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新川地区の認知症窓口として住民を支える
<富山県魚津市 医療法人社団弘仁会 魚津緑ヶ丘病院>

魚津緑ヶ丘病院 院長 葛野洋一先生
魚津緑ヶ丘病院 院長
葛野洋一先生

梨畑に囲まれた丘の上にたたずむ魚津緑ヶ丘病院は、総病床数140床、スタッフ総勢130余人を抱え、富山県東部・新川(にいかわ)地区の精神疾患、認知症疾患医療の拠点となっています。地域の認知症疾患医療センターに指定されたことから、地域包括支援センターなどと連携を図り、地域の窓口として患者さんやご家族の生活向上に貢献、啓発活動も積極的に展開中です。

地域指定の認知症疾患医療センターとして

緑に囲まれ、光が降り注ぐ個性的なデザインが心安らぐ環境を演出 緑に囲まれ、光が降り注ぐ
個性的なデザインが心安らぐ環境を演出

立山連峰と富山湾が一望できる美景に恵まれた、魚津緑ヶ丘病院。2002年にリニューアルされた同院は、美術館を思わせるモダンなたたずまいで、富山県の建築賞を受賞するほどデザイン性も高く、ステンドグラスや屋上庭園が来院者の緊張を解きほぐしてくれます。

同院は1963年(昭和38年)、新川地区で初めての精神科病院として創立されました。現在では精神科・心療内科・高齢精神科・高齢心療内科を標榜し、精神科デイケア、認知症デイケア、社会復帰施設などを併設していることから、地域唯一の精神疾患・認知症疾患病院として、高齢化時代に適応するように展開しています。

こと認知症治療においては、約20年前から積極的に取り組んでおり、全140床のうち40床が認知症疾患治療病棟。2010年に「にいかわ認知症疾患医療センター」の指定を受け、同年10月から運営を開始したことから、半年間で109件の相談と160件の外来受診がありました。

「地域柄、認知症患者さんは以前から少なくはなかったのですが、センターが開設されて相談すべき場所が明確になったことで、さらに潜在的ニーズを掘り起こしたようです。今までかかりつけ医で診てもらっていた患者さんがこちらを紹介され、来院されるようになりました」と、魚津緑ヶ丘病院の院長であり、にいかわ認知症疾患医療センター長も務める葛野(かどの)洋一先生は話します。

認知症患者さんは、初診も含めて平均1日10人来院され、その数は徐々に増加傾向にあります。

 

高齢うつと認知症を鑑別、正確な診断へ

同院での認知症治療の特長としては、まず、「見落とさないこと、しっかりと鑑別診断をとること」が挙げられます。初診の患者さんには問診、長谷川式簡易知能検査、画像、診察内容を総合的に評価して診断をつけますが、「表面上はとてもおだやかで、少し話をした限りでは認知症には見えない人もいるので、診察時には患者さんの動作、表情、話しぶりなどに特に注意を払うようにしています」(葛野先生)。

認知症とともに増加傾向の著しい、高齢うつとの鑑別診断も欠かせません。長谷川式で点数が低く出ても、うつであるケース、その逆もまた珍しくないからです。「認知症とうつは相関し合う。認知症だとうつの症状が出やすいし、うつ病だと認知症へのリスクファクターになりますから」と指摘する葛野先生は、2005年に認知症サポート医となりましたが、精神科医としての臨床経験も豊富なため、様々な角度から両者を見分けるようにしています。

「一概には言えませんが、うつ病だと『わからない』という答えが多く、認知症の場合は考えているようにみえるけれど答えられないことが多いですね」―これが、大まかに見分ける目安だと言います。

高齢うつだけではなく、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症、そしてレビー小体型認知症との鑑別にも同院では力を入れています。

「かつてわが国では、ラクナ梗塞があるだけで脳血管性認知症だと診断しがちだったのですが、それだけで診断するのは危険。的確な治療のためには、しっかりと鑑別をしなければ。いつ急変したか、きちんと患者さんの臨床経過をたどった上で、慎重に診断・鑑別を行います」(葛野先生)。

 

ご家族を一人にさせないための言葉掛けも

正確な鑑別診断のためには、ご家族の存在も欠かせません。正常なもの忘れの範囲内なのか、認知症の始まりなのか、患者さん自身では気づきにくく、自覚に乏しいもの。

にいかわ認知症疾患医療センター マネジャー ケアマネージャー 看護師 井上千代美さん にいかわ認知症疾患医療センター
マネージャー
ケアマネジャー 看護師 井上千代美さん

「ご家族は本人より観察できているので、変化に早く気づける。早期であればあるほど投薬は効果的ですので、ご家族の気づきには注目しています」(葛野先生)。

すでに認知症が進行している患者さんの現状を正確に知ることや、ご家族の「介護力」を知ること、さらにはご家族自身を支えるためにも、「十分にご家族の話を傾聴させていただくことが大事」と言うのは、にいかわ認知症疾患医療センターの専従看護師の井上千代美さん。葛野先生と患者さん、ご家族との橋渡し役はもちろんのこと、地域包括支援センターの認知症連携担当者、地域のケアマネジャーなどへの連絡・調整役も務めています。

「ご家族からの相談を受けるときは、患者さんとご家族の意思が一番尊重されるべきだと意識し、言葉を掛けるときにも、押し付けにならないように気をつけています」(井上さん)。

魚津緑ヶ丘病院 地域連携室 マネージャー にいかわ認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 澤村真さん 魚津緑ヶ丘病院 地域連携室 マネージャー
にいかわ認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 澤村真さん


ケアマネジャーや関係各機関などへ紹介する際にも、同意をとってから連絡をするように心がけていると言います。

同センターで精神保健福祉士としてインテークを取り、入院相談やケア会議なども取り仕切る澤村真さんも、「ご家族を支えることは大事な役割の一つ」と考えています。

「介護に疲れているご家族が少しでも本来の生活に戻れるよう、いろいろな制度を紹介したり、一人にならないような言葉掛けをしたり、介護に直面されているご家族への配慮は欠かせません」(澤村さん)。

にいかわ認知症疾患医療センター 臨床心理士 武藤眞巳子さん にいかわ認知症疾患医療センター
臨床心理士 武藤眞巳子さん

また、ご家族の話、患者さん本人の話を「口を挟んで違う方向へ曲げてしまうことが多いのですが、できるだけ傾聴することに徹したい」というのは、臨床心理士の武藤眞巳子さん。「目の前の相手を尊敬したいし、尊重することを心がけています。お話ししてくださる内容に対して自分の思い込みで『わかった』という気にならず、あくまで先入観に気づきながら拝聴したい」という姿勢で、認知症患者さん、ご家族へのカウンセリングに日々努めています。

 

地域認知症医療の担い手としての活動

ご家族の思いに寄り添い、支えるためには、十分なコミュニケーションが必要不可欠な一方、「ご家族自身のためにも、そもそも認知症とはどういうものか、患者さんとの関わり方まで広く理解していただくことが必要」(澤村さん)として、同センターでは、学習会や地域公開講座などを開催するなど、積極的に認知症啓発活動を行ってきました。

看護師の井上さんは認知症地域支援推進員でもあるため、「推進員の使命としてもセンターの使命としても、認知症に関する啓発活動をさらに展開させ、認知症サポーターの養成講座なども開いていきたい」と抱負を語ります。

「センターができたことで、医療と介護の連携をシステム化させ、地域全体で支える仕組みをしっかりとつくりたい。そのための土台づくりに、スタッフ皆で取り組んでいる最中です」(井上さん)。

3Fの治療病棟の壁面には動物や鳥などの絵画が描かれ優しい雰囲気を演出している 3Fの治療病棟の壁面には動物や鳥などの
絵画が描かれ優しい雰囲気を演出している

葛野先生は老人保健施設などの嘱託医も務めていることから、地域の関係各機関とのパイプがあります。「例えば周辺症状がかなり進行した施設の患者さんには当院に入院していただき、逆に当院に入院していて周辺症状が軽快された方には、施設に移っていただく。何が患者さんにとって最適かを考え、こういった行き来がスムーズに行えるよう、多くの施設とタイアップしていきたい」と、今後のさらなる連携を思い描いています。

 

院内、地域とのチームワーク向上をめざす

新川地区の精神保健、認知症医療の中枢を担っていると言われることに対しては、「地域の皆さんのためにさらなる努力をしていきたい」とする一方で、「横の連携が何より大切」と葛野先生は考えています。

「当センターがトップという縦の位置づけ、上下関係はありません。大切なのは横のつながり。院内のチームワークはもちろんのこと、関係機関、医療・福祉従事者、そして住民の皆さんとのチームワークが良ければ、患者さんをしっかり支えていけると思います」(葛野先生)。 

チームワークづくりの一環として同院で行っているのが、コンサートです。併設デイケアの名称が「あると」、職員を対象にした託児所が「どれみ」、エクステリアにも音符のデザインを配するなど、人々の心を癒すアイテムの一つとして「音楽」というエッセンスをちりばめている同院。地域住民を招待し、隣接する音楽ホールで年2回の“ふれあいコンサート”を実施することで、「地域に開かれた病院」を根づかせています。

認知症サポート医として「すべての患者さんの認知症が治るのが理想ですが、せめて進行を抑え、この地域で自分らしい生活をさせてあげたい」という願いを持つ葛野先生。かつては薬の種類が限られ、効果に差がみられたものの、「内服薬のほかパッチ型などの新薬が出たことで、選択肢が増え、ご家族からの期待も大きい」と言います。もっとも、「投薬のみが認知症医療ではない」とも葛野先生は話します。

「確かに薬は効果的で、早期の段階ではかなりよくなりますが、薬に依存しない医療が理想。私ども含め個々が専門性を磨きつつ、地域レベルでのチームワークがより強くなれば、最低限の薬物療法で患者さんを支えていけると思っています」(葛野先生)。

 

 

取材日:2011年10月25日
魚津緑ヶ丘病院の外観/にいかわ認知症疾患医療センターの外観

医療法人社団弘仁会 魚津緑ヶ丘病院     にいかわ認知症疾患医療センター

〒937-0807 富山県魚津市大光寺287              TEL : 0765-22-3399
TEL : 0765-22-1567

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