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センスと知恵で患者さんの心にアプローチ
<東京都杉並区 野﨑クリニック>

院長 野﨑純先生 院長 野﨑純先生

精神科の専門クリニックであり、かつ訪問看護や訪問リハビリ、ヘルパー事業にも取り組む野﨑クリニック。家族と地域を巻き込んで、患者さんが安心して暮らせる環境づくりをめざしています。

クリニック開業と同時に紹介が多数

東京都杉並区の野﨑クリニックは1992年9月に神経科、心療内科、精神科の専門クリニックとして開業しました。「精神科治療というのは主にカウンセリングで行われると誤解している方も多いですが、実際には薬剤を使って治療するのは他の診療科と同じです。私が開業した1992年、認知症治療薬はまだ登場しておらず、それはつまり精神科医にとっても認知症は治療できる病気ではなかったことを意味します。しかし、開業と同時に近隣の内科クリニックから、たくさんの認知症患者さんの紹介があり、いきなり正面から向き合うことになりました。今も当クリニックに来られる認知症患者さんのほとんどが、他科のクリニックからの紹介です」と同クリニック院長の野﨑純先生は語ります。

治療薬がまだなかった時代から、特に力をいれて取り組んでいるのはご家族の指導です。患者さんの言動の背景を家族が理解し、適切な対応をすれば、かつて「問題行動」と呼ばれていたBPSD(周辺症状)を解消できることも少なくないからです。認知症の治療薬が使えるようになった現在でも、認知症治療で重要なのは、患者さんだけでなく介護者もトータルにケアすることだと野﨑先生は考え、実践しています。

初診からずっと家族に繰り返しアドバイスするのは、「怒ってはダメ」ということ。「病気で目が見えなくなった人に、『なぜ真っ直ぐ歩けないの? この前までちゃんと歩けてたのに、なぜそこでつまずくの?』と怒るのは理不尽ですよね。認知症で今までできていたことが、できなくなるのもこれと同じです。こう説明するとご家族も納得して、患者さんへの接し方が変わることが多いですね」(野﨑先生)。

 

患者さんの感情を察することの難しさ

認知症の治療にあたる医師にとって一番つらいのは、患者さん本人に病識がなく、治療の手応えをつかみにくいことだと野﨑先生は言います。患者さん本人とのコミュニケーションが難しくなり、「夜は眠ることができていますか?」などという質問も、本人が覚えていないので、意味をなしません。家族から自宅での様子を聞き、さらに家族の悩みを聞いて対処方法のアドバイスをして、患者さんよりご家族と話している時間のほうがずっと長くなります。

「治療開始直後は、家族の理解度が介護の良し悪しに直結し、患者さんの状態を左右しますから、患者さんと家族の様子を見ることが大切です。しかし、ご家族の理解も深まり、また患者さんの症状が進んで投薬も高用量になってくると、ご家族だけ来てもらえばよいのではないかと、思うこともあります。それでも、患者さんがあまり嫌がらずに通院してくださるなら、通院することで何かしら患者さんやご家族の気持ちに良い変化が起きている、それを患者さんが心地よく感じている証拠だと思いたいですね。そして、多くの患者さんにそんな風に感じてもらえるクリニックでありたいです」(野﨑先生)。

 

チーム医療の実現をめざして訪問事業にも注力

現在、他のクリニックから紹介された患者さんも、認知症治療に関しては継続的に同クリニックに通院しており、新患を受け入れる余裕がほとんどないのが悩みの種です。「今年になって複数の認知症治療薬が使えるようになりました。ですから薬剤の選択や効果判定などのためにも、今しばらく、精神科や認知症専門医がフォローすべきだと思っています。しかし今後、患者数が増加するのは間違いないので、かかりつけ医の先生に任せる仕組みを考えていく必要があります。内科の先生方に向けて、認知症そのものや治療法、BPSD(周辺症状)への対処法を知っていただく啓発活動に力をいれていきたいと思っています」と野﨑先生は語ります。

めざしているのは、訪問看護や介護サービスと連携したチーム医療。チーム医療のメンバー全員が、患者さんの状態を把握し、情報を共有し、トラブルが起きてもその原因に素早く気づけることが大事だと考えています。

看野﨑クリニック訪問看護ステーション居宅介護支援事業所 野﨑クリニック訪問看護ステーション
居宅介護支援事業所

所長 山中恵子さん 所長 山中恵子さん

野﨑クリニックは、かかりつけ医からの紹介を受けるなどの診診連携や、地域での病診連携ネットワークにも参加するだけでなく、居宅介護支援事業所を併設し訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーションなどを行い、さらにヘルパーステーションも運営しています。

クリニックと同じ建物に事務所を置く「野﨑クリニック訪問看護ステーション」は看護師15名、理学療法士6名の21名体制で、クリニックの患者さんだけでなく、地域のケアマネジャーなどから依頼された在宅患者さんの訪問看護とリハビリに取り組んでいます。

「認知症の患者さんは全体数からみると多くはありませんが、独特の工夫が必要だと考えて取り組んでいます」と所長で看護師の山中恵子さんは語ります。

認知症の訪問看護は、まず同居家族の有無で対応が違います。「同居家族がいれば家族への支援やアドバイスが中心になります。それが患者さんの治療に直結するからです。一方、独り暮らしの場合、健康管理や薬の管理、生活全般のケアも私たちの仕事になってきます。ケアマネさんやヘルパーさんと連携して、たとえば薬をぜんぶ渡すのではなく3日分ずつ小分けで渡していくなどの工夫も必要です」(山中さん)。

 

聞くチカラ、感じるチカラを大切に

同ステーションでは、回想法という手法で患者さんの話をじっくり聞く取り組みも行っています。

「『聞くだけなら家族にもできそう』と言う方もいますが、何度も聞かされた話に改めて時間をとって耳を傾けることは、実際には、できるものではありません。他人だから何のこだわりもなく聞けるという側面もあります。そして、患者さんは『誰も聞いてくれない』という不満を解消して落ち着きを取り戻すことも多いです」と山中さんは、その効果を語ります。

野﨑先生も「認知症患者さんが繰り返し語るエピソードは、徐々に年代がさかのぼって若い頃の自慢話になっていきます。記憶の逆行性喪失は認知症の典型的な特徴ですが、話をきちんと聞いてあげることで、今、いる時代に長くとどまる効果があるのではないかと考えています」と回想法への期待を語ります。「回想法への取り組みは私が指示したわけではなく、現場で必要だと感じたことを自主的に勉強して、実践してくれているのです」と訪問看護師たちの取り組みを評価する野﨑先生は、認知症医療に関わる人に必要なのは、現場から学ぶ力、患者さんやご家族のニーズを感じ取るセンス、そして、柔軟な発想力だと考えています。

「90歳代の女性患者さんが、夏なのに水を飲まなくなった時のことです。医師や看護師が何を言ってもダメだったのに、ヘルパーが『お肌のハリを取り戻して若返るためには水を飲まないとダメだよ』と言った途端に飲むようになりました。熱中症とか脱水症状とか、命の危険とかの言葉より、『お肌のハリ』や『若返り』という言葉のほうが、彼女の心に響いたわけです。何が心に響くかを探すのは知恵比べのようなもの。すべての患者さんに当てはまる正解はなく、ひとりひとりと向き合って響く言葉を探し、心を許してもらえる鍵を探す。そんな地道な積み重ねが認知症ケアの基本だと考えて取り組んでいます」(野﨑先生)。

 

 

取材日:2011年8月26日
野﨑クリニックの外観

医療法人社団 野﨑クリニック


〒166-0004
東京都杉並区阿佐谷南3丁目37番13号
大同ビル301、303号
TEL:03-3398-3222

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