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長年の実績に介護との連携を加え、患者さんに幸せな地域へ
<福岡県田川市 医療法人昌和会 見立病院>

理事長・院長 林田憲昌先生 理事長・院長 林田憲昌先生

福岡県の中央部・田川市にある見立病院は、1961年に開業した精神科の病院です。旧産炭地であるため高齢化の進行が早く認知症患者さんも増加するなか、地域に根づいた医療機関として患者さんの信頼を得てきました。2011年11月には福岡県指定の認知症医療センターに認定され、院長の林田憲昌先生を中心に地域の介護従事者と共に学ぶケア・キュアカンファレンスを開催し、介護との連携も強固なものとしています。

BPSDは精神科医療で責任を持って取り組む

副院長 佐藤能啓先生 副院長 佐藤能啓先生

開業以来50年の歴史ある同院は、いち早く回廊式の病棟における治療を取り入れるなど、時代の変遷に対応しながら治療体制を充実させてきました。老朽化した病棟の改築も行いつつ次第に病床を増やして、現在病床は410床、精神科病棟のなかに2つの認知症治療病棟があります。

院長の林田憲昌先生は、精神科を受診する患者さんの疾患構造が変化し、認知症の方の受診が増えてきたと感じています。そのなかで、認知症は精神科医療のなかで当然治療を行っていくべき疾患と位置づけ、特にBPSD(周辺症状)は責任を持って取り組んでいかなければならないというのが林田先生の基本姿勢です。

「患者さんには薬物療法を行うわけですが、それだけではなく、環境によっても患者さんの症状は変わっていきますし、日常生活を通してのリハビリや関わりの大切さを感じています。薬物、環境、リハビリや関わりを通しての精神療法、このバランスが大切です」(林田先生)。

 

ご本人の尊厳とご家族の負担軽減を大切に

副院長の佐藤能啓先生は、神経内科専門医として認知症医療に携わっています。佐藤先生が認知症に深く関わることになったきっかけは、治療薬が登場したことでした。そのタイミングと、社会の高齢化が進んで認知症の患者さんが増加した時期が重なり、治療を行いながら研究に取り組むようになりました。

ミニ・メンタル・テスト(MMSE:認知機能検査)や画像診断を行って診断するなかで、佐藤先生が配慮している点は2つあります。1つは、患者さんの尊厳を守るということ。

「一度聞いたことを何度も尋ねるような周辺症状がある場合、人格を損ねるような返事や態度を返してしまうと、症状をむしろ悪化させることが明らかになりつつあります。ご家族の顔もわからなくなっている患者さんであっても、人格尊厳は大切です」(佐藤先生)。

もう1つは、介護するご家族の負担感の軽減です。多くの病気があるなかで認知症の介護ほど疲れるものはないというのが佐藤先生の考えです。

「育児と対比して思いますが、赤ん坊が夜泣きすれば母親は肉体的にはつらいものの、あと1年すればオムツがとれて歩けるようになる、あと何年すれば幼稚園入園、という楽しみがあります。介護は患者さんが亡くなるまで続き、しかもそれがいつかはわかりません。例えばどこかに向かって歩く場合も目的地と到着時間がわかっている場合といない場合では疲労度が違うように、人間はいつこうなるとわからないとストレスは大きいものです」(佐藤先生)。

先がわからないストレスに加え、アンケート調査によると介護者の平均年齢は58歳で、昔であれば初老期に差し掛かった年齢。その3分の2がバーンアウト(燃え尽き)状態であることを佐藤先生は懸念しています。

同院では「リフレッシュ入院」という形の短期間の入院制度を用意。介護が続けられない状態になってから入院を選ぶのではなく、ご家族が介護を少し休んで心身をリフレッシュし、再び介護に取り組む意欲を取り戻すことを佐藤先生は勧めています。

 

ケア・キュアカンファレンスで地域のケアマネジャーと連携を

患者さん・ご家族には治療とともに福祉面のサポートが欠かせませんが、医療機関と福祉面のカギを握るケアマネジャーとの連携は必ずしも十分とはいえません。そこで林田先生は、医療従事者と地域のケアマネジャーが集う「ケア・キュアカンファレンス」を開催しています。

「私たち医療従事者とケアマネジャーは共通の悩みを抱えていることがあり、特にケアマネジャーは一人で大きな問題を背負っていることが多いです。そこで悩みを共有して意見交換をしたり勉強する機会を設けました」(林田先生)。

院内に事務局を設け、ケアマネジャーの方々に直接案内の文書を送付して始まったケア・キュアカンファレンスは4年目に突入。年4回開催し、医師による講演、事例提示、テーマに応じたディスカッションなど様々な角度から認知症への理解を含める場となっており、開催ごとに参加者が増えています。

「ケアマネジャーから参考になる意見が出ますし、患者さんの治療方針にしても私たちの一方的な視点からではなく、ご家族やケアマネジャー、介護士など異なる立場から見た意見を取り入れて立てることができます。地域における認知症治療と介護を質の高いものにして、地域の認知症の方々が幸せに暮らすことを目指したいです」(林田先生)。

佐藤先生も「認知症という病気は深いものがあり、教科書で『この問題はこう解決します』とできるものではない」として、周辺症状の一つ一つを丁寧にブラッシュアップすることの重要性を指摘します。

「問題意識を持っているケアマネジャーと医療従事者がいれば、認知症が完全に制圧されるまでこの会合は続いていくものだと考えています」(佐藤先生)。

 

働きやすい職場づくりは患者さんへの看護にも反映

作業療法士 宮田雅弘さん 作業療法士 宮田雅弘さん
臨床心理士 宅間弘さん 臨床心理士 宅間弘さん
看護師 斉藤美津穂さん 看護師 斉藤美津穂さん
看護師 石原智和さん 看護師 石原智和さん

認知症治療病棟では、様々な職種のスタッフが患者さんに関わっています。作業療法士の宮田雅弘さんは、「患者さんがやりやすいようレクリエーションの種類を絞り、目線を同じ高さにして、指導するのではなく一緒に行っています。ただ、作業療法にしても作業療法士だけが行うのではなく、看護師、ケアワーカー、精神保健福祉士、臨床心理士、場合によっては管理栄養士やそのほかの職種ともチームを組んで患者さんへのアプローチを作り上げています」と言います。

臨床心理士の宅間弘さんは、簡易知能検査や作業療法に関わるかたわらで、時間があれば病棟内を歩いて患者さんの姿に目を配り、話しかけたり、時には不安定な患者さんに付き添います。

「患者さんには笑顔でいてほしいですが、笑顔が出ないような状態のときでも、それを変えようとはしないで、その思いを感じながらそのまま一緒にいます」(宅間さん)。

病棟で宮田さんや宅間さんが空いている時間に患者さんと関わることで、認知症病棟の主任であり看護師の斉藤美津穂さんは、「私たち看護師が知らない情報が入ってきて、それが看護に生かせるのでとても助かっています」と語ります。

様々な職種がチームとしてうまく連携する秘訣について、看護師の石原智和さんは、「職員の占める割合は看護師が多いため看護師の価値観が基本になりがちですが、逆に看護師以外の職種、少数の職種の価値観を大切にすることがポイント」と語ります。

異業種が互いを尊重する風通しの良い雰囲気のなか、斉藤さんは「副次長の石原さんが働きやすい職場づくりをしてくれるので、スタッフはその流れに乗っています。それは患者さんの良い看護にも反映されるのではないでしょうか」と指摘します。

 

認知症医療センターとして新たな役割も

50年という長い歴史を持ち、地域で先駆的な認知症治療を進めてきた実績がありながらも、要望があれば入院病棟の食事内容にもすぐ反映するなど患者さんに柔軟に対応する同院。それだけに、地元では「この病院にはいい先生がいると聞いた」と口コミで情報が伝えられ、見立病院だからこそ受診したいと患者さんが来院します。

精神保健福祉士 柴田亜希さん 精神保健福祉士 柴田亜希さん
認知症専門治療病棟のレクリエーションホール認知症専門治療病棟のレクリエーションホール

医療相談科で受診や入院などの相談を受ける精神保健福祉士の柴田亜希さんは「田川市やその周辺の市町村では『認知症では見立病院』と言われ、定着しているようです。一方で、佐藤先生の認知症に関する研究が昨年新聞に掲載されたときは、県外からも受診の希望があり、受診の相談はとても増えました」と語り、地域に根づくだけでなく、その評判は遠方にも及んでいます。

今後は、地域型の福岡県認知症医療センターとしての役割も担います。

「広く深く認知症に関わる方に情報を提供し、ご家族などに啓蒙活動をしながら、認知症でも幸せな生活が送れるような、医療と介護を併用したシステムづくりをしたいと考えています」(林田先生)。

医療・介護従事者が認知症という病気への理解をさらに深めることで、より質の高い医療・介護の提供を同院は目指しています。

 

 

取材日:2011年11月8日
見立病院の外観

 

病院に隣接している精神科デイケアと重度認知症デイケア病院に隣接している精神科デイケアと
重度認知症デイケア

医療法人昌和会 見立病院


〒826-0041
福岡県田川市大字弓削田3237
TEL:0947-44-0924

施設のホームページへ

 

 

 

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