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患者さんが決めた治療の目標に向かい、よりよい人生へ導く
<広島県江田島市 医療法人社団吉田会 吉田病院>

理事長 吉田玲夫先生 理事長 吉田玲夫先生

瀬戸内海に囲まれ、温暖な気候に恵まれた江田島で精神科医療を行う吉田病院は、単なる病気の治療だけでなく、患者さんの生活を支えるという患者さん本位の治療を大切にしています。患者さん自身が決めた治療の目標に向かい、医師とスタッフがチームで支える同院の認知症医療は、島の気候を反映するかのようにあたたかみがあります。

高齢化が進む島で患者さん本位の医療を提供

広島湾の穏やかな海に浮かぶ風光明媚な江田島にある吉田病院は、江田島を中心とする複数の島からなる江田島市唯一の精神科の医療機関です。日本医療機能評価機構の認定病院でもあり、精神科と内科の外来、入院設備を備え、精神疾患を抱える人の暮らしを支え、地域に密着した医療を提供してきました。

かつて同院を受診するのはアルコール依存症の患者さんが多かったものの、近年は住民の高齢化が進んで江田島市の人口の3分の1が65歳以上となり、それに伴って認知症の患者さんが急増しました。理事長の吉田玲夫先生は、「われわれの持つ全ての力を使って、心の悩みを持つ患者さんとご家族本位の医療をやっていこうというのがわれわれスタッフに共通している認識です」と語ります。その理念を浸透させるため、全体のミーティングなどで情報交換を欠かさないのはもちろん、患者さんの立場に立った視点を重視して満足度調査を実施し、提供する医療の満足度だけでなく、スタッフの対応などに患者さんがどの程度満足しているかも確認しています。

「まだ現在進行形です。病棟では様々な医療を提供する一方で、スタッフは家庭的な雰囲気を作るように腐心するなど前向きに一生懸命取り組んでいます。その結果として何年か後に患者さんの満足度がさらに上がっていればいいと考えて、愚直に一歩ずつ進めています」と吉田玲夫先生は謙遜しますが、すでに外来・入院のいずれの患者さんからも同院は高く評価されています。

 

精神科の垣根を下げ、地域に開かれた病院に

院長 吉田昌平先生 院長 吉田昌平先生

院長の吉田昌平先生は、当時は先代理事長が経営していた同院で精神疾患の患者さんが身近な環境にいるなかで育ち、自然に精神科医という道を選びました。「患者さんと一緒に考えながら治療していくという精神科医療のスタイルが自分には合っていると思いました」という吉田昌平先生の言葉からも、同院に患者さん本位の医療スタイルが定着していることがわかります。

また、同院は、夏祭りや文化祭などの恒例イベントに地域の人を招き、病院の中や患者さんの様子を見てもらう機会を設けるなど、地域に開かれた精神科病院を目指してきました。

「地元や近隣から内科を受診する患者さんも、精神科の患者さんと同じ待合室で待っていただきますから、患者さんの精神科に対する抵抗感は少しずつ減ってきているのではないでしょうか」(吉田昌平先生)。

精神科の垣根が低くなる一方で、この島でも家庭での介護が困難になってはじめて受診する患者さんが多い傾向にあります。また、過疎化が進むこの地域では老老介護や独居高齢者も増えており、ご家族のサポートを得るのも難しくなっています。

「認知症は病気の治療だけでなく生活全般の支援が必要です。ところが、この島の介護施設はほぼ満杯の状態で、特別養護老人ホームの入所待ちが400人ほどもいます。そのような制約があるなかで、医療と介護の現場がどのように患者さんと介護者を支えていくのかをいつも考えています」(吉田昌平先生)。

 

治療の目標を決めることで患者さんが前向きになる

同院での認知症治療の特徴は、患者さんの症状に注目するのではなく、患者さんのなかに残っている機能や健康な面を見出し、よりよい人生を作れるように支えることにあります。治療の目標は、医師やご家族が決定するのではなく、患者さん自身が決定します。そのためにはまず、認知症と診断されて絶望感や孤独感を抱いている患者さんの話をよく聞き、気持ちの受け皿となって、信頼関係を築くことを第一にしています。

「高齢になると周囲がつい何でもやってしまい、自分で決定する機会が少なくなります。そうではなくて、患者さん自身が治療の目標を決め、自分自身で生活をコントロールすることで、今後も頑張ろうというエネルギーが湧くのです」(吉田玲夫先生)。

例えば、認知症の症状が重く、医療機関を転々としていた女性の患者さんが、子ども時代に小学校に通えず、通学していた友達をうらやんでいたことが分かりました。そこで、その患者さんには字が書けるようになることを目標に設定してもらうようにしました。その後、その患者さんはペン習字を積極的に習うなど、前向きに目標に向かって取り組むようになりました。

「将来のことは考えられないと言う患者さんが少なくありません。そこで、将来のことを考えられるようにわれわれがサポートすれば、前向きになることができます。人生の最後まで自己実現は可能なのです」(吉田玲夫先生)。

患者さんが目標に向かって前向きになると、身体機能や認知機能の低下に対する治療もスムーズに行うことができます。

 

真摯な態度の医師にならいスタッフも献身的に対応

看護師 佐々博恵さん 看護師 佐々博恵さん


精神保健福祉士 片山聖子さん 精神保健福祉士 片山聖子さん

患者さん本位の医療を提供するという先生たちの意志を受けて、スタッフも妥協せず一人ひとりの患者さんに合わせて関わっています。看護師の佐々博恵さんは、「例えば、ご飯をなかなか食べようとしなかった入院患者さんがいます。どうすれば箸が進むのかということについてスタッフ間で密に情報交換をして、様々な働きかけを行いました。その結果、今ではすっかりよく食べるようになりました」とスタッフ間の密なコミュニケーションが患者さん本位の医療を支えていることを強調します。

同院で精神保健福祉士としてご家族の相談に乗ったり、外部の施設とのコーディネートを行う片山聖子さんは、病棟のスタッフが献身的に患者さんに関わる姿に「一緒に働く者としてとても誇りに思います」と言います。

「限られたスタッフ数でも、例えば患者さんの周辺症状が目立つ時は職種にこだわらず一人のスタッフがそばについて対応するなど、臨機応変に工夫して関わっています。退院後は他の施設に入所するケースが少なくありませんが、ご家族にこの病院でもっとお世話になりたいと言っていただくこともあります」(片山さん)。

スタッフが患者さんを大切にする背景には「先生方が患者さん一人ひとりを大切にして、一生懸命に診ているから」という、医師たちの真摯な態度があると佐々さんは語ります。

それに対し吉田玲夫先生は、「医師だけでは医療は成り立ちません。スタッフがいるからできることです。スタッフ同士で話をし、理念を共有しながら忍耐強くやってくれます」とスタッフの仕事ぶりをたたえます。

 

認知症治療で大切なのは日々患者さんと接すること

同院の質の高い医療サービスは、日本医療機能評価機構によって認定されています。同院では限られたマンパワーでも質の高い医療を提供するために、スタッフがスキルをより高めるためのサポートも行っています。症例の勉強会などを定期的に行うほか、外部で行われる研修にも交通費などを支給して参加を促します。意欲的に認定看護師の資格取得を目指す人には、経済的なサポートも行います。このように、同院では患者さんに寄り添おうとするスタッフの意識の高さと、医療に関する知識・経験とが両輪となって患者さんを支えているのです。

一方、課題もあります。老老介護や高齢者の一人暮らしなどの問題が指摘されるなか、吉田昌平先生は、「高齢化がどんどん進む状況で急増する認知症の患者さんに対応できる医療体制を築く必要があります。求められているアウトリーチや中間施設を充実させながら、患者さんの生活の質をマネジメントしていくことが大きな課題です」と言います。

最後に吉田玲夫先生は、認知症の治療で大切なことについて次のように語りました。

「認知症の治療においては、ただ単に病気に注目するだけでは不十分です。患者さんの生活全体を支えることが必要です。患者さんと会話をしたり、一緒にレクリエーションを行ったりすることも認知症の治療になります。学会に参加することも必要ですが、なにより大事なのは患者さんと日々接することなのです」(吉田玲夫先生)。

 

 

取材日:2012年2月28日
医療法人社団吉田会吉田病院の外観

医療法人社団吉田会 吉田病院

〒737-2126
広島県江田島市江田島町津久茂2-6-2
TEL:0823-42-1100

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