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「エンパワメント」で誰もが豊かになれる介護を目指す
<新潟県新潟市 医療法人愛広会 新潟リハビリテーション病院>

医師 今村徹先生 医師 今村徹先生

新潟リハビリテーション病院は、医療法人愛広会が運営する多くの医療・介護施設の中心的な存在であり、新潟医療福祉大学の主実習病院としての機能も備えています。大学病院や関連の社会福祉法人とも連携して、地域社会の医療・保健・福祉の向上に努めています。

初診での対応がその後の方向性を左右する

今村徹先生は、高次機能障害を自身の専門にしたいという想いから神経内科医を目指しました。新潟医療福祉大学に教員として招かれ、現在は言語聴覚学科の教授として教鞭をとる傍ら、新潟リハビリテーション病院で認知症診療にあたっています。

今村先生が同院内に「物忘れ外来」を創設したのは、赴任当時の2001年に遡り、週2回、火・木曜日のみの完全予約制で診療を行っています。診察にじっくり時間をかけるのが今村先生の方針で、初診は2時間ほどかけて、患者さんご本人やご家族から病歴や経過をお聞きして診察を行ったあとに、検査の予定を組みます。ご家族への指導も含め、4回の外来で合計10時間ほどを初診にかけています。

初診にこれだけの時間をかけるのは、「最初にしっかり診ることが何より重要」という考えから。予約をとり、順番を待って物忘れ外来を受診するような患者さんの場合、症状はそれほど深刻ではないことがほとんどです。だからこそ、症状が進行してから「困っています、助けてください」とご家族が他者依存的になってしまわないよう、最初の方向付けが非常に重要だというのが今村先生の考えです。

「主役はあくまでも患者さんとそのご家族。特にご家族がたくましくなり、周囲に相談しながらも自分で問題解決できるようにサポートするのが私たちの役割です。そうなれば、ご家族はプライドと自信を持って介護を行えるようになります」(今村先生)。

 

介護の目的を見誤らないことが重要

今村先生の主な研究テーマの一つは、「エンパワメント」。認知症ケアにおけるエンパワメントとは、「当事者やご家族、介護者が、生活と人生における現在の問題および将来生じる問題に対処する行動をとれるよう、動機づけや問題対処能力を高めるよう支援すること」。今村先生は、エンパワメントを意識して外来診療を組み立てることを提唱しています。

診察の際に単に困ったことの聞き役だけになってしまうと、ご家族はいつまでも「自分がいかに困っているか」を訴えるばかりになってしまいます。そうではなくて、患者さんにどのような症状があり、元気だったころと比べてどんな違いがあるのかといった情報をご家族から引き出し、それを言語化してもらうことが大事だと言います。そうすることで、「自分がいかに困っているか」ではなく、「患者さんにどんなことが起こっているか」のほうが重要だという“気付き”がご家族の中に生まれてきます。それがエンパワメントの入り口であると言います。

ご家族が自分で行っている介護に意味や価値を見出しているか、あるいは厄介事だと感じているかの違いは目標設定の違いだそうです。「介護の一番の目的は自分の負担を減らすことよりも、患者さんの残りの人生ができるだけ良いものになるようにすること。そのようにご家族を導くのもエンパワメントの重要な役割です。介護の目的を、“介護の負担をゼロにしたい”ということに設定してしまうと、究極は“患者さんがいなくなればいい”ということになってしまいます」(今村先生)。

エンパワメントがうまくいくと、その後もご家族が自信をもって介護にあたることができるそうです。

「その後症状が進んでも、ご家族はケアマネジャーと相談しながら自分でうまく対処し、私たちには事後報告だけしてくれるようになっていきます。これこそがエンパワメントの力です。ご家族が目標を持ち、専門家に相談しながら自分で手段を探る。そうなれば在宅で介護できる期間が長くなります。そのためにも、ご家族が良い介護をしていることの成果を褒め、価値のあることに取り組んでいるという意識をもってもらうことが大切です」と今村先生は語ります。

 

言語聴覚士の立場から患者さんとご家族に寄り添う

言語聴覚士 市野千恵さん 言語聴覚士 市野千恵さん

今村先生の認知症診療をサポートしているのが、言語聴覚士の市野千恵さんです。市野さんは身近に聴覚障害者がいたことからこの道を志し、新潟医療福祉大学に入学。今村先生のゼミに所属していたため、学生時代から物忘れ外来には馴染みがありました。卒業後は医療法人愛広会に入職し、病院や老人保健施設、デイケアなど様々な現場を経験。その過程で、「リハビリは機能さえ回復できればいい」という考えを改めたと言います。患者さんの症状だけでなく、生活全体を見ることが求められることに気付き、「機能回復だけでなく、生活や人生などすべてが良い方向に向かうようお手伝いするのがリハビリなんだと反省しました」(市野さん)。

市野さんが心がけているのは、患者さんの間違いを指摘して正そうとするのではなく、本人の状況を見極め、どこまでできてどこからできないのかをできるだけ早く見つけることだと言います。それが分かれば、どのように支援できるのかが見えてきます。市野さんは、ご家族からの情報収集と認知機能検査の評価分析を担当しており、患者さんとご家族、両方の視点をもって診療をサポートしています。

また、市野さんは小規模多機能型居宅介護施設も担当しています。利用者の8~9割は認知症患者さんで、介護環境に問題がある場合もあり、家族関係を含めた介護体制を整える必要があります。ご家族からいろいろと情報を聞き出し、介護現場のスタッフと相談しながら進めていきますが、それが軌道に乗って良い方向にもっていけたときには大きなやりがいを実感すると市野さんは語ります。

市野さんは現在、新潟医療福祉大学の大学院にも籍を置き、今村先生の指導のもと、レビー小体型認知症(DLB)の認知機能変動を評価する質問紙の作成に取り組んでいます。質問紙だけで診断するのは難しいものの、除外診断をきちんと行い、「アルツハイマー病か、DLBか」という二者択一の状況までもっていけば8割程度の判定力が期待できると今村先生は説明します。DLBの認知機能変動に関する普遍的な質問紙は未開発のため、「世の中に広まるようになれば」と、市野さんも今村先生も期待をかけています。

 

広い視野を持つことでさらに深まる分野

「コメディカルスタッフのなかで、認知機能やその障害を分析する業務を担当するのは言語聴覚士がもっともふさわしい」と今村先生は考えます。医学的な教育を受け、かつ認知機能において大きな領域を占める言語を専門にしているからです。だからこそ、言語聴覚学科の教員になったと言う今村先生は、「認知機能を分析する視点をもった人が少ないのが問題ですね。だから、診察やケアにあたるスタッフは、ご家族から困りごとを聞くだけの立場になってしまうのだと思います」と語ります。

検査結果を分析する視点と、認知機能の状態を直接見るという両方の視点が大切だと考える今村先生は、初診時の認知機能検査であるMMSE(認知機能検査)は必ず自身で行います。また、予診も行わず、ご家族に直接病気の経過をインタビューします。

「検査をする人は検査だけ、相談員は相談を受けるだけ、医者は薬を出すだけ。当外来ではそうならないように心がけています。患者さんの診察とご家族のケアの両方に携わることで視野が広がると思います」(今村先生)。

同院は、新潟医療福祉大学の実習施設としての役割も担っており、学生が経験を積み、視野を広げる大切な場となることを目指しています。もう1つ目標に掲げているのは、認知症ケアのモデルを作ること。エンパワメントの成功例を普及させ、介護現場で役立てたいと考えています。

10年間、認知症診療に取り組んできたなかで、今村先生が大きな壁だと感じていることがあります。それは、医師の関心が低いこと。「介護職、看護職、リハビリ職、いろいろな人たちが危機感をもって前向きに取り組んでいますが、医師にはそういう人が少ないように感じています。確かに、この分野でしっかり取り組もうと思えば時間がかかります。でも、ちょっと時間をかければやりがいも興味深さも湧いてくると思います。認知機能を自分で見るという視点とご家族から話を聞くという耳をもてば、本当に取り組みがいのある分野だということを伝えたいですね」と認知症診療への熱い想いを語りました。

 

 

取材日:2011年12月6日
新潟リハビリテーション病院の外観

医療法人愛広会
新潟リハビリテーション病院


〒950-3304
新潟県新潟市北区木崎761
TEL:025-388-2111

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