心施設であり、地域住民の医療全般に取り組む総合病院です。

院長の宮永先生は精神科の先生であり、特に認知症治療においては並々ならぬ情熱を長年傾けてきました。同院では、メモリークリニックやメモリードックなど新しい試みにも力を入れ、市立の病院という利点も生かして、地域の行政・医療機関や福祉施設従事者の方々と連携を取っています。認知症の予防としての保健の面に始まり、健診などによる早期発見・治療、退院後のアフターケアや介護・福祉の問題までも含めて、ひとりの患者さんをトータルにケアしていくことができるシステムづくり=地域包括医療の完成形をめざしています。

また、宮永先生は、若年性認知症の治療・支援にも非常に熱心に取り組み、自ら中心となって若年性認知症の家族会の立ち上げに尽力しました。また、NPO法人「若年認知症サポートセンター」を設立し、全国各地の若年性認知症関連の家族会の支援事業を行っています。

 

治療の基本は、患者さん本人の話に耳を傾けること

保険外診療であるメモリードックは、早期発見を目的として物忘れなどがちょっと気になるという方が自発的に来院し、心理検査や画像検査、生活指導などを受けています。

早期発見については、同院では予防の面から総合的な健診事業にも意欲的に取り組んでおり、そこでのチェックに引っかかった方は、保険診療であるメモリークリニックに紹介されるというシステムになっています。

宮永先生が、診断の際に気をつけている原理原則は、話を聞いた上で方向性や対応を決めることだそうです。優先順位としては、まず初めに患者さん本人から話を聞くと言います。

「情報としては確かにご家族から聞いたほうが早いことも多いのですが、ご家族はやはりどうしても自分たちが困っていることを中心に話してしまいがちなので、診察室に入ってくるなりご家族にそういうことを言われると本人も傷つきます。まず先入観を持たず、本人は自分の症状をどう自覚しているのか、どう思っているのかを聞きたいのです」と宮永先生。

宮永先生のもうひとつのモットーは、患者さん本人を緊張させないことだと言います。診察室でご家族は冗談を交えて笑って話していても、本人はあまり笑っていないことが多いそうです。何を聞かれるのかと患者さんが身構えないように、あえて最初に検査の説明はしないそうです。ひと通りよもやま話をした上で、その延長で検査の質問項目を聞いていくと言います。

「初対面の人に、いきなり、あなたは何歳か、今日は何日かとか質問をすると、普通はなんでこんなことを聞くんだと身構えてしまうでしょう?」と、宮永先生は患者さんへの心配りのわけを語ります。

 

家族同士のサポートが糸口となる若年性認知症の問題

宮永先生は、特に若年性認知症の治療と家族の支援に力を注いでいます。

「若年性認知症には昔の精神科の患者さんに対する偏見と似たようなものがあります。近年、認知度だけは高まっているが、老年性でも大変なのにさらにエネルギーが大きくて、マンツーマンで取り組まないとだめだという認識だけが先行してしまい、取り組む側の腰がひけている問題が大きい。もちろん当院では若年、老年区別なく診ています」と宮永先生は現状を憤ります。

先生は、2001年東京でNPO法人の若年性認知症の家族会を立ち上げました。

「この会の特徴は、ご家族だけでなく本人と、本人をサポートするサポーターも参加していることです」と言います。若年性認知症の場合、患者さん本人を預かってくれる場がなかなか見つからず、家族が単独で家族会に出席できないことが多くあります。そのため、本人が家族と一緒に家族会に参加できるようにサポーターが付き添います。会では、家族と一緒に連絡事項を聞いたり、本人同士のグループだけで外に出て散歩などを行います。

その支援のノウハウやネットワークを全国に広げようと、5年前に「若年認知症サポートセンター」を設立し、全国の家族会を支援するシステムを作り上げました。

若年性認知症の場合、告知の受け入れは本人にとってもご家族にとっても乗り越えるのが難しい、重い問題ですが、それも家族会の存在が大きな支えになると言います。

「告知され、家族や自分が認知症であることを受容できるまでは、とまどい、混乱し、落ち込んで自暴自棄になることもあります。私たち医療従事者も、告知だけして突き放すことはなく、こういう薬があります、こんな生活が良いです、こういう制度が使えますから安心して、と懸命にフォローしていますが、同じような過程を乗り越えてきて今や介護の先輩となっている家族会の人たちにはかないません。悩みを共有して寄り添い、本人を受け入れることや、介護のノウハウ、サービスの情報などきめ細かいアドバイスをしてもらえるし、私たちの力が及ばない部分を大変助けてもらっています」と宮永先生。

 

ターミナルケアに本人の意思を~早期での意思確認の必要性

宮永先生は、認知症患者のターミナルケアの在り方についても、並々ならぬ思いがあります。

「認知症のターミナルケアにはパラドックスがあります」と宮永先生は言います。本人が自分のことを最期まで決めるのがターミナルケアの原則なのに、現状、最期をどうするかは、本人でなくご家族が主に決めています。ご家族は医師に「もう治療をやめてください」とは言わず、あらゆる限りの手を尽くすよう望み、医師はご家族の希望を聞かざるをえません。

認知症で本人に希望を聞くには、ごく初期の段階で行うしかありませんが、告知されたばかりでショックも冷めやらぬ最初の段階で、最期の瞬間の話をするのは難しいことです。少し落ち着いてきたら・・・でもまた悩ませるのもどうかと様子をみているうちに末期になって意思表示ができなくなってしまう。ここにがんなどの場合とは異なる難しさがあります。

認知症のターミナルケアについては、ご家族だけでなく認知症の患者さん本人に早めに考えておいてほしい、認知症ではそういう問題があるということを皆が知って考えなくてはいけない、死をタブー視せずに国民全体で死生観を議論するべきと宮永先生は主張します。

 

患者さん一人ひとりと向き合って学ぶ姿勢を医療と介護に

医者と患者さんは先生と生徒の関係ではなく、教科書通りの対応ではうまくやれない、逆に患者さんから教えてもらうという姿勢が大切と宮永先生は説きます。

例えば教科書上、ピック病の人は毎日同じことをくり返すとなっています。その通り毎日そばばかりを食べる患者さんがいたのですが、先生はその理由を聞いてみたそうです。

「実はそばがそんなに好きなわけではないんですよ。病気の特徴で、他の食べ物の名前が出てくる前に『そば』という言葉が先に出てきてしまうんです」と先生。その証拠に他においしいものが目の前に出されれば、ちゃんと食べるのだそうです。最初から教科書の型にはめて、決めつけてはいけないと言います。

薬に対する考え方にしても、薬を使って一時は良くなってもまた進行して同じになるなら使わないでというご家族がいる一方、薬をやめることを提案しても続けてほしいと言うご家族もいるので、いろんな思いをくみ取って治療にあたるべきだと言います。

教科書やマニュアル通りではない、患者さんと家族にもっと寄り添った医療や介護の大切さを宮永先生は呼びかけています。

 

 

取材日:2011年7月11日
ゆきぐに大和病院の外観

ゆきぐに大和病院


〒949-7302
新潟県南魚沼市浦佐4115
TEL:025-777-2111

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