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地域密着を貫き充実させたハードとソフト
<北海道札幌市 社会医療法人禎心会 札幌禎心会病院>

禎心会病院 理事長・院長 徳田禎久先生 札幌禎心会病院
理事長・院長 徳田禎久先生

脳神経外科を軸としてリハビリや介護老人保健施設の運営に早くから着手し、1999年に「もの忘れ外来」を開設した札幌禎心会病院(旧禎心会病院)。近年もグループホーム開設、スウェーデン生まれの緩和ケアの導入など先導的な取り組みを続けています。

「もの忘れ外来」開設は自然な流れ

札幌市と稚内市で病院、クリニックに加え、介護老人保健施設の運営、居宅介護や訪問看護などの事業を手がける社会医療法人禎心会。関連企業でグループホームやデイサービスセンターも運営しており、急性期からリハビリ、施設や居宅での介護まで一貫して取り組める体制を整えて、地域の医療と福祉に貢献しています。

理事長で院長の徳田禎久先生が前身の禎心会病院を開業したのは1984年。専門分野である脳神経外科を中心にしつつ整形外科や循環器内科、消化器内科などを備え、早い時期にリハビリテーション部門を開設したのは、複数の病気を抱えることが多い高齢者を念頭に置いてのことでした。

「地域密着の医療を目指していると自然と高齢者に目が向きます。介護保険などの制度ができたから事業を始めたのではなく、当院での取り組みが始まった後に制度ができたということが多かったですね」と、徳田先生は振り返ります。在宅支援事業に取り組み始めたのも、脳卒中の患者さんのケアをするためでした。

神経心理テストを行う作業療法室 神経心理テストを行う作業療法室

同院で「もの忘れ外来」を開設したのは日本で初めて認知症治療薬が発売された1999年。「脳神経外科で診療を行っていれば、認知症の患者さんが増えていることは実感としてわかります。しかし1999年以前は治療法がなかったので、表立って『診ます』とは言えなかった。治療薬の登場でやっと正式に認知症に取り組める!という感じでしたね」(徳田先生)。

 

スタッフ全員で認知症患者を見守る

禎心会病院 作業療法士 奥瀬祐子さん 札幌禎心会病院
作業療法士 奥瀬祐子さん


禎心会病院 看護師 家保美恵子さん 札幌禎心会病院
看護師 家保美恵子さん

現在、週1日の「もの忘れ外来」に4、5名の新患が訪れ、年間にすると200名以上が受診しています。通院患者は500名程度、さらに、普段はかかりつけ医の診療を受け、年に2度ほど検査に来る人もあわせると2,000名ほどが同院に通っています。

神経心理テストを担当する作業療法士の奥瀬祐子さんは、「検査は患者さんにとって決して楽しいものではありません。『以前はできたことができなくなった』と確認する作業ですからね。データの客観性は最優先ではありますが、患者さんやご家族の『検査を嫌う気持ち』に配慮した対応を心がけています」と語ります。

同病院ではスタッフ全員が認知症の患者さんをさりげなく見守る体制が築かれています。「認知症になると慣れない環境に不安を感じることが多いですよね。もの忘れ外来がスタートしたころ、ご家族が目を離した少しの時間に、患者さんの姿が見えなくなって病院をあげて捜したことがあったのです」と看護師の家保美恵子さんは振り返ります。この苦い経験から生まれた工夫は、検査に使う用紙の色を変えることでした。「短時間しか患者さんと接しない検査技師や、廊下ですれ違う他の診療科のスタッフにも、その方が『もの忘れ』で来院したことが一目でわかります。一人ひとりが少し注意して見守ることで、患者さんの安全を確保しています」(家保さん)。

さらに、脳神経外科を中心に据える病院だけあって、事故や病気で脳の一部が傷つき、コミュニケーションがうまく取れなくなった患者さんとたくさん向き合ってきました。その積み重ねで、言葉がうまく出なくなった患者さんの気持ちや状況を察する力が強いスタッフが多いと家保さんは言います。「患者さんに付き添ってきたご家族の様子がおかしいことに気づいて、かかりつけ医に連絡したこともありますよ」(家保さん)。

禎心会病院 医療ソーシャルワーカー 木村文教さん 札幌禎心会病院
医療ソーシャルワーカー 木村文教さん

医療ソーシャルワーカーの木村文教さんもスタッフの「察する力」が心強いと言います。「医師の診断結果や指示だけでなく、患者さんやご家族に接したすべてのスタッフからさまざまな情報が集まってきます。私の仕事は介護サービスや地域と連携することによって医療と生活をつなぐこと。患者さんご本人についてはもちろん、ご家族の思いや経済状態まで、すべてが重要な情報ですからね」(木村さん)。

 

優しく触れる緩和ケア

触れることで痛みや不安を和らげるタクティールケア 触れることで痛みや不安を和らげる
タクティールケア


介護老人保健施設 ら・ぱーす 療養長・看護師 石川洋子さん 介護老人保健施設 ら・ぱーす
療養長・看護師 石川洋子さん

禎心会が運営する介護老人保健施設「ら・ぱーす」は全室個室のユニットケアを北海道で初めて実現し、さらにタクティールケアというスウェーデン生まれの緩和ケアを行っていることで注目されています。このケアはマッサージのように見えますが、特定のツボや筋肉に刺激を与えたりするのではなく、患者さんの手、足、背中などに優しく「触れる」ことで痛みや不安を和らげる技法です。

徳田先生は「認知症の患者さんとのコミュニケーションは難しい場面もありますが、マッサージしながらゆっくり言葉を交わすのは心を通わせるのに非常にいい方法で、ケアする人もされる人もとてもいい笑顔になりますよ」と話します。

「ら・ぱーす」ではスタッフ3名がスウェーデンまで研修に赴いてインストラクター資格を取得、この3名の指導により、スタッフの約3割がケア技術を習得しています。

「手のひらから石川さんの心が伝わってくる」。インストラクターのひとりである看護師の石川洋子さんは、ケアした入所者のひとりからそう言われたことがあります。

ケアは、個室のドアを閉め、ゆったりと落ち着いた空間で、入所者の方の足にタオルを巻くことから始まります。約20分間、石川さんは足から一度も手を離すことなく、ゆっくりゆっくり両手で包み込むようにケアしていきました。

「ゆっくり触れていると相手への愛情が生まれてくるように感じます。そういう私の気持ちを、その方は『石川さんの心』とおっしゃったのかもしれませんね」(石川さん)。

事務職の傍らインストラクターの資格も持つ徳田雄大さんは、「ケアをしながら話をしていると、患者さんの状況がわかってきて、問題行動に見えたことの理由や背景が理解できることがよくあります。普段、患者さんと向き合っているつもりでも、忙しさのなかで受け流してしまっている部分があったのだと、反省するスタッフも多いですね」と、その効果を語ります。

禎心会 法人本部 総務グループ 副部長 徳田雄大さん 禎心会 法人本部 総務グループ
副部長 徳田雄大さん

同施設では、これまでに50回近くも外部向け研修を行っており、介護のプロだけでなくご家族を介護しているという一般参加者もいるそうです。

「治療ではない補完療法であるからこそ、医療と介護をつなぐ役割が期待できます。地域に実践できる人を増やしていきたいですね」(徳田雄大さん)。

 

たくさんの選択肢がある地域に

認知症の治療には何よりも早期発見が大切です。理事長の徳田先生は「核家族化が進んで、独居や夫婦のみで暮らす高齢者が増えています。久しぶりに親に会った子どもが『おや?』と思った時には、すでに病状がかなり進行していることも多いんです。親と別居している子ども世代には特に、『早すぎるかな?』と思うくらい早い段階で行動してほしいですね。地域の講演会ではそんな認知症について話すことも多いですよ」と語ります。

今年に入り、地域全体で認知症の治療や介護のレベルアップをしようと、医師やケアスタッフなど約70名が参加する「東区認知症連携の会」を立ち上げました。医師向けの研修会も開催しており、今後は研修対象をパラメディカルにも広げていく予定です。「医師向け研修の集まりは非常に良くて、専門医の先生も参加してくれます。地域で認知症に取り組む医師に講師を務めてもらい、勉強と同時にネットワークづくりにも貢献したいですね」(徳田先生)。

認知症について積極的に勉強する一般医が増えてきたことは心強いものの、認知症患者は今後、大きく増加すると予想されるので、まだまだ足りないと徳田先生は心配しています。

「子育てを地域で支えるのと同様に、認知症も地域で支えることが必要です。医療や介護のプロはもちろん、ご家族にも頑張ってもらわないといけません」と徳田先生。そのために必要なのは情報の共有です。医師は病気が進むとどんな症状がでるか、何が起こるかを予測できます。そんなプロの知識や経験を、ご家族をはじめ患者さんの周囲の人たちと共有することで、不安も負担も軽減することができるはずです。

「気をつけなくてはいけないのは、プロはいろんなケースを知っているが故に、典型的なケアや理想論的な生活を押しつけてしまいがちなこと。患者さんの好み、価値観にあっていなければダメですよね。医療だけでなく、介護の関係者、地域の人たち、そして行政の力を結集して、患者さんやご家族にとってたくさんの選択肢がある社会を築いていかなくてはなりません」と徳田先生は理念を語ります。

 

 

取材日:2011年8月17日
禎心会病院の外観

社会医療法人禎心会
札幌禎心会病院


〒007-0844
北海道札幌市東区北33条東1丁目3-1
TEL:011-712-1131

施設のホームページへ

 

老人保健施設 ら・ぷらーさの外観

社会医療法人禎心会
介護老人保健施設 ら・ぱーす


〒002-8052
北海道札幌市北区篠路町上篠路6-286
TEL:011-774-1131

施設のホームページへ

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