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患者さんの生活を変えずに「利用者本位」でサポート
<福岡県北九州市 かん養生クリニック>

院長 釜完司郎先生 院長 釜完司郎先生

北九州市のかん養生クリニックでは、認知症サポート医を務める釜完司郎先生のもと、年長者もの忘れデイケア、訪問リハビリなどを行い、「利用者本位」の治療と福祉サービスを提供しています。患者さん・ご家族と、医療・福祉との間にある壁を、時間をかけて取り払い、住み慣れた環境での生活を実現しています。

介護保険スタート前からデイケアを開設

かん養生クリニックは、1999年に開業。もの忘れ外来を設けるなど精神科を中心とした医療を提供しながら、年長者もの忘れデイケア、ストレスデイケア、訪問看護、訪問リハビリなどを実施し、診療以外でも患者さんの暮らしを支えています。

院長の釜完司郎先生は、研修医時代を過ごした宇治おうばく病院で認知症に関わることになりました。まだ認知症という病気が一般によく知られておらず、受診者が少ない時代でしたが、同病院には認知症病棟があり、認知症対応デイケアもありました。自分の思いを訴えられず、ご家族の理解も得られない、そのような患者さんの声なき声を代弁していきたいと、釜先生は自身のクリニックでも開業当初から認知症対応のデイケアを設けました。

「まだ『デイケアって何?』という時代です。認知症は家庭から即入院という時代に、家庭と施設の中間で症状の改善を目指せるのかどうか、まだ手探りの状態でしたが、それでも開設しました」と釜先生は言います。

その後、日中6時間のデイケアだけでは患者さんを支えられないと感じた釜先生は、訪問看護、訪問リハビリへとサポートの手を広げていきます。さらに夜間に家庭で過ごせない患者さんがいることからグループホームを開設、居宅介護支援事業所やデイサービスも運営しています。

 

「利用者本位」の治療・福祉サービスを提案

現在、外来の患者さんとデイケアの利用者さんを合わせると、毎月約120人の認知症患者さんが同クリニックを訪れています。釜先生が認知症のサポート医であることから、新患も少なくありません。診断にあたっては画像診断や認知機能検査などがしっかりできる病院と連携し、その後は患者さんが通えるところにお願いするなど、ほかの医療機関との協力も図っています。

「診断は慎重に、しかし患者さんやご家族が困っている問題への対応は速やかに」というのが釜先生流。精神医学的診断は時間をかけて、一回の診察で病名を結論づけることなく慎重に行っています。また、初回の診察からソーシャルワーカーや看護師、ケアマネジャーなど多職種が連携し、よりよい対応ができるよう工夫しています。看護師やソーシャルワーカーは外来とデイケアのどちらにも対応できる体制をとっています。

ソーシャルワーカー 中川貴幸さん ソーシャルワーカー 中川貴幸さん

「受診だけで半日かかるようでは患者さんのためになりません。場合によってはその日は帰宅していただき、あとで職員が訪問するなど、診察に時間がかからないよう配慮しています」(釜先生)。

ソーシャルワーカーの中川貴幸さんは、「医師に情報をできるだけ整理して渡せるよう気を付けています」と言います。釜先生がこだわる「利用者本位」を実現するため、「こちらからも患者さんやご家族に最もいいと思う方法をご提案しますが、最終的には患者さん重視の選択をしていただきます」(中川さん)。

 

デイケアと訪問看護で生活を変えずに進行を防ぐ

同クリニックがデイケアや訪問看護に力を入れているのは、患者さんが生活を大きく変えることなく、不安や恐怖感のない状態で治療に向かうことができ、また日中の作業療法などを通して治療に関わることもできるからです。

「例えば、じっと家にいるだけの認知症患者さんは、天気の悪い日などにせん妄が起きやすくなります。せん妄は本来は一時的な症状ですが、一度起きると認知症の進行スピードが上がります。入院するとむしろ悪化してしまうこともありますが、デイケアや訪問看護はせん妄予防に効果的なのです。何より夕方には住み慣れた家に帰れることが良さです」(釜先生)。

看護師 大塚千里さん 看護師 大塚千里さん

看護師の大塚千里さんは、「患者さんがデイケアに来るたびに馴染み、徐々に明るい表情になっていくのを見ると嬉しいです」と喜びを語ります。それだけに釜先生は重度認知症患者デイケアについて4~6時間未満の評価が診療報酬制度改正でなくなったことが残念だと話します。

「若年性認知症の患者さんやせん妄が起きた患者さんが初めてデイケアを利用する時は、4時間が精いっぱいです。患者さんが利用しやすくするために、短時間デイケアは必要な制度だと思います」(釜先生)。

訪問看護をスタートした時、釜先生は、クリニックに入院の設備がないため、利用する患者さんの精神症状が悪化した場合に十分対応できるかを懸念しました。しかし、ご自宅の慣れ親しんだ環境で治療を続けられる安心感からか、患者さん自身の「治る力」が発揮され、訪問看護の患者さんでの症状悪化はこれまでないと言います。

 

現役世代が疲弊しないよう医療・福祉との壁を取り去る

釜先生は、外からのサポートを受けず、介護を抱え込んでしまうご家族が多いことを危惧しています。

「介護士を紹介したくても、家族以外の人に家に入られると困る、と断られてしまうことがあります。欧米の家は玄関を開けるとまずはゲストを通す応接間がありますが、日本の家は玄関からすぐ、こたつがあるようなプライベートの空間。文化的に家と外との間に高い壁をつくりがちなのは当然かと思いますが、その結果、ご家族だけが無理を強いられ、患者さんとご家族が社会から孤立します。介護が大変で仕事が限られるご家族もあり、現役世代が疲弊している姿を見るのはつらいです。社会のみんなで力を合わせれば解決できるはずです」(釜先生)。

介護支援専門員 松本泰彦さん 介護支援専門員 松本泰彦さん

そんなご家族と施設・サービスをつなげるケアマネジャーは「クリニックの要」と釜先生は表現します。介護支援専門員の松本泰彦さんは、「サービスの提案を拒否される場合もありますが、外部から見れば必要なサービスでもあるわけです。訪問を嫌がる方を訪ね、毎回玄関口で帰されても続けていってようやく少し玄関のドアを開けていただき、その次には玄関まで入れていただき、と何カ月もかけてご説明をする場合もあります」と時間をかけて患者さんやご家族と福祉との距離を縮め、サポートしています。

「利用者本位という考えで続けていけば、いずれわかってもらえます。あとからご提案を思い出してもらえることもあるでしょう」(釜先生)。

看護師の大塚さんは「訪問看護で伺うご家族には、さまざまなアドバイスを行ったり、介護を支援するサービスもご提案しています。受け入れていただくと次第にご家族に余裕が出て、患者さんへの態度が優しく変化していくのがわかります」と言います。

 

小規模多機能施設開業でより地域に密着

ご家族が介護を抱え込んでしまう背景には、介護保険がまだ浸透していない状況もあります。松本さんは、「新規の利用者さんは介護保険を知らない方がほとんどなので、基本から制度の仕組みを丁寧にご説明します」と言います。

「制度を知らない方は、見るからに介護サービスが必要なのに『いざとなったら使う』とおっしゃいます。『介護保険はいざということにならないように使う保険』と説明しています」(釜先生)。

介護サービスの利用で負担が軽減できれば、ご家族が今後の生活を考える余裕も持てるというのが釜先生の考えです。

「医療保険では、医療機関が選んだ治療法が絶対で、患者さんがそのまま受け入れるのが一般的です。しかし介護保険は違います。利用者が、介護事業所のサービスが嫌ならそう言っていいし、利用する事業所を変えることもできます。介護保険は利用者の立場で考えている制度だと思っています」(釜先生)。

デイサービスこもれびレクリエーションルーム デイサービスこもれびレクリエーションルーム

同クリニックでは、2012年4月から小規模多機能型居宅介護「こもれびサロン」を開業する予定で、患者さんやご家族を支える体制がさらに充実します。小規模多機能の開業には地域住民に理解を得ることが必要になりますが、グループホームなどの実績もある同クリニックは、地域からも厚く信頼されています。

「小規模多機能型居宅介護を開設することで、ますます地域の方のためにできることが増えます。若い人たちが希望を持てるような職場にして、地域が元気になるように、ここから元気を発信していけるようにしていきたいですね」(釜先生)。

 

 

取材日:2011年10月6日
かん養生クリニックの外観

かん養生クリニック

〒800-0256
福岡県北九州市小倉南区湯川新町3-7-1
TEL:093-931-1101

施設のホームページへ

 

デイサービスこもれびの外観

デイサービスこもれび

〒802-0814
福岡県北九州市小倉南区蜷田若園3丁目4-8
TEL:093-922-7727


グループホームこもれび

〒802-0814
福岡県北九州市小倉南区蜷田若園3丁目4-10
TEL:093-951-6979

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