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「今を楽しむ」認知症医療の実現を
<北海道函館市 医療法人富田病院>

認知症総合医療センター センター長 谷内弘道先生 認知症総合医療センター
センター長 谷内弘道先生

戦前から地域の精神科医療を支えてきた富田病院は、2000年に谷内弘道先生がもの忘れ外来を開設して以来、道南の認知症医療の中核へと発展してきました。2010年4月にはさらなる認知症医療の充実を図るべく「認知症総合医療センター」を設立。中等度~高度の患者さんの入院を受け入れ、地域のかかりつけ医との連携にも取り組んでいます。

認知症総合医療センターとして地域のニーズに応える

大学で神経の老化防止の研究を専門にしていた谷内弘道先生は、2000年に富田病院に赴任してまもなく、自分の得意分野を生かして認知症専門の「もの忘れ外来」を開くことになりました。新患が1日6人も来院し、予想を上回るニーズに驚いたという谷内先生。

その後もニーズは高まる一方です。現在40床ある認知症の専門病棟では、常に満床で入院待ちが常態化しています。このようなニーズに応えて「認知症総合医療センター」を設立。協力病院との連携でMRIなどの画像の検査体制が一層充実し、かかりつけ医からの紹介や相談を受け入れやすくなっています。

認知症への理解を広める活動にも余念がなく、認知症患者さんのご家族のための学習会を月1回開催しています。広報誌の発行にも力を入れ、ご家族・一般の方々に向けた「さんさん」、認知症患者さんに関わるスタッフへの情報提供を目的とした「それいゆ」の2つを発行。院内の待合室に置いたり、介護施設など関係機関に多数配布して、啓発に活用しています。

 

大切なのは「今を楽しむ」こと

谷内先生が認知症医療で重要と考えるのは「今を楽しむ」ことの大切さです。話してくれたのは、認知症のお母さんに花火を見せたくて、花火大会に連れ出した娘さんのエピソード。花火を見てイキイキ喜ぶお母さんを見て嬉しかったものの、帰りの電車の中で、見てきたものは「何だったかしら?」という受け答えにがっかりしてしまったそうです。

「がっかりすることはないんですよ。記憶に残ることを求めないで、そのときどきをお母さんに楽しんでもらうことが大切なんですね」(谷内先生)。

「今をイキイキと生活する」を中心に考えることで、介護者や医療にあたる側のいらだちや不安も減り、患者さんへの接し方も変わってきます。富田病院では、このような考え方を基本に、さまざまな患者さんとご家族のニーズに応えるための工夫を取り入れています。

 

精神保健福祉士が相談を受ける「もの忘れ外来」

医療ソーシャルワーカー 阿部栄里子さん 医療ソーシャルワーカー 阿部栄里子さん

富田病院のもの忘れ外来は電話予約制。初診時にまず電話で相談を受けるのが、精神保健福祉士でもある医療ソーシャルワーカーの阿部栄里子さんです。診察前の問診のときには、ご家族の悩みを聞く役割も担います。ご家族が医師には話しにくいことも聞き取ってまとめ、診察時に医師に伝えるようにしています。

「ご本人に抵抗がある場合には、健康診断ということで来ていただくなど、ご家族との関係を崩さないよう配慮しています」(阿部さん)。

外来の診察では、問診、頭部CTなどの検査の後、患者さんとご家族に一緒に入ってもらい、長谷川式簡易知能評価スケールを実施します。患者さんのミスのしかたによっても診断が違ってくるので、谷内先生自身が細かく見て評価しているそうです。

その後、患者さんがほかの検査に回っている間にご家族だけを残し、病気の説明、認知症の程度、今後のプランを話します。患者さんの前では話しにくいことやご家族の悩み、希望を聞くための配慮でもあります。

病気の告知について谷内先生は、患者さんご本人にアルツハイマーの告知をする病院もあると認めた上で、「現実には、初対面の医者から病名を告げられれば、受けとめられずショックを受けるだけです。ご家族からご本人に告げてほしいと依頼されたら後日タイミングを見て話をします」と、患者さんとご家族の心情への配慮を語ります。

 

入院が必要な患者さんを受け入れる専門病棟では

「認知症でも家で生活できる人はたくさんいます」(谷内先生)。介護が必要になっても介護サービスを積極的に利用することで家庭生活が続けられるなら、そうした方がいいというのが谷内先生の方針です。それでもご家族が追い詰められていたり、目を離せない大変な状態になると入院が必要になりますが、そのような患者さんは多く、富田病院では40床の認知症病棟で受け入れています。

看護師 鈴木たか子さん 看護師 鈴木たか子さん

看護師の鈴木たか子さんは、そうした入院患者さんたちと接する認知症病棟の大変さを語ります。

「いろんな症状が出てご家庭や施設でも生活できなくなった方が入院されるので、突然攻撃的になるなど予測できない行動をとることもあります。常にスタッフは気を張っていますね」(鈴木さん)。

病棟の看護師みんなが印象深く覚えているという若年性アルツハイマーの男性患者さんは、若いために力も強く、攻撃的で、お風呂に入れるにも苦労したと言います。体を押さえようとするとさらに興奮してしまうため、二人がかりで対応するようにしたり、ご家族にも協力してもらったり・・・・。

1年3カ月ほどかかって最終的に落ちついたこの患者さんは、そのことの喜びも大きかったのですが、別の意味でも印象深かったそうです。

「奥様が毎日休まず昼食の介助に来ていたことに、ナース一同、たいへん感動しました」(鈴木さん)。

患者さんのため一緒にがんばるご家族の姿が看護師の励みとなり、ご家族からの感謝の言葉が喜びになると鈴木さんは語ります。

 

「今を楽しく」が基本の作業療法

谷内先生は認知症の作業療法の意義を、前向きに考えています。入院患者さんは時間をもてあまし、刺激が少ないために体力も脳の機能も落ちてしまうことがあります。「作業療法によってたくさん刺激を受け、楽しく時間を過ごしてもらうことは大切です」(谷内先生)。

作業療法士 那須貴彦さん 作業療法士 那須貴彦さん

そこで活躍するのが、作業療法士の那須貴彦さんです。認知症の作業療法を専門にしたいと富田病院の門を叩いた那須さんは、病棟の40人の患者さんを一人で担当しています。

「一人でやれることは限界がありますが、患者さんに元気づけられることも多く、こちらも楽しませてもらっています。モットーは『今を楽しんでもらう』ことです」と那須さん。手作業で何かを作ったり、昔なじんだ歌を通じて昔のことを思い出したり、体を動かしたりと、患者さんが生き生きとした時間を過ごせるようなリハビリを工夫しています。

患者さんにちょっとした役割を担ってもらうこともあります。役割を担うことで患者さんの毎日の生活にも張りが出てきます。そのような患者さんは日々状態が良くなり、別れを惜しみながらも退院していくと言います。

自分は日々患者さんに支えられていると言う那須さんは、「函館という土地柄を生かして、四季を感じられる活動を取り入れたい」とさらなる抱負を語ります。

 

地域で認知症患者さんを支えていくための課題は

認知症総合医療センターとして、地域連携を進める富田病院ですが、患者さんや家族を支える地域の連携は、まだまだ十分ではない部分もあります。

阿部さんは「患者さんやご家族のニーズに合った介護サービスを探して施設と連携を取ったり、当院でやっていた作業療法を施設にも引き継げたらいいと考えていますが、うまく連携が取れない場合もあります」と、連携の難しさと課題を語ります。

谷内先生が語るのは、地域のかかりつけ医との連携の障害となっている薬の処方の問題を乗り越えるためのプランです。患者さんをかかりつけ医の先生に戻したくても、精神科の薬の処方が難しいからと、かかりつけ医が尻込みする場合があるからです。

谷内先生のアイデアは、紹介元のかかりつけ医が使い慣れている薬を使って、富田病院で患者の治療を行うこと。使い慣れた薬なら、地域のかかりつけ医も安心して戻ってきた認知症患者さんを診ることができ、患者さんやご家族にも安心して生活してもらえるはず、と谷内先生のプランはふくらみます。

 

 

取材日:2011年10月27日
医療法人 富田病院の外観

医療法人 富田病院


〒042-8511
北海道函館市駒場町9-18
TEL:0138-52-1112

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