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高齢者向け居住系施設への訪問診療に注力
<東京都世田谷区 深沢1丁目クリニック>

深沢1丁目クリニック 医師 鴨下孝志先生 深沢1丁目クリニック
医師 鴨下孝志先生

自宅で家族と暮らす高齢者だけでなく、施設で暮らす高齢者にも医療は必要です。クリニックと高齢者施設、医療スタッフと介護スタッフが連携協力する取り組みが関東で始まっています。

施設で暮らす300人を訪問診療

世田谷区の落ち着いた住宅街にある深沢1丁目クリニック。

一見、普通のクリニックですが、表の看板には診療科目と並んで「在宅医療」「完全予約制」という文字が掲げられています。同クリニックは外来診療も行っていますが、メインは訪問診療。特に高齢者向け居住施設への訪問に力を入れ、グループホーム、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅などの約300人の患者さんの診療を行っています。

同クリニックは、同じように訪問診療に力を入れるクリニックの連携組織である「関東訪問診療ネットワーク」の一員です。このネットワークには1都3県の15の医療施設(5医療法人)が参加しており、2011年1月時点で訪問先が約130施設(訪問先施設運営法人数約50)、約3500人の患者さんの診療を担当しています。ネットワークの全クリニックが「在宅療養支援診療所」の認定を受けており、グループ内の医師、看護師が連携することで24時間365日体制で訪問診療、緊急対応ができる体制も整っています。

深沢1丁目クリニックの院長である鴨下孝志先生は、この「関東訪問診療ネットワーク」の推進役を務めてきたキーマンでもあります。

鴨下先生は医学研究所や総合病院で勤務した後、介護老人保健施設の施設長を務めたという経歴を持っています。最先端の医療施設だけでなく介護の現場にも身を置き、家族や施設スタッフが悩みや不安を抱えつつ奮闘する姿を目の当たりにしたことから、施設への訪問診療に力を入れるようになったのです。

 

欠かせない施設スタッフとの連携

「訪問診療は基本的に月2回です。次に医師がやってくるまでの2週間、患者さんの様子を施設スタッフのみなさんがきちんと把握して、医師に伝えてくださる仕組みを作ることが何より大切です」と鴨下先生は語ります。

それには、認知症に限らず病気についての知識や投薬によって期待できる効果、注意すべき副作用について施設スタッフに勉強してもらうことが必要になります。そして訪問診療の時に適切な報告を受けることができれば、医師は安心して治療を次のステップに進めることができます。

施設スタッフも医師から信頼され、一人ひとりの患者さんに注意深く向き合うことで、仕事のモチベーションがあがるという、よい影響が見られるそうです。

「特に認知症の場合は、患者さんの生活上の小さな変化、たとえば、自分から外に出かけたいと言ったとか、朝食時にお箸を持てる日があったとか、そういう小さな出来事も、治療を進める上での重要な手がかりになります。入居型の施設で暮らす高齢者は程度の差はあれ、ほとんど全員が認知症を抱えているのが現状ですから、介護スタッフとの連携はとても大切なのです。重度の認知症患者さんの場合、薬の副作用が出てもそれを把握するのが難しくなるので、薬品の副作用の特徴とそれが食欲や体調に具体的にどのように影響する可能性があるのか、目を配るべきポイントを説明し、状況によっては連絡して下さいと、お願いしています」(鴨下先生) 。

 

回想療法で明るくなる患者さんも

鴨下先生は認知症治療のひとつとして、「回想療法」にも力を入れています。「回想療法というと、専門のスキルや資格を持っていなければできないというイメージもありますが、決してそうではありません。身近な人が患者さんの昔話にじっくり耳を傾けてあげる。ただそれだけのことで認知症の患者さんが元気になるのです」と鴨下先生は語ります。

重度の認知症患者さんでも子供のころの出来事は鮮明に覚えていて、正確に伝えられるケースは少なくありません。「戦争中のこと、たとえばB29から逃げた時の情景や、家族・友人の様子、自分が助かった経緯などをはっきりと覚えている方もいます。若い世代に体験を伝えたいという思いは消えずに残っているようで、良い聞き手がいると、時間を忘れて熱弁されますよ」(鴨下先生)。

大切なのは、患者さんの話を、ただじっくりと聞いてあげるということです。「ご家族や施設スタッフの方たちは、介護に疲れ切っていることも多く、要領を得ない思い出話や何度も聞いたエピソードをじっくり聞く心の余裕はなかなか持てないかもしれません。しかし、患者さんが話すのにまかせて適度に相づちを打ち、先を促しながら聞くという行為は、やってみると案外、難しいことではないのですよ。認知症の患者さんが、自分の体験を語ることで、前向きな気持ちになったり、表情が一気に明るくなることも多いので、介護に携わるみなさんには、ぜひ、一度、『じっくり話を聞く』ということを試してみて欲しいと思いますね」と鴨下先生は語ります。

 

「変わって欲しい」から「変わらなくていい」へ

認知症の患者さんは年々増えているのに、多くの人が認知症に関してよく理解できていないことを鴨下先生は心配しています。

治療によって症状が改善することを期待し、もとの状態に戻ることを願う家族も少なくありません。認知症の治療は病気の進行を遅らせるものであって、根本治療ではないということを理解していない人が多いのです。

「治療に対して過剰な期待を持っていると、その願いが叶わない現実に直面して落ち込んでしまうという結果を招きます。そして治療に対して投げやりな気持ちになったり、最悪の場合、治療や薬をやめてしまうことも少なくありません。『症状に変化がないのは薬が効いてないからだ』というのは全くの間違いで、薬が効いているから進行が抑えられ、『変わらない』状態を保てているのです。治療をやめれば病気は確実に進行するでしょう」(鴨下先生)。

このような誤解は、一般の人や患者さんの家族だけに限りません。高齢者施設のスタッフも、認知症やその治療についての誤解や誤った知識を持っていることがあり、薬を飲んでも良くならないという誤解に加えて、薬を飲むと患者さんが怒りっぽくなるという間違った認識も一時、介護スタッフの間に広まったことがあるそうです。

「認知症について正しい知識を持ってもらうために、セミナーなどにも力を入れていきたいですね。何よりも大切なのは、小さな異変に気づいたら、早めにかかりつけ医に相談して、早期に治療を開始することです。そして、治療を開始したら、正しい知識を身につけながら、あきらめずに皆で協力して取組んでいくこと。それが認知症と向き合う上で必要なことなのです」(鴨下先生)。

 

 

取材日:2011年8月22日
深沢1丁目クリニックの外観

深沢1丁目クリニック


〒158-0081
東京都世田谷区深沢1丁目39-10
TEL:03-5758-8310

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