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認知症医療の中心的存在として、地域連携の仕組みを構築
<新潟県上越市 医療法人高田西城会 高田西城病院>

院長 湯浅悟先生 院長 湯浅悟先生

新潟県西部にある上越市の高田西城病院は、大正9年に開設した歴史ある病院です。精神科の一般外来と、急性期・精神療養・認知症治療の病棟を備えるほか、認知症の早期発見と早期治療のために「もの忘れ外来」を開設。院長の湯浅悟先生のもと、県の認知症疾患医療センターとして、また、「上越認知症地域連携パス」の中心として、地域で連携して患者さんを支援することを目指し、様々な取り組みを行っています。

築き上げた地域医療をベースに認知症治療

創立から90年を経た高田西城病院は、精神科病院として県で2番目に開設されたという歴史ある病院です。精神科の外来のほか、入院病棟は認知症と急性期・精神療養病棟を備え、作業療法、デイケアなどのリハビリテーションにも力を入れています。そのほか、居宅介護支援事業、ショートステイ、グループホーム、障害福祉サービス事業所など、幅広い事業を運営し、前院長川室優先生の時代より、ノーマライゼーション理念に基づいて、患者さんが住み慣れた地域で暮らせるよう支援しています。

現院長を務める湯浅悟先生は、「もともとは、薬だけでは治らない精神疾患の患者さんに対し、医療の提供だけでなく地域で生活し仕事をする場を設けるために地域医療に取り組み、事業を運営してきたのです」と言います。

地域に根付いた医療で、すでに実績のある同院。2008年春からは、認知症の早期発見と早期治療を目指し「もの忘れ外来」を開設。また、院内に県指定の認知症疾患医療センターを置き、他の病院や行政・福祉機関などと連携を図っています。さらに、同院を中心とする地域の医療機関による「上越認知症地域連携パス」を上越医師会と協力してスタートさせ、地域の病院がかかりつけ医と連携しながら、地域での適切なケアをより確かなものにするための仕組みづくりを行っています。

「医者になりたいというより、心の問題に関わりたかった」ことから精神科医を志した湯浅先生は、病院内で患者さんひとりひとりに向き合うと同時に、地域に目を向け、連携ケアに力を注いでいます。

 

初期の患者さんを受け入れる「もの忘れ外来」

一般外来に訪れる認知症の患者さんの増加に伴い、病気が進行し様々な症状が現れてから受診するケースも増えており、「重症化してからでは遅い。しかし精神科という垣根は高いですから、それを低くするためにもの忘れ外来を開く運びとなりました」と湯浅先生は言います。

現在は月に2回、第1・3土曜日に予約制で診察。患者さんお1人に約1時間前後時間を割き、心理検査から画像診断、そして湯浅先生による診察が行われます。

「初診はどうしても時間がかかりますし、1回のもの忘れ外来につき対応できるのは2~3人の患者さんです。患者さんが再診で訪れることも多く、当面の予約が埋まっている状態です」(湯浅先生)。

最初に患者さんとご家族の問診、そして認知機能検査を行います。結果が低い点数であれば認知症と診断しますが、湯浅先生が注意するのは、認知症ではないものの、検査の点数が低めの場合です。この場合、単なる年齢相応のもの忘れか、その後認知症に進行する可能性が高いのかを慎重に見極めるようにしています。年齢相応のもの忘れであれば特に治療は行いませんが、認知症に進む患者さんの場合は、早期に介入することが進行の抑制につながるからです。

認知機能検査に加え、MRIによる画像診断を行いますが、MRI導入について「精神科単科の病院では非常に少ないのでは」と湯浅先生は言います。「私が問診から得た情報、画像診断から得た情報、両方を合わせて考えることができます。画像診断も含め診断まで一日でできるのが、この『もの忘れ外来』のメリット。この日は放射線技師が専属で検査に関わってくれるという協力体制もあってできることです」(湯浅先生)。

 

症状が進行しても落ち着いた家族関係に

最初にもの忘れ外来に来たときは、ご家族は「果たして認知症なのか」という疑問を抱えると共に、患者さんの行動障害に悩んでいる場合があります。認知症と診断し薬を処方しても、不安げに診察室を後にするそうですが、定期的に診察していくうちに日常の行動障害が軽減していき、「険悪だった親子関係が、落ち着いた雰囲気になって待合室で並んでいる様子なども見られます。デイサービスやショートステイなどをおすすめしても、特に男性は、最初は参加したがりませんが、やがて参加するようになれば患者さんなりに満足感を得るし、ご家族も朗らかな顔つきになります。症状は進行していても、ご家族が受け入れられる患者さんに変容していくのを見ていると、もの忘れ外来をやっていて良かったと感じます」と湯浅先生は手応えを感じています。

同病院には入院病棟もあるため、重症の患者さんの入院も受け入れます。行動障害が多ければ最初は精神科急性期病棟に入りますが、次第に落ち着きを見せるようになり、認知症の病棟に移る頃には患者さん本来の姿が表れてくるケースもあります。治療と社会的支援によって、症状が進んでも患者さんの状態や家族関係が良くなることも可能となるのです。

 

県の認知症疾患医療センターとして「病病連携」も

院内には、新潟県が県内に5ヵ所設置している認知症疾患医療センターの1つがあります。地域全体で認知症治療と患者さんの生活の質を高めるための施設です。

精神保健福祉士 森橋恵子さん 精神保健福祉士 森橋恵子さん

センター長を務める精神保健福祉士の森橋恵子さんは、「地域での知名度が高い病院であるだけに、専門医の受診が必要でも、受診に抵抗があるご家族もいます。そこでワンクッション置き、ここで認知症のご相談に乗り、診察につなげています」と、これも精神科の垣根を低くする取り組みのひとつであると語ります。

「ご家族だけで悩みを抱え、切羽詰まって相談に来る方が多いです。在宅介護は長丁場ですから、長く地域で暮らすことができるような福祉サービスも提案し、ときには息抜きもできるような介護をしていくことをアドバイスしています」(森橋さん)。

また、センターが担うもうひとつの役割は、地域の保健機関・介護機関との連携。上越市には19ヵ所の地域包括支援センターと、それを束ねる基幹型支援センターがあります。それらのケアマネジャーや行政の保健師、病院からの相談も多く、センターに寄せられる相談の過半数を占めます。総合病院から入院の相談もあり、病院と病院の連携「病病連携」も多いと湯浅先生は言います。

それらの機関への情報発信も重要であることから、月に1回認知症・医療福祉連絡会を開催。地域振興局、地域包括支援センターなどからスタッフが集まり、情報の共有や症例紹介などを行っています。さらに、年に1回認知症医療連携協議会を開催。これは地域における保健医療・福祉機関等との円滑な連携を図ること、そして認知症医療体制の今後の課題・目標を共有することを目的としています。医師会、3ヵ所の総合病院、4ヵ所の精神科病院、ケアマネ協議会、2ヵ所の地域振興局、3ヵ所の地域包括支援センターで構成し、上越・妙高・糸魚川地域連携の仕組みの構築を目指しています。

 

地域の医療機関で連携しクリニカルパスを開始

地域連携は同院が重視している取り組みでもあります。同院含め県立中央病院神経内科など8つの医療機関からなる「上越認知症地域連携パス」を上越医師会の支援により立ち上げ、地域のかかりつけ医から中核となる病院に相談しやすい体制を現在構築中です。かかりつけ医と病院が患者さんの診断方法や受診予定を共有、かかりつけ医が検査や治療を行いながら、症状が重くなるなど変化が生じた場合は専門病院と連携し、対応していくものです。

「もともと上越市は認知症対策には力を入れており、3年ほど前から医師会と共催で早期発見事業として健診にMMSE(認知機能検査)を取り入れるというスクリーニングを行っていました。このような行政の取り組みに対し、医師会では認知症対策として上越認知症地域連携パスを立ち上げました」(湯浅先生)。

14市町村が合併した上越市は面積が広く、人口も分散しています。湯浅先生は「実際に認知症になりそうな患者さんを多く診ているのは地域のかかりつけ医。かかりつけ医の認知症への意識が高まってこないと、病院への紹介にもつながりません。医師会も啓蒙活動を行っていますが、かかりつけ医が早期発見・早期介入し、あまり症状が進んでいない段階で専門病院に相談してほしいのです」と早期発見の重要性、専門機関につなげるタイミングの大切さを訴えます。

 

今後は初期の患者さんに予防プログラムも

地域連携と早期発見。これについては森橋さんも同じ考えです。「医療と医療の連携、それから医療と介護の連携を強化したいです。相談に来られたご家族に話を聞いてもらって良かった、光が見えたと言われると嬉しいですが、まだまだご家族だけで抱え込み過ぎているのが現実。早期発見・早期介入のための啓蒙活動も引き続き行っていきます」(森橋さん)。

湯浅先生は、今後は現在月2回であるもの忘れ外来の診察日を増やし、その存在を広く認知してもらって初期の患者さんの受診を増やすことも目指しています。

「現在はMRIだけですが、研究の要素も交え、いずれは他の検査も絡めていきたいですね。そのことで認知症に進みそうな患者さんがわかれば、予防プログラムをつくって薬と併用し、少しでも進行を遅らせることに取り組みたいと思います」と湯浅先生は予防を含む治療にも意欲を見せます。

認知症地域連携パスも立ち上がったばかり。同院が地域の認知症医療の中心的存在として、病院、診療所、保健、福祉など様々な機関との連携を深めることが、患者さんとご家族のよりよい暮らし実現への可能性へとつながっています。

 

 

取材日:2011年8月25日
高田西城病院の外観

医療法人高田西城会 高田西城病院

〒943-0834 新潟県上越市西城町2-8-30
TEL:025-523-2139
アドレス:info@nishishiro-hp.or.jp

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高田西城病院 認知症疾患医療センター

専用TEL:090-7801-7533
専用アドレス:center@nishishiro-hp.or.jp

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