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在宅で生きることを多角的に支援、地域密着型医療の理想形へ
<大阪府高槻市 医療法人啓友会 なかじま診療所>

院長 中嶋啓子先生 院長 中嶋啓子先生

高槻市内の住宅地の一角にあるなかじま診療所は、地域生活に根差したトータリティな医療を使命とする中嶋啓子先生が在宅医療を軸に1986年に開設した診療所です。「地域での生活を支えることこそ医療」、「介護なくして医療はない」という中嶋先生の理想に共鳴したスタッフが啓友会に集まり、訪問診療、訪問看護・介護、デイケアなど、患者さんの生活を多角的にバックアップする体制を整え、日々誇りを持って取り組んでいます。

社会から変えて行く。在宅医療メインの診療所開設へ

院長の中嶋啓子先生は、広島大学在学中に自身が被爆2世と知ります。

「そうした生い立ちもあり、真の医療の実現には社会から変えないと、という思いが強くありました」と中嶋先生。また、生活の根本の改善に関われる在宅医療には一般病院勤務の頃から力を入れてきました。

地域に根差した医療と生活を支える介護を在宅で実現しようと開設したなかじま診療所は、準備の段階で地域の「囲む会」というボランティア組織に支えられ、地域のニーズに即した形で満を持して船出することができました。

「何かあってもすぐ行けるよう、訪問診療の範囲を地域の半径1kmと決めました。その範囲であれば疾患は選びません。いろんな病気の患者さんと出会って勉強させていただいてきました。そして認知症の患者さんを在宅で診るということは大きなテーマの一つとして念頭に置いてきました」(中嶋先生)。

患者さんの自宅での生活を支援したいという中嶋先生の情熱によって、系列の啓友クリニックでの神経科・精神科治療、訪問看護ステーション、居宅介護支援、デイケア、小規模多機能ホームと支援の輪を広げ、スタッフが胸を張れる体制が整いつつあります。

認知症治療では、系列の啓友クリニックの神経科・精神科専門の西山悦子先生とタッグを組み、「啓子と悦子のもの忘れ外来」を開いています。

「悦子先生に協力をお願いし、もの忘れの検査を診療所で行っています」(中嶋先生)。

また、診療所のみで長谷川式の検査をして診断を下すのではなく、脳神経外科や神経内科とも連携してCT、MRI、脳血流の検査を行い、正確な診断につなげています。

 

「またきてね」と言われる服薬管理と看護を在宅で実現

薬剤師 成田妙子先生 薬剤師 成田妙子先生

薬剤師の成田妙子先生は、中嶋先生の講演を通じて中嶋先生の地域医療への強い思いを聞き、「この先生の下で働きたい」と熱望。以来、25年間を中嶋先生と共に歩んできました。

現在、外来は院外処方ですが、啓友クリニックの入院患者さんのほか訪問診療の処方と管理も担当し、「あちこち忙しく飛び回ってます」と笑います。

「認知症は早い段階で服薬管理ができなくなります。家に行くと薬がバラバラになっていたり、大量に残っていたり。逆に勝手にたくさん飲んでしまったりする危険もあります」と中嶋先生。

成田先生も、「認知症の初期であっても独居の患者さんの多くは服薬のサポートが必要です。中嶋先生から、『どうも薬が余ってそうだから見てきてください』と依頼されて訪問するのですが、最初の一歩が大変です。余っている薬も最初は見せてくれません。辛抱強く何度か訪問するうちに信頼されるようになると、『実は・・・』と言って薬を見せてくれるようになります」と患者さんの変化を語ります。

「成田さんは、在宅の患者さんがいかにきちんと薬を飲んでくれるかということに一生懸命取り組んでいます。薬を指示通りに飲めてないとわかると、『飲めていないのを飲ませようとしても無理です。先生、薬の量を減らしましょう』と提案してくれます」(中嶋先生)。

独居の患者さんの場合、1日1回は誰かが管理しないと飲めないことも多くあります。成田先生は「服薬は私一人では管理しきれません。患者さんのスケジュールを把握しているケアマネジャーを中心に、介護士、デイケアのスタッフなど3~4ヵ所の事業所のスタッフと分担して薬の管理をお願いしています」と、患者さんに関わるスタッフの連携の大切さを強調します。

高槻うの花訪問看護ステーションの看護師、佐久間里枝さんは、訪問看護師として5年のキャリアを積んでいます。

高槻うの花訪問看護ステーション 看護師 佐久間里枝さん 高槻うの花訪問看護ステーション
看護師 佐久間里枝さん

「日々心がけているのは、しっかり話を聞いて共感することと、否定を絶対にしないということですが、さすがに何回もくり返し同じことを言われると辛いこともありますね」と苦労を語ります。

「ただ、患者さんの感謝、特に訪問先での『またきてね』の言葉がうれしいですね。名前を覚えてもらって、『佐久間さんで良かった』と言ってもらえるとさらにうれしい。そういう言葉がうれしくてやめられないのだと思います」(佐久間さん)。

中嶋先生も「佐久間さんはつらいことがあっても前向きで明るく、いろんなことを吸収しながら取り組んでくれています」と言います。

 

患者さんやご家族の目となり耳となる介護へ

診療所で認知症と診断すると、介護につなげる作業に入ります。

診療所でケアマネジャーを務める濱田朱美さんは、診療所で先生からの紹介を受けて患者さんのご自宅へ向かい、介護保険の申請の手続きを代行。要介護1以上で居宅介護支援が受けられるので、アセスメントにうかがい、サービスを展開できる形にしていきます。

なかじま診療所居宅介護支援・介護予防居宅介護支援 介護支援専門員 濱田朱美さん なかじま診療所居宅介護支援・介護予防
居宅介護支援 介護支援専門員
濱田朱美さん

「自分たちも頻繁な制度変更で把握しきれないことがあるぐらいなので、ご家族に介護保険の制度をひと通り説明をしても一度には理解してもらえません。まずは今、利用者さんに必要な部分だけはしっかり説明していこうと心がけています」と濱田さんは話します。

信頼関係を作り、各事業所と連携してうまくサービスが提供でき、利用者さんが落ちついてきて初めて、「相談して良かった」という言葉がご家族からあると言います。

「そう思っていただけるまでの関係づくりが一番大事と考えています。疲れていても笑顔で『今日も来ましたー』と訪問しています」(濱田さん)。

提供したサービスがうまくいかない場合は、また別の提案をするなどのアドバイスを重ねる必要があります。「最適な引き出しを見つけるためには、あらゆる知識が必要になります」と意欲を語る濱田さん。

また、中嶋先生は、地域で生活するためにはデイケアやグループホームは不可欠と考えています。

「介護保険制度が始まる前からデイケアを手掛けてきました。デイケアによる細やかなサポートや心身の介護で利用者さんは皆元気になってきます。グループホームは介護保険制度が始まって間もない頃に建てました。私の所は6人の小規模のグループホームでこじんまりとしているので利用者さんは落ちついて過ごせます」(中嶋先生)。

小規模多機能ホームゆ~らり 介護福祉士 福嶋二郎さん 小規模多機能ホームゆ~らり
介護福祉士 福嶋二郎さん

介護福祉士の福嶋二郎さんは、訪問介護、通いサービス、泊まりを柔軟に組み合わせて利用できる小規模多機能ホーム「ゆ~らり」の介護主任。ボランティアで啓友会に関わるようになり、働きながら介護福祉士の資格を取りました。

介護では、話に耳を傾けることと、安心できる言葉を選んで声かけすることを心がけていると言います。

「この言い方をすると怒られたけれど、違う言い方をしてみたら笑顔になったというように、失敗と工夫をくり返して得るものもあります」(福嶋さん)。

ある患者さんに対してよかった対応が他の患者さんに通じるかというと、必ずしもそうではありません。認知症患者さんには個別性があり簡単ではないと言います。

「私たちの表情をよく見ていて表面的な言葉では見抜かれてしまいます。患者さんの世界に入るには雰囲気づくりも大事ですね」と福嶋さん。

福嶋さんはまた、「訪問介護では、冷蔵庫の中に傷んでいるものはないかチェックしたり、火災報知機をつけたりします。セールス目的で家にあがりこんでいる人に『出ていってもらえませんか』と言うこともあります。さらには、何か買わされてしまった後のフォローをすることもあります」と訪問介護ならではのエピソードを語ります。

介護福祉士になって12年の川内久忠さんは、デイケアとグループホームを兼務しています。

啓友クリニック通所リハビリテーション 介護福祉士 川内久忠さん 啓友クリニック通所リハビリテーション
介護福祉士 川内久忠さん

「介護の基本は笑顔ですね。骨折で入院した方が入院中は落ちつかなくても、退院してグループホームに戻ってきたときに落ちついた表情になると、ああここがその方にとって住み慣れた場所なんだなと実感してうれしくなります」(川内さん)。

川内さんは今後の課題についても語ります。

「認知症が進行するなかでどう看ていくか。終末期まで看る、というのが中嶋先生の基本方針ですが、そのためには地域における医療と介護の連携がもっと必要だと感じます」。

介護を重要視する中嶋先生は、濱田さん、福嶋さん、川内さんら介護関連のスタッフの絶えない笑顔と情熱にいつも助けられていると言います。

 

「介護が国を変える」在宅医療・介護の理想の実現へ

中嶋先生は今でも、「私は、その人がその人らしく在宅で生きるのをサポートしたいだけ。その情熱を具現化し、実現するだけです」と診療所開設当時から変わらぬ姿勢を示します。

「そのためには自宅だけでなく、病気になったり身体に障害が出たときに第二の家となる場所が必要ではないか。啓友会が運営するグループホームや小規模多機能ホームはそうした位置付けと考えています」(中嶋先生)。

そのような支援の体制ができてはじめて、自宅がその人らしく楽しく生きる場になるのではないか。「それをスタッフと共に、時にはスタッフにリードしてもらいながら実現することが私の夢です」と語る中嶋先生。

中嶋先生の熱弁はさらに続きます。

「介護のあり方がこれからの社会を支え、引っ張るようになります。これからは介護の質も問われます。介護が国を変えると言っても過言ではないのです」。

 

 

取材日:2012年1月18日
医療法人啓友会 なかじま診療所の外観

医療法人啓友会 なかじま診療所

〒569-1029
大阪府高槻市安岡寺町2-3-1
TEL:072-687-7561

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