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高齢化が進む地域に根ざし、アットホームな雰囲気でサポート
<青森県八戸市 於本病院>

副院長 於本晴美先生
副院長 於本晴美先生

青森県第二の都市である八戸市にある於本病院は、住民の高齢化が進むなか、地域に密着した病院として地元の人たちから信頼を寄せられています。療養病棟のほか、デイサービス、訪問診療など、外来以外の場や時間帯でも患者さんを支える体制を整え、高齢化の進行とともに認知症患者さんも増えつつある地域の医療に貢献しています。

地域のクリニックと連携し診断をスピーディーに

於本病院は、消化器、循環器、呼吸器などの内科全般に加え、神経内科と理学診療科を持ち、長年にわたって地域の患者さんから頼りにされてきた病院です。医療保険と介護保険のそれぞれに対応できる療養型病棟があり、認知症の症状が進行した患者さんも受け入れています。

高齢化が進む八戸市では、認知症を疑ったご家族に受診をすすめられる方だけでなく、認知症の症状でご家族の負担が大きくなり介護保険のサービスを利用する際の、あるいは施設に入所する際の健診として受診する方も増えています。自らの認知症を疑ってご本人が受診する場合でも、高齢者が多いのが特徴です。

同院では、問診に加えて長谷川式の認知機能テストやMMSE(認知機能検査)を行い、うつ病や治療可能な認知症を除外しながら診断していきます。画像診断の必要性があれば、市内の脳神経外科クリニックと連携し、MRIやCT撮影を依頼しています。

内科の医師であり副院長でもある於本晴美先生は、その理由として診断までの時間短縮を挙げます。

「八戸には大学病院がなく、中核病院でも画像撮影をするためには、まず初回の診察を受け、検査予約をして他の日に撮影、さらに検査結果を後日に聞くというように、時間がかかってしまいます。その点、脳神経外科のクリニックに依頼すれば、初めて受診したその日に検査を受けることができ、診断が出ます。早く診断がつくことは、患者さんにとってもメリットのあることだと思います」(於本先生)。

 

訪問診療で24時間対応、情報収集も幅広く実施

同院では、認知症患者さんのほか寝たきりやターミナル期にある患者さんを支えるため、訪問診療を行っています。訪問診療を行う患者さんには、外部機関の訪問看護サービスも利用してもらいます。訪問診療は短時間しか滞在できませんが、訪問看護の場合、看護師が1時間ほど滞在してじっくりと向き合うことができるため、患者さんの状況やご家族の様子など、訪問診療からは得られない情報も得られるというメリットがあると於本先生は言います。

「患者さんの具合が悪いとき、具合が悪いことはわかっても、どこが悪いのかまではご家族にはわかりません。訪問看護が入っていると、バイタルサインのチェックができますし、私が診察に行く必要があるかどうかの判断も看護師ができます」(於本先生)。

患者さんが介護保険を利用している場合、ケアマネジャーが中心となってサービス提供機関の関係者が集まるサービス担当者会議が開催されます。主治医の出席は義務ではありませんが、於本先生は、そこで得られる情報も有効だと考え、できる限り参加するよう努めています。

また、於本先生は他の社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの嘱託医も務めます。施設では認知症患者さんを職員が24時間見守りますから、投薬の量やそれによる経過などを確認しながら調節できます。於本先生は施設職員からの情報をもとに入居者さんに適した量や投薬のタイミングなどを工夫し、そこでの結果を通院外来の患者さんに応用しています。病院の外でも精力的に動き、そこで得た情報を患者さんのケアに生かすのが於本先生のスタイルです。

「患者さんの具合が悪くなるのは夜中や明け方が多いですから」と、於本先生は訪問診療を行う患者さんや嘱託医を務める施設には24時間対応します。高齢化が進むなか、病院以外の場でも昼夜問わず医療が求められ、それにしっかり応える体制です。

 

デイサービスで患者さんのレベルを維持

患者さんはひとたび入院すると、ご家族の不安が壁となり退院して在宅介護に戻る機会が少なくなりがちです。同院は平成15年からデイサービスを開始し、退院しても日中は病院併設のデイサービスセンターで過ごし、職員が対応する仕組みを作りました。

入院患者さんは症状が進行する場合が多く、デイサービスの提供だけでは必ずしも退院して自宅に戻れるわけではありません。しかし、定員50人という規模の大きいデイサービスセンターも市内にあるなか、定員25人という同院のデイサービスを好む地域の人の利用も増え、地域に根付いたサービスとして定着しつつあります。

同院に作業療法士はいませんが、看護師や介護士が勉強会に出向いて、レクリエーションの進め方や認知症患者さんに対応する療法を学んでいます。

統括看護部長・地域連携室室長 米内ミユキさん 統括看護部長・地域連携室室長
米内ミユキさん

「何かをする意欲がなく、かたくなな利用者さんがいたのですが、センターが持っている農園に誘ったところ、畑を耕したり収穫の手伝いをしたりするなどして、とてもいい表情をして作業をしていました。女性にはスタッフがお化粧をしてさしあげると、活動的になり、笑顔になります」と、於本先生は作業療法や行動療法の有用性を訴えます。

病院全体を見渡し、外部との連携に活躍している地域連携室室長の米内ミユキさんも、「外来とデイサービスどちらにも来る患者さんも多いので、両方で長年おつきあいをさせていただいていくうちに、少し認知症の症状が進行したなど、変化がわかる場合もあります」とデイサービスがあることのメリットを語ります。

 

「なんか変」という微妙な変化に対応

地域に密着している同院では、外来に来る患者さんは長期にわたって通院しており、短期間ではなく6カ月や1年といった長期間の入院患者さんも少なくありません。米内さんは、病棟で日々、患者さんの顔つきに目配りしており、於本先生も「毎日見ていますから、ご家族以上に患者さんの状況をわかっていることもあります」と信頼を寄せています。

そんな米内さんが重視しているのは、「なんか変」だと感じる、微妙な患者さんの変化です。

「具体的に指摘できなくても、何かが違うと感じさせる瞬間があれば、すぐ先生に報告します。そして検査を行った結果、病気が判明することもあります」(米内さん)。

於本先生をはじめとする医師側が「なんか変」というスタッフの言葉を軽んじず受け止めていることが、症状や変化の見落としを防ぐとともに、先生たちとスタッフの信頼関係を強固なものとしています。

米内さんは、ご家族の思いにも耳を傾けます。入院患者さんのご家族が米内さんに気持ちを吐き出すことで、次回から穏やかな表情で面会に来ることもできます。

外来主任 坂亜希子さん 外来主任 坂亜希子さん

「患者さんにとっては、ご家族が笑顔で接してくれ、手をつないで院内を歩いたりできるのが嬉しいんです」と米内さんは言います。

訪問看護の経験があり、ご家族と接する機会が多かった外来主任の坂亜希子さんも、「外来などでご家族に何気なく質問をして、まずはご家族の思っていることを聞いたうえでアドバイスさせていただいています」とご家族をフォローすることで患者さんのケアへとつなげています。

 

地域で早期発見・早期受診の啓発を

在宅介護は長期にわたる場合もあり、患者さんの入院などでご家族が休める時間を確保してもらうことが大切というのが於本先生や米内さんに共通した見解です。そうすることで、退院後在宅に戻れる患者さんもいます。

「ただ、退院して在宅に戻れるレベルのときに受診し、入院してもらえるといいのですが、入院したらもう戻るのが難しいほど進行して初めて受診する患者さんが多いのが現状です」(於本先生)。

そこで、於本先生は、地域の講演会などで認知症の啓発に努めています。一市民であり母であり、医師でもある於本先生は「ボランティア活動が好き」と話すだけに、地域での活動は幅広く、女性模擬市議会への参加や学校のPTA活動など精力的に行うなかで、地域の医療へのニーズを探り、また、健康についての相談に乗り、そこで得られた情報を地域に還元しています。

その一方で、同院では「院内学会」と名付けて院内に7つの委員会を組織。感染防止、褥瘡、災害対策などそれぞれの委員会が1年かけて学ぶとともに、周知すべき内容について各委員長がスタッフ全員の前で発表を行うなど、スタッフの研さんにも力を入れています。

「作業療法士などの職員も欲しいのですが、医療従事者は都市部に集中し、八戸市は医療スタッフの獲得が難しい地域です」と、於本先生は同院を取り巻く厳しい状況を語りますが、デイサービスの他に地域密着型特定施設入所者介護も開始し、アットホームな雰囲気を大切にして患者さんを迎えるなど、患者さんを第一に考えた医療の提供に努めています。スタッフが患者さん・ご家族と長年にわたって関わり、地域で求められる形の医療とケアを常に模索しています。

 

 

取材日:2011年10月29日
於本病院の外観

於本病院

〒031-0036 青森県八戸市大字大工町10
TEL : 0178-43-4647

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