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独自の「治療的介護」で重度認知症患者のデイケアに取り組む
<福岡県北九州市 三原デイケア+クリニック りぼん・りぼん>

理事長 三原伊保子先生 理事長 三原伊保子先生

2001年、北九州市小倉に開業した三原デイケア+クリニック りぼん・りぼんは、外来の診療で認知症の早期発見・早期治療に取り組む一方、重度認知症患者デイケアやデイサービスにも注力。症状や機能の改善を念頭において介護するという「治療的介護」に意欲的に取り組んでいます。

精神科医として30年前から認知症と向き合う

「私が精神科の医師として認知症の診療を始めたころ、患者さんとご家族の多くはどの病院の何科を訪ねればいいのか分からず途方に暮れておられました」――三原デイケア+クリニック りぼん・りぼんの理事長、三原伊保子先生は約30年前の様子を振り返ります。

1983年に老人保健法が施行される数年前、三原先生が勤務していた病院では、「寝たきり防止と家族支援のために、認知症患者が日中過ごす場所を提供してはどうか」という看護職の提案によって職員寮の1階をケアの場所として提供。日本の高齢者デイケア事業において先駆的な役割を果たしました。

「私はいわば“認知症デイケアの創生期”からこの仕事に関わっていました。ですからずっと頑張って続けていきたいという思いは強かったですね」(三原先生)。

そんな志をもって三原先生が同クリニックを開業したのは約10年前。「りぼん・りぼん」という名前は、「reborn(生まれかわる)」「live on(生き続ける)」という意味で、先生を含めたスタッフ全員が「新たな気持ちで出直し、頑張っていく」という覚悟から付けたものだそうです。クリニックでの診断、治療のほか通所介護、居宅介護支援などさまざまなサービスを提供し、2005年からは軽度認知障害(MCI)の人を対象とする発症予防の教室も開いていますが、なかでもいちばんの特徴は重度認知症患者デイケアにあります。

 

医療保険をベースにした重度認知症患者デイケアに注力

ヒノキの香りに包まれてリラックスできるお風呂 ヒノキの香りに包まれてリラックスできるお風呂

「介護保険制度ができてから、認知症のケアは介護を中心に語られることが多くなりましたが、医療も介護と同等に重要です。その考え方に立って、医療保険をベースとする重度認知症患者のデイケアに力を注いでいます」と三原先生は同クリニックの方針を語ります。

幻覚や妄想、徘徊など周辺症状が重くなると介護するご家族の負担は増えます。これを軽減するには、やはり重度の患者さんを引き受けるデイケアが必要ではないかという思いが、この事業の出発点でした。また、介護保険の対象年齢になる前に認知症を発症した患者さんに、サービスを提供する施設が少ないことも背景にありました。

同クリニックで診察を受ける認知症患者さんは月に150~180人程度で、重度認知症患者デイケアを利用しているのは45~50人。

デイケアにおいて三原先生は治療的介護、これは先生の造語ですが、ただ単に介助や介護をするだけでなく、症状の改善に向けた治療的なアプローチを取り入れることを方針に掲げ、実践しています。

敬老祭の前日、忙しく準備に当たるスタッフたち。
「敬老祭」の垂れ幕は患者さんも手伝って作られた
敬老祭の前日、忙しく準備に当たるスタッフたち。
「敬老祭」の垂れ幕は患者さんも手伝って作られた

「認知症は進行性の変性疾患で改善しないという意見もありますが、私は会話などのコミュニケーションによって良くなる部分もたくさんあると考えています。だから薬物療法もしますが、毎日通所してもらって介護を通じて常に改善していく、あるいは進行を遅らせることを重視しています」(三原先生)。

その三原先生が絶大な信頼を寄せるのが、副院長で作業療法士の廣澤美佐子さんと介護福祉士の大内千賀子さんの2人。かつて“認知症デイケアの創生期”に同じ病院に勤めて志を同じくし、同クリニックの開業とともにスタッフに加わったベテランです。

 

介護しながら症状を改善する治療的介護を実践

介護福祉士 大内千賀子さん 介護福祉士 大内千賀子さん

治療的介護の目的は「残存能力の活性化」「ADL(日常生活動作)の改善」「各症状の軽減」の3つを軸に、患者さんのQOL(生活の質)を上げること。そのために大内さんたちは“過介護から適介護へ”をモットーに患者さんと向き合っています。

「簡単に言えば、余計なお世話はせず、患者さんが日常の生活を自分でできるよう工夫するのが私たちの仕事」と大内さんは言います。

例えば患者さんがトイレに行ったら、手を取って腰に当てて“ここで脱ぐ”ことをできるだけ思い出してもらうようにします。それが改善につながるというのが、治療的介護の基本的な考えです。

大内さんたちが日常の業務の中で意識しているのは、患者さんそれぞれの「キーワード」を見つけること、そして患者さんに関する情報をスタッフが漏れなく共有することです。

「“常に改善”ですから、声掛けの一つ一つの言葉がすごく大事になります。キーワードとは、例えば患者さんがよく使っている言葉。自分で使っているということは意味が分かっている可能性が高いので、私たちが語りかけても理解される場合が多いんです」(大内さん)。

そして「こう言ったら納得して行動された」「この言い方ではだめ」とスタッフ間でもこまめに伝え合い、チームとしてケアしています。

作業療法士 廣澤美佐子さん 作業療法士 廣澤美佐子さん

作業療法士である廣澤さんは担当するリハビリテーションにおいて、そうした情報を共有しながら「患者さんができる作業を見つけることがいちばん大事」だと言います。

「例えば折り紙のやり方は一人ひとり違います。折り方の手順を一つ一つお伝えすればできる人もいれば、仕上がりの見本を真似て作れる人もいます。その人に合ったやり方を私たちが見つけて、うまくできれば患者さんに笑顔が浮かびますし、笑顔を見ればご家族も安心しますから」(廣澤さん)。

そうした患者さんたちへのスタッフの配慮は、デイケアの間ずっと途切れることはありません。

「風邪は3日で治るけれど認知症は3日では治りませんし、病状が進めば日常の行動も変わります。長いおつき合いをしていくという心構えで対応しています」と言う大内さんの言葉はベテランらしい落ち着きに満ちています。

 

「頑張りすぎないで、我慢ばかりしないで」

全スタッフに治療的介護を徹底している同クリニック。しかし三原先生は、患者さんのご家族には「ああしろこうしろといった指示や叱咤激励はまず言いません」と語ります。

「なぜなら叱咤激励して症状が改善した例はありませんから。家庭は、ゆったりのんびり安心して過ごすところ――それが長い間認知症に携わってきて行き着いた、私なりの結論です」(三原先生)。

もちろんご家族の中には、家庭での対応についてアドバイスを積極的に求める人、新聞やインターネットで認知症の情報をたくさん集める人が少なくありません。

「でも“やらなきゃいけない”と頑張りすぎると、かえって続かないことが多いのです。認知症の治療は長丁場ですから、無理なく続けることがいちばん大事」というのが三原先生の持論。そして「ときには親子でケンカしてもかまわない」と言います。

「ぶつかることもあるのが親子というもの。我慢ばかりしていてはフラストレーションがたまりますから、何かムッとすることがあったら3回に1回はケンカすればいい。でも2回は我慢しましょう」 と実践的なアドバイスを送っています。

 

根治療法の開発、地域での医療と介護の連携がこれからの課題

三原先生は治療的介護に取り組む一方、中核症状に対する治療薬の研究開発に大きな関心と期待を寄せています。

「いまでは治療薬が増えましたが、私が認知症に取り組み始めたころ、できることといえば作業療法などの非薬物療法と、周辺症状に対する向精神薬の処方くらいでした」と三原先生は述懐します。

中核症状に対して出せる薬はなく、「診断してもできることがないなら“高齢なのだからもの忘れはあって当然”でいいじゃないか」と言う医師も少なくなかったといいます。

「ですから初めて認知症の治療薬が出たときは嬉しかったですね。いまでは選択肢が増え、より患者さんに合った薬物療法を考える余地が生まれたことはとても喜ばしい」。三原先生はそう顔をほころばせる一方で、今後の課題は根治療法の開発だと語ります。「根治薬はまだありませんし、ワクチン療法の開発などを期待して待つしかありません」

三原先生は地域における医療と介護の連携も今後の重要な課題だと指摘します。医療機関同士の連携はもちろん重要で、同クリニックでも脳血流検査等に関しては、高度な検査機能を持つ近隣の病院と密に連携しています。そして「今後は医療と介護の連携がさらに重要になる」と力を込めて語ります。

「認知症の患者さんとそのご家族を支える体制づくりをもっと地域全体で強化しなければなりません。そのためには地域包括支援センターなど行政も含めた関係機関の連携が必要です」(三原先生)。

その言葉には、自身もまた連携の一翼を担うことへの強い意志が込められています。

 

 

取材日:2011年9月12日
三原デイケア+クリニック りぼん・りぼんの外観

三原デイケア+クリニック りぼん・りぼん


〒802-0016
福岡県北九州市小倉北区宇佐町1-9-30
TEL:093-513-2565

施設のホームページへ

 

地域密着型介護通所介護_りぼん・りぼんの外観

地域密着型通所介護 りぼん・りぼん


〒802-0016
福岡県北九州市小倉北区宇佐町2-5-17
TEL:093-513-2565

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