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専門性の高い脳手術から日常のリハビリまで地域のニーズに応える
<北海道旭川市 医療法人社団杏仁会 大雪病院>

理事長 尾崎信彦先生 理事長 尾崎信彦先生

脳神経外科としての専門性を生かし、院内の整形外科やリハビリテーション科との連携で認知症の総合的なケアに努める大雪病院。在宅診療や施設への訪問診療にも取り組むなど、地域の医療ニーズに積極的に応えています。

VSRADの導入を契機に、認知症の外来患者が増加

大雪病院が旭川市で初めてVSRAD(脳のMRI画像の解析による早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)を導入したのは2005年11月のこと。同院がある永山は人口約5万人を有し、かつて屯田兵が開拓したとされる歴史ある町。高齢者が多く、認知症の診療に対する地域のニーズは年々高くなっていました。

同院は脳神経外科を専門の一つに掲げているため、もともと脳卒中など脳血管障害があって認知症を発症した患者さんを診ることが多かったのですが、VSRAD導入後は、もの忘れの症状だけの診療にも積極的に取り組むようになりました。

「その結果、外来の患者さんや地域包括支援センターからの相談なども徐々に増えてきました。中には入院が必要な方もおられますが、軽度から中度の方が比較的多いですね」と、大雪病院の理事長で脳神経外科医の尾崎信彦先生は語ります。そして同院の診療の特徴として「脳神経外科としての専門的な診療と院内連携によるご家族を含めた手厚い対応」を掲げます。

 

院内整形外科、内科との連携が認知症診療にプラス

医師 高羽通康先生 医師 高羽通康先生

「単なるもの忘れだと思って受診された患者さんの中にも、実際には水頭症、慢性硬膜下血腫、小さな脳梗塞など脳外科的な疾患の方がおられます。それらをきちんと診断して、手術で治せるものは治していく。それが当院に求められることであり、やるべきこと」と脳神経外科医である高羽通康先生は言います。そして「院内に整形外科、内科があるのは認知症診療にもプラス面が多い」と、院内連携の効用を示します。

「認知症の患者さんの中には、内科の基礎疾患、膝や腰の痛みをお持ちの方が少なくありません。そうした患者さんが、内科の治療で身体が回復すると共に認知症が良くなることがあります。また、膝の痛みで歩けなくなって認知症が進んだ方が、整形外科の手術で歩けるようになり、併せて認知症が改善したこともあります」(高羽先生)。

こうした連携の基本には、同院の全スタッフが心に刻んでいる「愛と信頼 そして夢の実現」という理念・基本方針があります。

「特に認知症の患者さんでご本人に病気だという自覚がない場合、病院に連れてくるだけでもご家族は大変。そうしたご苦労を少しでも和らげるよう懇切丁寧に対応することが大切です」(尾崎先生)。

「患者さんのプライドを傷つけないよう、常にその方の人格を尊重しながらあせらず慎重に診療にあたっています」(高羽先生)。

こうした姿勢は、ご家族からの相談対応やリハビリテーションにも実践されています。

 

患者さんとご家族が抱える問題に実践的に対応

「認知症の患者さんの治療には、家庭での生活環境が大きく影響しますので、ご家族の患者さんへの接し方などにも積極的にアドバイスしています」と高羽先生は言います。

作業療法士 伊藤まゆみさん 作業療法士 伊藤まゆみさん

看護師 渡辺ひとみさん 看護師 渡辺ひとみさん

「ひとことでもの忘れといっても、その症状は患者さんによってさまざま。患者さんとご家族から詳しくお話を聞き、今何にお困りなのか、何がご不安なのか、できるだけ具体的に把握することが、まずは重要です」と語るのは作業療法士の伊藤まゆみさん。その結果、「患者さんの症状によって接し方を変えていますし、ご家族にも『この方にはこうお声がけした方がわかりやすい』と具体的に説明しています。ご家族には日常生活に役立つ実践的な方法をお伝えするよう心がけています」と対応の心構えを語ります。

例えばよくある薬の飲み忘れの場合、ご家族が「飲んでいないでしょ」と言っても、飲んだという自覚のある患者さんは反発することがあります。そのとき「もうひとつ薬がありますよ」と言うと、患者さんが納得しやすく、「効果があった」というご家族の声も多く寄せられています。

看護師の渡辺ひとみさんは「患者さんのご家庭での様子を、もっと私たち医療スタッフに聞かせていただきたいですね。ぜひご家族の方も患者さんと一緒に来院してほしい」とご家族の協力を促します。

また、院内での約1時間のリハビリテーションではできることに限りがあるため、伊藤さんは患者さんに“宿題”を出すことがあります。その内容はドリルのほか、日々の天気や新聞の一面記事の記録。社会で何が起きているのかを知ろうとする習慣が認知症の改善につながるからです。

伊藤さんは「宿題をきちんと提出されたときには、心から敬意を表してお褒めします。患者さんに『自分はまだやれる』という自信を持っていただくことが大切ですから」と宿題の効用を語ります。

 

在宅を含めた総合的な診療の必要性

「薬がよく効き、ご本人も積極的にリハビリに取り組まれた結果、当院の無料送迎バスを使って、一人で通院できるほど症状が改善した方もおられますよ」と尾崎先生がにこやかに語る患者さんがいます。

伊藤さんも「宿題も毎回欠かさずやってこられていましたね」と振り返るその患者さんのことを、院内のスタッフは“チョコレート”と共に記憶しています。

「リハビリが終わったあと、院内の売店でチョコレートを買って私たちにくださるのです。お礼のお気持ちですから、強くお断りできませんでした」と苦笑いする渡辺さんに、「僕らはもらってないけどなあ」と尾崎先生たちは笑います。この患者さんのことを思い返すとき、スタッフの顔は自然とほころびます。

しかしこの患者さんも次第に薬の効きが悪くなり、5、6年後には症状が悪化して、介護施設に入所しました。

尾崎先生は「やはり認知症が完全に治る薬があるといいですよね」と悔しい思いを語ります。そして「認知症が進むとご家族だけでは支えきれません。地域連携による在宅患者のサポートなど総合的な診療が必要です」と課題を指摘します。

 

地域の医師と連携し、できる限りニーズに応える

同院には「在宅で介護していて、だんだん認知症の症状が出てきたのだが、どうすればいいか」といったご家族からの相談が少なくありません。

医療ソーシャルワーカー 医療ソーシャルワーカー

そうした院外からの相談を主に受けている同院の医療ソーシャルワーカーは「ご家族の不安を取り除くためにも、とにかくよくお話を聞き、その要点を整理して尾崎先生、高羽先生らに伝えるのが私の仕事」と自身の役割を語ります。高羽先生は「外来診療のとき、患者さん本人の前では言いにくくても、電話でなら話しやすい場合もあるでしょうから、このような聞き取りは非常に有効です」と医療ソーシャルワーカーからの情報に信頼を寄せています。

また、同院は通院が困難な患者さんのために施設の訪問診療も行っています。そのため、地域包括支援センターやケアマネとの連携も重要となり、医療ソーシャルワーカーは院内外へ絶えず目と心を配っています。

「この地域の認知症診療において、私どもが果たすべき役割は、今後さらに大きくなるでしょう」と尾崎先生は言います。

「かつては道北の総合病院の多くに精神科がありましたが、近年どんどん減っています。それを脳神経外科や内科の医師で、認知症治療に意欲、関心のある者がカバーし、軽度の認知症の場合はできるだけかかりつけ医で診るというのが地元の医師会の方針です。当院は99床を備え基幹病院と同等の機能を持っています。重度の患者さんを受け入れられる病院、施設が限られる中、その収容人数を超えたら当院が引き受けなければなりません」と決意を込めて語ります。

高羽先生も「在宅や施設に入所されている方も含めて、これからは私たち脳神経外科医が最期まで診なければならないことが増えるでしょうし、そういう地域のニーズも高まってきています」と続けます。そして両先生が示す、これからの大雪病院のあり方は一つ。

「地域に根ざした病院として、できる限りのことをやっていきます」

 

 

取材日:2011年11月16日
大雪病院の外観

医療法人社団杏仁会 大雪病院


〒079-8413
北海道旭川市永山3条7-1-5
TEL:0166-48-6661

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