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患者さんも介護する人も笑顔になれる医療・ケアを求めて
<東京都立川市 鈴木慶やすらぎクリニック>

院長 鈴木慶先生 院長 鈴木慶先生

東京三多摩地区の中心都市、立川市で脳神経外科専門医が開いた鈴木慶やすらぎクリニック。多くの脳梗塞後遺症や血管性認知症に急性期から慢性期まで関わってきた経験から、現在では、脳外科の専門領域を超えて、外科的に治せないアルツハイマー病などの認知症患者さんやご家族と外来診療で向き合っています。患者さんの気持ちを大切にしながら、介護する家族の肉体的、精神的負担も軽減できる、双方が笑顔になれる医療・ケアを求めて、日々奮闘しています。

治療とケアはだれのためにするのだろう

院長の鈴木慶先生は、脳神経外科の専門医で、脳神経外科病院を開設して脳卒中患者さんの救急受け入れなど、東京都の二次救急にも携わっていました。

MRI室 MRI室

脳卒中は急性期だけでなく、後遺症などの慢性期のケアが必要となることから、在宅医療、老健施設、訪問看護ステーションなど医療法人の10事業所も運営し、脳卒中なら急性期から慢性期までトータルに患者さんと関わっていける体制をつくっていました。その中で、脳卒中から脳血管性認知症になっていく患者さんやアルツハイマー型認知症の患者さんらと接し、救急医療も大切だが、高齢化時代を迎え外科的治療などでは治らない認知症が問題になると考え、真剣に取り組もうと2006年に外来だけの鈴木慶やすらぎクリニックを開きました。脳神経外科の専門医の認知症分野での活躍の場は、CTやMRIによる画像診断と外科的な治療が主と考えがちですが、同クリニックでは、アルツハイマー型認知症も含めた、外科処置で治せない認知症患者さんの治療やケアを中心にしています。

特に専門医から学んだわけではなく患者さんやご家族と触れ合う中から手探りで学んできたという鈴木先生は、「認知症の医療というのはだれのためにあるのだろう」といつも問いかけていると言います。

「認知症を、管理ができず、社会的な問題を生む疾患ととらえているために、患者さんを社会で管理しやすい行動パターンに仕向けているのが、現在の認知症医療なのかもしれません。その一方で、献身的な介護で疲弊している介護者の負担を軽減するためにサポートすることも重要な医療行為だと思います。患者さんの希望と、ご家族の希望が異なっているかもしれないと思うと、大変悩みます。患者さんの気持ちを尊重し、ご家族の日常生活を守るにはどうすればいいのか。常に自問自答しています」と、認知症治療の奥深さを指摘します。

 

認知症は「もの忘れ」ではなく「覚えられない」病気

鈴木先生は「ご家族が患者さんを懸命に介護している事実はよくわかるのですが、患者さんの思いとすれ違いがあり、お互いが疲れ切ってしまっているような状況が現実です」と分析します。その第一の原因が、認知症という病気を正確に理解していないからだと言います。

「認知症=もの忘れ」と考えられていますが、「認知症は“もの忘れ”ではなく“覚えられない”病気です」と、鈴木先生は強調します。具体的には、患者さんが朝食後に何度も「朝食を食べていない」と言うのは、食べたという出来事を覚えられないのです。お湯を沸かすためにガスレンジの火をつけても、覚えていないから空焚きになってしまうのです。これが繰り返されると、ご家族は患者さんを責め、もの忘れを防ごうと、小学校のドリルをさせて脳の活性化を試みます。しかし、患者さんは無理強いされている感覚と、子供じみた行為をさせられる屈辱感のためにいらだち、一方、ご家族は患者さんの記憶力が回復しないので絶望します。こうして互いの関係性が悪くなります。認知症という病気の本質、すなわち覚えるメカニズムに問題があるということを理解し、対処方法を考えることが重要です。

また、鈴木先生は、全てが記憶できないのではなく、経験した出来事の記憶は残らないが、感情の記憶は残ることが問題だと指摘します。例えば、失禁したことは覚えていられませんが、ご家族にとがめられて惨めな思いをした感情は、よく覚えているのです。先に例に出したドリルやトレーニングも、トレーニング自体は記憶回復の役に立たず、屈辱感と無理強いされた怒りだけが記憶されます。もちろん、楽しく取組めると、嬉しい感情が記憶されます。「患者さんは感情的なことは忘れないという点をご家族や介護者が理解することが、治療やケアをするうえでもっとも大切だと考えています」と、鈴木先生。

 

患者さんの世界観も大事に、ご家族の日常生活も崩さない

鈴木先生は「患者さんの感じる世界とご家族や介護者の希望する世界は違うということもわかっておくことです」と、説きます。ご家族や介護者にとっての“徘徊”も、患者さんには外気に触れる気持ちの良い散歩かもしれません。それを無理に連れ戻されると怒りを覚えます。また、ご家族や介護者は“失禁”と考え、オムツをはかせますが、患者さんは、トイレに行く意思はあるが、動作が間に合わないだけという思いがあり、オムツが屈辱になります。

「だれでも不当な扱いをされたら憤慨するでしょう。言葉の通じない国で身に覚えのない事件の加害者にされると、弁解をしたくても、説明ができずに困惑し、不安になります。患者さんの状態も全くそれと同じです」と鈴木先生は言います。

患者さんの困惑を不安とくみとると、それぞれの行動が変わってきます。“失禁”の場合、日中なら患者さんの尿意に気づいたら、少し介助するだけでトイレに行くことができ、患者さんも喜びの気持ちを抱くのです。しかし、ご家族側からすると、常に気を配っているわけにはいかず、夜間の排泄介助は翌日の仕事にも差し支えます。そんなときには、患者さんに「朝早く起きてトイレに行ってもらうから夜はオムツでごめんね」と、声をかけることで患者さんの気持ちも安らぎます。

ご家族は患者さんの世界観を認めるとともに、患者さんは“感性”は失っていないということをしっかりと理解することが大切です。そして、ご家族も自分の生活や感情を犠牲にすることなくケアすればよいと、鈴木先生は考えています。

「患者さんにとってもっとも望ましいことは、笑っている家族のもとで穏やかに長く暮らすことなのです。しかし、患者さんの行動や感情をすべて受け入れて笑顔でいるのはほとんど不可能です。ご家族の生活リズムを崩さず、介護者の身体的、精神的な負担も減らすことによってケアに余裕が生まれ、ご家族や介護者の顔が明るくなります。そのためには、患者さんの気持ちをくみつつ、向精神薬を必要最小限使用することもやむを得ません。患者さんとご家族、介護者がお互いに笑顔で暮らすにはこういった矛盾を認めることも現状では仕方がないのです」(鈴木先生)。

 

患者さんの行動を知ることで治療やケアに変化が

鈴木先生は初診の際、ご家族に時間をたっぷりとって認知症について詳しく話します。

「クリニックを開業してから患者さんやご家族のお話をじっくり聞けるようになりました。そして、患者さんの気持ちに寄り添えば、強制的に薬などで抑制しなくても症状を抑えることができることを確信できるようになりました。処方する向精神薬の量も激減しました。ご家族にもそのように説明して、できるだけ薬は使わない方針になっています」(鈴木先生)。

根治療法がみつからない以上、できるだけ早期からの治療が大切だと鈴木先生は言います。薬物治療によって進行抑制ができるようになりましたが、その効果はより早期に開始した方が顕著との感触を持っているそうです。そのため、早期の患者さんにも積極的に認知症治療薬を投与する方針にしています。また、鈴木先生は認知症の根本的治療として神経細胞に悪影響を及ぼすアミロイドβの凝集・蓄積を阻害する製剤やワクチンの開発に期待を寄せています。「ワクチンの治験が始まればすぐにでも参加する方針です。患者さんやご家族に貢献できると思うことは積極的に取り入れていくつもりです」と、患者さんにもご家族にも身体的、精神的に負担がかからず、笑顔の家族の輪の中で気持ちよく患者さんが暮らせる認知症医療を目指してチャレンジは続きます。

 

 

取材日:2011年7月23日
鈴木慶やすらぎクリニックの外観

鈴木慶やすらぎクリニック


〒190-0003
東京都立川市栄町3-43-3 たかすぎビル101号
TEL:042-538-7135

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