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物忘れ外来を開設し、入院病棟でも認知症治療を
<神奈川県横浜市 医療法人社団明芳会 江田記念病院>

精神科部長 大迫正行先生 精神科部長 大迫正行先生

横浜市青葉区の江田記念病院は、精神科と入院病棟を備える病院として、2004年に開院しました。大迫正行先生が部長を務める精神科では、高齢者が多いという地域性に対応して物忘れ外来を開設。入院病棟では重度の患者さんを受け入れ、スタッフが職種を越えた連携体制で的確なケアを行っています。

認知症に限定しない物忘れ外来を開設

江田記念病院は、内科や心療内科などとともに、入院病棟もある精神科を備えた病院です。外来では、近隣の関連病院と連携しながら、地域に根ざした医療機関として医療サービスを提供し、リハビリが必要な高齢者には通所リハビリテーションも実施しています。

大迫正行先生率いる精神科では、一般外来のほか、物忘れ外来、入院病棟があり、精神疾患や認知症の治療にあたっています。

「ここ青葉区は、全国的に見ても高齢者が多く、外来では統合失調症やうつ病の方も多いですが、認知症の方も意外と多いんです」と大迫先生は説明します。

そのような地域性から、2010年に物忘れ外来を開設し、大迫先生ほか4人の医師が月12枠の物忘れ外来を担当しています。名称は認知症外来とせず、あえて物忘れ外来とすることで、50代など若い年代でも物忘れが気になる方が受診しやすくしました。

「皆さん、物忘れイコール認知症と考えがちですが、認知症の初期と老人性うつ病の初期は症状がよく似ていますし、認知機能が低下する疾患はいくつもあるんです。認知症だと思って諦めている患者さんでも、うつ病だったことがわかり、抗うつ剤を投与することで元気になって認知機能が高まり、物忘れが減ってくることが少なくありません」(大迫先生)。

物忘れの原因を調べた結果、脳腫瘍などの疾患が見つかることもあります。逆に、うつ病だと言われていた患者さんが認知症だと診断される場合もあるので、大迫先生は他の診療科とも連携しながら、その見極めを慎重に行っています。

 

受診前に幅広く情報を収集する

精神保健福祉士 小原美樹さん 精神保健福祉士 小原美樹さん

物忘れ外来では、受診に先駆けて、医療相談室に所属する精神保健福祉士の小原美樹さんが中心となり、これまでの経緯や家族構成、困っていることなどをご家族から聞き取り、情報を収集しています。

「患者さんが10人いれば10通りの違う背景を抱えています。患者さんがひとり暮らしなら薬の管理が難しい場合もあるため、施設入所を選択肢に加えることもあります。このように、患者さんの置かれている環境で治療方針や方向性がまったく変わっていくので、事前に情報を集めてもらうのです」(大迫先生)。

小原さんは、「ご本人が『困っていない』と言っても、実際には日常生活に支障をきたすような症状がある方もいらっしゃいます。ご家族からの情報はもちろん、場合によっては担当のケアマネジャーや地域のケースワーカーなど、それぞれの立場から見た情報も大切にしています」と幅広い視点から情報を集めるようにしています。

「外来に来てから話を聞いていては時間がかかりますから、小原さんの活躍が診察の8~9割を占めます」と大迫先生も小原さんに高い信頼を寄せています。

また、同院では、一般内科からの相談を受けるとともに、「ご家族は区役所に相談に行くことが多い」(大迫先生)として、青葉区の精神保健相談や生活支援センターでの相談に同院から嘱託医を派遣。今後は青葉区役所での「物忘れ相談」も行う予定となっており、行政と連携して地域に貢献しています。

病棟では精神科としてのフォローに重点

同院では、60床の入院病棟も備えており、比較的症状の重い患者さんを受け入れているのが特徴です。精神科のない病院からの転院が多く、不安定な状態で入院する患者さんが多いといいます。しかし、入院後に介入の仕方を変えるだけで症状が落ち着く場合もあり、薬の量を減らすことも可能となります。

外来で診察にあたるほか入院病棟も担当する医師の宮谷智子先生は、「精神科としてのフォローが有効であると実感しています。患者さんも長くここにいたいとおっしゃる方が多いので、満足していただいているのではないでしょうか」と言います。

「暴力や暴言などがあっても認知症だからと片付けるのではなく、症状の背景にある患者さんの思いをくみ取りたい」と患者さん主体の治療を心がける宮谷先生。退院するものの自宅に戻ることは難しい患者さんが、いかにご本人に合った生活の場に移っていけるかが現在の課題だと語ります。

病棟には合併症があり寝たきりや車いすの患者さんが多く、ベッドには一人ひとりの情報を記したベッドサイドケア表を貼り、ナースステーションに戻って確認することなく速やかな個別ケアを行っています。

看護師 加藤充恵さん 看護師 加藤充恵さん

看護師長の加藤充恵さんは、「スタッフ全員が自分の家族が認知症になったらどのようなケアをしてほしいかを考えて行動しています。少しでも患者さんがその人らしく生活できるように、他の職種のスタッフとも密に情報を共有しています」と言います。ケアのベースには職種を越えたスタッフ同士の連携があり、定期的なカンファレンスには小原さんなどさまざまな職種のスタッフが加わっています。

 

回想法で精神状態の安定や意欲の向上を

「干し柿の作り方はね・・・・・・」。柿を手にした患者さんが皆に説明し始めると、隣にいたスタッフが「よくご存知なんですねえ」と笑顔を向けます。患者さんとスタッフがひとつのテーブルを囲んで一緒に座り、それぞれの思い出や知っていることを話し合う回想法。この日は「秋の食べ物」と題して、柿などを触りながら会話を進め、ときには患者さんたちから大きな笑い声もあがりました。

回想法の準備をするスタッフたち 回想法の準備をするスタッフたち

臨床心理士 田口真裕美さん 臨床心理士 田口真裕美さん

作業療法士 山口剛慶さん 作業療法士 山口剛慶さん

同院では、週に1回、このような回想法を行っています。病棟での生活に慣れてきておられ、言葉でのコミュニケーションが可能な入院患者さんが対象で、6人の患者さんに臨床心理士や作業療法士、看護師、介護士なども加わります。

回想法では、季節ごとに子ども時代の遊びや行事など毎回テーマを決めて、それについて患者さんが回想することで、情緒の安定や意欲の向上、社会的交流の促進を目的としています。

臨床心理士の田口真裕美さんは、「安心して話せる場の提供や患者さん同士の情緒的な交流などで、精神状態の安定やQOL(生活の質)によい影響を与えることにつながると考えています」と効果について語ります。

回想法では普段より時間をかけて話をするため、「病棟では見られない表情をされることもあり、少し環境を変えるだけでさまざまな表情が出るのかと感じています」(田口さん)。

スタッフにとっても、患者さんの思い出を聞くことで、サポートするときのヒントが得られるなど、貴重な体験ができる場となっています。

病棟では、専従の作業療法士が常駐し、曜日によってラジオ体操、ビデオ鑑賞、塗り絵などを行っています。塗り絵とひとくちにいっても、患者さんによって色鉛筆や絵の具など異なる画材を使用し、字が得意な人は筆ペンの書写にも取り組みます。

作業療法士の山口剛慶さんは、「患者さんは言葉がうまく話せない状態であっても、筆ペンを持つときれいな字を書かれることがあります。患者さんが持つ能力を引き出していきたいですね」と語ります。

 

季節ごとのおたよりでご家族にも配慮

認知症治療は、患者さんだけでなく、ご家族へのサポートも重要になります。小原さんは、「入院させたことをご親族に責められているご家族もいれば、自分で自分を責めているご家族もいます。どうか責めないでほしいし、私に話すことで翌日からまた頑張れるなら、いつでも話してほしいですね。私に話しても満点の答えは返せないかもしれませんが、これからの生活の仕方を考えるお手伝いができればと思います」と話します。

また病棟では、季節ごとにさまざまな情報をまとめたお便り「かけはし」を作成して、ご家族に郵送しています。認知症の基礎知識や病院の行事食、スタッフ紹介などの情報を盛り込み、ご家族が病院に親しみを感じられるように配慮して文字通りご家族との懸け橋となっています。

大迫先生は、患者さんの核家族化が進み、治療や療養を自宅でできない場合が多いことを懸念する一方で、誰にも相談できず介護を抱え込むご家族が少なくないことも気にかけています。

「ご家族は自分で頑張らなきゃ、と抱えがちですが、どこかに相談して力を借りるだけで、介護しやすくなって患者さんにとってもよい結果となるかもしれません。抱え込まないことが大事です」(大迫先生)。

間口を広げて受診しやすくするとともに、行政と連携して相談の受け手となり、病院内では職種の枠を越えた連携でケアを。同院の充実した体制は、患者さんだけでなく、ご家族のサポートにもつながっています。

 

 

取材日:2011年10月21日
江田記念病院の外観

医療法人社団明芳会
江田記念病院


〒225-0012   
神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1-1
TEL:045-912-0111

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