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トップランナーとして臨床とケアの研究を引っぱる大学病院
<京都府京都市 京都大学医学部附属病院老年内科>

京都大学医学部附属病院 老年内科長 講師 武地一先生 京都大学医学部附属病院
老年内科長 講師 武地一先生

1999年、脳科学の研究者であった武地一先生が、京都大学医学部附属病院(以下、京大病院)老年内科に「もの忘れ外来」を設立しました。以来、先端を行く研究機関としての役割を果たしながら、患者さんとご家族を支えるため、一貫して臨床とケアに力を入れています。地域連携のプロジェクトや勉強会を進め、若い人材を育成。スタッフは患者さんとご家族に日々向き合いながら、臨床とケアの研究に励んでいます。

※取材にご協力いただいた先生方のご所属は取材当時のものです。

臨床とケアを最重視、社会的支援までつなげる診療スタイル

「もの忘れ外来」を設立以来、武地先生は大学病院という最先端の研究機関においても、目の前の患者さんとご家族の苦しみから目をそらさないスタンスを貫き、自ら率先して患者さんとご家族を支えることで臨床やケアの重要性を内外に示しています。

アルツハイマー病の基礎研究者に比べても臨床医療やケアに本格的に携わる人は少なく、最先端の研究と診療やケアがうまく融合できていない状況があり、両者をバランスよく進めていく必要があると武地先生は主張します。

「研究者であると同時に臨床に携わらなければ病気の全体像を把握することはできません。薬の開発や病気のメカニズムを解明するのも大切ですが、今ここにいる患者さんを救うことが急務なのではないでしょうか」(武地先生)。

また、急性期医療を中心とした大学病院としては珍しく、慢性期の患者さんも積極的に診ています。患者さんの希望で地域のかかりつけ医を紹介することもありますが、十年来通っている患者さんもいます。認知症は、軽度から重度の段階まで徐々に進行していくので、病気の全体像を把握するにはトータルなステージを診ていくのが大事ではないかと、武地先生が考えているためです。

診察や投薬に留まらず、患者さんやご家族のメンタル面でのケアやリハビリ、介護のための社会的支援につなげていく診療体制のスタイルも京大病院の特徴です。そのために武地先生は臨床心理士や言語聴覚士、メディカルソーシャルワーカー(MSW)など、独自のスタッフを「もの忘れ外来」に集めました。臨床心理士は認知機能の検査、患者やご家族のメンタル面でのケアや脳の機能を維持するリハビリを、言語聴覚士は、認知機能や言語機能の検査とご家族の話を聞くこと、MSWは福祉や介護保険の利用など社会的支援を受けるための相談に乗っています。

「臨床に携わる」とは患者さんおよびご家族のQOLを保っていくこと、と武地先生。介護保険についてもすみずみまで熟知していてスタッフも見習うことが多いと言います。その考えや姿勢は各スタッフに行き渡っています。

 

きめ細かく柔らかな配慮で患者さんとご家族を支える

言語聴覚士 國立淳子さん 言語聴覚士 國立淳子さん

言語聴覚士の國立淳子さんは、臨床心理士と共に認知機能検査など神経心理学検査に携わっています。言語聴覚士として、患者さんの言語機能がどの程度下がっているのか、低下しているのはどの機能なのか、言葉の理解はどうかなど詳細な検査もしています。

「検査を行う際に特に気を配っているのは、患者さんに失敗感を残さないようにすることです。検査の目的は何ができないかを明らかにすることですが、その過程で患者さんの不安をさらに増幅させてしまわないよう、検査後には質問よりもご本人の思いをじっくり聞くなどクールダウンをして失敗感を解消する時間を持っています」(國立さん)。

患者さんの検査のほかに國立さんが特に配慮をしているのは、ご家族の話をしっかり聞くことです。外来日は1日10組前後のご家族の話を聞いています。

「病気になってからの患者さんの変化をご家族は容易には受け入れられません。お話を聞いた後に適切な対応のアドバイスをしても、頭ではわかっているけどそう簡単にはできないとのお返事が返ってくることも多いのですが、ご家族の複雑な感情も汲み取りながら、できるだけこんな風にしてみてくださいとあきらめずくり返しアドバイスを伝えています」(國立さん)。

結果、聞き入れてもらい、ご本人の気持ちも落ち着いてきたというご家族からのうれしい報告もありました。

 

ケアについての先端研究と若い有用な人材の育成

武地先生は、外見からはわからない初期段階の患者さんのケアの研究に力を入れています。ごく初期でも周りに無関心になる方もいれば、中等度でも周囲に気遣いができる方もいると言います。洞察力や人への思いやりはどこまで保たれるのか、どういう能力が残されていてどんな生活を送れるのか、どういうケアができるのかといった臨床系の研究に、基礎研究より重きを置いています。

一般的に、ケアの現場で、スタッフが患者さんのケアの検討にあたることは日常的ですが、医師が医学的見地からケアの検討を行うことは多くはない現状があると言います。武地先生は熱心にスタッフや大学院生たちのミーティングに入り、共に研究計画を立て、研究解析を行っています。武地先生のもとからは、患者さんとご家族に向き合って臨床とケアを経験し多くを学んだたくさんの若い人材が巣立ち、それぞれの地域で、新たな患者さんとご家族の力になりつつあると言います。

 

地域連携と診療のレベルアップにトップランナーとして尽力

老年内科・もの忘れ外来スタッフの皆さん 老年内科・もの忘れ外来スタッフの皆さん

関わっている数々の研究プロジェクトや主導する勉強会の中で武地先生が最も力を入れているのは、地域連携です。

「認知症の患者さんをしっかりと診ていける体制を作ることです」(武地先生)。

それは、地域のかかりつけ医がいかに認知症の診療体制を組めるかということに尽きますが、認知症の診療は一般の先生たちの想像以上に難しいと言います。

武地先生は、厚労省が行う「かかりつけ医認知症対応力向上研修」のカリキュラムが4時間ほどである現状を嘆いています。

「認知症はある程度専門性が要求される病気です」と武地先生。
どのような認知機能が障害され、そのために患者さんとご家族が困っていることは何かを正しく把握し、生活上のあらゆる場面でのサポートをしっかりマネジメントできる技術を持つことが必要だと言います。

「道に迷って帰って来ない、財布がない、台所での火の失敗と、あらゆる症状が日常生活に関連して起こり、なぜ症状が起こっているかも人によって違います。記憶力の問題、段取りの問題、さらに家庭環境などを的確に見極めた上でアドバイスをする必要がありますが、医療機関はそういう面を施設など介護関係者に任せてしまっていることが多いと思います。もっと認知症を深く知って介護関係者に指導できるよう診療のレベルアップを図ってほしい」(武地先生)。

しかし武地先生は、多くの問題は、医療関係者のネットワークが解決するだろうとも考えています。顔の見える緊密な先生同士の関係が、武地先生が主導する地域連携が目指すものです。

「認知症は高齢社会の難問です。少子高齢化の中、若い人たちが疲弊しないで高齢者を支えていける社会を創らないといけません」(武地先生)。
武地先生の携わるプロジェクトや勉強会はこれからも増える一方です。

 

 

取材日:2011年7月28日
ながみつクリニックの外観

京都大学医学部附属病院老年内科


〒606-8507
京都府京都市左京区聖護院川原町54
TEL:075-751-3111

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