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複合施設のメリットを生かして患者さんに優しい認知症ケアを
<千葉県柏市 北柏リハビリ総合病院>

院長 杉原浩先生 院長 杉原浩先生

内科、神経内科、整形外科、眼科、リハビリテーション科、歯科などの診療科を持つ北柏リハビリ総合病院は、一般病棟のほかに、療養病棟と認知症患者さんを受け入れるための精神科病棟を持つ病院です。併設する介護老人保健施設とも連携し、「医療」と「介護」の両視点から充実した認知症ケアを行っています。

3年前に「もの忘れ外来」開設 認知症患者さんは増加傾向に

北柏リハビリ総合病院の院長である杉原浩先生は、神経内科医として大学病院に25年以上勤務してきました。当時も軽度の認知症患者さんを診察することはあったものの、より多くの認知症患者さんと深く関わりを持つようになったのは、7年前に同病院に就任してからだと言います。

外来を受診される認知症患者さんの数が年々増えていることを感じ、3年前に「もの忘れ外来」を開設。現在では、1カ月に4~6人の初診患者さんが来院しているとのこと。もの忘れ外来は予約制で、問診やスクリーニング検査からMRI、SPECTまで、システム化された検査で診断を行っています。

同病院は、同じ建物内に介護老人保健施設を併設しています。また、1階には一般病棟と療養病棟があり、2階には認知症患者さんを専門に受け入れる精神科病棟を備えています。そのため、問題行動がない軽度の患者さんなら一般病棟や老健施設などでケアを行い、一般病棟などでのケアが難しい場合は精神科病棟に移動してもらうなど、症状に応じて患者さんに最適な環境でのケアが可能となっています。

「認知症ケアには、医療以上に介護が重要。当院では『感謝な心を持ち、認知症患者さんとご家族に優しい医療と介護』をモットーに、医療だけでなく日常生活の指導、訪問看護や介護保険の手続きなど、さまざまなサポートを行っています」(杉原先生)。

同病院には、スタッフに共通する意識や患者さんを笑顔にするための工夫が数多く見られます。病院の壁や天井などに描かれているたくさんの絵画類もそのひとつ。まるで病院全体が巨大なキャンバスのように、病院の外壁や病棟の天井、談話室の壁などに色彩豊かな絵が描かれています。これは理事長の知人である画家、絹谷幸二氏や東京芸大の学生さんたちによって描かれたもので、少しでも患者さんに楽しんでもらいたい、色彩が患者さんに与える刺激によって脳を活性化させたいという意図で作成されたものだと言います。

 

その人らしさを大切にする「パーソン・センタード・ケア」を目指して

副院長・保健管理局長 慶田城順子さん 副院長・保健管理局長
慶田城順子さん

看護師 飯塚美佐子さん 看護師 飯塚美佐子さん
介護福祉士 大竹和弘さん 介護福祉士 大竹和弘さん

副院長であり、保健管理局長でもある慶田城順子さんは、スタッフ一同で「パーソン・センタード・ケア」=「一人ひとりに対応するケア」を心がけていると言います。「1日1回その人が笑顔になれるように」を病棟での合言葉にし、定期的にスタッフの勉強会や研究発表会なども行っています。介護福祉士の田中庸介さんも、「認知症である“人”として見る」という研究を発表したひとり。

「嫌なことがあると騒いでしまうとか、何でも食べてしまうとか、認知症患者さんにそういうイメージを抱いている人も多いと思うのですが、この仕事に携わるようになって、そういう人はごく一部だと気づきました。接して初めて認知症患者さんに対する考え方が大きく変わったのです。実際に関わってみないとわからないのが認知症だと思いました。『その人らしく』いていただくために、まず患者さんの目を見て話すこと、触れることが大事だと実感しています」(田中さん)。

慶田城さんも、「1対1のケアが大事。たとえ時間は短くても、しっかり向き合っているときにはその人のことを一生懸命考えられますから。スタッフには『1日に1度でもその人に笑顔を向けていこう』と伝えています」とのこと。その考えはスタッフに浸透していて、看護師の飯塚美佐子さんは、「私は治療病棟にいるので、寝たきりの方やずっと点滴をしている方も多いのですが、寝ていると天井しか見えないですよね。そういう患者さんにどう笑顔になってもらうか、みたいなことはいつも考えていますね」と言います。

また、介護福祉士の大竹和弘さんも、患者さんと素直な触れ合いを重ねることで信頼関係が築けると考えています。

「認知症の方の対応は難しいと言われるけど、ふつうに目を合わせて、話をして、肩に触れたり手を握ったりして、笑顔で接しています。そういうコミュニケーションを繰り返すことで、次第に相手に安心してもらえるようになり、信頼関係ができてくる。1日1日の積み重ねが大切だと思っています」(大竹さん)。

 

患者さんを楽しませ、意欲を高めるために数々の試みを

介護福祉士 内藤梨絵さん 介護福祉士 内藤梨絵さん

介護福祉士 亀井清美さん 介護福祉士 亀井清美さん

介護福祉士 田中庸介さん 介護福祉士 田中庸介さん

同病院では、患者さんの心身の機能向上につながるようにと、お祭りやお花見、運動会など患者さんが楽しめるレクリエーションを多く行っています。介護福祉士の内藤梨絵さんは、クッキングのレクをしたときの患者さんの笑顔が忘れられないと言います。

「いつもはあまり手を動かさない患者さんが一生懸命に料理を作り、食べているときの笑顔は今まで見たことがないぐらい嬉しそうでした。そばにいる私もつい一生懸命になっていました」(内藤さん)。認知症患者さんは、指示をしても理解できないことや、言われたことをすぐに忘れてしまうこともあるため、注意や工夫を重ねながら「安全で安心なレク」を行っています。

また、週に1回、5~6人のグループによる「回想療法」も実施していると介護福祉士の亀井清美さんは言います。

「認知症患者さんは新しいことを覚えることは難しいのですが、昔のことはよく覚えているので、ひとつのきっかけで次々と記憶がよみがえり、あまり話さなかった方が積極的に話すようになることや、つられて隣の方も『そうだったわ』とイキイキと話し始めたりすることもあります。私たちにも新しい発見をたくさん与えてくれますね」(亀井さん)。

介護福祉士の田中さんは、患者さんに何かをしようという意欲を持ってもらうことが大切だと言います。ご家族から「昔、美容師をしていた」という話を聞き、「おしゃれには敏感な方だろうと考え、お化粧道具を持ってきてもらったら、毎朝早く起きて顔を洗い、髪も整えてお化粧をして、そういう話題を持ちかけるとキラキラして、すごく意欲的になりました」(田中さん)。

慶田城さんは、このような事例のすべてがパーソン・センタード・ケアの大切さを実証していると言います。患者さんがこれまでに生きてこられた過程をスタッフが知り、大切にしてきたものを引き出してあげることで、患者さんの脳が刺激され「よりその人らしく」生きられることにつながる、それこそが認知症ケアの原点だと考えています。

 

医療、リハビリ、介護の連携で患者さんとご家族をサポート

介護福祉士の亀井さんは、「認知症ケアはチームケア」と話します。「患者さんへの対処法は三者三様に違うので、それぞれに適した接し方を見つけることはひとりの力では難しい。毎日スタッフ同士で『今日はこういうことがあった』『あんな話をした』と情報を交換するうちに見えてくることも多いので、チームの大切さを強く感じています」。

院長の杉原先生も、認知症のケアには「医療と介護、職種間を超えた連携が不可欠」と考えています。同病院では精神科病棟100床のうち60床が療養病床、40床が治療病床となっているため、「例えばふだんは療養病床にいて、具合が悪くなったら治療病床に移動して、治療してよくなったらまた療養に戻るとか、治療を受けながらリハビリも受けるなどという流れがスムーズにできます。そういう、複合施設のメリットを最大限に生かしたケアを提供できるのが私たちの強み。患者さんがどのような状態のときも、情報共有がしっかりなされている同じ施設のスタッフがケアすることで、ご家族にも安心していただけます」(杉原先生)。

看護師 植松明美さん 看護師 植松明美さん

ソーシャルワーカー 二橋千鶴さん ソーシャルワーカー 二橋千鶴さん

その「家族」との連携やフォローも、認知症ケアには欠かせないと言います。看護師の植松明美さんも、「患者さんのできることをお伝えするなど積極的にコミュニケーションをとり、ご家族と信頼関係を深めていくことに心を砕いています」と話します。また、ソーシャルワーカーの二橋千鶴さんは、特に在宅介護が長いご家族は「患者さんとの距離を保てなくなっていることがある」と指摘します。

患者さんのケアに必死になるあまり、ほかのことが考えられなくなるために、ご家族である患者さんを人に預けることを受け入れ、第三者の力を借りてもう一度家族という関係を再構築しようという気持ちになるまでに数カ月を要することもあるとのこと。「精神科」に対してネガティブなイメージを抱いているご家族も多いため、相談に来られたご家族にはまず、施設内をゆっくり見て回ってもらいます。すると、ほとんどの方が「思っていたのと全然違う」と話し、そこでようやく病院や入院の説明ができるようになると言います。

「ご家族が患者さんとある程度の距離をおくことで良い方向にむかうこともあると理解してもらえるよう、ご家族と施設の架け橋になれたらと思っています」(二橋さん)。

 

ご家族の負担軽減などの「課題」を解消して今後も地域に貢献を

今後の課題としては、「社会全体の連携」と「サービスのご家族への周知と拡充」と杉原先生は言います。社会の高齢化に伴い認知症患者さんは年々増加傾向にあり、今後さらに増えていくことが考えられます。軽度の認知症患者さんのケアなら、老健施設や一般的な病院でも可能なこともありますが、徘徊や妄想などの周辺症状が強くなると、やはり認知症専門の施設でないとケアが難しいのが現状です。

「これからの日本では、どの病院も『うちでは認知症患者さんは診られません』とは言えなくなると思います。社会全体でケアするシステムを作ることを考える必要があるでしょう」(杉原先生)。

そのためにはまず、「地域の連携から」と言います。柏市でも認知症ケアに対する注目度が徐々に高まり、医師会で認知症に関する会を実施していますが、「まだ発展途上。これからさらに医師同士の連携を深めていきたい」と杉原先生は考えています。

また、同時に認知症患者さんのご家族に、認知症ケアを提供している病院や施設のことをよく知ってもらい、ご家族である患者さんのケアを専門家にゆだねることへの抵抗感を減らす努力も必要だと言います。

「まだまだ、施設に預けたり入院させたりすることに抵抗をお持ちのご家族も多いもの。例えば、旅行をしたいときや、介護に疲れたときなどにリフレッシュする時間を持つためにショートステイを利用していただくなど、気軽に活用できるサービスを提供する方法も検討していきたいですね」(杉原先生)。

認知症ケアを通して地域に貢献できることはまだたくさんあると、杉原先生をはじめとする北柏リハビリ総合病院のスタッフたちは考えています。

 

 

取材日:2011年9月14日
北柏リハビリ総合病院の外観

北柏リハビリ総合病院


〒277-0004
千葉県柏市柏下265
TEL:04-7169-8000

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