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「医者と患者」ではなく「人と人」としてのケアを
<宮城県仙台市 医療法人社団清山会 いずみの杜診療所>

理事長 山崎英樹先生 理事長 山崎英樹先生

いずみの杜診療所は、仙台市を中心に約30の医療・福祉施設を運営する清山会医療・福祉グループの一施設。仙台駅から車で30分ほどの距離にある、木造2階建ての民家風の建物です。そのアットホームな外観と違わぬ温かさで、理事長をはじめとするスタッフが創意工夫し、患者さん一人ひとりが「その人らしい生活」を送れるようケアに取り組んでいます。

「医療」より「ケア」を中心に、生活重視の施設を設立

理事長の山崎英樹先生は、もともと外科医志望だったのが、「思うところあって」精神科に転向。ところが、病院の精神科では患者さんの抑制が当然のように行われており、医療者側による一方的な管理体制を目の当たりにし、衝撃を受けたと言います。抑制廃止のための働きかけなども行いましたが、病院での取り組みに限界を感じ、1999年にいずみの杜診療所を立ち上げました。

「認知症だからと特別な目で見たり、生活を制限したりすることなく、患者さんが自分らしく、家にいるように自由に振る舞える療養・生活環境を整えたい」という気持ちから、建物は民家のような造りにし、デイケアも併設しました。

看護師 桑原弘美さん 看護師 桑原弘美さん

「認知症は生活障害で、患者さんにとっていちばん必要なのは生活に関わるサポート。私たちの施設では『ケア』を主体に、『医療』は必要なときにピンポイントで提供するというスタンスでやっていきたいと思いました」(山崎先生)。

看護師の桑原弘美さんも、「ここでは看護師という仕事や医療を前面に押し出すのではなく、あくまでもケアをメインに、看護師はその補助的な役割として、体調の悪い患者さんのお手伝いをするなどのサポートが求められている」と考えています。同様に理学療法士の猪狩健介さんも、まず「訓練」より「生活」ありきだと言います。

理学療法士 猪狩健介さん 理学療法士 猪狩健介さん

「リハビリというと、どうしても訓練というイメージがありますが、大切なのは患者さんの生活を変えること。訓練で筋力がどれだけアップしたかではなく、筋力がアップして生活がどう楽になったか、何ができるようになったかをしっかり評価してリハビリに取り組むようにしています」(猪狩さん)。

 

制服も名札もナシ! 笑顔で寄り添い関係を築いていく

看護師 菊池保さん 看護師 菊池保さん

社会福祉士 田中しなのさん 社会福祉士 田中しなのさん

ケアワーカー 佐藤賢二さん ケアワーカー 佐藤賢二さん

いずみの杜診療所のいちばんの特徴は、制服も名札もなくスタッフが私服で患者さんと一緒に過ごしていること。それは山崎先生の、「制服や名札でラベリングすることで、医療者と患者さんの間に垣根を作りたくない」という考えに基づくものです。ふだんはスタッフの労務管理などを受け持つ菊池保さんは、「隣人のような感じで、来ていただいたときに患者さんに必要なサービスを提供したい。私は看護師でもありますが、いつも看護師でいる必要はなく、生活のなかで必要があれば看護師としての知識を使うというふうに、人として過ごすなかに仕事を組み込んでいければと思っています」と日頃の取り組みを話します。

看護師の桑原さんはじめ、スタッフもこの考えに共感しています。「白衣の人と会うだけで緊張してしまう患者さんもいるので、同じ目線という意味で白衣を着ないのは賛成。山崎先生が『雑踏ケア』と言うように、本当に誰が患者さんで誰がお医者さんなのかわからないですけど(笑)」(桑原さん)。

ただ、初めて訪れた患者さんやご家族の中には驚く方も多いと言います。そういうときは、「こういう理念で制服も名札もないのですとお話しすると、みなさん共感してくださるんですよ」と社会福祉士の田中しなのさん。名札がなくても、笑顔で一緒に過ごすことで患者さんとの信頼関係は築けると、スタッフは自らの体験からわかっているのです。名前は覚えられなくても「髪がモジャモジャの人」「ひげが生えている人」など、スタッフの特徴を覚えていく患者さんも多いと言います。スタッフからも患者さんからも「サトケンさん」と呼ばれているケアワーカーの佐藤賢二さんも、「うちがアットホームなのは、認知症だからと構えたりせず、ふつうに一人の人として関わることを大切にしているからではないでしょうか」と、同診療所の特徴を説明します。

 

仕事を楽しむ「職業道楽」という風土を大切に

介護員 川井丈弘さん 介護員 川井丈弘さん

清山会には、「関わりを大切にした自立と共生の支援」という理念と、「職業道楽」「人在育成」「自尊好縁」「省事倹約」という4つの社是があります。

理念については、「人としての自然な関わりを大切に、患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、誰もが自分らしく、当たり前に生活する自由を支えたい」という山崎先生の思いによるもの。社是では、特に「職業道楽」に共感するスタッフが多いと言います。

介護員の川井丈弘さんも「患者さんと接しながら、自分たちが楽しんでいることがベースにあって、極端にいえば患者さんと一緒に遊んでいるような感覚のときもあります。それが仕事になっているというのがここの風土だと思います」と、「職業道楽」という考えこそが診療所のケアの根幹にあるものだと強調します。

また、診療所にはマニュアルという類のものがほとんどありません。山崎先生の「知識よりもスタッフ個々の感性を大切にしたケアを目指したい」という思いにスタッフも共感し、それぞれが患者さんと向き合い、考えながらケアに取り組んでいます。

社会福祉士の田中さんは、患者さんの生活歴を読み解き、「患者さんが安心できる言葉」を見つけてケアに取り入れています。例えば、デイサービスを拒否されている患者さんが以前は精力的に仕事に取り組んでいた社長さんだったら、「社長、お仕事ですよ」「お迎えに来ましたよ」など患者さんになじみのある言葉を伝えることで安心してもらえ、今では生活の一部のようにデイサービスを利用してもらっているということも多いのだとか。

看護師の桑原さんは、患者さんの得意なことをしてもらうようになって症状が改善した経験があると言います。最初は落ち着きがなく、常に同じことを繰り返していた患者さんが、習字が得意だったと聞いて、献立を書いてもらったら、毎日とても上手な字で書いてくれたそうです。それが自分の役割だと感じることで、良くなることもあると実感しています。

桑原さんはこのような患者さんに寄り添いつつ、自分たちも楽しむという診療所のケアについて、「ひとことで言えば、何でもアリ」と笑顔で語ります。

「最初はビックリしましたが、今ではもう他の施設で働けないと思うほど順応しています。例えば、徘徊が見られる患者さんは、やっぱり歩きたくて歩いているわけで、止められるのはいやですよね。うちではそういうときに、どこまでもスタッフがついて一緒に歩くんです。そういう関わりができるのがとてもいいと思いますね」(桑原さん)。

 

情報や意識を共有するためのカンファレンスも重視

スタッフの個性を尊重したケアを目指している山崎先生ですが、情報共有や連携のためのカンファレンスも重要だと考えています。職種間の情報交換のためにクリエイティブ・ケア研究所という部署を設け、職種ごとのスタッフミーティングを定期的に行っています。グループ全体でも年に数回、研修を行い、山崎先生が理念やケアの方針などについて話を行います。年末には全職員を対象に忘年会も催され、グループ全体で400人ほどのスタッフが交流を深めています。

また、このような定期的なミーティングだけでなく、情報共有のためのカンファレンスは日常的に行われています。

「例えば、ご自宅で薬を飲めていない患者さんがいるとわかったら、ケアマネジャーをはじめとするスタッフや先生、ご家族にも来ていただいて、どういう対応をするか話し合う場を設けています」(桑原さん)。

ただ、「まだまだ職種間や事業所間での連携は必要」と菊池さんは指摘します。

「職種間で情報交換して刺激を受け合うことも大切ですし、お互いの事業所のことをよく知り、人員が足りないときにはヘルプに行くなど応援体制が組めるようにしたいですね。そうやって地域全体の認知症ケアの質が上がれば、高齢者の方にも安心していただけると思いますから」(菊池さん)。

 

10年後を見据え、「人在育成」への取り組みを

職種間や事業所間の連携のほかに、山崎先生は、スタッフが安心して仕事に専念できるような職場環境を整えること、将来を見据えた「人在育成」に取り組むことも、今後の課題と考えています。

「人材でも人財でもなく、人が『在る』ことを大切にしながら互いにはぐくみ、成長する職場を目指す」という社是の通り、一人ひとりのスタッフが、グループの理念を自分のものとしてしっかり持ってケアに取り組めるよう、「人在育成」のためのプロジェクトも立ち上げられました。

「人から育ててもらうのではなく、自分が主体となって目標を持って取り組み、何かに気付いたり反省したり、新しい道を発見したりしながら、また新たな目標をたてる。一人ひとりのその繰り返しが10年後の清山会を作ってくれると思います」と、プロジェクトメンバーの一人である川井さんは話します。 

個人を高めながら、縁も大切に。そうやって施設が地域に根ざし、より頼りにされる存在になっていけるよう、山崎先生やスタッフたちの取り組みはこれからも続いていきます。

 

 

取材日:2011年12月2日
いずみの杜診療所の外観

医療法人社団清山会 いずみの杜診療所

〒981-3111
宮城県仙台市泉区松森字下町8-1
TEL:022-772-9801

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