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リハビリや訪問看護で患者さんに手が届く医療を
<静岡県富士市 医療法人社団楽佑会 池辺クリニック>

院長 池邊紳一郎先生 院長 池邊紳一郎先生

富士市の池辺クリニックは神経内科を専門とする院長の池邊紳一郎先生が、認知症やパーキンソン病など、神経の変性疾患の患者さんの経過を責任を持って診ていくという強い信念のもと、2001年に開業しました。入院施設のほか、リハビリ、デイケア、訪問看護に力を入れ、地域と密接につながっています。

診断力の向上で迅速かつ正確な診断を

2001年開業の池辺クリニックは2009年には手狭になり移転、現在の4階建てとなりました。スタッフ約150名を擁し、神経内科、内科、リハビリテーション科の外来、19床の入院病棟があります。

「認知症、パーキンソン病など神経内科の難病は一度かかると完全に治すことは難しい。だからこそ、病気の急性期の側面のみを診るのではなく、痛いところに手が届くような治療、患者さんのすべてを診ていく治療を目指しています」(池邊紳一郎先生)。

池邊先生の目指す治療には、介護にあたるご家族の負担軽減も含まれます。その思いがリハビリ、デイケアの充実や、関連会社であるCAS株式会社によるデイサービス、訪問看護など、医療・介護全般のサービスを提供することにつながりました。

また、適切な治療や介護支援に迅速につなげるため、診断力の向上とスピードアップを心がけています。

認知症を疑われる患者さんが来院された際は、まず外来の看護師が相談室でご家族から症状の経過を聞きます。

看護師長 高橋章子さん 看護師長 高橋章子さん

「ご家族の話によく耳を傾けて、本当に苦しいことを隠さず話してもらえるような環境づくりを心がけています」と、看護師長の高橋章子さん。よく聞いた上で「こうすると楽になりますよ」とアドバイスもしますが、それは「私たちに話すと少しでも楽になると最初に認識してもらうためです」と細かな配慮を語ります。

次に臨床心理士が認知症の心理テストを行い、画像診断、場合によっては脳波検査や脳の血流の検査も行います。

これらすべての結果から池邊先生が総合的に診断しますが、症状の原因を慎重に見極めながらも、来院当日の診断を目標としています。と同時に、経過の聞き取りでは、性格の変化、行動異常がなかったかを重視しています。

「問題行動が強く精神科にかかる必要がある場合は、対応が遅れないようできるだけ迅速に見極めています。在宅でのご家族による介護が可能かどうかも、この問題行動の有無の見極めが重要です」(池邊先生)。

 

同じ神経疾患であるパーキンソン病と認知症の関連に注目

「認知症の薬物治療については、進行防止のためにできる限りいろんな薬を試しています。認知症の薬のほかに、血流を改善する薬を組み合わせたりもしています」(池邊先生)。

並行して、できるだけ患者さんの活動性や認知力を上げ、介護保険を利用し体を動かすことを促すなど、環境を整える努力も怠りません。

また、池邊先生は、同クリニックに多いパーキンソン病の患者さんの認知症合併やパーキンソン病と認知症の関連に注目しています。

「ここ10年ほど、レビー小体型認知症が社会的にもクローズアップされるようになりました」(池邊先生)。

レビー小体型認知症は、パーキンソン病と同様に歩行障害や体が硬くなるなどの運動症状と共に、認知症の症状が出てきます。この場合、薬の投与についてはより慎重な判断が求められると言います。

「認知症の進行を止める薬には、副作用としてパーキンソン症状を悪化させる心配もあります。より体が硬くなってしまわないよう注意して症状を見ながら、可能な範囲の薬の量を使用しています」(池邊先生)。

ただ、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の進行した症例では境界の判定は難しいと言います。

MRI設備も完備している MRI設備も完備している

「患者さんの脳内でいったい何が起こっているのか、ドーパミンなどの神経伝達物質の減る率がそれぞれ違うから症状が人によって違うのだろうかなどと考えをめぐらせています。神経の変性疾患についてはたくさんの研究がされていますが、核心の『なぜ起こるのか』はわかっていません。研究が進んで、治療に結びつくとよいと思います」と、池邊先生は研究の成果に期待を寄せます。

 

リハビリ、訪問看護で行き届くケア

広々として設備も整った2Fのリハビリルーム 広々として設備も整った2Fのリハビリルーム

「診断された後のケアが大事なのは言うまでもありません。当クリニックでは理学・作業療法士が14名おり、リハビリに力を入れています」と池邊先生。

2階全フロアがリハビリのためのスペースであり、患者さんの病状に応じて通ってきています。認知症患者さんの9割は一度参加すると積極的に通うようになると言います。

「リハビリの効果としては、活動性が向上し、食事後に片付ける、洗濯ものをたたむなど自分から進んで物事に前向きに取り組むようになります。記憶力は上がらなくとも、できるだけ社会への適応を高められるようなリハビリを試みています」(池邊先生)。

ただ、拒薬や受診拒否など、自分の病気を認められず家に閉じこもり気味になる患者さんも1割ほどいると言います。問題解決のカギとなるのが、訪問看護です。看護師長の高橋さんは訪問看護を始めた動機を語ります。

「神経の病気は高齢の患者さんも多く、在宅で頑張っている場合も多いので、むしろこちらから出向いて行くべきだと、ある時期先生も私たちも気づいたのです」 。

それは、在宅の介護の中に看護の目を取り入れていかないと、充実した医療を継続していくことができないという気づきでもありました。

「そこで、CAS株式会社を設立し、先生の医療を地域へじかに持って行ってつなげていくという試みを始めました」(高橋さん)。

同社の設立により、在宅で医療・看護・介護のサービスを導入し、池邊先生の指示のもとに患者さんとご家族を見守ることが可能になりました。

池邊先生も「訪問看護や往診の取り組みについては、まだまだ十分ではないと考えています。さらに力を入れていきたい」と今後の大きな目標に掲げています。

 

家族教育・スタッフ教育における認知症理解の大切さ

診断後も、ご家族にとっては深い悩みが続きます。

「現在の悩みを聞き出し、その後のことをご家族と相談していく上で、スタッフの力はとても大きいですね」と池邊先生。

特に、看護師、ケースワーカーの力が大きいと言います。彼らが現在の状態や経過を正確に把握し、入院が適切なのか在宅が可能なのかを含め、ご家族とコミュニケーションを取りながらご家族の意向に沿う形で治療方針も決まっていきます。

看護師長の高橋さんは、患者さんを「否定しない」ことをご家族にくり返し伝えると言います。

「家族が自分を否定する、嫌っている、家に居場所がないと思い込むと、患者さんは追い込まれてしまいます。患者さんの今の状態を受け入れてほしいということを一生懸命お話しします」(高橋さん)。

ご家族が適切なアプローチをすることで、認知症の悪化や性格の変化を免れる場合もあるので、ご家族へのケアは非常に重要と語ります。

患者さんやご家族とじかに接するスタッフを養成すること自体もたいへん難しいと言います。

「看護師といえども、認知症を理解する、つまり患者さんのそのままを受け入れる広い心を持たせるのが非常に難しいのです」(高橋さん)。

スタッフ教育の取り組みとしては、自治体などの外部の講習会、家族会の集まりなどに積極的に出てもらって外から情報を吸収すると共に、自分が取り入れたものを皆で分かち合うという経験も大切と高橋さんは考えています。院内の話し合いや勉強会も活発に行い、年1回それぞれテーマを決めて研究発表を行う場を設けています。

 

課題は、地域連携や受け皿の問題

今後の課題について、池邊先生は、介護保険に関わるケアマネジャーと病院との地域連携の流れがまだ確立されていないことと、「認知症患者さんは全国で150~200万人いると言われています。富士市にもおそらく万単位で患者さんがいるはずですが、その受け皿がありません」と大きな懸念を語ります。

「介護施設に入るのにはお金が必要ですが、経済力がなくて行き場のない患者さんにどう対応していくかが今後の一番の課題でしょう」と池邊先生。

医療費や介護費を削ろうとする国の姿勢にも疑問を呈します。「それは患者さんを増やしてしまうだけだと思います。できるだけ進行を防ぐ努力が無駄を抑えるのではないでしょうか」(池邊先生)。

早期診断、早期治療にかける医療費は決して無駄なものではないと池邊先生は考えています。

 

 

取材日:2011年11月17日
池辺クリニックの外観

医療法人社団楽佑会 池辺クリニック


〒416-0955
静岡県富士市川成新町250
TEL:0545-65-0250

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