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医療・介護・行政そして教育が連携する地域作り
<熊本県菊池市 認知症の人と共にくらす会“きくち”>

菊池中央病院 医師 曽山直宏先生 菊池中央病院
医師 曽山直宏先生

熊本県菊池市の認知症の人と共にくらす会“きくち”は、脳神経外科医の曽山直宏先生をはじめ、病院長、市役所職員、介護施設の施設長などを主なメンバーとして活動を展開してきた市民団体です。組織の枠を越え、医療が介護、行政、さらには教育とも連携し、認知症の人が安心して暮らすことのできる地域作りが行われています。

多職種がメンバーとなり市民団体を発足

認知症の人と共にくらす会“きくち”は、菊池中央病院の脳神経外科医である曽山直宏先生が会長を務め、菊池有働病院の院長で精神科医の大塚直尚先生、菊池市の市役所職員である梁池哲也さん、介護老人保健施設「孔子の里」の副施設長である松永美根子さんを中心に活動しています。

発足のきっかけは、曽山先生が病院単独では認知症の患者さんをサポートできないと感じ、市の地域包括支援担当である梁池さんに勉強会の開催を提案したことでした。介護との連携が不可欠であると感じたことから松永さんにも協力を仰ぎました。

そして、“きくち”発足に関する医療・介護関係者向けの説明会を何度か開催したところ、延べ100人以上の参加があり、医師や歯科医師、看護師、保健師、介護職など多職種をメンバーとする団体に成長しました。

曽山先生は、「医師は普段、同じ診療科の医師や看護師としか話しません。他の診療科の医師や市役所の職員とこんなに話す機会は今までなく、楽しいですよ」と笑います。松永さんも「“きくち”はいろんな職種の方が揃っていて、介護の現場の声が伝わりやすいところが素晴らしいと思っています」と言います。

“きくち”の正式な発足は2007年10月。まず開業医向けの認知症学習会や講演会を開催することで、「何度も参加していただいている開業医の先生方には安心して認知症の患者さんを任せられるようになりました」(曽山先生)。

学習会にはケアマネジャーも参加できます。「難しい内容ですが、ケアマネジャーも熱心に勉強されています。開業医とケアマネジャーが同じ場所で学ぶことでお互いに顔なじみとなってつながりができ、仕事がしやすくなります。まさに一石二鳥、三鳥です」と簗池さんがそのメリットを語ります。

 

専門医が連携して患者さんの他の病気をサポート

菊池有働病院 院長 大塚直尚先生 菊池有働病院
院長 大塚直尚先生

2010年から“きくち”に参加している大塚先生は「私は体制が構築されてから加わりましたから」と控えめに語りますが、精神科医である大塚先生が加わったことで医療間の連携が強化されたと曽山先生が言います。市が在宅介護をしているご家族にアンケートをとったところ、患者さんが他の病気にかかったときの治療に困っていることがわかりました。骨折したり胃潰瘍などの病気になったときに、認知症ゆえに診察を受けられないためです。

「高齢の認知症患者さんは認知症以外の病気を合併していることが多いのです。そこで私の菊池中央病院と大塚先生の菊池有働病院で連携して治療しています。私の患者さんで認知症の症状がひどくなったら大塚先生の病院にお願いし、症状が軽減したらまた私の病院に戻ってもらうという具合です。精神科医と脳神経外科医はそれぞれ違う見方をしますから、組むと強いですよ」(曽山先生)。

「逆に、認知症を疑って検査に来る患者さんのなかには、水頭症と診断される患者さんもいますから、その場合は曽山先生につなぎます」(大塚先生)。

 

小中学校での認知症学習会で教育とも連携

介護老人保健施設 孔子の里 副施設長 松永美根子さん 介護老人保健施設 孔子の里
副施設長 松永美根子さん


菊池市役所市民部生きがい推進課(地域包括支援担当) 
梁池哲也さん
菊池市役所市民部生きがい推進課
(地域包括支援担当)  梁池哲也さん

一方で、地域での支援体制を整えてきたのが松永さんです。認知症サポーターやキャラバン・メイトを育てる熊本県認知症介護指導者でもある松永さんは、まずは“きくち”の中で認知症サポーター養成講座を開催。そしてサポーターのなかから、認知症学習会などで講師を務める認知症アドバイザーリーダーを半年かけて養成しました。

曽山先生をはじめとするアドバイザーは現在チームを作り、市民を対象に認知症学習会などを開催していますが、ユニークなのは小中学校の児童や生徒も対象に啓発活動を行っている点です。

「子どもたちは大人よりも話の内容の吸収が早いんですよ」と曽山先生が言えば、「例えば自治会などでサポーター養成講座を開いても、参加者は帰宅すると資料をポンとテーブルに置くだけで家族には何も話しません。でも子どもは食事のときに、『今日こういう話を聞いた』と家族に話すわけです。ひとり暮らしの子どもはまずいませんから、子ども1人に認知症を勉強してもらうとサポーターが一気に3人くらいできます」と、その効果を梁池さんが力説します。

精神科医である大塚先生も、「自殺との関連でうつ病が注目されていますが、それを防ぐために懸命にテレビコマーシャルを放映してもなかなか自殺は減らず、また精神科の敷居もあまり低くなっていません。だからこそ“きくち”の活動が教育とも連携していることにロマンを感じました。子どもの頃から精神疾患を知るのは大切なこと。脳の病気は普通に起こるということを子どものうちに知って、学習会などに参加できない大人にも伝え、さらにその知識を持ったまま大人になってくれるといいですね」と将来的なメリットも挙げます。

 

「夜間徘徊見守り支援実態調査」から地域資源マップを作成し地域の人々を巻き込む

認知症患者さんとご家族が住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、支え合う地域作りを進めていくことが必要です。菊池市では、「地域資源マップ」を作成しました。地域資源マップとは、認知症患者さんとご家族が活用できるさまざまな地域資源を地図に掲載したものです。地域資源マップを作成するために、“きくち”が中心となって夜間徘徊見守り支援実態調査を行いました。

「松永さんの提案で21時、0時、3時、6時に見回ったわけですが、実際に早朝などに集まって歩くことではじめてわかることがありますね」と大塚先生。

「夜中でもコンビニは開いていますし、3時になれば新聞の販売店に人がいます。6時になればゴルフの練習をしたり、ウォーキングする人が出てきます。このように、地域資源がだんだんと見えてきたのです。人は普通、明るいところを目指して歩きますから、認知症の人が夜間に徘徊するときにはコンビニを目指すかもしれません。もしコンビニの近くでうずくまっている認知症の人がいたら、店員さんに見守ってもらえると助かりますので、店員さんにもサポーター養成講座を受けてもらうのです」(梁池さん)。

地域の人材を「資源」とみなしていい形で巻き込み、サポーター養成講座を受講した認知症地域見守り協力者は500人、協力店舗・事業所は50ヵ所を超えました。

“きくち”の今後の課題としては、ご家族へのサポートの強化が挙げられます。ご家族が悩みや愚痴を話すことができる「介護家族の集い」を市が定期的に開催しており、“きくち”もサポートを行っています。

認知症の人と共にくらす会 認知症の人と共にくらす会
"きくち"の中心メンバー

「“きくち”としてこれを継続していきます。介護し終わった人たちにお世話役となってもらい、ボランティアにも協力してもらって、介護が大変でそういう場になかなか来られないご家族も参加できるようにしていきたいと思います」(曽山先生)。

このように、菊池市では医療、介護、行政そして教育までもが連携することで、地域の人々が職業・職種に関係なく、認知症の人と共に暮らし、支えることができる地域作りが着々と進められています。

 

 

取材日:2011年9月7日

菊池市地域包括支援センター
 〒861-1392
 熊本県菊池市隈府888番地
 TEL:0968-25-7216

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