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正確な診断と治療のなかにも潤いとユーモアの心を忘れない
<神奈川県藤沢市 かわしま神経内科クリニック>

院長 川嶋乃里子先生 院長 川嶋乃里子先生

2002年10月に開業したかわしま神経内科クリニックは神経内科の専門クリニックとして、世界標準の正確な診断と治療を提供するだけでなく、新しい療法も積極的に導入しています。現在は、クリニックと併設のくげぬま松が岡デイセンターを合わせて25人のスタッフが働いており、診療やリハビリテーション、介護を通じて地域とのコミュニケーションを広げています。

常に患者さんの状態の変化に合わせた治療を提供

神経内科を専門としているかわしま神経内科クリニックでは、脳卒中やパーキンソン病など脳に関する様々な疾患を抱える患者さんが来院し、そのうち認知症患者さんは全体の約4分の1を占めています。同クリニックでは、MRIなど一部の検査は、近隣の総合病院に委託しますが、それ以外は検査、診察、治療にわたり、院長の川嶋乃里子先生が中心となって診療しています。神経内科として世界標準的な診断や治療を地域の方々に提供すること、そして患者さんやご家族をはじめ、学校・職場・医療介護施設などまで、医療に関する温かいコミュニケーションの輪を広げていくことを目指し、患者さんがより自立した生活ができるように取り組んでいます。

さらに、川嶋先生は、「認知症や神経難病の患者さんと接する中で、ご本人が、通常の治療だけではぬぐえない、病気への漠然とした不安や無念な思いを抱えられているのを感じ、特に慢性期の患者さんには、そのようなスピリチュアルペインと呼ばれる心の痛みへのケアが必要なのではないか」と考え、2010年から新しい取り組みとして「スピリチュアルケア」という方法を取り入れています。

 

患者さんを精神面から支えるスピリチュアルケアの導入

スピリチュアルケアとは、がん患者さんなどに対する緩和ケアで行われるようになってきたもので、病気の治療をするだけでなく、患者さんご本人の生きる意味や、生きがいなどの精神面からも支えるケアを指します。日本では、がん患者さんに対しては一部の医療機関で行われていますが、認知症をはじめ、その他の疾患の患者さんに対しては、ほとんど実施されていないのが現状です。

臨床心理士 公文彩さん 臨床心理士 公文彩さん

同クリニックでは、人間としての生きがいや死への怖さなどについて、話し合いを何回か繰り返すという回想法という方法を、個人または患者さん同士のグループで実施しています。

臨床心理士の公文彩さんは、スピリチュアルケアを行うメリットについて、「スピリチュアルケアの1つである『スピリチュアル回想法』では、死の恐怖など普段あまり話さないことを半年近くディスカッションを繰り返すことで『みんなそうだったのか。自分はひとりじゃなかった』という意識が芽生えることではないでしょうか」と話します。実際にスピリチュアルケアに参加した患者さんからは「また社会に希望を見いだせた」という声が寄せられたり、ご家族と患者家族会を立ち上げたりと、患者さんが自分で物事に取り組もうという意欲が再びみられるようになったなどの効果が得られています。また、今までご自宅にいても落ちつきがなく外出癖があった患者さんで、そうした行動を起こすことが少なくなった方もいるそうです。公文さんは「スピリチュアルケアは、患者さんご本人の心のケアだけでなく、患者さんのQOL(生活の質)の向上やご家族に対する精神面のサポートという観点でも効果が表れている」と実感しています。

また、患者さんとマンツーマンでスピリチュアルケアを行うと、担当の臨床心理士のことを覚えてくれるだけでなく、とても親近感を抱かれるそうです。認知症が進むと、家族や介護者以外と接する機会が少なくなりますが、スピリチュアルケアを通して、新しい人間関係や関係性を築くことは、患者さんにとって大きなメリットになると、公文さんは感じています。

川嶋先生は「スピリチュアルケアを今後10年かけて発展させたいと思っています」と抱負を語ります。

 

デイセンターでは、遊び心をプラスしたプログラムを提供

同クリニックに併設されている、くげぬま松が岡デイセンターは2008年6月に開設されました。デイセンター内には、理学療法士や作業療法士が常駐し、医療と連携を取りながら、一人ひとりに合った理学療法や作業療法などの機能訓練を行ったり、アクティビティや集団レクリエーションなどを提供しています。また、ご利用者の状態に合わせて個人の目標の再確認と個別プログラムの再計画を行っています。

くげぬま松が岡デイセンター 相談員 渡邉健さん くげぬま松が岡デイセンター
相談員 渡邉健さん


くげぬま松が岡デイセンター 作業療法士 岩本かおりさん くげぬま松が岡デイセンター
作業療法士 岩本かおりさん

デイセンターで主に窓口業務を行っている相談員の渡邉健さんは、「ご利用者との信頼関係をきちんと確立していくことが一番大切」だと言います。そこで、患者さんが楽しく積極的に取り組めるプログラムを提供し、ご満足してお帰りいただける環境を整えるようにしています。主に患者さんの個別機能訓練を行っている、作業療法士の岩本かおりさんは、「患者さんとの会話から、ご本人が必要としている訓練機能を探り、かつ、その人が比較的得意である機能を伸ばせるプログラムやアクティビティの提供を心がけています」と話します。

ただし、デイサービスの個別機能訓練時間は、要介護では一人最低1回20分、リハビリを行いながら患者さんとお話ができる時間には限りがあります。そこで、渡邉さんをはじめ、他のスタッフも患者さんやケアマネジャーに積極的に声をかけ、できるだけ患者さんのご要望を伺うように配慮しています。

また「毎回が遊び心のある出会い」をコンセプトとしている同デイセンターは、機能回復訓練を行うだけでなく、テレビゲームやスポーツ吹き矢など、ご利用者がより楽しんでいただけるレクリエーションを取り入れています。「スポーツ吹き矢は、もともとパーキンソン病の患者さんや嚥下障害がある患者さんが肺活量を維持することを目的として始め、現在、当デイセンターでは、主に肺炎予防を目的として行っています。また、患者さん同士の交流にも効果をもたらしています」(岩本さん)。

 

地域で医療と介護の連携を深めるための取り組みと成果

この10年間で、新たな治療薬の登場や、介護技術の向上など、認知症治療や介護を取り巻く環境は改善されつつあると、川嶋先生は考えています。しかし、一部の医療機関では、看護師をはじめ医療スタッフの認知症患者さんへの理解や対応などが、不十分だと感じることもあります。

そこで、先生は今まで蓄積した知識や技術を、近隣の医療従事者と共有し、地域全体の認知症医療と介護の水準を向上させたいという想いから、有志の医療従事者や福祉関係者とともに「松ぼっくりの会」という勉強会を実施しています。この会は、現在の認知症についての知識やケアの技術などについて、事例検討を元に参加者が介護の目標を具体的に設定して発表する場となっています。

「地域では、まだケアマネジャーや介護福祉士などが自分で発表する機会が少ないですが、介護職の方々にもそうした場を提供することで、一人ひとりの成長につながるのではないかと思います」(川嶋先生)。

この会で最近行った取り組みとしては、デイサービスに通う患者さんに1ヵ月間転倒日記をつけてもらいました。その後、検討会を行い、特に転ぶ頻度の高い患者さんには、ご本人と家族へ転ばないための指導や、万が一転んでも軽いけがですむように住宅環境を整備するアドバイスなどを、作業療法士または理学療法士などによる短期訪問リハビリテーションという形で行いました。

川嶋先生は、「患者さんやご家族がご希望のサービスをそのまま提供するだけではなく、患者さんの普段の生活を観察することで、本当に必要なサービスを見極めて提供できるようになれば」と考えています。

また、この他にも認知症患者さんのご家族に対し、認知症の知識を深めてほしいという思いから、講演活動なども行っています。

「周囲の人は、『認知症患者さんは不適切な行動をしている』と思うことが少なくありませんが、ご本人は当たり前のことをしているだけなのです。患者さんは『私は普通のことをしているのに、なぜ注意を受けなければならないの?』と感じていることを、周囲の人は理解することが大切だと思います」(川嶋先生)。

 

患者さんの心の痛みに寄り添い、支えていきたい

認知症治療において、患者さんのご家族の話が重視される場合が多いようですが、川嶋先生は、診察の度に必ず患者さんご本人に「調子はどうですか」と尋ねることにしています。これは、患者さんご本人に直接尋ねたほうが、患者さんが喜んでいると感じるからです。

「患者さんは、質問にうまく答えられないこともありますが、それでもどうやって答えようか考えている様子が伺えます。また、患者さんも自分に注意を向けてもらえたほうがうれしいのではないかと思います」(川嶋先生)。

先生は、認知症の患者さんの行動や発言のなかには、理解しがたいこともあるかもしれないものの、患者さんは心の奥ではいろいろなことを非常によく理解しており、むしろ私たちより過敏な状態であると考えています。そこで先生は「常に心が過敏な状態にある患者さんの気持ちを上手にくみ取れるようになることが必要」と話します。

そのために、同クリニックとデイセンターのすべてのスタッフが、患者さんの心の痛みを感じることができるようになり、一人ひとりに合わせた心身のケアをしていくことを心がけながら、今日も多くの認知症患者さんと向かい合っています。

 

 

取材日:2011年10月17日
かわしま神経内科クリニックの外観

かわしま神経内科クリニック


〒251-0038  
神奈川県藤沢市鵠沼松が岡5-13-17
TEL:0466-55-1358

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くげぬま松が岡デイセンター


〒251-0038
神奈川県藤沢市鵠沼松が岡5-13-13
TEL:0466-22-1251

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