『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【九州沖縄】 > 福岡県 > 福岡県福岡市 山口内科
医療機関を探す

医療介護一体の総合医療をめざす
<福岡県福岡市 山口内科>

山口内科 院長 山口浩二先生 山口内科
院長 山口浩二先生

医療と介護の一体化の医療環境をもつ山口内科。医師、看護師、ケアマネジャー、介護士ら多職種のスタッフが一堂に会するカンファレンスを設け、直接意見を交換しながら最適な医療・介護方針を決めています。家族とともに患者さんが自分らしい生活を全うできる総合医療体制をめざしています。

総合診療をめざして

院長の山口浩二先生は大学卒業後、レジデントとして外科、内科、小児科、産婦人科、放射線科など全科で研修しました。また、お産や画像診断についても専門家から学び、総合医をめざしてきました。各地の大学病院、総合病院で実績を積んだ後、ご実家の医院の跡を継ぎ、1993年に山口内科を有床診療所として改築。現在は19床の入院施設と、外科、内科、消化器科、循環器科、放射線科、小児科の診療科目を有しているほか、「有限会社在宅ケアふくおか」を設立し、一体的な医療介護システムを構築しています。

診療所を改築した1993年当時はまだ認知症を専門的に診るところが少ない状況でした。認知症は老人性痴呆と言われ、一般的に知られている病気ではありませんでしたが、同院を受診する患者さんのなかに認知症の症状を心配して来られる方が多数おられたため、地域の公民館で老人性痴呆に関する講演会を計画。その講演会がきっかけとなり、同院には、さらに認知症患者さんやご家族の受診が増えるようになりました。

まず、認知症を心配して受診される患者さんには、初診で通常はMMSE(認知機能検査)や長谷川式簡易知能テストなどを行い、画像診断なども受けてもらいますが、患者さんのプライドを傷つける可能性のある場合には、ご家族と本人から話を聞き、状況を判断します。「認知症の診断で大事なのは症状を把握すること。認知症であっても自立できていれば問題はないけれど、ひとりでは社会的に生きていくことが難しくなるから、ご家族もご本人も不安になる。そこを判断し、介護が必要であるとか、介護の方針だとかを提案する。つまり総合的に判断するしかないのだと思います」(山口先生)。

 

患者さんを中心にした医療・介護を提供する

また、山口先生は「根拠に基づいた医療」は必要だと言います。ガイドラインに従った治療は必要で正しいと考えています。しかし、その患者さんにとって、ガイドラインに沿った医療が最善だとは限らない、とも言い添えます。

様々な選択肢のある現在の医療・介護環境において、本人の意思を尊重して、本人が治療法や介護の受け方を決めることのできるように提案することが必要だと山口先生は考えています。

「禁煙外来に90歳と40歳の患者さんが受診したとして、90歳の患者さんに禁煙しなさい、とは言わないのが現実的です。しかし40歳の患者さんには禁煙を勧めます。同じ指導でも年齢によって異なります。患者さん側からすれば、したいことと健康になることは異なる場合もあります。高齢者の患者さんなら、したいことを中心にして、医療はそれを助けるくらいでいいと考えています」(山口先生)。

一方で、認知症は家族、社会的な生活を巻き込んでいく病気であり、そのため診断、治療、ケアは一体になって取り組まないと解決できない問題を含んでいます。

認知症患者さんのための施設やデイケアサービスなど、活用できる支援は増えましたが、やはり最終的に診るのはご家族であり、24時間付き合っているのもご家族です。患者さんと向き合ってケアを続けているご家族こそストレスがたまり、苦労することが多くなります。とくに介護をする中心的な人(キーパーソン)は、親身になって介護するからこそ、感情的になることもあると先生は指摘します。

「認知症の介護は、患者さんの行動パターンに合わせていく生活づくりが必要です。ですからご家族には、患者さんを仕切りすぎないように、とアドバイスします。こうしなければいけない、これができないといけないという決めつけはせず、なんとか生活できればいいという程度に考えるようにと促します」(山口先生)。

患者さんがその人らしい生き方を続けるための医療・介護とは、ひとつは患者さんが望む医療を本人が決められることが大切です。もうひとつは患者さんを支える家族をサポートできる医療・介護であることです。山口内科の医療介護スタッフ全員が、そうした医療・介護環境を創るために、まずご家族の苦労や心労を認識するところからスタートする必要があると考えています。

 

スタッフ全員参加のカンファレンスでの情報共有を図る

山口先生がまず実行したのは、連携体制の構築でした。

同院で実践した医療と介護の連携は、いうなれば融合型、一体型といった体制を組んでいるところに特徴があります。

医師、介護士、看護師、栄養士それぞれに患者さんに対するアプローチがあるなか、それぞれがバラバラにケアを実践するのではなく、ひとりの患者さんの病歴、生活歴、今までの治療方針やケアプランなどを全員が情報共有するための時間を設けています。それは毎週木曜日、昼休みの1時間のカンファレンスという形で実施され、この時間には全職員が集まります。毎回、報告と発表をするスタッフ・職種を決め、ひとりの患者さんについてディスカッションを行います。多職種のスタッフが集まるので各自の経験と立場から出てきた意見をもとに、基本となる医療の方向性や介護方針を決めていけるのです。

例えば介護士が報告・発表する日であれば、介護士の話を全員で聞き、何度も転倒をする患者さんについて、どんなことを患者さんに対して行い、どういう点に苦労を感じているかなどを共通認識として持つようにします。そしてどうしたら転倒を防げるのか、部屋のなかで転倒しやすいところはどこか、歩く順路で転ぶ確立の高いのはどこかなどをみんなで考えます。そして施設や住環境での問題点を探ります。「一見、医療とは関係ないような考察でも、ひとりの患者さんに関わる全てのスタッフの視点を知ることで初めて決められる治療法や介護方法がある」と山口先生は言います。

「例えば認知症の薬を出したときでも、患者さんの状態の変化に最も早く気がつくのは介護士さんのことがあります。そしてその変化を全員に伝えてくれるので、医師は薬の効果を判断できるのです。こうした現場の情報を共有することで医療も介護も適切なものになっていくと感じます」(山口先生)。

 

それぞれの立場の視点で患者さんと向き合う

医療・介護が一体型の体制にはスタッフ全員が情報を共有していることが必須です。そのためには、それぞれの立場で患者さんと向き合っていることが前提となります。同院と各施設のスタッフは各自の視点で患者さんの様子を細かく観察し、必要事項を連絡し合うことを徹底しています。

有限会社在宅ケアふくおか 生活相談員・管理者 野村亮介さん 有限会社在宅ケアふくおか
生活相談員・管理者 野村亮介さん


有限会社在宅ケアふくおか ケアマネジャー 藤原久美子さん 有限会社在宅ケアふくおか
ケアマネジャー 藤原久美子さん


有限会社在宅ケアふくおか 訪問介護 管理者 大金初美さん 有限会社在宅ケアふくおか
訪問介護 管理者 大金初美さん


訪問看護師 柳瀬さおりさん 訪問看護師 柳瀬さおりさん

在宅ケアふくおかで生活相談員・管理者を務める野村亮介さんは、患者さんの話をよく聞き、その日の様子を丁寧に見ることが基本と言います。そして、患者さん一人ひとりの体調面などをケアマネジャーと共有するための連絡を欠かさず行っています。

「今まで家では何もせず一日を過ごしていた患者さんが施設に通うようになり、家でも笑顔を見せたり、ご家族に施設で行ったレクリエーションのことを話すようになったりされます。そういう変化はずっとお顔を合わせているからこそわかる情報ですから、些細なことでも連絡をして共有するようにしています」(野村さん)。

また同施設のケアマネジャーである藤原久美子さんは「在宅医療の患者さんのケアプランをつくっているのですが、月に何度か訪問するなかで、状態の変化やご本人のご要望などを聞きながらプランを変えていくことになります。また患者さんをいちばん側で支えているご家族の意見も聞き、介護がよりスムーズに行えるようなプランを提案するように心がけます。その際も医療だけではなく、介護もトータルで考えた在宅ケアになるよう、スタッフがチームになって取り組むスタイルが効果的だと感じています」と話します。

在宅ケアふくおかで訪問介護を担当する大金初美さんは、訪問介護は家の中でご利用者と一対一で向き合う仕事だと言います。そのために必要なことは、やはり情報の共有だとも。

「ひとりのご利用者を2、3人の介護士さんが支援する事もあるので、細かなところまで情報を共有することが必要です。みんなが同じ視線、思いで支援する体制を整えることを心がけています」(大金さん)。

患者さんが自宅介護になった後のご家族の介護の負担にも配慮をする必要があると言うのは看護師の柳瀬さおりさん。「入院されていた方が在宅介護になると、基本的にはご家族で介護をされるようになります。定期的に訪問するうちに、在宅生活の状態が安定しているのを見ると、このまま在宅生活が継続できるなと思い、うれしくなります。ご家族も含め、介護士さん、ケアマネジャーさん、先生に相談しながら取り組むチーム医療の良さです。終末期を迎えられても、家で診られるような体制で関わっていければ、と思っています」。

医療だけでも、介護だけでも患者さんにとって最適な医療環境は満たせないと考える山口先生は、「ご家族、多職種のスタッフがひとりの患者さんについて同じ視点で話をすることが大事」だと指摘します。

 

医食同源を実現する食事宅配サポート

患者さんの気持ちを尊重し、その人らしい生活を支える医療・介護体制実現のために山口内科が取り組んでいることに、「食事宅配サポート」があります。同院には3診と呼ばれる外来栄養指導室があり、3人の管理栄養士が患者さんに栄養指導を行っています。また、外来に来られなくなった患者さんには、在宅訪問をして栄養指導を行っています。

管理栄養士 本山衣理子さん 管理栄養士 本山衣理子さん

食事の宅配サポートにより在宅の患者さんにも栄養指導を行っている 食事の宅配サポートにより
在宅の患者さんにも栄養指導を行っている

管理栄養士の本山衣理子さんは最初に看護師や介護士に患者さんの情報を聞き、患者さんの食事の様子を観察することからはじめると言います。

「食べ方や食べるときの姿勢、好みなども実際に見ると献立を考えるヒントになりますし、調理方法も変えることができます。気づいた点は、ご家族にもアドバイスをします」(本山さん)。

しかし治療食を自炊するのは難しいと訴えるご家族が多いのが現状。そのため患者さんを入院させることになることもあるそうです。

そこで同院では、一汁三菜の食事を温かい状態で宅配することを考え、治療食が必要な在宅介護の患者さんを対象に、昼食と夕食を届けるようにしました。

「ミキサーでスープ状にしたものしか食べられなかった患者さんが、食べることに楽しみを感じ、形のあるものを食べるようになられたりすると、栄養状態も改善しますし、うれしくなります」(本山さん)。

「医食同源というように、食事は薬と同じくらい大切で、食事の内容で体調や症状が変化します。しかも毎回同じようなお弁当などの食事では楽しく続けられません。栄養も、楽しく食べられることも大切」という山口先生は、こう締めくくりました。

「医療の理想型を求めて何かを創りたいと思ってきたわけではないのです。患者さんと向き合って、何をしなければいけないのかを感じ、必要なものを作り提供する工夫を続けてきたし、これからもそうだと思っています。そこだけはぶれないようにしたいと思っています」。

 

 

取材日:2011年9月16日
山口内科の外観

山口内科

〒814-0002
福岡県福岡市早良区西新5-14-45
TEL:092-821-2448

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ