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“敷居の低い診察室”として地域に根ざした認知症ケアに取り組む
<福井県坂井市 医療法人博俊会 春江病院>

春江病院 脳神経外科診療部長 土田哲先生 春江病院
脳神経外科診療部長 土田哲先生

福井県の北部、坂井市にある春江病院は、設立以来60年余、この地の発展と共に歩み、地域医療を担い続けてきた病院です。認知症のケアにおいては脳神経外科と通所、訪問、居宅の各ケア部門が密に連携して、患者さんのご家族の体調にまで目を配る手厚いサポートを実践。また、院外ネットワークの拡充にも力を注いでいます。

街角の薬局のように気軽に足を運んでもらう

春江病院は戦後間もない1946年の設立。以来、地域の医療を支え、現在では外来診療をはじめ、救急医療、介護、予防、そして、健康管理に至るまで広く地域のニーズに応えています。

同院で認知症外来の診察・治療に当たるのは脳神経外科。その常勤担当医である土田哲先生は “敷居の低い診察室”をモットーに、月平均100人の認知症の患者さんを診ています。

「誰だって病院へは行きたくないし、特に認知症の患者さんは一度来て『あそこはいやだ』となるともう来てくれなくなる。だからできるだけスムーズに診察・治療を受けて頂けるよう院内の体制を整え、例えば街角の薬局のように気軽に足を運んでもらうことが大切。それが“敷居が低い”ということです」(土田先生)。

そして土田先生は、診察・治療のときには患者さんだけでなくできるだけご家族にも来てもらうことにしています。その理由は大きく二つ。ご家族の苦労や負担を軽減するのが認知症治療の重要な目的であること。そして、認知症の治療を大きく左右する環境要因をご家族から聞くためです。

 

「環境要因の改善」と「生活のリズム」が治療の基本

認知症の場合、患者さんよりむしろ、ご家族が苦しんでいるケースが少なくありません。そのため土田先生は、診察時にご家族が何にどう困っているかを細かく聞くことで環境要因を見つけ出し、その改善を重視して治療を考えていきます。

「訪問看護スタッフなどから『寝たきりの患者さんを外に連れ出したら、目が生き生きしてきた』という報告をしばしば受けます。認知症の治療というと『まずお薬を』と考えがちですが、こうした環境の改善も治療に有効なのです」(土田先生)。

さらに続けて、土田先生は「生活のリズムをつくっていくことが大事」だと言います。朝起きたらまずパジャマを着替える。歯を磨いて食事をする。そうした日常生活のリズムの一環として、2週間に一度くらいは病院に来てもらい、状態を診るというのが、土田先生の治療の基本です。加えて、患者さんによって違う環境要因を確認し改善するために、また、生活のリズムを作るために、春江病院では通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、居宅介護、訪問看護などさまざまな専門スタッフが密に連携しながら対応に当たっています。

 

患者さんの意志を尊重した通所リハビリ

通所リハビリ カルミア春江 理学療法士 山口和代さん 通所リハビリ カルミア春江
理学療法士 山口和代さん


通所リハビリ カルミア春江 作業療法士 吉田一平さん 通所リハビリ カルミア春江
作業療法士 吉田一平さん

「通所リハビリの意義は大きく二つあります。一つは、患者さんの外出の機会をつくって身体機能を維持すること。そしてもう一つは、通所している間、ご家族の介護負担を減らすことです」。そう語るのは、理学療法士で通所リハビリカルミア春江の主任を務める山口和代さん。患者さんの回復ぶりを目の当たりにして驚くことも少なくないと言います。

「私が病院勤務のときに入院していた患者さんが退院して、カルミア春江に通所されているのですが、入院当時からは想像もできないほど歩けるようになられました。通所をご紹介して良かったとしみじみ思いましたね」と山口さんは嬉しそうに微笑みます。

カルミア春江の作業療法士、吉田一平さんは「患者さんの価値観をできるだけ尊重すること」を対応の基本に置いていると言います。例えば、足の筋力をつけるケアを予定していたとしても、ご本人が字の練習をしたいとおっしゃるならそれを否定せず、作業のバランスを考え直します。

「私は作業療法士ですから患者さんの身体機能を見るのは当然ですが、心理面での納得、満足も提供したい」という吉田さんら通所リハビリのスタッフ。ケアのさらなる充実を図るため、訪問看護のスタッフから“患者さんの在宅での様子”を聞くこともあるそうです。

 

訪問看護スタッフやケアマネジャーの報告を院内で生かす

春江病院 看護師 沖本ひとみさん 春江病院
看護師 沖本ひとみさん

「看護自体はもちろん、患者さんの生活の背景を見ることも私たちの仕事です」と語るのは春江病院の看護師で在宅医療部主任の沖本ひとみさん。

沖本さんたち訪問看護のスタッフは、平日は毎日4~5軒訪問し退院された方などの療養生活をサポート。体調や生活の様子などについて、毎月1回医師に報告書を提出しています。

また、患者さんのご家族を支えるのも大切な役割の一つ。「療養生活に関するご相談などが主ですが、グチをお聞きすることもしばしばあります。お嫁さんがたくさんの介護負担を抱えながら、他のご家族に言えないこともあるらしくて・・・」と言う沖本さんは、「訪問してお会いする以上は、ご家族の方の体調まで気を配るのが私たち看護師の仕事」と表情を引き締めます。

春江病院 ケアマネジャー 吉村千代子さん 春江病院
ケアマネジャー 吉村千代子さん

高齢者の介護に関して、こうした訪問看護などの必要性を判断しケアプランを立てるのは、ケアマネジャーの役割。春江病院居宅介護支援事業所の管理者でケアマネジャーの吉村千代子さんは「適切なプランによって、患者さんに安心を与えることが大切」だと、仕事に向かう姿勢を語ります。

吉村さんはマネジメントだけでなく実際に介護に当たった経験も豊富。「患者さんのためと思えば、ときには優しいうそをつくこともある」と言います。例えば、トイレに行きたくなくて絶対に水を口にしようとしない患者さんが脱水症状になるのを案じて「これは甘いジュースだよ」と言って飲ませたことも。

そうした経験に照らしたケアマネジャーの吉村さんからの、そして訪問看護の沖本さんからの情報は、必要に応じて土田先生や通所リハビリの山口さんらに伝えられ、ケアに生かされます。「訪問リハビリだけ受けている患者さんについて『こんな様子ですが、どうしましょう』とスタッフから直接私に相談に来ることもありますよ」(土田先生)。

“治療後、退院後もケアを続ける”“患者さんだけではなくご家族もフォローする”というスタッフ共有の意志が、こうしたチームとしての連携を支えているのです。

 

院外との連携を図りつつ、患者さんと共に認知症に向かう

院内で緻密な連携体制を敷く春江病院の認知症ケアにとって欠かせないのが、他の医療機関との連携。「県立病院などの大病院と街の開業医、その中間に位置付けられるのが当院」だと土田先生は言います。

「当院は認知症の専門機関ではありませんから、どうしても精神科的な治療が必要であれば県内で適切な病院を紹介します。一方で、当院で診断をつけた患者さんの治療を開業医の先生にお願いすることも。大病院と開業医の間を取り持っているとも言えますね」。

そう語る土田先生は、行政との連携がこれからのテーマだと力を込めます。「先ほど “敷居の低いこと”がモットーだと言いましたが、これからは“間口の広さ”も大事だと考えています。つまり認知症に限らず、身体の調子で気になることがあればどんどん相談に来て頂くということ。そのためには、当院からの広報も必要でしょうし、講演会など行政との連携にも努めていかなければなりません」。

そして、認知症に向かう姿勢として「患者さんとそのご家族と一緒に考え、一緒に治療するという姿勢を大事にしたい」と語ります。

土田先生が同院に赴任した7年前頃、認知症で寝たきりの92歳の男性がおられ、ご家族も「90過ぎだから仕方がない」と受け止められていました。ところが先生が、患者さんの手を引いて外に出るようにしてみると、やがて一人で散歩ができるまでに回復したのです。

「私も驚きましたけれど、要は周りが『歩きなさい』というだけではだめだということ。手を引いて一緒に歩き、生活の中に歩くというリズムをつくることが大事なんです。もちろんすべてがうまくいくわけではありませんが、失敗すれば反省して改善すればいい。私は認知症の専門医ではありませんが、だからこそ常に謙虚に、患者さんやご家族と一緒に学ぶ姿勢でいたいと思います」(土田先生)。

 

 

取材日:2011年9月22日
春江

医療法人博俊会 春江病院


〒919-0414  
福井県坂井市春江町留下屋敷62-5
TEL:0776-51-0029

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通所リハビリ カルミア春江の外観

医療法人博俊会 通所リハビリ カルミア春江


〒919-0414  
福井県坂井市春江町留下屋敷54-1
TEL:0776-51-1250

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