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一般外来での認知症診療をスタッフとの連携で
<山口県防府市 ながみつクリニック>

院長 長光勉先生 院長 長光勉先生

山口県防府市で開業して9年。脳卒中の予防をめざす脳神経外科のクリニックが、地域で認知症の治療とケアに携わるすべての人を巻き込んで学びながら、独自の取り組みを進めています。

脳卒中の予防を目的に開業

「クリニックを開業する時は、認知症を診ることになるとは思っていませんでした」と語る、ながみつクリニックの院長、長光勉先生の専門は脳神経外科。総合病院で15年間、脳外科医として勤務し、脳卒中などで救急搬送されてきた患者さんを死の淵から救い出す仕事に大きなやり甲斐を感じていました。そんな長光先生が、開業を決意したのは、脳卒中の予防に取り組みたかったからです。手術で助かった患者さんが、いつの間にか外来を受診されなくなり、そのうち、数年後に再発して運び込まれるのを何度も目にし、きめ細やかなフォローができる脳神経外科の開業医が街には必要だと考えたのです。

ところが開業してみると、予想以上に物忘れを訴える患者さんが多く来院されることに驚きました。「勤務医時代は認知症が疑われる患者さんは、すぐに専門の先生に紹介していたのですが、開業当時、近くに紹介できる専門病院がなく、自分で診るしかないと勉強を始めました」と長光先生は経緯を語ります。

 

看護師が患者さんと家族から情報を引き出す

看護師 陣川博子さん 看護師 陣川博子さん
看護師 渡辺マリナさん 看護師 渡辺マリナさん

同クリニックの「もの忘れ外来」は、特定の曜日や時間帯を設けず、一般の外来のなかで随時、受け付けています。気軽に受診しやすいため、毎日のように「もの忘れ」の新患が訪れ、この数年間で、アルツハイマーの治療薬を処方した患者さんが実数で600名を超えていると言います。

通常、認知症患者さんの診察には1時間近くの時間がかかりますが、混み合った外来診療で、それほどの時間をかけることはできません。そこで活躍するのが6名の看護師です。初診の患者さんは診察の前に看護師がまず患者さんと家族から話を伺います。

看護師の陣川博子さんは、「家族の説得で渋々来院され、もの忘れを否定する患者さんの場合は、あまり追及せず軽い雰囲気で話をするようにしています」と、初診の際の配慮を語ります。「『どこも悪くない!』という患者さんに、『わかりました。健診ですね?』と調子をあわせたりもしますね」と、同じく看護師の渡辺マリナさん。

長光先生が患者さんを診察する時には、看護師たちが患者と家族から聞き取ったデータが手元にあります。「『どこも悪くない』と言う患者さんを相手に、看護師たちが雑談的な会話の中から引き出してくれたキーワードをもとに、患者さんと向き合うことで、認知症の診断に必要な諸検査がスムーズに行えるようになります」と長光先生は看護師との連携プレイの効果を語ります。

脳神経外科が専門のながみつクリニックには画像診断装置があり、その日のうちにMRI検査ができるように努めているそうです。

「診断の際に気をつけているのは、『治る認知症』を見逃さないこと。なかには命に関わる病気もありますから、アルツハイマーなどと誤診すると危険です。そこは脳外科医としての経験と知識が活かせる点ですね」(長光先生)。

 

家族のための「サポート外来」を設置

看護師 林三枝子さん 看護師 林三枝子さん
看護師 光井真由美さん 看護師 光井真由美さん
看護師 渡部祥子さん 看護師 渡部祥子さん

認知症の治療では家族へのアドバイスも重要になりますが、ここでも看護師が大きな役割を果たしています。看護師が家族の悩みを聞き、アドバイスする「サポート外来」を設けているのです。

看護師の林三枝子さんは、「ご家族の接し方次第で症状が大きく左右されるので、的確なアドバイスができるよう日々、勉強です。ストレスをためている方も多く、愚痴を聞くだけで時間切れになることもありますが」と、難しさを語ります。

「一致団結して介護に取り組めるご家族ばかりではありません。ヘルパーさんやデイケアのスタッフなど第三者が入ることで、家族のなかの問題が良い方向に向かうこともあります。家族構成や様々な背景を考慮してアドバイスする必要があるので本当に難しいですね」
(看護師・光井真由美さん)。

「デイサービスの利用を勧めても、ご家族が乗り気でないことがあります。家族で解決したい、他人に『迷惑』をかけたくないという思いが強く、説得の言葉に困ることもありますが、サポート外来で時間をかけて話し合うことで、解決につながることも多いです」
(看護師・渡部祥子さん)。

 

地域の関係機関を巻き込んで勉強会を開催

看護師 田辺文子さん 看護師 田辺文子さん

同クリニックでは、スタッフがそれぞれに認知症について勉強し、経験したことを共有しながら、スキルアップを図っています。また、同クリニックが主導して年に4~5回、市内の認知症ケアに関わる人々と開催する勉強会も重要な情報収集の場となっています。

「私自身が、認知症ケアや地域の介護サービスについて何も知らなかったので、専門家から話を聞く機会が欲しかったというのが開催の動機です。一方向の講義形式でなく、認知症に関わる人たちが、互いに情報と知識を出し合う場にしようと考えました」と長光先生は語ります。

まず、訪問看護の実際を知りたかったので、1年目は訪問看護師さんを招いた勉強会。2年目はケアマネジャーさん、3年目の今年はデイサービスの人々と、それぞれの特徴や取り組みを紹介してもらいながら、一緒に学んでいこうと思っています。

「地域包括医療センターの人や総合病院の認知症専門医に話をしてもらったり、私が話をしたり、ギブ・アンド・テイクにすれば、コストもかかりません。デイサービスセンターは、あまり横の連携がとれていないようなので、この勉強会がきっかけで連携が生まれたら嬉しいですね」(長光先生)。また、今年は対応困難な認知症患者さんの事例検討会を行うためのファシリテータ養成講座も外部講師を招いて行いました。

50人ほどのケアマネジャーが集まった勉強会では、数人ずつのテーブルに別れ、地域の認知症専門医師が各テーブルに1人ずつ参加して質疑応答やディスカッションも行いました。「当院の看護師に他の医師の診療の仕方や認知症に対する考え方を学んで欲しいという思いもありました。6名ともどんどんスキルアップしています。また、検査技師にも勉強会には参加してもらっています。彼らが患者さんと接する時間は短いですが、患者さんにとって緊張を強いられる空間なので対応が難しいですからね」と長光先生。

看護師の田辺文子さんも「クリニックにできることは限界があり、介護サービスに期待する部分が大きいので、一人ひとりの患者さんに相応しいサービスを紹介したり、適切な方向を示す知識が必要だと痛感します。まだまだ勉強が必要です」と意気込みを語ります。

 

安心して年を取れる街をつくりたい

長光先生の目標は防府市を「認知症になっても幸せに暮らせる街」にすることです。「デイケアの利用を勧めると、『老稚園には行かせたくない』と言うご家族がおられます。デイのプログラムは、そんな風に見えるのかもしれません。しかし、患者さんの生活史や趣味を丁寧に聞き出してプログラムに生かしている施設もあり、実際、書道や油絵、写真に打ち込んで、見事な作品を作っている患者さんもいらっしゃいます。そんな風に患者さんを幸せにできるケアスタッフを、私は『イケてるケアスタッフ』と呼んでいるのですが、イケてるスタッフがたくさん育って、『どこのサービスを利用しても大丈夫だよ』と言える街にしたいのです」(長光先生)。

一般外来の中で「もの忘れ」の患者を診るには診察時間を始めとして様々な制約がありますが、看護師との連携によって、気軽に受診し相談できる環境を築いている、ながみつクリニック。

「医療機関として病気を見逃さない、患者さんの症状の変化を掴むことはもちろんですが、ご家族が発するSOSのサインも見逃さないようにしたいですね。今は、看護師がサポート外来を担当する時間を捻出するのにも苦労していますが、みんなで勉強して、イケてるドクター、イケてるナース、イケてるスタッフの揃ったクリニックをめざしたいと思います」(長光先生)。

 

 

取材日:2011年7月21日
ながみつクリニックの外観

ながみつクリニック

〒747-0802
山口県防府市中央町9丁目41番地


TEL:0835-20-1230
FAX:0835-23-2300

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