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最新の研究と心の通ったサポートでよりよい認知症医療をめざす
<京都府京都市 京都府立医科大学附属病院>

神経内科 医師 近藤正樹先生 神経内科 医師
近藤正樹先生

厚生労働省の承認を受けた「特定機能病院」として、高度で専門的かつ安全な医療を提供している京都府立医科大学附属病院。教授の中川正法先生率いる神経内科(老年内科)では、老年期認知症、脳血管障害、パーキンソン病など老年期の神経疾患が重要なテーマ。認知症の診断・治療や病態解明の研究を進めるとともに、よりよい患者さんのサポートにつながる新しい試みを積極的に取り入れています。

大学病院ならではの新しい取り組みで早期診断を目指す

「物忘れ」の症状で京都府立医科大学附属病院の神経内科を受診する患者さんは、年間で200人から300人。半数以上がアルツハイマー型認知症と診断されます。地域の医療機関からの紹介やご家族からの訴えで来院する方がほとんどですが、特徴的なのは、自ら心配になって「くわしく調べてほしい」と来院する患者さんがいること。「検査の結果、正常範囲と診断される方が10%くらいいますが、これらの方がそれにあたります」と同科講師の近藤正樹先生は分析します。

同病院では、MMSE(認知機能検査)などによるスクリーニングテスト、MRIによる脳梗塞や脳萎縮の評価により認知症を診断しています。これらに加えて、早期診断に向けた新しい試みにも取り組んでいます。

その一つが、2008年からスタートしたNIRS(近赤外線分光法)を取り入れた「認知症・脳検診」。NIRSでは前頭葉の活性化を判定しています。脳検診を始めたころは、マスコミに取り上げられるなど大きな話題となり、遠方の都道府県からも多数の検査依頼が寄せられたと言います。

「MMSE(認知機能検査)とMRI、NIRS、3つの検査を組み合わせることで認知症の早期診断・早期介入に意義のある情報が得られると考えています」(近藤先生)。

また、独自に開発した「物忘れチェックリスト」は、ありがちな症状をリストアップし、外来で診察前に患者さんにチェックしてもらいます。「京都はOOで有名である」や「身近な人の名前を5人以上書いてください」など、具体的で身近な質問も取り入れているのが特徴です。簡単なチェックリストですがMMSE(認知機能検査)との相関がみられ、正常とMCI(軽度認知障害)との間で差が出る項目もあり、有用性が確認されています。現在は、患者さん向けとご家族向けのチェックリストの相関についても検討しています。

 

京都の地に根ざした大学病院として

認知症患者さんの約半数は紹介による来院です。近隣の開業医だけでなく、診断が難しい認知症の場合は総合病院などからも紹介されます。診断後は元の病院で治療を継続し、数ヵ月に1回、大学病院で経過をみるという病診連携を行っています。地域との連携を深めるため、開業医の先生向けの勉強会も実施しています。

「京都<臨床美術>をすすめる会」との連携により、美術によって心とからだを刺激する「臨床美術」を診療に取り入れているのも京都府立医科大学ならではの特徴です。

内閣府認証の特定非営利活動法人である日本臨床美術協会が提唱する「臨床美術」は、独自のアートカリキュラムに沿って創作活動を行うことで脳を活性化させ、認知症の症状改善を目指すために開発されました。臨床美術士の指導のもとで楽しく創作作業をすることにより、患者さんの意欲と潜在能力を引き出せるようなカリキュラムになっています。

「上手に描くことが目的ではなく、気持ちを安定させてポジティブな方向にもっていく効果がある」と近藤先生は感じています。創作中の患者さんの脳血流をNIRSで測ると前頭葉の血流が増えることから、脳の活性化への効果も期待されているようです。

予防に向けた研究も行っています。同科の准教授である水野敏樹先生が中心となって進めたのが、アルツハイマー型認知症の危険因子に関する研究です。物忘れ外来を受診したアルツハイマー型認知症、MCIと正常高齢者のデータを解析した結果、血糖値やLDLコレステロール、葉酸代謝などがアルツハイマー型認知症の発症に関連することがわかりました。これらはメタボリックシンドロームや脳梗塞などにも共通する危険因子であり、生活習慣病の予防が認知症の予防にもつながると、近藤先生は訴えます。

研究成果を含め、認知症の予防や早期発見の重要性を広く伝えていくのも、地域に根ざした大学病院の役割です。中川教授を中心に、市民向けの講演会などで、若いころからの健康管理が認知症予防の観点からも重要であることを啓発しています。

 

ご家族へのケアを大切に考え「ご家族相談窓口」を設置

神経内科 臨床心理士 大石陽子さん 神経内科 臨床心理士
大石陽子さん


大石さんが説明に使っている手作りのパンフレット 大石さんが説明に使っている
手作りのパンフレット

認知症診療ではファミリーケアがとても大切です。ご家族からの相談を受けたり指導したりする際に、近藤先生が頼りにしているのが、臨床心理士の大石陽子さんです。診療時間内だと患者さんとご家族が同席していて言いづらいこともあるため、別途ご家族相談窓口を設けて大石さんが対応しています。

「MCIの患者さんの場合は、ご本人も含めて今後症状が進まないようにするためのアドバイスなどを行います。規則正しい生活や、散歩などの適度な運動、趣味を楽しむとよいですよ、と少し具体的な情報を提供するとご本人もご家族も安心されますね」(大石さん)。

認知症の患者さんのご家族には、病型別に手作りのパンフレットを使って、ていねいに認知症の症状や対処法を説明します。たとえばFTD(前頭葉側頭型認知症)の場合には、物忘れだけでなく、異常に食欲が増えたり、必ず決まった時間に決まった行動をしたりなどの特別な行動がみられるため、ご家族は大変戸惑います。またアルツハイマー型と違って有効な薬があまりありません。FTDの患者さんのご家族には月1回来院してもらい、「今はこういう症状が出ていますね」とか、「このまま様子をみましょうか」といった話をし、対処法をアドバイスしています。

「相談を続けるうちに、ご家族の方もだんだん対処法がわかってこられ、公共のサービスも上手に利用できるようになり、負担が少しずつ減っていきます。表情もとてもよくなられ、病気に対するとらえ方や患者さんへの接し方もどんどん変わっていくのがとても印象深いです」(大石さん)。

 

サポート体制のさらなる充実が今後の課題

大石さんは日頃から、相談に来られるご家族は、患者さんのことをとても大事に思っておられると感じています。「だからこそ、しっかり者だった親御さんやだんなさん、奥さんの今の姿を受け入れられずに戸惑われます。時には拒否的になる方もいらっしゃいますが、その奥には患者さんへの深い思いやりが見えます」と言う大石さんは、そのたびに「家族っていいものだな」と実感すると語ります。

ご家族の理解が得られ患者さんへの対応がよくなれば、患者さんの病状にも変化が表れると言うのは近藤先生。

「医師の視点からも患者さんだけでなくご家族へのケアを重視し、ご家族の生活が壊れてしまわないようきちんと介入できる方法を試行錯誤しています。ご家族相談窓口の開設は大きな一歩ではあるものの、今後いかに発展させていくかも課題の一つです」(近藤先生)。

大石さんが感じている今後の課題は、「時間が取れないなどの理由でなかなか病院に相談に来られない方を、どのようにフォローしていけばいいか」ということです。認知症を隠し、ご家族だけで抱え込んでしまう場合も多いため、ご家族が一歩外へ踏み出すことが患者さんにとってもよいことだと理解してもらえるように働きかけたいと考えています。

近藤先生が挙げるもう一つの課題は、専門家同士の連携です。「精神症状の治療や対処法については、やはり精神科の先生がプロフェッショナルです。今は2ヵ月1回の合同カンファレンスを実施していますが、精神科と神経内科の連携をより進めることも必要ですね」と語ります。

大学病院として最先端の医療・研究を行う一方で、患者さんとご家族に温かく寄りそう診療を行っている同病院の神経内科。今後も最善の診療とサポートを目指した取り組みが続きます。

 

 

取材日:2011年11月14日
京都府立医科大学附属病院の外観

京都府立医科大学附属病院


〒602-8566
京都府京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465
TEL:075-251-5111

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