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総合病院の精神科として、地域連携の拡充を担う
<奈良県奈良市 奈良県立奈良病院>

医師 上村秀樹先生 医師 上村秀樹先生

奈良県北部の基幹病院として、救急疾患やがんなど専門性の高い医療を提供している県立奈良病院は、2011年4月、同県の総合病院として2番目に精神科を新設。5年後には40床を設け体制を拡充する計画です。また、同院では地域連携室が中心となり、開業医や福祉・介護関係者と密に連携しながら、主に入退院患者の手厚いサポートに努めています。

奈良県の総合病院では2番目の精神科

県立奈良病院に精神科が新設された目的は、主に県南部をカバーする奈良県立医科大学附属病院(橿原市)の精神科と並んで、県北部の精神疾患のニーズに応えることです。また、同院は3次救急医療施設でもあり、過去に緊急の対応を要した患者さんに精神症状が見られたことも、新設の背景にありました。

精神科部長の上村秀樹先生は関東や大阪の病院の勤務を経て、奈良病院精神科の新設とともに着任しました。総合病院の精神科は、産婦人科、小児科とともに全国的に減少傾向にありますが、そうした状況の中で奈良県北部での新設に意義を感じたからです。 

認知症の初診の多くは、院内紹介か、地域の開業医や包括支援センターを通じての依頼で、もの忘れなどの場合はまず神経内科が、精神症状が見られる場合には精神科が対応するという分担・連携を基本にしています。

「他の病気で通院されている患者さんが精神疾患や認知症を発症するケースがあります。そうした患者さんを院内で連携して診ることが総合病院の精神科が果たす役割の一つです」。

そう語る上村先生が診療の基本に置いているのは、ご家族の理解と協力を得ながら、患者さんの症状や生活環境に合ったケアを行うことです。

 

認知症のケアにはご家族の協力、地域との連携が重要

患者さんのご家族には、自分の夫や妻、親が認知症になった事実を認めない人、薬を飲めば回復すると考える人が少なくありません。しかし上村先生は「誰だって年を取ればもの忘れがひどくなるという現実を、まずご家族はきちんと受け止めてほしい」と訴えます。そして安易に薬に頼ることにも警鐘を鳴らします。

「他の病院での投薬でけいれん発作を起こした60歳代の奥さんを、ご主人が当院に連れて来られたことがあります。その患者さんはパーキンソン症候群を伴う症状で身体が硬直していました。ご主人はしきりに認知症の新薬を望まれるのですが、とてもそんな状態ではありません。まだ若い奥さんを助けたいと思うご主人の心情はよく分かりますが、繰り返し説得して、まずけいれん発作を抑える薬を使いました」。

そう語る上村先生は、できるだけ分かりやすい言葉で、時には絵を描きながら、ご家族の理解と協力を促します。

「ある患者さんのお孫さんが非常に介護に熱心で、台所に食材を並べて準備しておいたら、患者さんが料理をするようになったそうです。エピソード記憶が回復しなくても料理は作れますからね。生きているうちは現役でいていただきたいですから、家庭の中で少しでも何かの仕事を持ってもらうことが大事です」。

「ただ、ご家族がいればそういったケアもできますが、実際には独居老人や老々介護も少なくありません。また、ご家族と同居していても昼間は高齢者だけというケースもあります」と言う上村先生は、「そうした患者さんに対しては病院単位ではないソーシャルサポートが必要」だと地域連携の重要性を指摘します。

 

入退院を細やかにサポートする地域医療連携室

地域医療連携は、基幹病院としての重要な役割の一つです。特に同院は地域医療連携室という専業部署を設け、そのスタッフが中心となって、患者さん、地元の医師、そして同院のスムーズな医療連携に注力しています。

看護師 望月あやのさん 看護師 望月あやのさん

看護師で地域医療連携室副室長を務める望月あやのさんは「どの病院もベッドの空きは少なく、当院も急性期治療を終えたら、転院や在宅での外来治療に切り替えるのが基本です。特にご高齢の方は、地元の先生やケアマネさん、ヘルパーさんなどとの連携が重要です」と語ります。

同室のスタッフは看護師の望月さんのほか、社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)などの有資格者3名。地域の診療所からの診療依頼の調整にあたる一方、入院患者の転院や、退院~在宅治療の手配にも手厚いサポートを行っており、望月さんは昨年4月から専任の退院調整看護師として業務にあたっています。

「先生がいつ退院の判断をしても、すぐに対応できるように、常に患者さんの状態を把握しておくことが地域医療連携室の看護師と相談員の役目」だと望月さんは言います。

医師と共に回診時に、医療や福祉・介護を含めた視点で、患者さんの状態を確認します。そして退院後は何に留意すべきかを話し合ってまとめ、院外の施設に伝える準備をしておきます。

そして望月さんは「認知症をお持ちの患者さんはなおのこと地域連携が大事」と表情を引き締めます。

「身体の病気は治ったけれど、入院中に認知症が進むケースがあります。そのままご自宅に戻るとご家族の介護負担が急に重くなりますので、ワンクッションおいて、落ち着いた環境の介護施設などで過ごすことも必要でしょう」(望月さん)。

そして上村先生は「現実には、認知症の患者さんをケアする施設が十分にあるとは言えませんし、地域の中で互いに助け合う関係も薄くなっています。やはり自治体が中心になって、地域の病院や介護施設が連携するシステムを、これから作っていかないといけない」と説きます。

 

5年後に体制を拡充、地域連携にもいっそうの貢献を

奈良病院の精神科は、5年後の2016年に予定されている病院の建て替えと合わせて大きな節目を迎えます。

「現在の精神科は外来のみで、合併症の診療、緻密な地域連携などを行うには、更なる診療体制の充実が求められると思います。そこで建て替えと同時に40床を設け、ドクターも増える予定です。地域で果たす役割は今よりもずっと大きくなるでしょう。もちろん認知症への対応も変わっていくはずです」。 

そう展望を示す上村先生は、総合病院の精神科としてのあり方を強く意識しています。

「認知症の患者さんで身体症状がある方は民間の精神科のクリニックでは診療できません。身体合併症医療は、総合病院の精神科が果たす重要な役割ですから当然視野に入れています。身体科との役割分担も、5年後には変わってくるでしょう。一人の入院患者を両方の科で診るとか、症状に応じた引き継ぎなど、多様な方法をこれから考えていきたい」(上村先生)。

望月さんは「今当院から広げつつある地域連携の輪が、5年後に大きく役立つはずです」と期待と自信を込めて語ります。そして上村先生は、こう締めくくります。「地域のため、認知症のために、総合病院としてやるべきことに努めていきます」。

 

 

取材日:2011年11月19日
奈良県立奈良病院の外観

奈良県立奈良病院


〒631-0846   
奈良県奈良市平松一丁目30番1号
TEL:0742-46-6001

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