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地域のかかりつけ医として、また専門医療機関としての両者の立場で支える
<山梨県笛吹市 笛吹脳神経外科内科>

院長 上野武彦先生 院長 上野武彦先生

笛吹脳神経外科内科は脳神経外科医である院長の上野武彦先生が、患者さんが気持ちよく診察を受けられるよう、落ち着いた環境とバリアフリーに配慮して設計されたクリニックです。上野先生は地域のかかりつけ医であり、また認知症の専門的な診断をする専門医として両方の立場から笛吹市の認知症医療を支え、2012年に開催される「認知症フォーラム」のシンポジストも務めます。

すみずみまで配慮が行き届いた院内

吹き抜けが開放的な印象を与える待合室 吹き抜けが開放的な印象を与える待合室

吹き抜けが開放的な笛吹脳神経外科内科は2007年の開業。てんかん治療が専門であった上野武彦先生は、てんかんと同じく脳の海馬に病因があるということから認知症の診断に携わるようになりました。

一般病院で認知症の患者さんと接するうち、神経質になりがちな患者さんに配慮した治療が必要と考えるようになり、同院の設計についてもこだわったと言います。バリアフリーで車いすのまま診察室へ入れ、診察室は外部と音が遮断された静かな中で患者さんと向き合うことができます。もの忘れのテストに使用する部屋は周りを気にせず質問に答えてもらえる環境にするなど、細部まで配慮が行き届いた造りになっています。

最新のオープン型MRIを導入し、開放的で音も静かなため、閉所恐怖症で従来のMRIの検査が受けられない患者さんが、山梨大学や遠方から紹介されてくることも多いと言います。

 

かかりつけ医と専門医を兼ねた立場としてシンポジストに

山梨県にはまだ認知症専門医が少ないという現状があります。

「山梨大学に認知症の専門外来ができて、少しずつ状況が変わってきました。特に笛吹市は県内でも先駆けて医師会を中心に動いています」(上野先生)。

笛吹市では、認知症に興味のある医師で世話人会をつくり介護施設と連携、行政を巻き込んでいくといった医師会主導の形でいくつかの取り組みが始まっています。

「2012年2月には『認知症フォーラム』を開催予定です。経験豊富な先生の講演と、地域のかかりつけ医や行政をまじえてシンポジウムを行います。医師会が引っ張り、行政に入ってもらいました」(上野先生)。

笛吹市の取り組みとなるのが、「認知症相談医リスト」と「もの忘れスクリーニングテスト」です。「認知症相談医」と呼ばれる地域の一般内科や眼科などのかかりつけ医がリスト化されており、もの忘れについて積極的に相談に乗り、第一段階の簡易診断を行います。この際に使われるのが、「もの忘れスクリーニングテスト」です。

簡易診断後、鑑別診断が必要な患者さんには、専門的な医療機関を紹介し、そこで診察を受けてもらいます。同院は、地域に密着したかかりつけ医(認知症相談医)であり、また認知症の専門的な診断ができる専門医療機関でもあるということから、上野先生は2月のフォーラムでは、両方の視点を持つシンポジストとして演壇に立つ予定です。認知症は進行してしまうと治療や対応が難しくなるため、「地域のかかりつけ医が認知症の兆候を放置せず、早い段階から治療できるようフォーラムでは呼びかけていきます」と、早期発見の重要性を強調します。

 

簡易診断からより専門的な鑑別診断へ

「もの忘れスクリーニングテスト」は、認知症相談医が診察を簡便にできるようにつくられています。患者さんご本人に対しては、長谷川式の中から抜粋したもの忘れテストと立方体の描画テストを行い、その間にご家族には別の場所で、実際に困ったことや変化があるのか、質問用紙に記入してもらいます。最近のニュースについて会話が成り立たないといった設問で、「あてはまる」「悪くなった」の回答数でご家族の心配の深刻さが把握できます。

両方のテストの結果を総合的に判断して、鑑別診断が必要な患者さんが同院へ紹介されてきます。

「かかりつけ医で様子を見ることもできますが、進行が早い場合は一度、専門医療機関で診察を受けたほうがいいですね」(上野先生)。

紹介で来院した患者さんには経過を聞き、①長谷川式簡易知能評価スケール、②MMSEテスト、③かなひろいテストの3種類のテストを行っています。

「ご本人に自覚がない場合、ご家族は脳梗塞の心配があるからといったような理由をつけて連れてくるので、その点は気を使って診察にあたります。今年の作物の出来の話などをしながら、年齢的に忘れっぽいとか気になりますかと質問し、『少しは』という答えなら、念のために頭の検査ともの忘れの予防になる検査をしましょうか?といった感じです」(上野先生)。

診断に大活躍のオープン型MRI 診断に大活躍のオープン型MRI

画像診断にはオープン型MRIが活躍します。認知症なら海馬の委縮がみられますが、他に器質的病変がないか、脳梗塞(血管性の認知症)や硬膜下血腫が隠れてないかを確認します。

テストの点数が落ちていて、なおかつ海馬の委縮があれば、アルツハイマー型認知症として確定診断をつけます。

 

コミュニケーションと家族の理解が治療の要

笛吹市は農村地帯が多く、同じ敷地内に住んでいてもご家族は仕事に出かけ、一日をひとりで過ごす高齢者が多いという地域事情があります。

「薬だけでは認知症の進行は防げません。活発なコミュニケーションを取れる環境づくりが大切です。早期の診断ができれば、家族に病気に配慮した対応をしてもらい、介護サービスの利用などで進行を止めることが可能です」と、上野先生は薬物治療以外の手段で症状を遅らせることの重要性を訴えます。早期にご家族に対して指導を行い、デイサービスを活用することでコミュニケーションの不足を補い、進行抑制に効果があった場合も多いと言います。

告知については、軽度の場合は患者さんとご家族同席の場で「もの忘れが少し出ていますが、お薬で予防できますし、コミュニケーションが進行予防になるのでデイサービスなども利用していきましょう」と伝えます。「いやだ、困った」といった感情が強いと、それだけが残る恐れがあり、意欲低下や治療の諦めにつながらないような配慮が必要です。

発症から時間が経過しても、意欲が出てきて離れていた趣味に戻ったり、再び笑顔を見せたりする患者さんは、やはりご家族からしっかりサポートを受けていることが多いと言います。

「ご家族も学んでいきます。患者さんに寄り添うことを理解されたご家族がいる場合、経過が良いことが多いですね。もの忘れがあっても日常生活に支障のないサポートや環境、患者さんが気持ちよく過ごせる受け入れがあれば自然と進行も遅くなります」(上野先生)。

一方で病気は進んでいくので、医療機関や介護施設にはご家族が疲弊しないようサポートする使命があると言います。

「患者さんにとって気持ちの良いサポートが続けられるよう、ご家族をできるだけ励ますようにしています」(上野先生)。

 

介護サービス、服薬調整などで在宅介護を支えていく努力

デイサービスなどの利用は、不足しがちなコミュニケーションを補うだけでなく、一日を決まったスケジュールで過ごすことで進行予防に有効と上野先生は考えています。週2~3回の利用があると意欲が出たり、表情が変わったりすると言います。

上野先生は、介護保険の要支援の認定が出たらケアマネジャーとどういう施設がよいかを相談します。市でも中等度までの認知症患者さんの対応に慣れている施設が増えているので、年齢や状態に合わせて必要な支援メニューを選びます。

今後の課題についても、上野先生は在宅介護への医療によるサポートを挙げます。

「もう一段階、BPSD(周辺症状)が重い患者さんを入院でなく在宅でサポートできればと思っています。精神科の先生に意見を聞いて認知症の薬と向精神薬の組み合わせを試していますが、少し重症化して専門的なお薬が必要になるとやはり入院となってしまう。もう少し在宅でみてあげられる手はないかと考えています」。

現在、複数の新薬が出てきているので、今後は、組み合わせの効果に期待できそうと望みをかけています。

「ただ、どんな新薬が出て治療上の進歩があっても、基本はいかにていねいに患者さんと接するか、ご家族の理解と協力を得られるかに尽きます。諦めないようご家族を支え、患者さんの周辺の環境を整える手助けを地域ぐるみで行おうと呼びかけていきます」とフォーラムへの意気込みを上野先生は語りました。

 

 

取材日:2011年10月26日
笛吹脳神経外科内科の外観

笛吹脳神経外科内科


〒406-0035   
山梨県笛吹市石和町広瀬772-1
TEL:055-261-7888

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