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心が触れ合い、テクノロジーも生きる、医療と介護の融合体
<香川県善通寺市 医療法人社団純心会 善通寺前田病院>

院長 前田隆史先生 院長 前田隆史先生

昭和58年の開設より地域の中核病院として機能する善通寺前田病院は、9つの老人介護の関連施設を持ち、院長の前田隆史先生の方針のもと、積極的に認知症患者さんを受け入れ、心と心で触れ合う医療と介護の融合を目指しています。癒し効果のあるアザラシ型のロボット「パロ」をセラピーに導入するなど、新しい試みにも熱心です。

24時間365日シームレスな医療と介護を法人の体制で提供

地域密着型医療を掲げ、そのニーズに応える病院として、善通寺前田病院は「ハートフルねんりん荘」をはじめとする介護老人保健施設や、グループホーム、ケアハウスなど9つの関連施設を運営しています。

院長の前田隆史先生は、このように法人でグループを形成している利点について「高齢の患者さんは合併症もあり、病態は日々変化します。私たちの施設では、状態が悪くなったらいつでも病院に行けるという安心を提供できます。病院だけ、施設だけといった単体では補いきれない部分をグループ内で互いに補完することによって、24時間365日切れ目のない充実したサービスを提供できるのです」と言います。

 

マニュアル化はできない認知症患者さんへの対応

前田先生は、認知症はひとくくりに定義することはできない病気だと言います。

「もの忘れ、幻覚など患者さんごとに病態がまったく異なることに加え、高齢化でさらに複雑になり、100人いれば100通りの病態があります。認知症とひとくくりにすることは意味がないように思いますし、また、代表的な症状であるもの忘れもよくなったりまた進んだりします。果たして病気と言えるのでしょうか。その方の年を重ねた人生のなかでのある種の状態とでも言ったらよいのかもしれません」(前田先生)。

そのような考えから、治療や介護の方針もおおらかで、患者さん主体のものとなっています。

「認知症については、医療が提供できるものより個々の病態に対応したふだんの生活が大事でしょう。周りはあまり神経質にならずにご本人が笑って生活できるようにするのが一番よいのではと考え、そのための生活環境を整えるよう施設ではスタッフに力を尽くしてもらっています。患者さんが混乱して言動が普段と違っていても否定せずに聞き、寄り添うということを周囲の人の基本的な態度として忘れてはいけませんね」(前田先生)。

内科的な病気よりもさらに個々に病態が違い、まだまだわからないことも多い認知症の患者さんへの対応は、紙に書いてマニュアル化できるような性質のものではなく、人間としての個々のアプローチが大切であることを前田先生は説いています。

 

気持ちがやすらぎ、笑顔を取り戻せるリハビリの提供目指して

言語聴覚士 川野雅英さん 言語聴覚士 川野雅英さん
理学療法士 粂浩司さん 理学療法士 粂浩司さん
理学療法士 篠原由加里さん 理学療法士 篠原由加里さん

関連施設のひとつである介護老人保健施設ハートフルねんりん荘は、ガラス窓を多用した開放的な施設で、見晴らしもよく食堂からは瀬戸大橋も一望できます。陽光溢れる広々としたサンルームで、五岳山を間近にみながら機能訓練に励むことができます。

スタッフである言語聴覚士(ST)の川野雅英さんは、リハビリのなかで、人として自分より年輪を重ねた方の介助をしていることを忘れないようにしています。

「名前も覚えていただけないこともありますが、触れ合っていくなかで顔見知り程度の関係にはなれます。『あなたがいてくれてよかった』と言ってもらえると、やっていてよかったと感じます。機能面の回復はもとより精神面の安定もリハビリのなかでできていくように努めています」(川野さん)。

同じくハートフルねんりん荘の理学療法士(PT)の粂浩司さんは、認知症の利用者さんにも他の方と同様、今できることを維持できるよう取り組んでいます。

「食事や歩行などで少しでも今の機能の衰えを食い止めたり、ゆるやかにする取り組みをしています」(粂さん)。

同じ理学療法士の篠原由加里さんは、認知症患者さんのリハビリの難しさを語ります。

「認知症の方はリハビリにしても学習効果を積み重ねていくことが困難なので難しいと感じることがあります。歩行を修正するにしても、言葉で伝えてもうまく伝わらないことがあります。毎日一から始めることになりますが、体力はついてきますのでリハビリの効果はあります」(篠原さん)。

ただ、利用者さんのそのときの気分でプログラムにのれないことも多く、「そんなときは感情を逆なでするような無理はせず、今は別にできなくてもいいぐらいの姿勢で柔軟性を持って関わっています」(篠原さん)。

生い立ち、育ってきた環境など、昔の記憶は結構残っていることに感心することも多いと言います。

言語聴覚士の新田慈子さんは、テストの点数のように数値化がされない部分での精神的な安定を大切に考えています。

「記憶力が少し改善されたといったことも大事ですが、日々精神的に落ち着いて穏やかに過ごしていただきたいと思っています。PTやSTの教科書通りの対応ではなく、一人ひとりの状態に合った、やすらぎや楽しみも持てるようなプログラムを立てることが非常に重要だと思っています」(新田さん)。

PTの粂さんも、テストの点数がカットオフより高くてもできないことが多かったり、低くてもできることが多かったりということがあり、学校より介護の現場での経験で新たに学んだことのほうが多いと言います。

「学校で習ってきたのは検査上表れるもので判断する認知症の有無でしたが、その人の言葉なり行動なりをきちんとみないで、数値だけみていると対応が難しくなるのではと思います。デイで通われている方は自宅での生活が可能だから大丈夫かというと、行動面に問題があることもあり、注意してみていかないと事故につながる危険もあります」(粂さん)。

 

アザラシ型ロボットによる癒しなど新しい試みを導入

メンタルコミットロボットの『りん子ちゃん』 メンタルコミットロボットの『りん子ちゃん』

前田先生は、先駆的な試みも意欲的に導入しています。昨年末には法人全体で、メンタルコミットロボット「パロ」を7体導入しました。

「パロ」はギネスにも認定されている癒し効果のあるロボットで、タテゴトアザラシの赤ちゃんの姿をしています。多数のセンサーや人口知能の働きによって、呼びかけに反応し、抱きかかえると喜んだりするほか、人間の五感を刺激する豊かな感情表現や動物らしい行動をします。

「認知症をはじめとする患者さんの心を癒したり、触れ合いを楽しみとしてもらい、感情・情動面に効果があればと導入しました。学習能力があり、何より愛らしい。患者さんやスタッフの評判も良好です。こうしたテクノロジーを取り入れた新しい治療が私ども法人の特色となればと考えています」(前田先生)。

アニマルセラピーの効果はよく言われていますが、介護施設としては感染症やアレルギーなどの衛生面に配慮すると飼えないことが多く、動物を苦手とする人もいます。それらの問題をクリアでき、アニマルセラピーに近い反応・効果があるといった点でとても期待しているとSTの新田さんも語ります。

「不安や怒りのある方を癒して明るくさせてくれます。ねんりん荘だからりん子と名付けて、利用者さんにも名前を呼んでもらったり、なでてもらったりして一緒に過ごしてもらっています。そうしたら、気持ちが落ち着いて大声を出さなくなったり、集中力が増したりといった変化がありました」(新田さん)。

効果については目下検証中で、まだMMSの数値の変化にまでは表れていませんが、記憶問題・模写・模唱では集中性に改善があるように感じられるそうです。今後は長期で評価すること、MMSとは違った特性のスケールを用いて評価することも考えています。

 

「手当てする」精神で患者さんの能力を引き出す医療と介護を

言語聴覚士 新田慈子さん 言語聴覚士 新田慈子さん

STの新田さんは、今後の取り組みについて 「もう言葉がなくなった方でも、親しみを持って接し続けたり関係性ができていると、ある瞬間ふっと言葉が戻ってきたりすることがあります。認知症がどんなに進んでも食事などはご自身の好みのものだけは食べられるといった部分が残っているので、リハビリスタッフとして、そうした面をいつまでも引き出せるような対応を行っていきたい」と意気込みを語ります。

「楽しいと思う気持ち、人間らしい笑顔のある生活をサポートすることが大事だと考えています。認知症は寿命が短い時代にはなかった病気です。この先、病態によらない特効薬や介護の決め手が出てくれば別ですが、今すべての認知症に対応できる対策はありえません。一人ひとり違う症状があるからには、医療も一人ひとりに応じて違ってくるものです。治療することを昔から『手当てする』と言います。文字通り手を当て心をこめてお世話をする、医療の原点に立ち返ったアプローチが求められます」と、前田先生は医療と介護にあたる者の心構えを説きます。

 

 

取材日:2011年9月22日
善通寺前田病院の外観

医療法人社団純心会 善通寺前田病院


〒765-0073
香川県善通寺市中村町894-1
TEL:0877-63-3131

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