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患者さんが少しでも長い間社会生活を送れるように
<島根県益田市 益田赤十字病院>

医師 木谷光博先生 医師 木谷光博先生

高齢者の多い島根県西部で認知症治療にあたる益田赤十字病院。ここでは、検査によって早期に正しい診断をして適切な治療を行うことで、認知症の進行を少しでも遅らせ、患者さんが長い間社会生活を送ることができるように努力しています。

正しい診断と治療で認知症の進行を遅らせる

益田市の市街地にある益田赤十字病院は1954年開院と長い歴史を持ち、島根県西部の中核病院として重要な役割を果たしてきました。高齢化の進んだ島根県のなかでも特に高齢者率が高い島根県西部にあることから、近年は、認知症の患者さんを診る機会が増えています。現在、認知症の治療を担当する神経内科には月に約500人の患者さんが訪れ、そのうち100人程度が認知症の患者さんです。

精神科を持たない同院では主に軽症から中等症の認知症の治療を担当し、重症の患者さんは近隣の精神科専門病院に紹介する連携によって、地域の医療機関全体で認知症のケアを行う体制を整えました。

同院の神経内科で認知症治療に対応するのは、赴任して約20年の木谷光博先生をはじめとしたスタッフです。木谷先生は「アルツハイマー型認知症は、放置すれば必ず進行します。しかし、正しい診断をして早期に治療することで、進行を遅らせることができます。少しでも長い間、患者さんに社会生活を送ってもらいたいと考えています」と言います。

ところが、高齢者のみの家庭が多い島根県西部では、患者さん自身が認知症であることに気付かず、来院しないという場合もあります。一方で、地域の開業医で認知症と診断されていた患者さんが、実際は認知症ではない別の病気だったこともありました。そこで、木谷先生は、認知症サポート医として、開業医とのネットワークを構築し、認知症に関する情報提供を積極的に行うことで、正しい認知症の診断や治療が地域全体でできる体制作りに力を入れています。

 

検査によって確実に認知症を診断することが大切

同院では、財布の置き場所を忘れたといったような認知症になる前の物忘れの段階で来院する患者さんが多いことが特徴です。こうした、現在は明らかな認知障害がなく、軽度の物忘れ症候群と診断される患者さんでも、検査によって、この先アルツハイマー型認知症になる可能性がわかることもあります。そのため、たとえ、ごく軽症の患者さんであったとしても検査を欠かすことはできません。また、認知障害が認められても、アルツハイマー型認知症と脳梗塞が原因で起きる認知症では、投与する薬が異なります。この場合もやはり検査によって正しく診断することが大切です。そこで、木谷先生は、患者さんが初めて来院したときには、血液検査やMRI、長谷川式簡易知能評価スケールなどの検査をしっかりと行っています。

「特に、脳血流シンチグラフィーは、最も早期診断の指標となるもので、重視しています」(木谷先生)。

言語聴覚士 角孟典さん 言語聴覚士 角孟典さん

同院では、こうした検査のための設備も充実しています。そのひとつが、アルツハイマー型認知症の診断をするためのADASというテストを行う装置です。この装置は島根県内では初めて導入されたものでした。

言語聴覚士の角孟典さんは「今までの検査では、長い時間がかかりましたので、患者さんに大きな負担をかけてしまい、検査はもういやだというご意見を伺うこともありました。この装置を導入したことにより、簡単に検査ができるようになり、患者さんはもちろん、検査を担当するスタッフの負担も減っています。今後はより多くの患者さんの検査をできるようになると思います」と言います。

この装置が導入され、より多くの検査が可能になった結果、同院で検査と診断を行って、地域の医療機関に送り出すという連携が可能になりました。新しい装置の導入は、地域全体にも、認知症の早期診断、早期治療という大きなメリットをもたらしています。

 

患者さんが確実に薬を飲める体制を整える

こうした検査の結果、認知症と診断された場合、木谷先生は、まず、患者さんやご家族に、認知症であることを伝えることから治療を始めます。

「今は認知症の薬が充実してきましたので、長期的に治療していくことを考えると、ご家族や患者さんに認知症であることをお話しして、病気や薬の情報を提供し、治療に対して前向きな気持ちを持っていただくことが、とても大事だと思います」(木谷先生)。

同時に、認知症は治療の可能性がある病気であることを伝え、積極的に治療を行っています。

アルツハイマー型認知症と診断された場合は、原則として薬を使った治療を行います。しかし、薬を投与しても、患者さんが確実に薬を飲んでいないと効果が出てきません。そこで木谷先生は、薬を投与する前に、患者さん本人で薬を管理できるのか、ご家族に薬の管理を委ねる必要があるのか、必ず確認し、薬の内服が継続できるようにしています。

薬を使う場合にもうひとつ大切なことは、処方した薬で効果があったのかを、こまめに確認することです。このためにも、最新のADAS検査装置が活躍しています。この装置は、検査結果を簡単に保存ができ、医師だけでなく、患者さんやご家族とも情報を共有することができます。薬の投与を始める前に、ADAS検査装置で検査を行い、その後も定期的に検査を行うことで、薬の効果を確認し、薬を使いつづけるのか別の薬に変えるのかという判断にも役立てています。

薬の効果を確かめるためには、スタッフ間の情報共有も欠かせません。益田赤十字病院では2週間に1回の定期的なスタッフ全体の会議のほかに、スタッフが廊下ですれ違ったときなどに、投与されている薬の種類や量、患者さんの状態などを情報交換し、常に患者さんの最新の状況を把握するように努めています。

 

患者さんに敬意を持って接することを目指す

言語聴覚士 青木耕さん 言語聴覚士 青木耕さん

木谷先生が認知症の治療で最も心がけているのは、患者さんの尊厳を守って接することです。

「認知症になっても、患者さんには、今まで生きてこられたキャリアがあります。こうしたことに敬意を払って接しなくてはいけません」(木谷先生)。

言語聴覚士の青木耕さんも「検査をするときにも、患者さんに合わせて、声をかけていくことが、正確な検査結果を得るために必要なことだと思います」と言います。

認知症の患者さんのケアでは、まず、患者さん自身の心の持ち方を立ち上げて、自分から食べてみようかな、話してみようかなと思える環境を整えることも大切です。

例えば同院では、患者さんの好みに合わせて、食事に工夫をこらすこともしています。食事をお弁当形式にしたり、菓子が好きな患者さんならもなかを添えてみたりして、患者さんに食事をすすめると、食事ができるようになったり、話をするようになったりすることもあるそうです。

青木さんと同じく言語聴覚士の角さんは「認知症の患者さんは、急に症状が出てくるわけではありません。患者さんの長い人生のなかで、今、このような症状が出てきたということです。ですから、患者さんが歩んでこられた背景や人生観、思想といったものを受け止めた上で、ケアを行うことが大事だと思います」と話します。

同院では、スタッフ全員が患者さんの立場に立った治療とケアを提供することで、患者さんがより楽しく毎日を過ごせるように努力しています。

 

 

取材日:2011年9月7日
益田赤十字病院の外観

益田赤十字病院


〒698-8501
島根県益田市乙吉町イ103-1
TEL:0856-22-1480

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