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認知症を含めた総合的な高齢者医療を目指して
<東京都墨田区 医療法人社団明正会 墨田クリニック>

院長 出井雄幸先生
院長 出井雄幸先生

墨田クリニックは、外来診療と訪問診療による在宅医療を行っているクリニックです。外来では内科一般診療のほか、認知症・物忘れ外来や慢性疾患の治療・指導などを実施。訪問診療では認知症患者さんの自宅やグループホームなどの施設へ医師が往診し、治療や介護指導を行っています。

外科から転身し、認知症患者さんの訪問診療を

墨田クリニックの院長、出井雄幸先生は、もともとは外科医として17年間病院や診療所に勤務してきました。当時から認知症や、術後の一過性せん妄、精神症状などが見られる患者さんを治療したことはあったものの、そのころはまだ、認知症医療に携わることになるとは考えていなかったと言います。

「外科医として癌の手術をした後、もしその患者さんが再発しても、内科で治療を受けたり、ご自宅で療養したりするケースがほとんどで、主治医としてはそういう患者さんたちの経過が非常に気になっていたんです。90年代に訪問看護が発足したときに、ボランティアでついて行ったのが在宅医療を始めるきっかけとなりました」(出井先生)。

本格的に訪問診療に取り組みたいと勤務医をやめ、7年半前に墨田クリニックの院長に就任。実際に往診してみて、認知症患者さんの多さを実感したと言います。

東京都では今、5人に1人が65歳以上の高齢者で、そのうちの10人に1人は認知症と言われています。さらに、認知症患者さんのうちの少なくとも3分の2は支援や介護が必要な状態です。そういう社会的状況を肌で感じ、認知症の高齢者医療を行っていくことを決意。現在では8ヵ所のグループホームのほか、有料老人ホームなどの施設も含め、約200人の認知症患者さんを外来と訪問診療でケアしています。

「今は内科や整形外科など、どの領域の患者さんでも認知症を併発している方が非常に多く、もう認知症を診ずに医療を行うことはできない状況。『認知症』というより『認知症を含めた総合的な高齢者医療』が必要と考えています」(出井先生)。

 

介護・看護・福祉・薬局・施設との連携が重要

出井先生が診療する上で基本としていることは、「木を見て森を見ない医療は行わない」こと。認知症の治療には「薬」だけでなく、「医療」「介護」「環境」が不可欠で、「生活」という観点から患者さんと向き合うことが必要と考えています。

そのため、認知症患者さんやご家族にはまず、「何でお困りですか?」と聞きます。一般的な診療では「どこが痛いですか? どんな不調がありますか?」などと聞きますが、認知症では、生活していく上で「何に困っているか」からアプローチしていくとのこと。

「認知症は、患者さんご本人が困るだけでなく、ご家族や介護者など、患者さんを取り巻く社会みんなが困る病気。何に困るかはそれぞれの立場や環境によって異なるため、患者さんはもちろん、ご家族や社会も含めて考えていく必要があるのです」(出井先生)。

また、認知症になっても、あるいは認知症のご家族を抱えていても、「人間らしく生活していけるようなケア」が大事だとも考えています。そのためには、「連携が必要」と出井先生。肉親や専門職による「介護」、医療における「看護」、地域包括支援センターなど「福祉」や「行政」、きちんと服薬を続けるための「薬局」など、様々な領域との連携が不可欠と言い、同クリニックでは積極的に連携を実践しています。

 

認知症ケアの司令塔として現場を励まし、具体的指導を

グループホームには医療者はいないため、「こういう変化が起こる可能性がある」「熱が何度以上でたら連絡を」など、スタッフへの病気の説明と具体的指示を出井先生は欠かしません。

「例えば、弄便の行為に困っている場合は、『こういう心理状態のせいで起こるんだよ』と話したり、頻尿で夜中に何度も起きるという場合に、『膀胱炎はないし、行動異常だね。じゃあ寝る前に水分を控えるようにしよう』とアドバイスするなど、施設なら介護スタッフに、患者さんのご自宅ならご家族に、できるだけ具体的な介護指導をしています」(出井先生)。

症状について、「この現象はこういう原因で起きているんだよ」と説明するだけでも、介護者の精神的負担は軽くなると言います。そのため、特にご家族にはわかりやすい言葉で説明し、「一生懸命やっているね」「十分できているよ」というねぎらいの言葉も伝えるようにしています。

出井先生によると、認知症特有の激しい怒りなどの周辺症状は長年続くわけではなく、時が経つと解消することもあると言います。そのため、「問題を解決するのではなく、山積みにしていいから、なんとかやり過ごして」と指導しているとのこと。

「私たち医師は、病気がどう進行するかある程度予測できるので、司令塔としてそれを伝え、現場を励ましていくことが必要。認知症は慢性疾患なので、介護は長く続きます。燃え尽きないように時々水をかけながら、100点でなく60点ぐらいでいいやと思って続けてもらうことが大事だと思います」(出井先生)。

 

きめ細かなケアで、患者さん一人ひとりを大切に

株式会社ココチケア グループホーム統括施設長 野村峯子さん
株式会社ココチケア
グループホーム統括施設長 野村峯子さん


株式会社ココチケア グループホームあおい施設長 久保田陽子さん
株式会社ココチケア
グループホームあおい施設長 久保田陽子さん


補液をゼリー状にするなど、「口から食事をとれる」ように常に知恵を絞っている
補液をゼリー状にするなど、「口から食事を
とれる」ように常に知恵を絞っている


入居者と共同制作の季節の貼り絵
入居者と共同制作の季節の貼り絵

墨田クリニックの医療連携先で、高齢者の介護事業を行う株式会社ココチケアのグループホーム統括施設長の野村峯子さんは、グループホームを「第2の住み処として認知症患者さんに安心して生活していただける場所にしたい」と話します。

家庭的な雰囲気を大切にし、利用者の生活歴を把握した上で望む形の生活を提供していくことを意識していると言います。同社のグループホームあおいの施設長である久保田陽子さんも考えは同じ。

「ケアを考えるとき、まずは利用者さんの意思はどこにあるんだろうというところから始め、その方の望む方向性を探すようにしています」(久保田さん)。

「当ホームは母体が医療法人で、医療連携がしっかりできているので、安心してサービスを提供できます」と野村さんが話すように、ケアの方針は出井先生をはじめとする医療スタッフと相談して決めます。そのなかで大事にしていることのひとつが、「なるべく口から食事をとれる工夫」とのこと。

「高カロリーの補液をゼリーにしたり、『ミキサーにかけようか』『味を変えようか』などと、よく利用者さんを観察し、努力を重ねてその方に合うものを提供するようにしています」(久保田さん)。

また、利用者の介護記録の書式に「気づき欄」を設け、気づいたことを自由に書くようにしたり、「服薬管理表」を作ったりとスタッフ間でカンファレンスを重ね、利用者一人ひとりが「その人らしく」いられるケアをするための工夫を考えては実践しています。服薬管理表は服薬ミスの予防だけでなく、スタッフが薬の重要性や管理の責任を意識することにもつながっていると言います。

さらに、コーヒー好きの利用者と喫茶店に行く、町内会のコーラスに行く、銭湯に行く、美容院に髪を切りに行くなど、一人ひとりの希望を叶えられるような個別ケアも行っています。そして、患者さんを「最後までみる」という明確な意志を持ち、墨田クリニックと連携してターミナルケアも行っています。

久保田さんは「利用者さんを看取る経験をしたスタッフは変わる」と話します。

「ターミナルケアは、生と死を実感する場。経験の浅いスタッフでもそこから得るものは大きいようで、そこで初めて介護の仕事とは何かということを感じ取ったり、もっと踏み込んで介護を学ぼうという姿勢を持つことも。最後の最後まで利用者さんに成長させていただいているんですね」(久保田さん)。

 

高齢者が安心して暮らせる町作りに貢献したい

このように利用者の意思に十分配慮し施設を運営していくにあたっては、地域の理解と協力が不可欠と野村さんは話します。ご家族や地域との交流を深め、認知症への理解を深めてもらうために、介護者のための教室やセミナーなども行っています。出井先生も、「ココチケアのグループホームの特徴は、地域に開かれているところ」と言います。

「地域とのコミュニケーションを積極的にはかることで、地域の皆さんが助けてくれるという関係性を作れていると思います。もちろんトラブルもあるけれど、『認知症だから、迷惑かけると悪いから』と思わず、地域と関わっていく努力はしていくべき」(出井先生)。

クリニックとしても、「訪問診療に協力してくれる方をどんどん増やし、町ぐるみで高齢者を診ていきたい。認知症に限らずすべての高齢者が安心して生活できる町を作っていくことが、墨田クリニックの目指す方向です」と出井先生は話します。

そして、続けていくためには経済面、行政面での調整も不可欠とのこと。

「医療財源も今は非常に限られているし、景気も良くない、介護保険もどう変わっていくかわからない。そういう厳しいなかで理念は失わず、でも現実的に、できることをしていくというように『理想と現実』の調整をしていくべき。妥協ではなく調整ですね。経済面、行政面を無視して認知症高齢者の医療はできないので、そういう努力を続けて共存共栄する道を探っていくことが必要だと考えています」(出井先生)。

 

 

取材日:2011年9月28日
墨田クリニックの外観

医療法人社団明正会 墨田クリニック


〒130-0003
東京都墨田区横川2-16-9
TEL:03-5637-5030

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株式会社ココチケア グループホームあおいの外観

株式会社ココチケア グループホームあおい


〒133-0056
東京都江戸川区南小岩5-19-13
TEL:03-5668-0614

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