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患者さんと患者さんを取り巻くすべての人をサポート
<大阪府大阪市旭区 松本診療所ものわすれクリニック >

松本診療所ものわすれクリニック 松本一生先生 松本診療所ものわすれクリニック
松本一生先生

大阪市にある松本診療所ものわすれクリニックは、高齢者専門のメンタルクリニック。認知症専門医として知られる松本先生は、患者さんだけでなく、ご家族、介護職の方、かかりつけ医の先生など、認知症医療・ケアに関わるすべての人たちを支えたいとの考え方で診療および啓蒙活動を行っています。

かかりつけ医と専門医の連携の輪を全国に

大阪市旭区にある松本診療所ものわすれクリニックは、認知症を専門とするクリニックです。15年前から高齢者専門のメンタルクリニックとして地域で診療しておられるほか、老年精神医学、介護家族・支援職のケア、高齢者虐待防止を専門領域とする“認知症の専門医”として、全国各地での講演、本の執筆など、認知症への理解を広める活動を熱心に行っています。患者さんご本人はもちろん、かかりつけ医、ご家族や介護士など、認知症医療に関わるすべての人たちを支える必要がある、というのが松本先生の持論です。大阪市では、市域を北エリア、中エリア、南エリアと3つに分け、かかりつけ医、それをサポートする認知症専門医のほか、嘱託医を2人ずつ設定していますが、松本先生は北エリアの嘱託医になっています。

「かかりつけ医の先生がどのように認知症医療に関わっていくべきかを提示し、サポートすることが地域専門医の役割です。かかりつけ医と専門医の連携の輪を全国に広げていきたいと考えています。認知症ほど患者さんを取り巻く生活、家族、地域を抜きに語れない病気はありません。その人の課題であるだけでなく、地域の問題でもあります。診察時間で患者さんを診る専門医だけでは語れない、常に患者さんと向き合っているかかりつけ医を抜きには語れない病気です」と専門医である松本先生がかかりつけ医の役割の重要性を強調します。

先生がこれまでに診た認知症患者さんの7割は、自分が変わっていくことを認識していたといいます。「最近、忘れっぽくて自信なくしている」など喪失感と向き合っている人が、面識のない専門医に相談できるでしょうか。ご家族が相談する場合でも、まず気心の知れたかかりつけ医です。

「そこで『気のせいですよ』などと言わず、じっくり時間をかけて話を聞いていただきたいのです。しかし、患者さんやご家族の話を聞くことは、精神科では、医療保険制度の治療行為として認められていますが、他診療科ではその項目がなく、最も時間や神経を使う診療行為に対して制度上の保証が無いという問題があります。かかりつけの先生方に認知症医療にご参加いただくためには制度改革も検討する時期にきていると思います」と松本先生は提言します。

以前は講演、執筆のほかに、大学でも教えておられた先生ですが、かかりつけ医と専門医の連携を草の根から広げていく活動が急務との考えから、大学の職を辞して診療時間を増大。地域での診療に力を注ぐようになりました。その結果、ご紹介患者さん以前より多く受け入れ、速やかに結果報告ができるようになり、かかりつけ医との連携も強化されました。中でもパイプの太いかかりつけの医師が数名おられるとのこと。その特徴をお尋ねすると、「内科、外科に関わらず往診、訪問看護・介護など在宅医療に積極的に取り組んでおられ、認知症医療にも熱心な先生との連携が多いですね。」と松本先生。専門医とかかりつけ医の役割分担が最も良い形で現れる体制なのかもしれません。

 

ソーシャルワーカーがいて、看護師のいないクリニック

診察室 診察室

同クリニックを訪れてまず驚くのは、非常にリラックスした雰囲気の漂うピンクを基調とした診察室です。そして特徴的なのは、医療機器もなければ看護師もいないこと。スタッフはソーシャルワーカー1名に、受付と医療助手が各1名いるのみです。

「ここは診断・治療の場というより、相談の場。患者さんと付き添われるすべての方のための施設でありたいと考えています。それには医療然としていないほうがいいのです。当院のユニフォームもいいでしょう」と微笑む松本先生はピンクのポロシャツ姿。初めてお会いするのに、白衣でテストをするのでは患者さんも緊張するだろうという配慮から、リラックスした雰囲気の中で世間話をしながら診断をつけるようにしています。詳しい検査は連携関係がある関西医科大学に依頼。ただし、行政区上では、大阪市北エリアの認知症疾患医療センターは市立弘済院附属病院(吹田市)であるため、今後はこちらとの連携も深めていきたいとのことです。

認知症であることを理解している患者さんは、心に傷を受けながら慢性疾患と向き合います。そして長い時間をかけて、家族や地域が見守る中で安心感を獲得することが大事です。「患者さんが安心できる見守りを提供する方法を相談する。それが医療の知識を持ったソーシャルワーカーの仕事です」と松本先生。そこで、精神科専門医領域とソーシャルワークだけを相談の場としての同クリニックの役割とし、看護師の役割は地域の医師や訪問看護ステーションに担っていただくようにしているとのこと。かかりつけ医と専門医の棲み分けを明確にしています。

松本診療所のみなさん 松本診療所のみなさん

「患者さんの症状が進んできたり、ご家族が追い詰められたりした場合、『在宅の限界』を見極めなければなりません。在宅医療や地域医療をよく知る先生ならそのアドバイスができますが、そうでない場合は、ソーシャルワーカーが『次はこの制度を使ってみましょう』『次はケアマネジャーとグループホームを探してみましょう』という提案をすることも認知症医療の大切な側面です」と松本先生。医療とケア、社会福祉の融合が必要な疾患領域ということがわかります。

 

センター方式と家族会

松本先生は、認知症における“パーソン・センタード・ケア(person-centered care)”の考え方に基づいて実践ツールとして開発された「センター方式のC-1-2シート」の活用を提唱しています。パーソン・センタード・ケアとは、介護「される側」の気持ちに重点を置く考え方。「センター方式のC-1-2シート(今の私と気持ちシート)」とも言われ、ご家族、介護者がケアを受ける患者さん本人の気持ちになり、「今の私」をいろいろな立場の人が違う視点から関わって作り上げます。そのため、今までとは全く違った面が見えてきます。

「あるかかりつけ医の先生は目からウロコが落ちたとおっしゃっていましたが、医師は『自分に任せてください。そうすればあなたの状態をよい方向に持っていきますよ』という訓練を受けています。しかしそれは見方を変えれば、パターナリズム。このシートは、医療の視点ではなく、生活の視点で作られているのでかかりつけ医も発見が多く、もっと広げていきたいと思っています」松本先生は話します。

また、松本先生は、20年前から家族会活動に取り組んでいることも大きな特徴です。「家族会が持つ共感性の大きさは言うまでもないことです。介護をするご家族が孤立して悲劇が起きることがあります。介護の苦労を経験した人同士の共感によって孤立を防ぎ、安心感を持てることが必要です。“家族療法家”としての私の専門中の専門です」と松本先生。先生自身もお母様らを30年近くにわたり介護した経験があり、医療者である前に介護家族であったとのこと。(公社)認知症の人と家族の会の会員でもあり、講演先でも紹介を続けています。

 

治療者より伴奏者でありたい

今後、松本先生が取り組みたいと考えていることのひとつが、薬の使い方についての提言。

「高齢者の薬のさじ加減はむずかしく、20年間の経験を地域と共有することが私の役割。かかりつけ医の先生だけでなく、介護職の人にも伝え、医療とケアの連携の力が高まっていくようにするのが、私の役割です」と松本先生は語ります。

「私は治療者より“伴走者”でいたい」という松本先生。マラソンランナーに近づきすぎず、遠ざかりすぎず、細い紐一本でゆるく結ばれる伴走者。同クリニックには、18年間アルツハイマー型認知症で通院されている方がいますが、その患者さんと松本先生は18年を一緒に生きてきたということ。患者さんが通えなくなったら、往診しながらでも長く寄り添っていきたいと松本先生は考えています。また、ずっと診てきた患者さんが入居しているグループホームや特別養護老人ホームも往診し、そうした介護施設との連携にも力を入れていきたいとのことです。

 

 

取材日:2011年7月21日
松本診療所の外観

松本診療所ものわすれクリニック


〒535-0021
大阪府大阪市旭区清水3-8-31
TEL:06-6951-1848

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