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地域の一翼を担う認知症診療を目指して
<東京都品川区 NTT東日本関東病院>

神経内科部長 吉澤利弘先生
神経内科部長 吉澤利弘先生

品川区の中核病院のひとつとして住民からの信頼が厚いNTT東日本関東病院。開業医からの紹介だけでなく、軽度のもの忘れの段階で自主的に受診しようとする患者が多いことが特徴です。その背景には、常に地域のネットワークの中で認知症診療を展開しようとする姿勢がありました。

品川区の連携パスづくりが前進

NTT東日本関東病院は、その名のとおりNTT東日本が設立運営する企業立病院ですが、同社の社会貢献のひとつとして一般にも広く門戸を開いています。665床(一般病棟615床、精神病棟50床)という規模に加え、日本を代表する情報流通企業が運営する病院として、IT技術を積極活用するなど先端技術を取り入れた医療に取り組むことを理念としており、地域に住む人たちにとって非常に頼れる総合病院として機能しています。

認知症医療に関しては、品川区医師会が進める「認知症ネットワーク」における中核病院としての役割を担い、品川区での認知症連携パスづくりや、研修会の開催などにも積極的に取り組んでいます。

「品川区ではここ3年ほどで、連携パスやネットワークづくりが進みました。それに関連する打合せや研修会などで総合病院の医師と開業医の先生たちが顔見知りになったことは、大きな収穫ですね。顔が見える関係になったことで、診療所やクリニックと病院との相互の紹介も、安心して行えるようになりました」と、神経内科部長の吉澤利弘先生は語ります。

 

地域のなかの院内ネットワーク

同院と、昭和大学附属病院や東芝病院など品川区内の総合病院とは、以前から脳卒中やがんなどで連携していましたが、認知症の場合は、医師会が主導的にネットワークづくりに取り組んだと言います。「これは全国的にみても画期的なことだと思います。地域の高齢化が進んでおり、開業医の先生方が危機感を強くしているのでしょう。同様に薬局の薬剤師さんも関心を持っておられるようです。独居の患者さんには薬を渡すわけにはいきませんからね。認知症は、様々な分野、様々な職種の人たちの協力が不可欠な、社会的な側面の大きな疾患だと改めて感じます」(吉澤先生)。

同院では、開業医の先生からの紹介などを受けて確定診断や初期治療を行ったあとは、原則的に在宅診療を紹介元の開業医の先生にお願いするようにしていますが、在宅における介護面や社会的課題などについては医師とともに総合相談室が相談に対応しています。

総合相談室副室長 主任ソーシャルワーカー 原田とも子さん 総合相談室副室長
主任ソーシャルワーカー 原田とも子さん

「総合相談室は20年以上の歴史があります。当院には多様な診療科があり、疾病別の院外ネットワークもありますが、認知症など高齢の患者さんは、複数の疾病を持っていることも少なくありません。さらに医療だけでなく介護をどう利用するかも重要で、院内・院外の連携をトータルに掌握する部署が必要なのです。院内と院外を別に考えるのではなく、地域ネットワークのなかの院内というイメージで考える必要がありますね」と、総合相談室の役割について、副室長でソーシャルワーカーの原田とも子さんは語ります。

 

軽度の患者が自主的に来院

同院は、品川区の認知症ネットワークの中核病院のひとつに位置づけられています。認知症は専門外来としてではなく、一般の神経内科外来の中で対応されていますが、認知症の新患で紹介によるのは3割ほどで、あとの7割は家族や本人の意志での来院、しかも、ごく軽度のもの忘れの段階で来院するケースです。

「都市型の病院の特徴なのかもしれません。ご家族もご本人も情報感度が高く、早期発見・早期治療の重要性を認識しておられるのでしょう。『自分が認知症かもしれないから調べてほしい』と言って来られる方も珍しくありません。ですから、『認知症ではない』という診断を持ってお帰りになる方も多いですよ」と吉澤先生は語ります。

神経内科が診ている認知症患者さんは年間で300人くらい。半数が品川区民で、港区、目黒区、世田谷区など近隣の住民をあわせると7割、ほかに横浜や埼玉からわざわざ来院する患者さんもいるそうです。

 

独自の「関東病院しあわせプログラム」

同院では精神神経科主導で軽度の患者さんとその家族を対象とした独自の「関東病院しあわせプログラム」も行われています。これは、まだ軽いもの忘れの段階で家族を巻き込み、しかも家族の心理的なケアも念頭に入れた画期的なプログラムです。

「4年ほど前、病院全体のカンファレンスで私が認知症について話をした内容に精神神経科とリハビリテーション科が興味を持ってくれたのがきっかけでした。精神神経科の主導のもとに我々神経内科、リハビリテーション科、さらに総合相談室の4部署で協力して、試行錯誤しながら作りあげたプログラムです」(吉澤先生)。

プログラムは月曜の午後に1時間15分の枠を設けて行われます。定員5名(5組)の少人数グループで、8回のシリーズを初回から8回目まで同じメンバーで受けるのが原則です。

内容はまず、もの忘れの悪化を防ぐための運動療法と、不安の軽減や意欲・自尊心の改善を図るための回想法。これを、患者さんだけでなく、家族も一緒に体験します。家族が運動療法や回想法の手法や考え方を知ることで、自宅でのケアに生かせるからです。

これらの療法と並行して、心理面や認知機能の詳しい検査や、家族が抱える不安や心配についてソーシャルワーカーが相談に乗る時間も設けています。

「軽度の患者さんと家族向けのプログラムに、ニーズがあるのだろうかと最初は思ったのですが、『求めていたものが見つかった!』とおっしゃる方が多いです。介護保険の要介護度1にも認定されない初期の段階にも、その時期に特有の悩みがあることを改めて認識しました」と原田さんは語ります。

8回でプログラムは卒業ですが、毎年、受講した患者・家族全員を集めて年末に同窓会を開催しています。「平成20年10月にプログラムをスタートして、昨年の同窓会が3回目。家族だけでなく患者さん本人の参加もあり、好評です。プログラムを受講した人たちから、その先のプログラムを望む声も強いので、皆で今後のあり方を議論しています」(吉澤先生)。

 

地域全体でケアできる社会を

軽度の患者さんが多いのが特徴の同院ですが、症状がかなり進行した独り暮らしの高齢者が、隣人やヘルパーなどに付き添われて来院するということも、もちろんあります。できるだけ早く医療に繋げていくためには地域の薬剤師、ソーシャルワーカーやケアマネジャーとのネットワークなどを強化する必要があり、行政との連携も必要です。

良好な連携と信頼関係が垣間みえる吉澤先生と原田さん 良好な連携と信頼関係が垣間みえる
吉澤先生と原田さん


ソーシャルワーカーである原田さんは、「病院や医療にまつわる制度やシステムは、一般の人々には分かりにくいものです。私自身も病院に勤務して医療の事情が分かるようになりました。今後はより意識して、橋渡しの役目を果たしていきたいです。と同時に、認知症はただの老化現象ではなく、病気であり、症状緩和治療など医療にできることも伝えていきたいと思います」と語ります。

吉澤先生も、「医師のネットワークはかなりできていましたが、ここからがスタートですね。私は、品川区は良い方向に進んでいると思います。都会ですが地域のコミュニティが厚く残っているのも、良い条件です。力を合わせて、地域でケアできる社会を築いていきたいです」と目標を語ります。

 

 

取材日:2011年11月24日
NTT東日本関東病院の外観

NTT東日本関東病院


〒141-8625
東京都品川区東五反田5-9-22
TEL:03-3448-6111(代表)

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