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いつでも、どこでも、だれでも等しく受けられる医療と介護
<長野県松本市 医療法人心泉会 上條記念病院>

理事長 上條賢介先生 理事長 上條賢介先生

松本市にある上條記念病院は、医療・介護・在宅支援にまたがる「トータルサポートシステム」を構築。弱者の視点に立ち、地域のすべての高齢者が等しく、最適の環境で医療や介護を受けられるような仕組みづくりに力を入れています。

医療・介護・在宅をつなぐ「トータルサポートシステム」

開放的な空間の待合室 開放的な空間の待合室



玄関ロビーでは可愛いテディベアがお出迎え 玄関ロビーでは可愛いテディベアがお出迎え

松本市郊外にある上條記念病院は、昭和59年に開設されました。もともと松本駅前で開業していた上條裕朗院長(脳神経外科医)が、地域医療、救急医療に貢献したいとの思いから設立。高速道路も未整備だった時分から、地域の中核病院として救急医療を担ってきました。

その後、疾病形態の変化や地域住民の高齢化に伴って、高齢者医療・介護にも取り組むようになり、平成7年に老人保健施設、11年にグループホーム、12年に社会福祉法人心泉会の設立とともにケアハウスを、さらに16年には短期入所生活介護施設を開設。患者さんやご家族の要望に応える形で、さまざまな介護保険施設、在宅サービスを整備してきました。いまでは、医療・介護・在宅支援を3つの柱とする「上條記念病院のトータルサポートシステム」として地域に広く知られています。

併せて、脳外科医、精神科医、一般内科医が連携し、認知症医療に力を入れていることも同院の特徴です。信州大学の神経内科関連病院になっているため、信州大学から専門医が派遣されているほか、信州大学で診断がついた患者さんを多く受け入れています。

「高齢者医療や介護に取り組んだきっかけも、認知症医療に力を入れるようになったのも、すべて地域のご要望に応えてきた結果に他なりません。地域の方々が、“いつでも、どこでも、だれでも”等しくかつ最適な医療や介護を受けられるような仕組みをつくること。それが当院のめざす地域医療です」と理事長の上條賢介先生は話します。

 

今年の目標は「弱者の見方になろう」

厚生労働省の政策で在宅医療が推奨される昨今、急性期病院の滞在日数短縮や慢性期病院のベッド数削減によって早期退院を余儀なくされる患者さんの受け皿がないことが問題になっています。

医療ケースワーカー 野牧正稔さん 医療ケースワーカー 野牧正稔さん

しかし、同院は一律に早期退院だけを目標にはせず、療養型病棟あるいは提携する介護保険施設で受け入れる体制を整えています。

この取り組みについて、同院のケースワーカーを務める野牧正稔さんは、次のように話します。

「当院の認知症患者さんの平均年齢は80代前半で、ご家族は仕事を持っておられたり、体力的に難しかったりで、在宅で看たいけど看られないというご家庭が多いのが実情です。また、老々世帯も多く、介護保険によるサービスだけでは支援体制が整わない状況です。当院のような慢性期病院で患者さんが入院前の状態まで早期に回復することは少なく、8割の方は一般病棟の退院時に療養型病棟あるいは介護保険施設へ移ることを希望されます。その8割の方を独自のトータルサポートシステムで受け入れていることが、当院の一番の良さだと思います」。

それは多様な施設サービスや在宅サービスとのネットワークがあるからこそできること。もちろん、在宅を望む患者さんとご家族に対しては、担当者会議を開催して、安心して自宅で過ごせるようにするにはどうしたらよいか、患者さんやご家族の意向を確認し、同院の多職種のスタッフが在宅生活について一緒に考える体制がとられています。

「今年の当院の目標は、“弱者の味方になろう”です。経済的に余裕がある高齢者にはいろいろな選択肢があります。しかし、そうでない高齢者は受け皿が少ない状況です。そこで、当院では介護療養型病棟、介護老人保健施設や在宅サービスなどの多岐にわたるサービスを提供し、すべての高齢者がこれまで暮らしてきたのと同じような生活空間に身をおき、環境を変化させることなく安心して医療・介護が受けられるようにしたいと考えています」(上條先生)。

 

手間ひま掛けたケアで患者さんの健康やADL・QOLの向上を目指す

看護師長 伊藤美智子さん 看護師長 伊藤美智子さん

同院では近年、患者さんの健康維持・向上を目指すために、新しいケア法を取り入れています。

そのひとつが、「タクティール・ケア」。日本スウェーデン福祉研究所が普及・教育活動を行っている、手で触れることによるケアです。患者さんの手足や背中などを柔らかく包み込むように触れることで、認知症や末期がんの方が抱える不安や痛みを和らげ、安心感を与えると言われています。

もうひとつは、平成9年に発表され、12年に聖路加病院の日野原重明先生が推薦して普及し始めた「腹臥位療法」。寝たきり状態の患者さんが1日に1回うつ伏せになるだけで、痰や便の排泄がよくなり、関節の拘縮の改善につながる療養です。手や足が刺激され、背中のうっ血状態が改善されて、腸や肺の働きがよくなるためで、肺炎の予防にも効果的だと言われています。

当然こうしたケアには人手がかかりますが、現在のところ社会制度面の補助はなく、病院や老人保健施設で独自に取り組むしかありません。それでも、同院では院長の方針によって、効果的とされるケアがあればスタッフが講習会に出向き、積極的に取り入れる努力がなされています。

「職員が患者さんと多く接することで信頼関係ができます。ハンドマッサージも腹臥位療法も原始的な療法ですが、それをすることによって心が通い合います。なにより患者さんが『この人は私を見てくれている』と感じることができるようです。標準化された治療ではなく、人手をかけて患者さん一人ひとりに合うように行えるのがよいと思います。 これらのことで患者さん、ご家族、職員の信頼関係がうまれてきます」と看護師長の伊藤美智子さんは話します。

新しいことに挑戦していこうという方針から、院長が自ら講習会に出向くこともあるとのことです。

 

口からの栄養を大切に、患者さんに味わう楽しみを

同院の病床数は、一般病床が57床、療養病床が94床。療養病床に多い高齢の患者さんで気をつけているのは、栄養摂取面だと言います。高齢者の免疫力を高めるためには、口からの栄養が大切。消化器官を使って食事をすることで、脳も体も活性化し、感染症対策になるほか、認知症にも効果的です。

「なかには経管栄養の患者さんもおられますが、できるだけ、介助してでもしっかりお口から食べていただくようにしています。現在、入院患者さんの最高齢は100歳を超えておられますが、その方もお口から食べておられます」と伊藤さん。

この患者さんのお誕生日に、ご家族を病院に招いてお祝いしたときのこと。普段の食事はおかゆ中心ながら、このときは鯛のおかしら付きに、ご家族が手作りされたお赤飯とかぼちゃの煮物が並びました。それを「おいしい、おいしい」と、とてもうれしそうに召し上がられたのが印象に残っていると伊藤さんは言います。

「見ていると、骨も自分でよけておられたのです。できないと思って手を出しすぎるのはよくないと感じました。骨があるから注意しよう、服が汚れるから食べこぼさないようにしよう、とご本人が思うことが大事。先回りしてエプロンをすることが、かえってその人の能力を抑えているかもしれない、認知症の方でも、無限にできることがあるのではないかと気づきました。家族だけの時間を作ったことがポイントでした」(伊藤さん)。

その人が生まれた時からのヒストリーを調べて、生活習慣の基本としていることは大切にする。今日が何日で、いまが何時かわからなくてもいい。日々その人がその人らしく過ごせて、おいしいものが少しでも食べられて、にこっと笑えればそれでいい。伊藤さんはそう考えています。

 

 

取材日:2011年9月16日
上條記念病院の外観

医療法人心泉会 上條記念病院


〒399-0032
長野県松本市大字芳川村井町12-1
TEL:0263-57-3800

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